円安はオフショア開発に影響する?今後のオフショア開発と発注タイミング
現在、日本は不況と言われる状況が続いています。
この状況下では、どうしてもシステム開発に予算を回す余裕がない企業も多いのではないでしょうか。
そして、低予算でシステム開発を依頼する方法の一つとして
「オフショア開発」
があります。
オフショア開発は、国内のエンジニアではなく、物価や給料の安い海外のエンジニアに依頼することで、予算を抑える方法です。
オフショア開発は、年々需要が増しており、2022年の段階で市場規模は、18.7億ドル程度と予想されています。
しかし、オフショア開発は海外のエンジニアに依頼する関係上
「円安になると開発費用が上がるの?」
「円高になるまで発注を待った方が良いのかな」
という疑問が出てくるのではないでしょうか。
今回は、そんな現在の円安市場とオフショアについてお話します。
弊社でもオフショア開発を行っている関係上、リアルな現状をお伝えすることが出来ると考えています。
円安はオフショア開発に不利に働くのか?
早速本題ですが、「円安はオフショア開発に不利に働くのか」。
結論から言うと「影響度合いは低い」です。
その理由を説明していきましょう。
一般的に言われている円安は「円安ドル高」
円安と一言で言われる事が多いですが、一般的に円安と言われた時には
「円安ドル高」
の事を指しています。
為替は、2つの国の通貨の交換レートですから、円安に対してどこの通貨が高くなったのかを把握しておく必要があります。
アメリカのエンジニアに依頼しているのなら、ある程度影響を受ける可能性がありますが、オフショア開発では一般的に
・ベトナム
・フィリピン
・インド
・ミャンマー
などの国が多く、特に東南アジアは物価が安いこともあり、人気のオフショア地域です。
これらの国と日本円との交換レートが重要なのであって、ニュースに出てくる際の円安は、直接的に影響することはありません。
特に現在の円安の大きな要因は、アメリカと日本の金利の差によるとされています。
そのため、オフショア地域と日本との直接的な金利差ではないので、影響度合いは小さいです。
(それでも貿易の関係上、影響がないわけではありませんが)
もしも、日本の信用が下がるような事が起きた上での円安であれば、再度状況を確認する必要があるでしょう。
日本法人があるかが重要
次に、オフショア開発をしている企業の中には、「日本法人を持っている企業」が多数あります。
AMELAもそうです。
日本法人と現地法人を持っている企業からすると、
「日本円をすぐに現地通貨に変える必要性」
はありません。
社内で日本円として持っておいて、円高になったタイミングで現地通貨に交換すれば良いだけです。
なので、日本法人と現地法人を持っている企業というのは、為替の影響を受けにくいのです。
反対に、もしも依頼しようと考えているオフショア開発の会社が、
・日本法人を持っておらず、海外法人のみ
・日本法人のみで、海外法人が無い
という企業の場合は影響度が大きい可能性があるので注意して下さい。
それでも海外エンジニアの方が単価が安い
仮に、現在の円安の影響を受けていたとしても、オフショア開発には魅力があります。
それは、日本との物価の差です。
生活費が安い国なら、必然的に給料が安くなる。
オフショア開発をする上で、必要な作業は開発だけではありません。
事務処理も必要ですし、オフィスも必要です。
そのため、人件費や物価が安い国で開発をすること自体に、大きなメリットが有るのです。
例えば、現在のレートでいくと、一般的には、下記の様な単価になることが多いです。
・初級レベルのSEやプログラマー:月給 44,000~88,000円
・中級レベルのSEやプログラマー:月給 88,000~165,000円
・上級レベルのSEやプログラマー:月給 165,000~330,000円以上
もちろん、必要な技術やスキルなどによっても値段は前後します。
しかし、日本のプログラミング未経験で入社した新人でさえ、日本の最低賃金を考えると、16万円程度はもらっています。
よく見るフリーランスのプログラマー募集の広告でも、80~100万円程度の提示も多いです。
これらを考えると、オフショア開発というのは、非常に安価で開発できることがわかるでしょう。
オフショア開発を依頼する事のリスク
さて、オフショア開発と円安にそれほど大きな問題が無いとおわかり頂けたでしょうか。
では、ここからは、「円安以外のオフショア開発のリスク」について見ていきましょう。
コミュニケーション
オフショア開発で最も大きな問題点とされるのが、コミュニケーションです。
海外エンジニアが、日本語を話せる訳ではありません。
プログラミングという世界共通の言語を利用するだけで開発は可能です。
なので、このコミュニケーションの部分で
「思った仕様になっていない」
「依頼内容を把握していない」
というような状況が起こる可能性はあります。
そのための対策としては、専任のブリッジSE(日本と海外のプロジェクトチーム間のコミュニケーションや調整を行うためのSE)を置くなどが考えられます。
品質の問題(特に日本語ドキュメント)
次に、品質の問題。
システム開発は、製品が出来て終了ではありません。
その後、運用していく中で、問題が出れば修正が必要です。
その際に、日本のエンジニアに修正を依頼すると、コメントが全て英語で書かれていると、修正に時間がかかるケースがあります。
特に、日本語の仕様書などのドキュメント類を海外エンジニアが作るのは困難で、日本側のエンジニアやプロジェクトマネージャーが作成することが一般的です。
それ以外にも、先程のコミュニケーションの問題と関連して、品質に影響を与える可能性があります。
そのため、単に開発をするだけではなく、長期的に付き合いが可能な信頼できる企業に依頼する必要があります。
知的財産の問題
次に、知的財産の問題。
一般的に次の様な問題点が指摘されます。
【特許や著作権の侵害】
オフショア側の開発チームが、日本企業の特許や著作権を侵害することがあるため、知的財産の保護が必要です。
【機密情報の漏洩】
オフショア側の開発チームが、日本企業の機密情報を漏洩することがあるため、情報管理が必要です。
【訴訟リスク】
オフショア側の開発チームが、日本企業の知的財産権を侵害することで、訴訟リスクが生じることがあります。
これらの対策としては、契約書の明文化や、特許申請、マネージメント方法の工夫が必要になります。
オフショア開発の実績が少ない企業の場合には、こういったトラブルの危険性もあるので、注意しておきましょう。
オフショア開発のメリット
ここまでは、リスク面などを見てきましたが、それでも多くの企業にとってはメリットが大きいのがオフショア開発です。
冒頭でもお話しましたが、18億ドル以上の市場規模と予測される程のお金が動いています。
それだけ多くの企業が利用しているのです。
次に、オフショア開発のメリットについても触れておきましょう。
単価が安い
オフショア開発の最も大きなメリットが、金銭的なメリットでしょう。
先程も触れましたが、新人のエンジニアだと5万円前後で雇えるのがベトナム。
日本の最低賃金を考えると破格の給料ではないでしょうか。
開発の現場において、プロジェクトの全員が高いスキルを持っている必要性は、実は低いです。
テストなどの「何をするかが明確で、誰でも出来る作業」は、単価の低いエンジニアを活用しても、品質への影響は小さいです。
規模が大きなプロジェクトになれば、参入するエンジニアの数や、工数も大きくなるので、この人件費の差が顕著に出てきます。
人材確保が出来る
次に、人材確保の面でも、大きなメリットがあります。
日本のIT人材は、経済産業省のデータによれば、2016年の段階で2万人以上の不足があります。
更に、日本経済新聞社によれば、2018年には、17万人ほどの人数が不足しているとされています。
こんなにも日本のIT人材は不足しており、優秀な人材となれば、更に不足しています。
この人材不足を補い、他国のエンジニアによって補充することが出来るオフショア開発には、非常に大きなメリットがあると言えます。
技術力が高い人材も多い
海外のエンジニアは、英語をマスターしている人が多いです。
そして、IT業界においても「日本語で得られる情報量」と「英語で得られる情報量」では、英語で得られる情報量の方が多いです。
また、多くのプログラミング言語は、海外で作られており、公式ドキュメントもそれに伴って英語のものが多いです。
結果として、海外エンジニアの方が
「より正確な情報を、より正確な情報源から、素早く入手できる」
という環境にあります。
また、プログラミングが日本で2020年から義務教育化されたのに対して、シンガポールでは2014年からスタートしています。
シンガポールでは小学校で教育がスタートしており、仮に2014年に1年間プログラミングを履修して卒業した子は、現在20歳を超えています。
それを考えると、若者が学校でプログラミングを経験している東南アジア各国の方が、プログラミングを学ぶ上では、有利な環境であったといえます。
ちなみに東南アジア各国でプログラミングが学校教育に組み込まれたのは、下記のようになっています。
シンガポール:2014年より、小学校からプログラミング言語の教育を開始。
マレーシア:2017年より、小学校からプログラミング言語の教育を開始。
インドネシア:2017年より、中学校からプログラミング言語の教育を開始。
フィリピン:2018年より、小学校からプログラミング言語の教育を開始。
タイ:2018年より、中学校からプログラミング言語の教育を開始。
ベトナム:2019年より、小学校からプログラミング言語の教育を開始。
それぞれの国での教育方針や内容はバラバラでしょう。
しかし、日本でも
「プログラムが出来ない既存の学校教師」
が授業をやっているところもあるなど、問題点が多いです。
そうなると、今後開発の現場では更に大きな格差が生まれる危険性もあるでしょう。
オフショア開発ならAMELAに
今回は、オフショア開発を検討されている方向けに、円安の影響についてお話してきました。
大規模な開発ほど、大きなメリットのあるオフショア開発ですが、依頼する企業によって、その品質には大きな差が出ます。
また、得意分野も企業によって異なるため、依頼したいシステムに併せて企業を選ぶ必要があります。
AMELAは、ユーザー向けのサービスから、業務システムまで幅広い開発実績があり、オフショアとしての実績も非常に多いです。
是非、一度ご相談いただければと思います。