Web EDIとは?導入のメリット・デメリットと合わせて、分かりやすく解説

ペーパーレス化や新しい働き方などへの対応が進む中、注目をあつめているのが
「Web EDI」
というシステムです。

電子商取引のためのシステムで、インターネットが発達したことによって、多くの企業で導入が進んでいます。

まだまだ普及の途中ですので、Web EDIがどのようなものなのか、いまいち把握できていない人も多いのではないでしょうか。

そして、これまでもEDIという技術はありましたが、それとWeb EDIは何が違うのでしょうか。

この記事では、Web EDIがどのような技術なのか、これまでのEDIと何が違うのか、Web EDIを導入することのメリット・デメリットについて解説していきます。

これからの時代のビジネスに必須なWeb EDIについて、しっかりと把握しておきましょう。

Web EDIとは

まずは、Web EDIがどのようなツールなのかについて解説します。

そして、なぜこのような技術が誕生したのか、その背景についても見ていきましょう。

そもそも「EDI」とは?という疑問にも答えていきます。

Webを介した電子商取引の手法

Web EDIとは、ひとことで言うと
「インターネットを介した電子商取引の手法」
のことです。

BtoB、企業同士の取引において採用されている方式で、受注や発注などに関する情報を、インターネットを用いてやりとりするものを指します。

特に、サーバ上に構築されたシステムを、ウェブブラウザを用いて操作するものをWeb EDIと呼ぶことが多いです。

ペーパーレス化や新しい働き方、さらには、後述するISDNデータ通信の終了などに対応するために、導入する企業が増えています。

Web EDIの特徴

Web EDIはインターネットとウェブブラウザを用いて行うため、低コストでの導入と運用が可能で、手軽に操作することができるという利点があります。

こうした利点から、Web EDIは、主に業務効率の向上を目的として導入されます。

導入が手軽であるという一方、この技術においては規格が統一されておらず、利用する事業者ごとにツールの使い方が異なることや、ウェブブラウザを利用するという特徴ゆえに、ツールによる自動化が難しいといったデメリットもあります。

インターネット EDIについて

Web EDIと混同される用語として
「インターネット EDI」
というものがあります。

ですが、これはインターネットに対応した通信プロトコル(ebXML MSやEDIINT AS2など)を採用した取引方法を指すため、Web EDIとは異なるものです。

そもそも「EDI」とは

そもそも、EDIとはなんでしょうか。

EDI(Electronic Data Interchange)を日本語に翻訳すると「電子データ交換」となります。

これは、企業間の商取引を、規格を統一したうえで電子化する仕組みを指します。

この方式についての国際標準としてはUN/EDIFACTやebXMLが、日本国内の標準としてはCII標準などが存在しますが、企業ごとに用意した標準がバラバラに採用されているというのが現状です。

EDIとWeb EDIの違いは、どのような通信手段を採用するかというところにあります。

前者は電話回線やISDN回線を、後者はその名の通りインターネットを通信経路に採用するという違いです。

EDIは、VPNの普及によってウェブへ移行したのです。

現在では、2024年にISDNのデータ通信が終了することもあり、インターネットを利用する方式が企業間の契約で主要なやりかたとなっています。

なぜWeb EDIが誕生したのか

では、Web EDIはどのような理由・目的で誕生したのでしょうか。

これまでの方式では、オンプレミス型のため、企業による初期投資が必要があり、利用するにはそれなりのコストがかかるという課題がありました。

しかも、取引をするすべての企業がそれだけのコストをかけられるわけではないため、EDIの導入は現在ほど進んでいませんでした。

そこで、インターネットとPCがあれば利用できるWeb EDIなら、これまではコストをかけることが難しかった中小企業でも手軽に導入できるため、この方式の普及が進んでいるのです。

また、さまざまな取引先と仕事をする企業でも、あまりコストをかけることなく、商取引の電子化を進めることが可能になりました。

このような理由で、Web EDIが広く普及するようになりました。

Web EDIの種類

Web EDIには、「伝票表示型(ブラウザ型)」と「ファイル転送型」の2種類があります。

それぞれの形式について解説するとともに、現在主流になりつつある、クラウドを用いたEDIについても紹介します。

伝票表示型(ブラウザ型)とファイル転送型

まず「伝票表示型(ブラウザ型)」はその名の通り、ブラウザ上で伝票を表示する方式です。

その企業において商取引に使われている伝票の形式をウィンドウに表示して、必要な情報を入力していきます。

そして、「ファイル転送型」あるいは「ファイル交換型」は、商取引に必要な情報を、発注者がサーバーにアップロードして、受注者がそれを受け取るという形式を指します。

現在はクラウド型が主流

後に「Web EDIのデメリット」のトピックで解説しますが、Web EDIにはさまざまな課題があります。

それらを解消するために、現在はクラウドを用いたEDIが主流になりつつあります。

やりとりから情報の交換までを、クラウドを介して行うタイプのEDIで、Web EDI(オンプレミス型)よりも導入コストが低く、メンテナンスも必要ないという利点があり、現在、多くのクラウド型サービスが登場しています。

また、これまでのEDI、つまり電話回線などを利用していた方式については、ISDNのデータ通信終了をうけて、新しい方式へ移行する必要が発生しています。

そこで、導入が簡単なクラウド型のサービスを選ぶ企業が増えています。

Web EDIのメリット

ここからは、Web EDIの導入・運用について、使うことで得られる利益と、想定される不利益について解説していきます。

まずはWeb EDIのメリットから見ていきましょう。

導入・運用のコストが低い

Web EDIのいちばんの利点は、なんといっても、低コストでの導入・運用が可能であるという点です。

インターネットとPCがあれば導入でき、また、クラウド型のEDIサービスを採用すれば、自社でシステムを構築する必要も、メンテナンスなどに人員をさく必要もありません。

この、導入・運用の手軽さが、従来のEDIにはなかった、Web EDIの利点です

業務の効率化

これまでの方式では電話回線を使うため、データの送受信に時間がかかり、大容量のデータのやりとりは難しいという課題がありました。

Web EDIは、インターネットを介してデータの送受信をするため、これまでのEDIよりも各段に高速で商取引に関する業務を行うことができるようになりました。

さらに、システムによって一連の業務を一元化することで、管理コストなども削減することが可能です。

このように、Web EDIは、業務効率の向上につながるシステムなのです。

企業のペーパーレス化が進む

現在は、業務の効率化やSDGsの観点などから、企業における業務のペーパーレス化が課題となっています。

Web EDIを用いることで、見積や注文、請求に関する書類を電子化することができます。

これらの書類のペーパーレス化は、スムーズな取引を可能にし、業務効率を向上することができるだけでなく、紛失などのリスクもなくすという利点もあります。

まだ、電子化・ペーパーレス化には様々なメリットがあります。

例えば、過去の注文書を探す際に、電子データであれば一括で検索することが可能です。

過去の取引実績や優良顧客の選別なども、非常に簡単に行うことが出来ます。

また、数年分を保管する事を考えた時に、紙ベースであれば倉庫代が必要になるなど、余計な費用がかかるケースもあります。

Web EDIのデメリット

次に、Web EDIのデメリット、この方式を採用することで発生する課題を見ていきましょう。

完全に電子化できない

Web EDIを導入しても、電子化できないシーンは残ってしまいます。

特に、取引に物流業界の事業者が関わる場合、紙の伝票や納品書が必要になることはまだまだあります。

2023年からのインボイス制度の施行など、制度や慣例の変化によってこうしたケースは減少していくと予測されますが、それでも、紙の書類は残るでしょう。

この方式だけでは、すべてのプロセスを電子化することはできないということに留意しましょう。

規格が標準化されていない

Web EDIは、システムの規格が統一されていません。

これは従来のEDIから続く問題で、特に伝票表示型(ブラウザ型)の場合、企業によって導入しているサービスが異なると、それに合わせるために、複数のサービスを同時に利用することになってしまいます。

クラウド型への移行が進み、こうしたケースは少しずつ解消されていますが、こうしたケースはまだまだ多く、結果としてさらにコストがかかることになります。

仕様の統一は、依然としてこの方式が抱える大きな課題となっています。

かえって業務に負担がかかるケースも

Web EDIは、規格が統一されていないことや、完全に自動化できず、人間が操作しなければならないことなど、業務の負担になる要因を持っています。

標準化されていないため、複数のツールを同時に操作しなければならない場面に出くわすことになります。

案件が増えれば、それだけ業務量が増えるため、ミスに繋がってしまいます。

さらに、ツールの操作にはノウハウが必要なものが多いため、人員の配置などにも気をつかう必要があります。

このようにWeb EDIは、うまく使わないとかえって業務の負担になってしまうケースがあるのです。

システム化のご相談はAMELAに

今回は、Web EDIについて見てきました。

まだ問題点は色々あるものの、実際に導入して業務の効率化やコストカットを実現した企業も多いです。

Web EDIに限らず、ペーパーレス化できる部分はしていくことが重要です。

ただし、デメリットのところでも触れたように、むやみにシステム化してしまうと、

「紙ベースとシステムが並行稼働し、結果として業務量が増える」

というケースは多々あります。

そのため、適切なタイミングでシステム導入をし、適切なタイミングで稼働を切り替える必要性があります。

システム導入でお困りの企業様は、是非AMELAにご相談ください。

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