基幹システムとは?|メリット・ERPとの違いについて徹底解説
現在、多くの企業でITによる業務改革が行われています。
労働人口が減少しつつあり、且つ景気が良くない日本では、今の人員で出来るだけ多くの業務をこなすことが求められます。
そんな中で、昔から企業に導入されているシステムの中に
「基幹システム」
と呼ばれるものがあります。
最近の主流はマーケティングなどのシステムですが、これらと基幹システムとは何が違うのか。
今回は基幹システムについてお話していきたいと思います。
基幹システムとは
基幹システムは、多くの企業で導入され企業経営を支えています。
基幹システムはどのようなシステムなのかについて説明をします。
基幹業務を管理するシステム
基幹システムは、その名のとおり基幹業務を管理するシステムです。
基幹業務は、企業経営のための主要業務のことです。
そもそも基幹とは、主要部分として物事を成り立たせる一番のおおもとのこと。
なので基幹業務は、それがなければ企業経営は成り立たない業務ということになります。
デジタル庁も基幹システム環境整備を推進している
デジタル庁は、
「デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会 ~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」
という基本方針のもとに発足しています。
そして、
「デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を大胆に推進し、デジタル時代の官民のインフラを今後5年で一気呵成に作り上げることを目指します。」
と目標を立てています。
そのデジタル庁の推進する政策のひとつに、「地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化」があります。
デジタル庁が、基幹システムの環境を整備しようとしていることからも、基幹システムが現在社会の中でいかに重要なものなのかが分かります。
基幹システムの種類
基幹業務には、
・販売管理
・生産管理
・在庫管理
・顧客管理
・給与管理
・人事管理
・財務会計
などの業務があります。
冒頭でお話したマーケティングに関する業務は、現状一般的には基幹システムに分類されていません。
基幹システムは、それぞれの基幹業務を管理するシステムとなります。
基幹業務を管理するシステムなので、停止してしまうと企業経営が停止してしまうためセキュリティやサーバー環境などシステムの運用には細心の注意が必要なシステムです。
基幹システムのメリット
基幹システムを導入するメリットについて説明します。
業務の効率化
基幹システムの導入で、作業速度の向上、人的ミスの防止を図ることができます。
それにより、業務を効率化できることが基幹システムを導入する大きなメリットです。
例えば、販売をした際は、
・在庫への計上
・売掛金の計上
・売上への計上
などの業務が発生します。
これらの業務をひとつひとつ手作業で管理すると、煩雑な作業により時間がかかりますし、人的ミスも発生します。
これを販売管理システムによる管理にすると、作業効率が向上し、業務にあてる人的資源を削減することもできます。
他にも、商品の返品が発生した場合。
本来であれば、システム上の在庫を増やし、売上の金額から返金金額を差し引く必要がありますよね。
そうなった時に、
・購入は消費税増税前
・返金は消費税増税後
となったとき。
きちんと当時の販売時期の消費税をもとに返金を行ったり、システム上の数値を変更する必要があります。
このような、少し難しい業務も、きちんと当時のデータを保管することで、即座に対応することが可能になります。
(もしも基幹システムを導入していなかったら、何時間調査が必要になるかわかりません)
業務の標準化
業務を属人的に行うと、作業内容のブラックボックス化や、出力されるデータのばらつきなどの問題が生じます。
基幹システムの導入による業務の標準化により、これらの問題を防ぐことができます。
例えば、
「〇〇さんが今日は休んでいるから業務が進まない」
という事をなくし、仮にアルバイトだけでも業務を回せるようにするには、こういったシステムの導入により
「誰でもマニュアルを見ればできるような業務」
にしていくことが重要になります。
基幹システムの標準化は、デジタル庁が推進している政策にも含まれており企業経営にとても重要なことです。
基幹システムと情報系システムとの違い
企業経営を支援するシステムには基幹システムのほかに、情報系システムがあります。
情報系システムとはどのようなものなのか、基幹システムとは何が違うのかについて説明します。
情報系システムは業務効率化のために使われる
情報系システムは、業務を効率化させるためのシステムです。
基幹システムとは異なり、企業経営の主要業務を管理するためのシステムではありません。
情報系システムには、
・スケジュール管理システム
・メールシステム
・グループウェア
・Web会議システム
などがあります。
停止した場合に業務を進められるかどうか
情報系システムの基幹システムとの大きな違いは、停止した場合に業務継続可能かどうかです。
例えば、基幹システムである給与管理システムが停止した場合、従業員の給与を算出、支給ができずに業務が停止します。
しかし、情報系システムのスケジュール管理システムが停止しても一時的に手帳などで管理するなど、業務停止の必要はありません。
ERPはシステムを統合管理する概念
基幹システムを導入する場合、単品で導入するのではなくERPという形で導入する方法が増えています。
ERPについての説明をします。
ERPの定義
ERPとは、Enterprise Resource Planningの略で、企業資源計画という意味です。
ERPはMRPという手法から発展した概念です。
MRPはMaterial Requirement Planningの略で、資材所要量計画と呼ばれ、資材・部品の調達から、効率的に在庫管理・生産管理をするための計画を行うことです。
ERPではMRPの考え方を発展させ、企業内にある資源を資材・部品だけではなくヒト・カネ・モノに広げています。
さらに、在庫管理・生産管理だけではなく、全ての経営資源を最適化することで経営を効率化するという概念です。
そして、ERPは概念であると同時にそれを具体化したシステムを同時に意味しています。
システムとしてのERPは、1973年にドイツで開発されたR/1というシステムです。
R/1は、それまで分散していた基幹システムを統一してひとつのシステムにする形で作られました。
現在でもERPは、基幹システムを統合したシステムとして広く認知されています。
ERPは情報系システムも統合する
ERPは基幹システムだけでなく、情報系システムも統合します。
ERPの目的は、企業内にある経営資源を最適化することです。
そのため、情報系システムも統合することで、より効率的に業務を行えるよう設計されています。
ERPのメリット
ERPを導入する企業は年々増加しており、その傾向は今後も継続すると予想されています。
それは、ERPには多くのメリットがあるからです。
ERPのメリットについて説明します。
情報の一元管理
ERPにより、各部門に散在していた情報を横断的に扱えるようになるため、情報を一元的に管理することができます。
情報の一元管理により
・作業効率の向上
・人件費の削減
・部署を横断した円滑なコミュニケーション
などの効果があります。
業務の最適化
情報の一元管理により、企業内の情報をあらゆる部署の活用が活性化されます。
それにより
・業務フローの短縮
・企業内資源の有効活用
などがしやすくなり、業務が最適化されます。
業務の最適化は、
・コスト削減
・生産性向上
・社員満足度の向上
・属人的なスキルの標準化
など、多くの利益を企業にもたらします
情報の可視化
企業経営を継続していると、あらゆる情報が企業内に蓄積します。
商品に関する情報、顧客に関する情報、社員に関する情報など
これらの情報は企業にとっては、経営戦略や商品開発などのために重要なものです。
しかし、蓄積し続ける情報を管理するのは煩雑な作業や多くの時間を要します。
基幹システムを横断的に管理できるERPでは、情報の可視化が可能です。
情報の可視化により
・意思決定の質・スピードを向上
・顧客ニーズの把握
・需要予測
などができます。
ERPのデメリット
ERPは企業に多くのメリットをもたらします。
しかし、ERP導入には2つのデメリットがあります。
ERP導入のデメリットについて解説します。
社員教育が必要になる
ERPでは、企業内のさまざまな情報へのアクセスが可能になります。
そのため、その他のシステムに比べて強固な情報セキュリティが必要になります。
ERPを使用する社員には
・許可されていないデータを持ち込まない
・マルウェアを含む情報をダウンロードしない
など、情報セキュリティに関しての教育を再度徹底する必要があります。
導入コストが高い
規模や統合するシステムの数によっても変わりますが、ERPの導入コストは決して安価なものではありません。
大きなものになれば数千万円を超える場合もあります。
クラウドERP・オンプレミスERP
その他のサービスや機能などと同様に、ERPにもクラウドサービスがあります。
クラウドERPとオンプレミスERPそれぞれのメリットについて説明します。
クラウドERPのメリット
クラウドERPのメリットは、大きく4つあります。
運用コストの削減
ERPを自社で運用するためには、保守費用や専門的な知識を持つ職員など一定のコストが必要です。
クラウドERPでは、運用をクラウド事業者が行うため、運用コストは低く抑えられます。
導入から使用開始までの時間が短い
オンプレミスのERPでは、導入を決定してから建物内の調査や設置に時間を要するため、運用開始までに時間がかかります。
クラウドERPでは、導入を決定するとすぐに使用開始ができます。
実際には、企業内での周知や教育に時間を要しますが、それでもオンプレミスと比較すると時間が短いです。
インターネットに接続できる環境であれば利用できる
クラウドERPは、インターネットを介して利用するサービスであるため、さまざまな働き方に対応できます。
災害時にデータが失われる可能性が低い
クラウドERP事業者は、サーバを距離の離れたデータセンターに設置しバックアップをすることができます。
そのため、オンプレミスの場合に比べ、大きな災害でデータが失われる可能性は低いです。
オンプレミスERPのメリット
オンプレミスERPのメリットは2つあります。
自社に合わせたカスタマイズができる
クラウドERPでは、クラウド事業者の提供するサービスの範囲内でERPを利用することになります。
そのため、自社で使用している特有なシステムやソフトウェアがうまく使用できない場合があります。
オンプレミスERPでは、自社の条件に合わせてシステムを構築するため、特有なシステムなどがあってもそれに合わせてカスタマイズができます。
セキュリティを高く保つことができる
オンプレミスERPは、サーバが自社の建物内にあるため情報が物理的に外部に流出することを防ぐことができます。
また、インターネットに接続しなくても運用ができるので、マルウェア感染などのセキュリティリスクを低減することができます。
システムの導入はAMELAに相談を
今回は、多くの企業に導入されている基幹システムについて、改めてまとめてきました。
ある程度以上の従業員がいる企業では、当たり前に使われる基幹システムですが、
「今の段階でシステムを導入すると、費用対効果が良いのだろうか」
と感じる企業様も多いのではないでしょうか。
確かに業務は効率化できる。
しかも、ミスなく素早く。
しかし、基幹システムの導入には、それなりに大きな金銭的投資が必要になります。
また、それらのシステムを利用する人の教育や、使い方がわからない時に問い合わせる先の整備やマニュアルの作成など。
多くの時間とお金が必要になりますので、導入のタイミングは慎重に決めるべきかと思います。
もしも現状システムの導入を検討されていたり、迷っている部分がある企業様は、是非AMELAにご相談下さい。