bashとは何か?シェルの違いやシェルの種類、使い方について解説

コンピュータは様々なデータ処理を人よりも早く、そして正確に実行してくれます。

ただし、その処理をおこなうためには、私たち人間がコンピュータに対して正しく命令を伝えなければなりません。

しかし、コンピュータは人間の言葉を理解することはできません。

そこで活用されるのがプログラミング言語です。

人間の言葉をプログラミング言語として記述することで、コンピュータはその命令内容を理解し、処理をおこなうことができます。

つまり、プログラミング言語は人とコンピュータを繋ぐための翻訳機としての意味をなしています。

この翻訳機の種類の一つが今回紹介するbashです。

この記事ではbashについてを取り上げ、bashの特徴や、bashで何ができるのかについて解説をしていきたいと思います。

bashとは

まず始めに、そもそもbashとは何かについて解説をします。

bashとは『Bourne again shell』の略称で、Unix系のシステムで用いられるシェルのことをいいます。

Unix系列とはいっても、Linuxなどに留まらず、Macや Windowsにも幅広く普及しているシェルとなっています。

シェルとは

bashについて解説をしたところで、次にシェルとは何かを説明したいと思います。

シェルとは、OSの操作をおこなうためのプログラムのことをいいます。

シェルを使って処理を実行する際には、シェルスクリプトという指示命令プログラムを記述したコードを作成します。

シェルスクリプトに記述されたプログラムは、その内容をOSの中核部分である『カーネル』と呼ばれるソフトウェアに伝える役割を果たしています。

シェルの役割

シェルはOSの操作をするプログラムであると述べましたが、その役割について詳細を解説します。

OSはコンピュータの頭脳であり、コンピュータを操作する上で様々な指示を出すソフトウェアです。

そのOSに対し、人間からの指示を伝える役割を果たしてくれるのがシェルです。

人間が記述したプログラムを、シェルを介することでOSに伝わり、OSの中核であるカーネルがそのプログラムを受け取ります。

プログラムを受け取ったカーネルは、シェルに記述された指示を実行するために、コンピュータへ処理命令を促したり、その処理結果をシェルへ返したりといった動作をおこないます。

カーネルから返ってきた処理結果を受け取ったシェルは、その結果を今度は人間に返します。

つまり、シェルは人とコンピュータのインターフェースとしての重要な役割を果たしてくれています。

シェルの種類

次はシェルの種類について解説をします。

最もスタンダードで使用頻度が高いシェルはbashになりますが、シェルにはbash以外にも様々な種類があります。

どのような種類があるのか、ここではシェルの種類についてを紹介していきます。

シェルは大別すると『Bourneシェル系』と『Cシェル系』の2つのグループに分けることができます。

Bourneシェル系はbashの他、shやksh、zshといわれるシェルが存在します。

一方、Cシェル系にはcshやtcshといわれるシェルがあります。

shはUnix系で使用されているシェルの中で最も古くから使われているもので、他シェルの原型としての位置付けにあたります。

kshはそのshを改良したシェルで、コマンドの履歴の保持や、コマンド名の自動補完などをしてくれるという利点があります。

cshはC shellの略称で、C言語に構文が似ているという特徴があります。

C言語を記述できる方にとってはBourneシェル系よりも馴染みやすいシェルだといえます。

tcshはそのcshを改良したシェルです。

cshの特徴を踏襲しつつ、過去データ履歴の保持や管理機能などに優れているといった利点があります。

zshについての詳細は後述しますが、Bourneシェル系とCシェル系の利点を兼ね備えたシェルとなっており、ここで紹介したシェルの中でも機能面に優れているといわれています。

bashの特徴について

シェルの種類について解説をしたところで、ここではbashに着目し、bashの特徴やzshとの違いについてなどを解説したいと思います。

bashの特徴

1つ目の特徴は対応しているOSが多いということです。

冒頭にも紹介しましたが、bashはLinuxなどに留まらず、Macや Windowsでも挙動可能です。

OSの違いにより操作する上での細かな注意点はありますが、基本的な操作性は同じです。

そのため、OSが異なっていても違和感なく使うことができます。

2つ目の特徴はコンパイルが不要だということです。

bashのコマンドを記述するにはテキストエディタを用います。

そのため、コンパイルをせずとも作成が可能です。

また、テキストエディタを使用することから、コメントを有効活用することもできます。

適宜コメントを挿入することで、記述内容を整理することができるだけでなく、複数人で作成を進める際や、業務引継ぎなどをおこなう際にも便利です。

業務で起こりがちな属人化の回避にも繋がります。

3つ目の特徴はコマンドがわかりやすく、取り扱いやすいということです。

上述したように、コマンド入力にあたりコンパイルは不要のため、作成の難易度が低いという利点があります。

コマンド入力が不得手な人であっても、馴染みやすいという利点があります。

zshとの違いについて

bashを更に理解していただくために、ここではzshについても触れておきます。

zshはBourneシェル系とCシェル系の利点を兼ね備えたシェルだと上述しました。

実際のところ、zshはbashの上位互換という位置付けであり、bashでできる大半のことはzshでも実現可能です。

bashはシェルとしての基本的な機能を網羅しているため、カスタマイズをすることはあまりなく、標準仕様で利用するケースが多いです。

それに対しzshは、bashが保持している機能だけでなく、強力な拡張機能を備えています。

そのため、zshは様々なプラグインが可能であり、bashとは異なりカスタマイズして利用するケースが多いです。

プラグインできる機能の一例としては、『外部ツールの連携』『検索機能』『補完機能』などが挙げられます。

bashでできること

ここまでbashの仕組みや特徴などについて解説をしてきました。

では、bashを使うことで業務にどのような変化をもたらすことができるのかを解説します。

bashでできることの1つ目は、大規模データの処理です。

例えば何かの業務において、大量のフォルダやファイルなどを作成するケースがあったとします。

この作業を人の手でこなす場合、相当な時間を要してしまうだけでなく、作業ミスが発生するというリスクが考えられます。

このような業務にはbashを取り入れることによる期待効果があります。

シェルスクリプトを使って複雑な処理や繰り返しが必要な処理をあらかじめ設定しておくことで、作業を自動化することができます。

bashでできることの2つ目は、ルーティン業務の仕組み化です。

例えばPCログイン時の初期設定や、夜間のバックアップ業務など、日々ルーティンでおこなう業務がある場合はbashを活用することで手間や負担を減らすことができます。

この場合においてもシェルスクリプトを設定することで、指定の曜日、指定の時間帯に処理を実行することが可能です。

上述したファイル作成などと同様、人の手を介さずに処理をおこなうことで、ヒューマンエラーの防止に繋がります。

以上のように、bashには普段の業務を劇的に変化させるだけのポテンシャルがあります。

日々の業務を自動化、仕組み化することができれば、空いたリソースを別の業務に振り分けることができます。

そうすることで生産性の向上に繋がり、企業においての人的資本価値の向上、人材育成をすることができます。

bashの基本操作について

bashの特性について解説をしたところで、bashを実際に作成するにあたっての基本的な操作方法について説明をしたいと思います。

bashの『.sh』の拡張子を用いてテキストエディタなどにプログラムを記述します。

bashでコマンドを記述する際には、まず最初に
『#!/usr/bin/bash』
と入力をします。

これはbashを用いたシェルスクリプトであることをコンピュータへ宣言するためのコマンドです。

このコマンドを入力できていない場合はbashは動作しませんので、入力必須の内容となります。

bashで入力した内容を出力したい場合は『echo』というコマンドを記述します。

例えば、I am Japaneseというメッセージを出力したい場合は以下のように記述します。

#!/usr/bin/bash
echo “I am Japanese”
exit 0

また、bashの特徴を解説した際にコメントを記述することができると解説しました。

コメントを残す際には、コメントの冒頭に『#』と入力をする必要があります。

例えば、上の記述にコメントを追加する場合は以下のように記述します。

#!/usr/bin/bash
#私は日本人です、と出力する
echo “I am Japanese”
exit 0

次は変数についてです。

bashを作成する際には変数を用いることができます。

変数を使うには大文字や小文字を問わず、半角英数字の使用に加え、アンダーバーの利用も可能です。

一方で、変数に日本語を用いることはできないという決まりがあります。

他にも、下記のようなルールがあります。

1.値の代入には『=』を使う
2.値の設定時は変数名の先頭に『$』を付けない ($ は参照のときだけ)
3.『=』の前後にスペースを入れてはいけない
4.型は存在しない
5.変数名の大文字・小文字は区別される (VAR と var は別物)

他のプログラミング言語同様に、様々な制約はあるものの、前述したように、比較的簡単に開発が可能なため、是非検討してみてください。

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今回はbashについてみてきました。

batファイルを利用する企業は多いですが、bashを有効活用している企業は少数派ではないでしょうか。

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