OMOとO2Oはどう違う?そもそも何のこと?実例と合わせて分かりやすく解説します
オンラインマーケティングの手法として有名なOMOとO2O。
最近になってOMOの注目が増し、その名前をよく見かけるようになりました。
しかし、OMOやO2Oが具体的にどのようなものなのか、あやふやな人は多いのではないでしょうか。
加えて、OMOとO2Oがどう違うのかという疑問を持っている人もいるでしょう。
この記事では、注目のマーケティング手法であるOMO、O2Oそれぞれがどのようなものなのか、実際の採用例と合わせて解説します。
そして、OMOとO2Oを比較して、それぞれのメリット・デメリットまで見ていきましょう。
OMOとは
まず、OMOはどのようなものなのでしょうか。
登場した背景と、OMOの実例と合わせて解説します。
OMO(Online Merges with Offline)
OMOとは、オンラインとオフラインを区別しないマーケティング手法です。
「Online Merges with Offline」を直訳すると「オンラインとオフラインの融合」となります。
つまり、ECサイトと実店舗を統合することによって、顧客の満足度を上げ、購買意欲の促進を狙うものです。
例えば、実店舗での購入時に電子マネーで決済した場合、その購入履歴からおすすめ情報を作成し、ECサイトに反映するというのがOMOによるマーケティングの一例です。
このように、顧客の購買情報をオンライン・オフライン問わず収集することによって、まだ見えていなかったニーズを発見することが、OMOの大きな目的です。
背景
OMOという手法は、元Google ChinaのCEOの李開復によって、2017年に提唱されました。
近年、スマートフォンの普及やECサイトの拡大によって、オンラインとオフラインの境目が薄れ、購買環境が大きく変化しました。
さらに、消費者にとって、単純に「物を買う」以外の、「それを手に入れた後の自分」などの物語的な付加価値、さらには購入後のアフターサービスなどが重視されるようになりました。
こうした変化に対応するための新たなマーケティング手法として、OMOが考案されました。
ここ数年では、新型コロナウイルスの感染拡大によって、様々な分野にオンライン化の波が押し寄せたことで、OMOの重要度はさらに増しています。
特に古い企業ほど、オンラインでのビジネスとオフラインでのビジネスを分けて考える傾向があります。
「そもそもオンラインでのビジネスは難しそうでやっていない」
という企業も多く、オンラインを取り入れている企業でも、あくまでメインがオフラインで、オンラインはそのサポートの役目にとどまる・・・といった企業を多く見かけます。
こういった企業にとって、OMOを取り入れることは、非常に重要でしょう。
実例
日本でのOMOの実例として、UCC上島珈琲のLINEミニアプリ「COFFEE STYLE UCC」があります。
LINEミニアプリとは、メッセージアプリであるLINE内で動作するアプリケーションのことです。
このアプリでは、質問に答えることで自分好みのコーヒーを選んでもらえる「味覚診断」を初め、オンラインストアで購入した商品の感想を登録することで、おすすめ商品の案内をするというサービスを行っています。
アプリケーションを用いて、実店舗とECサイトを区別せず、顧客の商品選択をサポートするという、OMOの典型的な実例です。
O2Oとは
次に、OMOと合わせて挙げられることの多いO2Oについて解説します。
こちらも、登場背景、そして実例を合わせて紹介します。
O2O(Online to Offline)
O2Oとは、WebサイトやSNSなどのオンラインから実店舗へ顧客を誘導するマーケティング手法です。
自社のWebサイト上で、実店舗で使用できるクーポンを発行したり、SNSに宣伝用のアカウントを作成して、認知度を高めたりする取り組みなどがO2Oにあたります。
スマートフォンのGPS機能を使ったチェックポイントクーポンなどもO2Oによるマーケティングです。
このように、オンライン上での取り組みによって、実店舗の利益を上げることが、O2Oの目的です。
背景
スマートフォンとSNSの普及によって、たとえ実店舗であってもオンラインは無視できないほど強い存在となりました。
顧客は、WebサイトやSNSの口コミなどの、オンライン上の情報をチェックして実際の購買を行います。
その中で、オンラインでのマーケティングに力を入れるO2Oが重視されるようになりました。
O2Oはもともと、消費者が実店舗で商品を見て、他企業のオンラインサイトで購入することを防止するために考案されました。
このときの取り組みをもとに、オンラインからオフラインへ顧客を誘導する施策を実施するという流れになりました。
実例
O2Oは広く浸透した手法で、私たちもあまり意識せずに利用しているため、目だった実例というのはなく、もはや「あたりまえ」になっていると言えます。
O2Oの実例としては、ジュンク堂(丸善)による「ジュンク堂ネットストア」が挙げられます。
「ジュンク堂ネットストア」では、オンライン上で実店舗の在庫情報を確認することができるほか、ここで注文した商品を実店舗または自宅で受け取ることができます。
さらに「話題の本」が一覧で表示されたり、その商品を購入した人たちによる評価や口コミを確認したりすることもできます。
OMOとO2Oの違い
OMO、O2Oそれぞれがどのようなものかを見てきました。
それでは、この2つのマーケティング手法には、どのような違いがあるでしょうか。
オフライン・オンラインの区別
まず「オフラインとオンラインを区別するか」というのが、この2つの手法の大きな違いです。
O2Oは「オンラインからオフラインへの顧客誘導」が目的ですので、オンラインはあくまで情報発信の場です。
消費者は、実際には店舗へ訪れて商品を購入することになります。
それに対してOMOは、「オンラインとオフラインの融合」を目的としていて、オンラインとオフラインを区別しないマーケティングであるというのが大きな特徴です。
特にO2Oは、「オンラインからオフライン」を目的にしていますが、反対に「オフラインからオンライン」に関しては、それほど重視していません。
オフラインの扱い
次に、この2つの手法がオフライン(実店舗)をどのように捉えているのかという違いがあります。
これは「オフライン・オンラインの区別」にも繋がります。
まず、O2Oは、あくまでオフライン(実店舗)がメインで、オンライン(Webサイトのクーポンや口コミ、SNSでの宣伝)は、オフラインへ顧客を誘導するための副次的なものです。
実店舗で使えるWebクーポンやチェックポイントクーポンのように、顧客が実際に足を運ぶことを促進するのがO2Oです。
それに対し、OMOは、オンラインとオフラインは同等に扱います。
実店舗での購入履歴やECサイトでの閲覧履歴、顧客が投稿した口コミなどから、顧客の購買をサポートするのがOMOです。
ここでの「購買」は、実店舗であるかECサイトであるかは問いません。
このように、2つのマーケティング手法は「オフライン」の扱い・捉え方が大きく異なるのです。
OMOとO2Oそれぞれのメリットとデメリット
最後に、OMOとO2Oそれぞれのメリットとデメリットについて紹介します。
マーケティング手法は絶対的なものではないので、それぞれの状況や目的に合わせて、それにあった手法を採用することが重要です。
OMOのメリット・デメリット
OMOを採用することのメリット・デメリットにはどのような物があるのでしょうか。
OMOのメリットとしては、顧客満足度の向上による正の循環、デメリットとしては、長期的に大きなコストがかかることが挙げられます。
メリット
OMOのメリットとして、まず販売機会の増加が挙げられます。
オンラインとオフラインを統合することで、場所や時間による制約を受けない購買が可能になります。
そして、OMOの最大のメリットは、顧客の購入・行動データなどの情報集積によって「本当のニーズ」を発見することにあります。
販売機会を増やすことでより多くの情報を収集し、新しい施策や製品開発につなげることが、OMOの大きな目的です。
販売機会の増加、情報集積による新戦略によって、顧客の満足度を上げ、さらに購買へ向かわせるという循環こそが、OMOを採用するメリットです。
デメリット
OMOのデメリットとしては、運用するのにかかるコストが大きいこと、そして、短期的には効果が出ないことが挙げられます。
顧客データの集積・分析のためのシステム開発には多大なコストがかかります。
さらに、収集・分析ができたら、そこから、顧客満足度を上げるための新しい企画を立てる必要があります。
これには、そうしたマーケティング・企画に強い人材が必要になります。
このように、OMOは長期的にコストをかけて行うマーケティングなのです。
O2Oのメリット・デメリット
次に、O2Oのメリット・デメリットを見ていきましょう。
O2Oのメリットとしては、すぐに結果がでること、デメリットとしては、長期的な利益には繋がりにくいことが挙げられます。
メリット
クーポンの配布やSNSなどのでの宣伝は、新規顧客の獲得だけでなく、既存の顧客の再来店にも繋がります。
また、O2OはWebサイトの更新などですぐに実施することができるため、即効性が高い手法であると言えます。
さらに、自社サイトやSNSでO2Oを行うのであれば、低コストで運用することが可能です。
デメリット
O2Oのデメリットとしては、長期的に店舗を利用する顧客を増やしにくいということがあります。
クーポンが配布されたときだけ利用するというように、顧客が「リピーター」になりにくいのです。
さらに、キャンペーンなどを過剰に行うことで、長期的にはマイナスになる危険性があります。
このように、O2Oは、他の手法と合わせて行うのが良いマーケティングであるといえます。
これからの時代は、オンラインもオフラインもそれぞれにどのような付加価値を付けるのかがポイント
ここまで、OMOやO2Oについて見てきましたが、現在多くの企業ではOMOの導入を目指しています。
しかし、今後のマーケティングとしては、更に一歩進んで、オンラインとオフラインでのビジネスに「プラスワン」の付加価値を付ける必要があると考えられます。
例えば、コロナの影響でオンライン化が進んだ業界では、
「わざわざ店舗に出向く意味がなくなった」
という顧客の声を聞いたことがある会社も多いでしょう。
リスクの高い外出をして店舗に行くなら、店舗でしか味わえない体験を売る必要があります。
反対に、オンラインではわからない体感を、どのように体験してもらえるか。
(例えば、マットレスの使い心地を試すなど、現状はどうしても店舗に行かざるを得ない)
このような点で、より大きな付加価値を付けることが出来るか。
これがマーケティングにおいても重要になってくると考えられます。
どんな施策もシステム化が重要!まずはAMELAに相談を
今回は、OMO・O2Oについて見てきました。
マーケティングはどのような企業にとっても重要ですが、まだまだ予算をマーケティングに割けていない企業は多いです。
どうしても、短期的に見たときに営業マンを増やす方が売上が上がりそうに見えてしまうからです。
しかし、中長期的に見たときに、マーケティングには大きなメリットが有り、それらを実現するためにも、あらゆる部分のシステム化が重要になります。
今回紹介したOMOでも、オンラインでの行動やオフラインでも行動をデータ化出来ているからこそ、その境を超えてデータ活用が可能になります。
つまり、そもそもあらゆる情報をデータベース管理出来ていないと、こういった改革を行うことも難しいと言えるでしょう。
そこで、まだ自社の情報がデータ化されていない企業様は、是非AMELAにご相談下さい。
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