プロダクトアウト・マーケットインとは?メリット・デメリットまとめ
マーケティングにおいて、
「どのように商品の方針を決めるのか」
は、非常に重要です。
商品は、作るだけでは意味がなく、売れて初めて会社として意味を持ちます。
そのため、どれだけ商品を作っても、売れなければ会社としては失敗です。
そんな商品開発において重要な考え方に
「プロダクトアウト」
「マーケットイン」
というものがあります。
非常に根本的な考え方なので、この記事を通して是非理解していただきたいと考えています。
また、最近ではプロダクトアウト・マーケットイン以外にも、それらを融合した考え方もあり、これから商品を作ろうと考えている人には、非常に有益な情報となっております。
プロダクトアウトとは
プロダクトアウトとは
「製品の良さを追求する開発方法」
です。
例えば、
・自社の持っている技術を最大限に活かせる商品
・まだ市場に存在しない新機能を搭載した商品
・「業界初」の商品
などのような基準で製品開発を行います。
この方法では、
「ユーザーがまだその価値を理解していない物」
を作り出せる可能性があります。
例えば、スマホ。
初めて作ったときには、その価値を理解してもらえなかったことでしょう。
今のように、誰もが1人1台所有するような未来を想像できた人も、非常に少数派です。
このような製品が生まれてくる時の特徴としては、プロダクトアウトで商品を開発しているということが挙げられます。
マーケットインとは
プロダクトアウトが商品の機能や良さを追求する開発方法に対して、マーケットインは
「市場が求めている製品を作る」
事に重きを置く開発方法です。
ユーザーが気付いていない価値を提供するような開発には向いていませんが、反対に
「すでに市場が欲している商品」
なので、失敗が少ないのが特徴です。
マーケットインの場合には、マーケティングの市場調査を精密に行い、「4C分析」や「4P分析」などを活用し、
・自社の強みと他社の強みの比較
・市場で独占(もしくは大きなシェア)を狙える場所
・現在の自社のメインターゲットの問題点
などを元に製品開発を行っていきます。
プロダクトアウトとマーケットインのメリット・デメリット
それぞれの方法には、メリットもデメリットも存在します。
プロダクトアウトのメリット
プロダクトアウトのメリットは、
「まだ存在しない市場を開拓できる可能性がある」
という点です。
例えば、飛行機。
飛行機がない時代には、
「空を飛んで遠くの地に早く着きたい」
と考える人は少なかったでしょう。
空を飛ぶというのも、飛行機ではなく鳥の様に、自分が空を飛ぶことを空想していたのではないでしょうか。
このような市場で、仮にマーケットインで市場調査を行ったとしても、飛行機を作るという視点にならない可能性が高いです。
この様に、革新的な商品開発を行う事ができるのは、プロダクトアウトのメリットと言えるでしょう。
2つ目のメリットは、
「自分の強みを中心に考えるため、開発コストが最小限で済む」
ということです。
例えば、自社が業界で最も高い鉄の加工技術を持っている場合、それを活かした製品開発をするのがプロダクトアウトです。
一方で、もしも市場を調査した結果、鉄の加工だけではなく、そこに金属への印刷技術が必要な製品が市場に求められているという結果が出れば、それらの技術を
・習得する
・企業買収を行う
・他社と提携する
などの方法で、手に入れる必要があります。
これには非常に大きなコストがかかりますが、プロダクトアウトの延長線上でそれらの技術が結果的に必要になったとしても、最初の段階でのコストが低くて済みます。
これもプロダクトアウトのメリットでしょう。
プロダクトアウトのデメリット
プロダクトアウトのデメリットの1つ目は、
「当たり外れが大きい」
ということです。
マーケットよりも、製品開発に重きを置くプロダクトアウトでは、
「自社としては良いものを作っているつもり」
という独りよがりに近い商品開発になる可能性があります。
うまく行けば、iPhoneのように、独自のマーケットを作ることができる反面、全くユーザーに見向きをされない製品が作られる可能性も高いです。
2つ目のデメリットは、
「その価値をユーザーに伝えるプレゼン力が必要」
という事。
マーケットインと違い、付加価値をユーザーがまだ認識していない可能性があるプロダクトアウトでは、その価値をいかにユーザーに伝えるのかが重要になります。
この付加価値を理解させることが出来なければ、どれだけ良い商品でも売れません。
特に現在の日本の様に、不景気の時期は「作れば売れる」という状況ではなく、
・他の製品とどう違うのか
・顧客のメリットは何か
・どんな良さがあるのか
をきちんと説明する必要があるのです。
そのためには、商品の価値をユーザーに理解してもらうための
・プレゼン力
・マーケティング力
が必要になるのです。
マーケットインのメリット
次に、マーケットインのメリットです。
マーケットインのメリットとしては
「リスクの少ない商品開発ができる」
ことです。
市場を観察した上で、需要のある商品を開発するマーケットインでは、しっかりと顧客ニーズを掴んだ上で開発をすることが前提です。
そのため、よほどのミスが無い限り
「作ったけど売れない」
という状況が発生しにくいのです。
また、きちんとユーザーの声を反映させて開発を行うことは、既存のファンからすると
「自分たちの意見をきちんと反映させてくれる会社」
という印象を持たれ、
・ブランド力の向上
・顧客満足度の向上
・長期的なファンの育成
に繋がるというメリットもあります。
マーケットインのデメリット
次に、マーケットインのデメリットですが、1つ目は
「商品開発に時間がかかる」
という点です。
マーケットインでは、市場を調査してから商品開発をするため、この調査に時間がかかります。
同じような商品を同業他社が開発しようと考えた時に、開発スピードの差は、そのまま売上に直結する可能性があります。
2つ目のデメリットは
「リサーチから開発に時間がかかれば、市場の状況も変化する」
という事です。
例えば、調査に半年、その後に開発をスタートして1年かけて製品を作るとすると、調査の半年だけでも、市場が大きく変わる可能性があります。
更に、開発に1年もかかれば、その間に市場の状況は変化し、調査結果が意味のないものになる可能性があります。
食品業界では、シーズンごとに期間限定商品が出てきますし、家電なども半年や1年あればどんどん新しいモデルが発売されます。
スマホも1年ほどで新しいモデルが出る事が多く、このリサーチ期間が致命傷になる可能性も十分に考えられます。
プロダクトアウトとマーケットインの融合
さて、ここまでは、「プロダクトアウト」「マーケットイン」という基本的な戦略を見てきましたが、近年ではこれらの考え方を融合するような考え方が増えてきました。
ここでは、その一例を解説していきます。
デザイン思考
デザイン思考とは、デザイナーのような創造的なアイデアをビジネスに応用するような、問題解決のためのフレームワークです。
一般的に、下記の5つのステップがあります。
【共感する(Empathize)】
ユーザーの視点に立って問題を捉え、ユーザーのニーズや課題を理解する。
【定義する(Define)】
問題の定義を明確にし、問題の本質を見極める。
【思考する(Ideate)】
従来の枠組みにとらわれずにアイデアを出し合い、多角的に解決策を考える。
【実験する(Prototype)】
アイデアを形にし、プロトタイプを作成して検証する。
【実践する(Test)】
プロトタイプを実際にユーザーに使ってもらい、改善点を見出し、さらに改善を繰り返す。
このデザイン思考では、共感や定義によって、「ユーザー目線での問題の抽出」を行う点で、マーケットインの考え方を取り入れています。
そして、「思考する」工程で、これまでの枠組みにとらわれず、新しい製品を作り上げるプロダクトアウトの考え方も取り入れられています。
そのため、デザイン思考は、どちらの考え方も取り入れられている手法であると考えられています。
リーンスタートアップ
次に、リーンスタートアップです。
リーンスタートアップは、起業や製品開発で用いられるフレームワークの1つで、
「最もシンプルな機能だけを備えた製品を、一旦市場にリリースし、反応を見ながら方向転換をする」
というものです。
顧客からのフィードバックをもらうことを前提に、可能な限り早く商品を展開し、顧客の反応を見ながら今後の製品開発に活かすため、マーケットインの考え方も、プロダクトアウトの考え方も、両方を備えています。
ジョブズ・トゥ・ビー・ダン
ジョブズ・トゥ・ビー・ダンとは、
「ある商品やサービスが、顧客が抱える課題を解決する「仕事」を果たすために、その顧客によって雇われる」
という考え方です。
つまり、商品やサービスは、あくまでも顧客の悩みを解決する事が目的で、その目的をより良く(より早く)解決するために必要なツールという見方をします。
この考え方では、顧客の問題解決という点を重視しているため、マーケットインの考え方が入っています。
更に、問題解決という根本的な部分の改善や、その目的をより良く解決するために自社の技術を利用する点などで、プロダクトアウトの考え方も用いられています。
新しい仕組み作りはAMELAに
今回は、マーケティングの基本的な考え方である「マーケットイン」「プロダクトアウト」について触れてきました。
これらの考え方は、どちらも重要で、これからの商品開発の参考になるでしょう。
また、現在それらを融合した考え方も、本文中でお話したように多数存在し、それらも応用しながら商品展開したいものです。
AMELAでは、お客様の製品やサービスを、最大限に活かすお手伝いをしています。
・アプリやサイトでのサービス開発
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など、ITを活用することでできることは、無限に存在します。
また、専任のITコンサルタントも在籍しているため、是非一度ご相談頂ければと思っています。