ナラティブアプローチとは?意味から導入するメリットを解説

仕事に関する悩みや人間関係に対する不満など、自身の抱えている悩みを打ち明けていくことで、「いつの間にか解決している」といった経験はないでしょうか。 また、友人や上司から的確なアドバイスをもらったり、問題点を明確にしてもらうよりも、自分自身で解決案を見つける方が、納得することが多いと思います。 実は、上記のような経験は「ナラティブアプローチ」によるものかもしれません。そこで今回は、ナラティブアプローチとは何か、具体的な意味から実施するメリットなど、詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
ナラティブアプローチとは

ナラティブアプローチとは、相談相手や友人、患者などを支援するときに、相手が話す「物語(narrative)」を通して解決策を探っていくアプローチ方法です。 発祥は臨床心理学の分野ですが、現在は医療の領域だけでなく、ビジネスシーンでも利用されることが多い手法です。
そもそも物語とは何を示すのか
ナラティブアプローチを理解するためには、「物語」について知る必要があります。 ナラティブアプローチの特徴として、相手の話に耳を傾けることにより、相手の考えていることや抱えている悩みを聞き出します。 この点では一般的なヒアリングと変わりませんが、ナラティブアプローチの場合、相手の「物語」に着目します。 ここでいう物語とは、「相手が自分なりに解釈した言葉」です。つまり、客観的な状態を把握するのではなく、主観的な状態を見極めるときにナラティブアプローチが利用されます。
ナラティブアプローチを実施するメリット
ナラティブアプローチを実施することで、相談者が主観的にネガティブな考え方をしているとき、そこから抜け出すためのサポートが行えます。 たとえば、従業員が自分の仕事の遅さに悩んでいるとします。「周りの人からプレッシャーを感じる」「仕事の遅さに周りが呆れている」など、ネガティブな思考に陥る人が多くいますが、だいたいの場合、単純に「気にしすぎ」なだけです。 そこでナラティブアプローチを実施し、「周りはそこまでプレッシャーを与えていない」「自分の思い込み」といった状況を伝えて、従業員自身に気づいてもらえる手伝いをします。 自身で「気にしすぎていた」と気づくことができれば、他人にアドバイスをもらったときよりも納得できるため、高い改善効果を実感できるでしょう。
ナラティブアプローチを実施する手順

ここでは、ナラティブアプローチを実施するための手順をご紹介します。以下の内容は、荒井浩道著『ナラティヴ・ソーシャルワーク―“〈支援〉しない支援”の方法』をもとにしています。
- ドミナントストーリーを聞く
- 問題を外在化する
- 反省的な質問をする
- 例外的な結果を見出す
- オルタナティブストーリーを構築していく
ドミナントストーリーを聞く
ドミナントストーリーとは、悩みを抱えている人が主観的に思い込んでいる物語のことです。悩みを抱えている人は、自分の考えに対して否定的な事を感じることが多く、ネガティブな思考に支配されています。 しかし、このドミナントストーリーはポジティブな物語に差し替えることが可能です。ナラティブアプローチでは、この置き換えをサポートします。 そのため、まずは相談者のドミナントストーリーを聞き出し、何に対して悩みを抱えているのか把握しましょう。このとき、アドバイスをしないことが重要です。 相手の話をじっくり聞いて、ドミナントストーリーを見ていきます。
問題を外在化する
次に「問題の外在化」を行います。 問題の外在化とは、ドミナントストーリーを分析し、悩んでいる原因を客観視できるようにすることです。 問題を自分から切り離せていない状態だと、問題を自分自身の一部と考えてしまい、自分を否定する方に進んでしまいます。 そのため、問題を一旦自分から切り離し、「自分とは別のもの」と認識できるよう外在化するのです。
反省的な質問をする
次は「反省的な質問」を行います。 反省的な質問とは、相談者が抱えている悩みに対して、「何が・誰が・どのようなことが・どんな経験が」関係しているのか、一緒に探ることです。 問題を具体的に分析することで、解決するためのヒントを得たり、自分の考えを整理することができます。
例外的な結果を見出す
ナラティブアプローチを行うことで、相談者の物語を見ていくことができますが、ときには例外的なドミナントストーリーが見つかります。 たとえば、「仕事が遅く周りから良く思われていない」と思っていたけど、よく話を聞いてみれば「期待されている」ことがわかった、など、例外的な結果が見つかることがあるでしょう。
オルタナティブストーリーを構築していく
オルタナティブストーリーとは、ポジティブな物語です。聞いてきたドミナントストーリーを分析し、徐々に内容を補強してオルタナティブストーリーへと差し替えていきましょう。 先ほどの例でしたら、「周りからのプレッシャーが凄い」=「期待されているのではないか?」と質問をすることで、相談者は物語をプラスの方で考え始めます。 このような問答を繰り返し、相談者の問題を解消していきましょう。
ナラティブアプローチの実施で問題との向き合い方が分かる
この記事では、ナラティブアプローチについて意味から導入するメリットをご紹介しました。 まだまだ日本ではナラティブアプローチの普及が進んでいませんが、さまざまな場面で役立つ手法なので、気になった方はぜひ実施することをおすすめします。