どう育てる?社内でIT人材を育てる具体的な方法
多くの企業で求められるIT人材。 非IT企業でも、ある程度の人数はIT人材が必要になってきました。 しかし、経済産業省のデータによりますと、 2018年時点で、22万人のIT人材不足というデータが出ています。 これだけの人材不足を抱える中、一つの選択肢として 「自社でIT人材を育てる」 という選択肢があります。 もしも自社でIT人材を育てることが出来れば、自社の業務知識も把握している事から、一般的なIT人材よりも優秀な人材が育つ可能性があります。 しかし、IT人材の育て方がわからない。 今回は、非IT企業における社内SEを始めとしたIT人材について見ていきたいと思います。
社内でIT人材は育たない?社内SEの現状
社内でIT人材は育たない?社内SEの現状 どの企業も、IT部門がある企業なら、当然IT人材を育てたいと考えているはずです。 しかし、社内SEという職種は、多くの企業で「IT人材」とは言えない現状があります。
スマホ・PCのキッティング/ベンダーとのやり取りがメイン
一般的に社内SEという職種は、SE(システムエンジニア)という名前がついているものの、 ・スマホ、PCのキッティング ・ベンダーとのやり取り がメインの場合が多いです。 スマホやPCのキッティングは、正直誰にでも出来る雑務と言わざるを得ません。 最近では、スマホ・PCのキッティング専門の事業を持っている会社もあるくらいですので、自社で行う必要性は無いのですが、それでも多くの社内SEがこのような仕事を行っています。 そして、社内で利用するシステムに関しても、自社で開発するのではなく、他社のシステムを導入するというケースが多いです。 社内SEは、そういったシステムを販売しているベンダーとのやり取りや、企画書などを作成し、実際に各部門に導入・フォローという業務を行っているケースが多いです。 これらの業務では、エンジニアとしての技術力の向上は見込めませんので、IT人材という点からすると、成長がないと言わざるを得ません。
社内からの問い合わせ業務が非常に多い
社内SEの主な業務内容として、日常的なIT関連の問い合わせがあるでしょう。 非IT部門からすると、エクセルが動かなくなったり、誰かがすでに開いている、PCの動作が遅いなどの状況で、業務が進まなくなると、決まってIT部門へ問い合わせがきます。 私の知り合いの社内SEも、 「そんなことをこっちに言われても困る!!」 と愚痴をもらしながら、とりあえずの応急処置としてPCを再起動する、不要データを削除する・・・程度の作業をして様子を見てもらっていました。 特に、会社は経費を削減したいために、スペックの低いPCを全社的に配っているケースは、どうしてもPC自体が遅いため、苦情に近い問い合わせが殺到する傾向が多いようです。 社内でPC本体を生産しているならまだしも、PCを他社から購入しているわけですから、社内SEにはどうしようもない部分も多いでしょうが、非IT部門からするとそういった事情は理解できないのでしょう。 問い合わせ業務に追われる中で、エンジニアとしてのスキルアップを能動的に行える人材は、非常に少ないと言わざるを得ません。
社内でIT人材を育てる具体的な方法
社内でIT人材を育てる具体的な方法 では、このような社内SEの実情の中で、どのようにすれば社内でIT人材を育てることが可能なのでしょうか。
会社での方針をしっかりと決める
会社によって 「社内のIT人材の位置づけ」 が違います。 一言にITと言っても、様々な種類のエンジニアがいますので、勉強する内容も変わってくるでしょう。 そのため、 「ウチの会社では〇〇のスキルを付けたIT人材を育てる」 というように、しっかりとした会社での方向性を決めることが必要でしょう。
社員全体のITリテラシーの向上も視野に入れる
前項でもお話したように、社内SEの業務として時間を取られることに 「問い合わせ業務」 があります。 その内容も、会社によっては ・PCが遅い ・エクセルが開かない ・自分で間違って消したファイルを復元できないか ・エクセルが読み取り専用になっている ・取引先から来たファイルがpdfで編集できない など、非常にITリテラシーの低い内容も多いでしょう。 そこで、非IT部門においても並行してITリテラシーの向上を行うことが重要です。 理想は、 「ちょっとしたPC業務の質問は、デスクの近い同じ部門の仲間に聞いて解決できる」 というレベルではないでしょうか。 そうなれば、IT部門に問い合わせが集まることもなく、本来の業務に集中できるでしょう。
一部分でも良いので社内システムを作れる環境を整える
いきなりしっかりとした社内システムを作ることは難しいでしょうが、少しずつでも社内での開発をするのがおすすめです。 IT部門である以上、基本的なプログラミング技術があるに越したことは有りません。 仮に将来的にも、社内で利用するシステムは全てベンダーから購入するとしても、プログラミングができれば、確認するべき内容も変わってきます。 更に、ベンダーから購入するようなシステムでも、自分たちなりにカスタマイズすることが可能なシステムもありますし、システム同士を繋ぐために、データの修正や他システムとの情報の統合を行うような仕組みも作れるでしょう。 また、プログラミングは常に触っていないと忘れてしまう事も多いので、一つの言語だけでも良いので、常に何かを作れる環境を作ってあげる事が重要です。 言語はどのようなものでも、プログラミングの基礎が学べるなら良いですが、需要の大きなJAVAを学習しておくと、将来的なエンジニアとしての価値も上がるでしょう。
外部にIT講習を依頼する
社内で開発できる環境が整ったら、基本的な部分は外部講師に委託するのが良いです。 特に現状社内でしっかりとしたエンジニアが育っていない状態であれば、専門で講師をやっているような所の体系化された授業を受けるのが良いでしょう。 セキュリティ等に関する知識があまりない状態で開発をしてしまうと、個人情報の流出や社外秘の情報が漏れてしまう危険性も出てきますので、 「ここだけは外してはいけないポイント」 を抑えるためにも最初は講師に依頼する方が良いのです。 可能であれば、社内の環境や現行業務を事前にヒアリングなどしてくれる所であれば、練習課題として自社の現行業務のシステム化などを行ってくれる可能性もありますので、相談してみましょう。
中長期的な目線で見て一時的に採算は無視して教育に専念する
多くの会社で人材が育たないことの原因は、 「教育している期間の採算が取れない」 ということではないでしょうか。 本来なら人材を育てることは最重要されるべきですが、多くの会社では金銭的な余裕がなかったり、業務量が多すぎてそれどころではなかったりします。 そのため、しっかりと中長期的な目線を持って教育期間中は採算を無視して教育するべきでしょう。 全員を一気に教育することは難しいでしょうが、1人ずつでも業務を他の人が代わりにやりながら教育をするなど、工夫をしてみましょう。
社内でIT人材を育てるメリット
社内でIT人材を育てるメリット 社内でIT人材を育てていない会社の中には 「どうせ育てても、ベンダーのシステムを入れるんだから意味がないんじゃないか」 と考えている人も多いでしょう。 では、社内でIT人材を育てること自体にはどのようなメリットが有るのでしょうか。
開発費用が安くなる
社内の人材を使う方が、開発費用は安くなります。 打ち合わせ費用や、設計書を作ってからのやり取り・設計のし直しが無いですし、ちょっとした修正もすぐに出来ます。 見積もりの必要もありませんし、スケジュール管理費用も必要ありません。 そのため、同じシステムを作るのであれば、社内で開発できる方が圧倒的に安くなります。
もしもの時の対応がスムーズに行える
もしもシステムが止まったら・・・ 社内でシステムを運用する人間が最も心配する部分ではないでしょうか。 販売システムや生産管理システムなどの、社内で重要な部分のシステムが止まってしまった場合、システム会社に復旧してもらったり、原因を調べてもらうには時間がかかります。 システム会社も他の案件を抱えているでしょうから、すぐに動けない可能性もありますが、社内のシステム部門がきちんと育っていれば、何かしらの対処法を見つけ出すことも出来るでしょう。 直接ソースをいじることは出来なかったとしても、別のDBにデータを格納したり、復旧後にデータを反映させやすい状態に持っていくことは可能です。 反対にIT人材が育っていなければ、ただただシステム会社の返答を待つ・・・という状況も考えられます。 この様に、ITリスクの回避の面から見ても、IT人材を育てることには非常に多くのメリットがあります。
ベンダーからのシステムに関して「より良い選択」が出来るようになる
ベンダーからシステムを購入する際に、似たようなシステム複数の中から選ぶのが普通です。 例えばワークフローシステムでも、数百万円するようなシステムから、月額数万円から利用できるシステムまで様々です。 IT人材が育っていなければ、複数のシステムから選択する基準が ・費用 ・導入実績 ・アカウント数 などの表面的な部分でしか判断できません。 しかし、しっかりとIT人材を育てていれば ・セキュリティ面 ・データの格納方法 ・他システムとの連携性 ・一部機能の開発や追加 ・データのバックアップなどリスク回避 などのように、システムの観点から選択ができるようになります。 それに伴って、 「機能的に劣るが、一部自社でカスタマイズ出来るから安いシステムでも良い」 というように、必要最低限のシステムを導入するという選択もできるようになります。
業務を把握した人間が開発するため、自社に最も合ったシステム制作も可能に
社内でシステムを開発する際に、システム会社とのヒアリングの際に現行業務などを伝える必要があります。 しかし、必要な部分を100%伝える・ヒアリングするというのは、ほぼ不可能と言っても良いでしょう。 ほとんどの場合、作ってみたものの自社の状況に合わずに修正・・・ということになります。 ですが、もしも社内の人間が開発するのであれば、社風もわかっていますし、他部門の業務もなんとなく把握しているケースも多いでしょう。 そのため、外部のシステム会社に依頼するよりも、自社に合った適切なシステムの開発が可能になります。 また、ちょっとしたシステムで、システム会社に依頼するほどでも無いけど、 「毎日数十分から1時間程度の時間が取られる作業」 なども細かくシステム作成が可能です。 このような小さな改革が積み重なって膨大な経費削減に繋がるケースもあるのです。
トライ・アンド・エラーがしやすい
システム会社に依頼した場合は、社内でテストをして完成してからテスト運用を開始します。 その場合、ある程度仕様が固まってしまった状態でしょうから、もしも使い勝手が悪かったとしても 「運用で乗り切って下さい」 と言われる可能性もあります。 しかし、社内で開発を行えば、無限にトライ・アンド・エラーが可能なわけですから、ちょっとした立案段階でも現場の意見を聞くことが可能です。 もしもそれで現場としては必要なかったとしても、現場としても 「あ、こんなことでもシステム化は出来るんだ」 という新しい視点で物事を見るきっかけとなります。 その話の流れで、 「それならこっちをシステム化してもらえないか?」 という話が出てくることも多いので、システム部門としても提案がしやすくなります。
本当に会社のことを考えるならAMELAに相談!
本当に会社のことを考えるならAMELAに相談! 将来的にもIT人材は必要不可欠な世の中になっていますが、本当に会社のことを考えるのであれば、社内のIT人材の育成は必須項目です。 IT人材を育てることで、会社の業務効率が上がるだけではなく、経費の削減や離職率の低下にも繋がるでしょうから、すぐにでも教育をスタートするべきでしょう。 AMELAでは、開発やITコンサルティング・IT人材の派遣なども行っているため、 「活きた知識や経験」 を吸収する事が可能です。 まだまだこれからの時代、先が見えない事ばかりですが、少しでも今の状況から脱するために「教育」を取り入れてみてはいかがでしょうか。