統合運用管理ツール「JP1」とは?サービス内容やメリットなどを解説

企業のIT化がますます進み、システムの構築から運用・保守に多くのコストを割くようになりました。

大規模なシステムであるほど、全体を把握することが難しく、結果として負担が増大してしまうという事例が多いです。

また、セキュリティ対策などの企業コンプライアンスの重要性は年々増しています。

そうしたIT資産の効率的な利活用を実現するツールとして、日立製作所が開発した「JP1」があります。

「統合運用管理ツール」というカテゴリの製品であるJP1は、小規模なシステムから大規模で複雑なものまでに適応して、ハイレベルなIT活用を可能にする強力なツールです。

この記事では、JP1がどのような機能をもつ製品なのか、導入することで得られるメリットなどを解説していきます。

JP1とは

幅広い業界で高いシェアを誇る「JP1」は、業務のIT化に役立つさまざまな機能を提供しています。

ここでは、JP1がどのようなシステムなのかを解説します。

日立が開発したIT資産運用ツール

JP1は、日立製作所が開発したIT資産の運用をおこなう、統合システム運用管理ツールです。

1994年に発売されてから、さまざまな現場で導入され、2020年にはシェア26%と、業界トップのシェアを誇ります。

これまでは、複数のシステムを運用すると、システムを構成する要素ひとつひとつを個別に監視する必要がありましたが、JP1は複雑なシステムを一元化してモニタリングすることを可能にしました。

JP1は、小規模な現場から、数千台のIT機器が稼働する大規模なシステムにまで対応することができ、カスタマイズ性に優れているという特徴があります。

導入方法には、ツールを購入する以外にも、規模にあわせた月額料金制、さらにクラウド上で使用した分を都度支払うといった形式があります。

ハイレベルなIT資産の管理・運用を実現

JP1は、稼働システムの統合的な監視から、さまざまな業務のIT化と自動化、インフラ管理などを高いレベルでおこなうことができます。

・IT資産の管理・運用を、業務の自動化と管理をになう「オートメーション」
・ITインフラの管理とパフォーマンス向上を実行する「モニタリング」
・セキュリティや企業コンプライアンスを強化する「コンプライアンス」
の3分野にわけ、それぞれの機能を応用することで、ハイレベルなIT資産管理・運用を実現します。

統合運用管理ツールについて

JP1は「統合運用管理ツール」と呼ばれる製品です。

統合運用管理とは、業務システムやネットワーク、セキュリティ対策といったIT資産を一括で管理することで、現状把握やコスト削減、業務の効率化を進めていきます。

統合運用管理ツールは、そうした取り組みを実現するためのシステムで、企業のIT化を促進する上で非常に重要な働きをします。

このツールの主な機能は、業務の進捗管理からパフォーマンスの評価、システム保守やセキュリティの強化などが挙げられます。

このような統合運用管理ツールにはさまざまな製品がありますが、そのなかでJP1は最大のシェアを持つ製品となっています。

JP1の3つのはたらき

JP1は、前述したように統合運用管理に必要な機能を3つの分野にわけて考えています。

それぞれ「オートメーション」「モニタリング」「コンプライアンス」で、そのいずれにおいても、高い性能を有しています。 

これらの分野で構成される各機能を組み合わせることで、さまざまな環境での活用が可能となっています。

オートメーション

「システム全体を動かす」分野であるオートメーションは、ITシステムの運用にかかわるもので、業務の自動化やタスク管理、データ保全にかかわる機能で構成されています。

さまざまな業務をIT化するためには、全体的なシステムを運用することになりますが、そのためには、システムごとにタスクを割り当てる必要があります。

JP1では、こうしたタスク割り当てを一括で管理・運用することで、システムのオートメーション化を実現します。

よく見られる使い方としては、各種システムやバッチファイルを動かすコマンドを、JP1に設定します。

それを時間やカレンダーをトリガーに自動的に起動させるようなものです。

1つ1つのコマンドを「ジョブ」と呼び、ジョブを連結させることで、夜間バッチ作業などを自動化できます。

次に見るモニタリングとも繋がりますが、
「前の作業がきちんと正常終了している事を確認した上で次の処理を行う」
など、使い勝手が良い設計になっています。

オートメーションに含まれるツールには、運用自動化の「JP1/Automatic Operation」、ジョブ管理の「JP1/Automatic Job Management」、バックアップ管理の「JP1/VERITAS NetBackup」などがあります。

モニタリング

「システムを止めない」ためのモニタリングは、システムや、それを構成するネットワーク機器を一元管理して動作を監視する機能で、十分なパフォーマンスが発揮されているか、ネットワークは正常に動作しているかといった、保守にかかわるツールで構成されています。

JP1では、ログの収集や分析を通して、システムの異常を即座に検知して報告します。

現状確認画面が分かりやすいデザインであることも特徴となっています。

こうした異常検知だけでなく、日常の業務やシステムのパフォーマンスを評価して、今後の改善プランを提案する機能も備わっています。

モニタリングの分野に含まれるツールには、パフォーマンス管理の「JP1/Service Level Management」や、統合管理の「JP1/Integrated Management」、ITサービス管理の「JP1/Service Support」などがあります。

コンプライアンス

「資産を守る」をテーマにしたコンプライアンスの分野。

ここでは、IT資産の管理、システムやネットワーク、資料の暗号化といったセキュリティ対策に関する機能が盛り込まれています。

資料を外部へ持ち出す際のセキュリティ対策機能が備わっているのもJP1の特徴です。

外部デバイスからのアクセスを遮断したり、たとえデータが流出しても高度な暗号化機能を備えることにより、第三者には閲覧できないようにしたりといった対策がとられています。

コンプライアンスに含まれるツールは、セキュリティ管理の「JP1/秘文」と、資産配布管理の「JP1/IT Desktop Management」で構成されています。

統合運用管理ツールでできること

JP1は「統合運用管理ツール」と呼ばれる製品で、IT資産全般の活用・管理を目的としています。

こうしたツールを導入すると、なにができるようになるのかを解説していきます。

システム運用の一元管理・自動化

システムの稼働状況を手軽に俯瞰することができるというのが、統合運用管理ツールの効果のひとつです。

とくに社内システムが大規模なものになると、現状把握にすら苦労することになりがちですが、JP1のようなツールを導入することで、トラブルシューティングがやりやすく、またシステムの効率化にも繋がります。

システム運用の自動化でも力を発揮するJP1は、大規模で複雑なシステムに対して、各要素へのタスク割り振りや、スケジュール管理、バックアップなどを自動でおこなうことができます。

これによって、管理コストの削減だけでなく、人為的ミスの減少につながります。

システムの自動監視

ツールを導入することで、システムを365日、自動で監視することができます。

これまでは、夜間対応やトラブル対応などのシステム保守にまつわる業務にかなりのコストを割かなければなりませんでした。

そこで、監視を自動化することで、トラブル通知などによって迅速に対応でき、担当者の負担を軽減することが可能になります。

システムの効率化

ソフトウェアのパフォーマンスを十分に発揮するためには、適切なシステムの構築が必要です。

統合運用管理ツールを使用することで、ソフトウェアの特性やタスクに合わせた調整が可能になり、システムの効率の劇的な向上が実現できます。

IT資産の一元管理

IT資産の一元管理は、統合運用管理ツールの大きな目的のひとつです。

ハードウェアやソフトウェアに関するバージョンデータ、リース機器の保守契約などを、ツール上で一括管理することができます。

アップデートや契約更新などの情報をいち早く把握して、円滑なIT資産管理が可能になります。

JP1導入のメリット

統合運用管理ツールとして、さまざまな機能を提供するJP1。

ここでは、JP1の強み、JP1を導入することで得られるメリットを、いくつか紹介していきます。

高いクオリティ

JP1は、1994年の発表以来、常にアップデートを積み重ねてきたことで、後進のツールと比べても非常に高いクオリティを持っています。

長年にわたる開発ノウハウの蓄積、利用者からのフィードバックの反映によって、安定した高度なシステムを実現しています。

また、カスタマイズ性に優れているため、企業の規模や方針に合わせて、段階的に導入することも可能となっています。

さまざまな環境で動作する

JP1の強みとして、適用範囲の広さが挙げられます。

WindowsやLinuxといったOSに縛られず、また、仮想プラットフォームやクラウドでも、満足に動作します。

OSやブラウザなどの仕様変更に対しても、開発側がアップデートなどによって素早く対応してくれるため、安心して導入することができます。

サポート体制が充実している

システムの導入を検討する際には、開発側のサポート体制が充実しているかが重要なポイントになります。

JP1では、アフターサポートとして「日立サポート360」を実施しており、ここでは、導入時のバージョンに対して、10年間のサポートを提供しています。

導入後のシステム変更などにも対応しているため、安心してシステムを運用することができます。

また、ネット上にも多くのドキュメントがあるため、ちょっとした疑問なども検索しやすい事は、導入のメリットです。

運用システムの導入はAMELAに

今回は、JP1について見てきました。

多くの企業で導入されているJP1は、情報システムにおいて、非常に有力なツールとなります。

一方で、導入したものの、それぞれの業務がシステム化されていないため、特徴である「オートメーション」が活かしきれていないケースも見られます。

もし現在、システムの運用に疑問や不安・問題を抱えている方がいれば、是非AMELAにご相談ください。

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