ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)とは?メリット・デメリットや活用事例まとめ

ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)とは?メリット・デメリットや活用事例まとめ

現代の競争が激しいビジネス環境において、効率的な企業の運営は非常に重要です。

ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)は、非コア業務を専門のサービスプロバイダーに委託することで、リソースを最適化し、企業のコア業務に集中することを可能にします。

この記事では、ビジネスプロセスアウトソーシングの概念、種類、メリット、デメリット、そして実際の活用例について解説し、ビジネスプロセスアウトソーシングを効果的に利用する方法をご紹介します。

ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)とは

ビジネスプロセスアウトソーシングは、企業が自社の特定のビジネスプロセスや業務を外部のサービスプロバイダーに委託することです。

これにより、企業はコア業務に集中し、非コア業務の効率化とコスト削減を図ることが可能になります。

例えば、自社がWEBサービスを展開している場合、本来注力するべき業務は
・WEBサービスを作る
・サービスの改良をする
・データを分析して次のサービスに活かす
などが挙げられます。

一方で、実際の現場ではクレーム対応やデータの収集、サーバーの監視やネットワークの構築・維持などに時間を取られ、本来の業務に集中できないことがあります。

こういったときに、その仕事を全て他社に委託することにより、本来の業務に集中できるだけではなく、
・人材採用コスト
・人材育成コスト
なども不要になります。

そのため、人・物・金といったリソースを無駄にすることなく業務に取りかかれるのです。

ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)の目的

ビジネスプロセスアウトソーシングの目的は、企業が非コア業務を専門的な外部サービスプロバイダーに委託することにより効率化を図り、利益を向上させることです。

外部への業務委託により、企業は人件費や運営コストを削減し、資源をより効率的に使用することができたり、非コア業務から解放されることで主要なビジネス活動や戦略的な取り組みに集中することができます。

これによりビジネスの柔軟性が向上し、市場の変動や事業規模の拡大・縮小に迅速に対応が可能です。

また、特定の業務に関連するリスクを外部のサービスプロバイダーと共有することでリスク分散が可能になり、企業は安定した運営を維持できます。

ビジネスプロセスアウトソーシングのサービスプロバイダーは通常、最新の技術や業務プロセスに精通しており、これを利用することで企業は最新の業務方法を取り入れ、競争力を維持することができます。

例えばサーバー監視や運用が得意なサービスプロバイダーにサーバーの運用監視を委託することで、
・セキュリティに関する専門知識を借りることが出来る
・安定稼働するためのノウハウを借りれる
という風に、自社が得意ではない領域も、専門会社に任せることが出来るのです。

このように、ビジネスプロセスアウトソーシングはコスト効率の改善、業務の効率化、リスクの管理、技術アクセスの向上など、ビジネスにおける多面的な利点を提供する重要な戦略です。

ビジネスプロセスアウトソーシングの種類

ビジネスプロセスアウトソーシングは職種によっていくつかの種類に分類されます。

ここではバックオフィスアウトソーシングとフロントオフィスアウトソーシングについて解説します。

バックオフィスアウトソーシング

バックオフィスアウトソーシングとは、企業の内部業務、特に管理や支援業務を外部のサービスプロバイダーに委託することを指します。

このアウトソーシングの形態は、企業が日常的におこなうが直接収益を生み出さない活動に焦点を当てています。

バックオフィスアウトソーシングの主要な領域には、人事、財務会計、購買・在庫管理、データ入力・管理業務などが挙げられます。

人事領域では、従業員の勤怠管理、給与計算、福利厚生の管理、採用プロセスなど、従業員に関連する業務全般をおこないます。

財務会計領域は、財務報告、帳簿の管理、請求書処理、支払い処理、監査対応など、企業の財務に関わる業務です。

購買・在庫管理領域には、資材の購入、在庫管理、サプライチェーンの管理など、物流に関連する活動が含まれます。

データ入力と管理業務は、データの入力、データベースの管理、文書管理など、情報の整理と保管に関する業務です。

バックオフィスアウトソーシングは、企業が経営の効率化を図り、競争力を高めるための重要な戦略として利用されています。

フロントオフィスアウトソーシング

フロントオフィスアウトソーシングは、企業の顧客対応や顧客関連の業務を外部のサービスプロバイダーに委託することです。

このアウトソーシングの形態は、企業の顧客と直接接触する業務に焦点を当てており、顧客満足度の向上や、企業のブランド価値と市場での競争力を高めるために用いられます。

フロントオフィスアウトソーシングには、顧客サービス、セールスサポート、マーケティングなどがあります。

顧客サービスは電話、メール、チャットなどを通じた顧客からの問い合わせやクレームの対応をおこないます。

セールスサポートは顧客への商品やサービスの提案、販売促進活動、営業支援業務の全般です。

マーケティングは市場調査、広告キャンペーンの実施、ブランドプロモーション活動などがあります。

これら業務を外部に委託することで、専門的なサービスプロバイダーによる質の高い顧客サービスにより、顧客体験を向上させる狙いがあります。

また、企業は内部でこれらの業務をおこなうよりもコスト効率が良く、専門的なサービスが提供可能です。

場合によっては、自社で販売専門の人員を用意するよりも高い成約率を出せる可能性があります。

更に、市場の変化に迅速に対応し、新しい販売戦略やマーケティングキャンペーンを素早く実施できる期待もあります。

フロントオフィスアウトソーシングは、顧客との直接的な接触点を管理し、企業の市場での存在感と競争力を高めるための戦略的手段として多くの企業に採用されています。

ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)のメリット

ビジネスプロセスアウトソーシングのメリットをまとめましたので解説します。

コストの削減

ビジネスプロセスアウトソーシングは、人件費、設備投資、オフィススペースなどのコストを削減できるという大きな利点があります。

特に、非コア業務を外部に委託することによって、企業は内部リソースの削減と効率的な資源の再配分が可能になります。

例えば、メーカーにおいて夜間のバッチ処理は、次の日の業務に大きな影響を与えます。

このような業務において、自社できちんと処理が完了するかを確認するよりも、24時間365日対応を売りにしている業者に運用を委託することで、人件費の安い若い人材によるシフト勤務で業務を安定稼働させることも可能です。

そうなると、コストの削減にもなりますし、自社にオフィススペースなどを作る必要がないため、かなりのメリットがあります。

業務の効率化

サービスプロバイダーは、特定の業務において専門的な知識と経験を持っているため、業務の質とスピードが向上します。

これにより、業務プロセス全体の効率が高まります。

また、非コア業務を外部に委託することで、企業は主要なビジネス活動や戦略的な取り組みにより集中することができます。

これにより、ビジネスの成長と競争力の強化が期待できます。

スケーラビリティ

市場の変動やビジネスニーズに応じて、サービスの規模を柔軟に調整することが可能です。

拡大期や縮小期においても、適切なサービスレベルを維持できます。

例えば、自社で人員を用意する様な場合には、採用活動や他のチームから人員を確保する必要があります。

場合によっては、何ヶ月もかかるケースもあるでしょう。

しかし、専門の業者に委託することで、業者の抱える人材から用意してくれる上、仮にその後事業が縮小しても、簡単にチームから外すことができます。

これを自社でやろうと思うと、社員のモチベーションが下がったり、中途半端に人材が育たないなどのリスクもあるため、委託することには大きなメリットがあるのです。

ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)のデメリット

一方、ビジネスプロセスアウトソーシングを利用することによるデメリットも併せて解説します。

コミュニケーションの相違

外部のサービスプロバイダーとの間で、言語や時間帯の違いによるコミュニケーションの障壁が生じることがあります。

これは特に、海外のサービスプロバイダーを利用する場合に顕著に発生します。

品質の担保

外部のサービスプロバイダーに業務を委託することによって、その業務の品質管理が難しくなることがあります。

自社では当たり前の企業文化も、他社に強要することが難しい場面もありますし、サービスプロバイダーとの契約内容によっても、保証される品質は異なります。

そのため、サービスプロバイダーが企業の期待に応えられない場合、業務の質が低下するリスクがあります。

セキュリティリスク

機密情報や顧客データを外部のサービスプロバイダーに委託することは、データ漏洩やセキュリティ違反のリスクを高める可能性があります。

システムの運用保守においても、多くのサービスプロバイダーが本番DBなどを触るとなると、それだけリスクが高くなります。

自社に知識やノウハウが蓄積しないことも

ビジネスプロセスアウトソーシングは、その業務プロセスごと他社に委託することになるので、
・業務的な知見
・気付き/発見
・ノウハウ
が、自社に蓄積しにくい傾向にあります。

仮に、サービスプロバイダーを乗り換える際には、サービスプロバイダー同士での引き継ぎも検討する必要があり、その期間は二重にコストが発生する可能性があります。

そのため、きちんとした資料化や仕組みの明瞭化が重要になります。

ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)の具体例

では実際にビジネスプロセスアウトソーシングをどのように利用するのか、具体例を交えて解説します。

顧客サービスをアウトソーシングする場合の具体的な例を考えてみます。

例えば、あるオンラインショップがあり、商品を仕入れて販売する小売業だとしましょう。

この企業の業務の流れとしては
1.商品リサーチ
2.仕入先の確保
3.商品の撮影
4.商品ページの作成
5.商品が購入された後の発送
6.問い合わせ/クレーム対応
7.在庫管理
だとします。

この中で、ビジネスとして見たときにコアな業務は
・商品リサーチ
・商品の撮影
・商品ページの作成
でしょう。

これらの業務は、直接売上や会社のブランドイメージに関わることが多いため、委託するにしても、高い能力を持った専門的な業者に依頼する必要があります。

反対に、製品に関する問い合わせや注文の処理、顧客からのクレーム対応などであれば、業務プロセスごと外注することで業務効率が上がります。

この様に、自社にとって最も重要な業務や、直接売上に関連してくるコア業務を自社で行い、それ以外の業務を委託することで、効率的な仕事ができるのです。

ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)の将来性

ビジネスプロセスアウトソーシングの将来性については、いくつかの重要なトレンドがこの業界の成長と進化を示唆しています。

例えば、セキュリティとデータプライバシーへの注目度の増加です。

データのプライバシーとセキュリティは、企業にとってますます重要になっています。

ビジネスプロセスアウトソーシング業界では、データ保護に重点を置くことが求められており、サイバーセキュリティに関する第三者の専門知識への依存が高まっています​​。

人工知能(AI)とプロセスオートメーション(PA)の採用拡大も背景にあります。

AIとPAの技術はビジネスプロセスアウトソーシング業界を劇的に変化させており、効率性とコスト削減に寄与しています。

顧客サービスやデータ入力などの作業をAIツールが自動化し、人間の作業者はより複雑な問題に集中できる状況になりつつあります​​​​。

また、持続可能性と社会的責任への関心の高まりも理由の1つです。

企業は、環境に配慮したエコ意識の高いビジネスプロセスアウトソーシングサービスプロバイダーとのパートナーシップを重視し始めています。

さらには、ブロックチェーン技術の普及です。

ブロックチェーンは、透明性、セキュリティ、効率性の向上に寄与するため、ビジネスプロセスアウトソーシング業界での採用が進んでいます。

サプライチェーンの追跡にブロックチェーンを使用することで、詐欺や誤りのリスクを減らすことができます​​。

最後の要因はIoTの影響です。

IoTは、さまざまなソースからのデータ収集と分析を通じて、ビジネスプロセスアウトソーシングサービスを強化しています。

これにより、企業はITサポートなどの業務をより効率的に管理し、コスト削減と生産性向上を実現できます​​。

以上のトレンドは、ビジネスプロセスアウトソーシング業界が技術革新と市場のニーズに適応し続けることを示しており、将来的にも成長の潜在力が高いことを示唆しています。

ビジネスプロセスアウトソーシングは、企業が効率性を高め、コスト削減を実現し、より戦略的なビジネス活動に集中するための重要な手段となり続けると考えられます。

適切なビジネス構築はAMELAに

今回は、ビジネスプロセスアウトソーシングについて見てきました。

ITの人材不足が進む中で、
「自社のコア業務に注力する」
というのは、非常に大きなテーマの様に思います。

目の前の業務に忙しすぎて、本来やるべき業務に中々集中できない企業は多いです。

しかし、中長期的に考えると、しっかりと自社のコア業務に取り組むことが良いことの方が多いでしょう。

AMELAでは、長期的にビジネスを考えた上でのITコンサルティングを行っております。

今の業務の根本的な問題点の改善や、業務の整理など、広くご提案いたします。

是非、一度ご連絡いただければと思います。