IT人材が欲しい場合の雇用形態はどうする?正社員?契約社員?それともエンジニア派遣?
日本の労働人口は減り続けている傾向にあり、システムの開発現場でも、海外のエンジニアに開発を依頼する 「オフショア開発」 が注目されています。 とはいうものの、多くの企業では 「日本人のエンジニアが欲しい」 と考えているのではないでしょうか。 最も大きな理由はコミュニケーションの取りやすさなどですが、エンジニアを雇うのも楽ではありません。 では、IT人材を雇うことを考える際には、どのような採用方法を取るのが良いのでしょうか。 今回は、IT人材の派遣や雇用についてお話ししていきます。
IT人材の確保は今後必須!どのような雇用形態で雇うべき?
IT人材の確保は今後必須!どのような雇用形態で雇うべき? 今の時代、多くの企業でITシステムが導入されています。 小さな企業でも ・ホームページ ・ネットショップ ・SNS こういった仕組みを取り入れる事は、今後も絶対に必要になります。 一方で、人によっては 「そんな専門的で難しい仕事をこなしながら普段の業務も行うなんて不可能だ!」 と感じるでしょう。 そのため、小さな企業では1人、ある程度の規模の企業になれば10人程度のIT人材を雇うのが一般的になりつつあります。 IT人材といっても、その業務内容は様々ですが、主に ・ネットショップやホームページ管理 ・SNSを含むマーケティング全般の運用 ・社内で利用するPCやスマホのキッティング ・IT資産の管理 などのいわゆる社内SEと言われる仕事や ・社内ネットワークの/社内インフラの管理 ・セキュリティ管理 ・システム開発 ・サーバー設計/管理/メンテナンス などのITエンジニアまで様々な仕事があります。
意外と知らない?エンジニア派遣とは
意外と知らない?エンジニア派遣とは エンジニアを雇うことを考えた際に、 ・正社員 ・契約社員 ・アルバイト で雇う事を考える人も多いと思いますが、 「人材派遣」 という選択肢もあります。 人材派遣は、人材派遣会社に依頼して人材を確保してもらう形になり、雇用形態には次の2種類があります。 ・登録派遣型 ・常駐型派遣
登録派遣型
登録派遣型とは、非正規雇用の派遣社員の事を指し、派遣されている期間のみスタッフに給与が発生する契約方法になります。 雇用期間が決まっているため、いわゆる「不安定な働き方」と世間的に認識されているのが、この登録派遣型の派遣になります。
常駐型派遣
常駐型派遣は、従業員は派遣会社の正社員になります。 そのため、派遣先が決まっていないタイミングでも、ある程度の給料が保証されています。
派遣を受ける側として変わること
では、上記のような2種類の派遣がある中で、派遣社員を受け入れる側としてはどのように違うのか。 大きな違いは、人材教育でしょう。 登録派遣型の場合には、派遣会社は働いている期間マージンが入ってくる一方で、働いていない期間に給料を払う必要がないため、派遣会社にとってリスクは小さいです。 しかし、常駐型派遣の場合には働いていない間も給料が発生するので、大きなリスクがあります。 そうなると、社員を遊ばせないように、出来る限り空いている期間中に教育を行うと考えられます。 例えば、PHPしか出来ないエンジニアのAさんがいた時に、業界的/地域的/自社の抱えている案件的にPHPの案件が少なかったとします。 このままAさんを雇っていても、Aさんが出来る案件を取れるかどうかはわかりません。 そうなると、会社としては派遣されていない期間に、別のプログラミング言語を習得させます。 このように、会社が積極的に教育をする可能性が高いため、人材のレベルが安定している可能性が高いです。
IT人材を雇う際に雇用形態によって変わること
IT人材を雇う際に雇用形態によって変わること さて、IT人材を雇用する上で、自社で正社員を雇うのと、エンジニアの派遣をしてもらうのでは、どのような違いがあるでしょうか。
契約先
まずは、契約先が異なります。 正社員の場合は、 「自社と従業員との直接的な契約」 になりますが、エンジニア派遣の場合には、 「派遣会社と労働者が契約し、派遣会社と自社が契約」 をします。
給料
給料に関しても、自社から派遣会社に支払いが発生し、派遣会社から労働者への支払いが発生するという形になります。 賞与に関しても、派遣先ではなく派遣会社の規定に従うため、働く側からすると 「派遣先の正社員がボーナスをもらっているのを見ると虚しくなる」 という話も聞きます。
福利厚生
福利厚生に関しても、給料と同様、労働者は派遣会社の福利厚生を受けることになります。 この福利厚生には、 ・社会保険 ・有給休暇 ・交通費 なども含まれており、働く側からすると非常に大きな問題となります。 派遣社員を受け入れる側としても 「ウチの夏休みに合わせて派遣社員にも有給をとってもらう」 などの様に、福利厚生の違いによってズレが生じる可能性があるため、しっかりと派遣会社に確認しておく必要があるでしょう。
エンジニア派遣のメリット・デメリット
エンジニア派遣のメリット・デメリット では、エンジニアの派遣を利用することには、会社としてどのようなメリット・デメリットが有るのでしょうか。
エンジニア派遣のメリット
まずはメリットから見ていきましょう。
適正な人材を確保しやすい(特にレガシーシステム)
適正な人材を確保しやすいというのが、派遣エンジニアを活用することの、最も大きなメリットと言えるでしょう。 例えば、社内で使用しているシステムがレガシーシステムの代表的なプログラミング言語である「COBOL」だったとします。 COBOLは、古くから使われている言語ですが、IT業界全体としてはかなり少数派になりつつある言語です。 求人サイトであるIndeedでの求人数(正社員)は JAVA:54,212件 PHP:56,393件 Python:37,990件 COBOL:16,998件 のような形になっています。 求人数はあくまでも一例ですが、業界的に見てもCOBOLが他の言語に比べて需要が少ないという事が理解できるはずです。 最近のプログラミングスクールなどでは、あくまでも就職をメインに教えるため、需要の高い言語に絞った教育をするところが多いです。 これまでCOBOLをメインにやってきていた人材であっても、需要と供給の関係を考えると、徐々に他の言語にシフトチェンジしている可能性が高いでしょう。 これらの理由からも、COBOLを専門的にやってきた人材というのは、非常に少数派で、且つ高齢化してきています。 そのような状態では、COBOLを扱える人間を自社で採用活動で探すよりも、既に多くのエンジニアを抱えている企業に派遣してもらう方が簡単なのです。
面接などの人件費が安く済む
面接を行う上では、求人サイトの文言を考えたり、求人サイトの担当者と打ち合わせをしたり、面接を数回したり・・・と幾つもの仕事が発生します。 求人サイトでしっかりと募集要項を絞れば、募集人数は減り、募集条件を緩くすれば、面接する人数が増える割には、良い人材が見つからない・・・ こういった葛藤は、採用活動をしたことがある人であれば、経験してきていることでしょう。 エンジニアの派遣を行う際には、派遣会社がある程度人材を見てきていますし、過去の案件での評判も聞けます。 派遣会社としても、自社のブランドがありますから、費用対効果が悪い人材を派遣してしまう事は避けたいはずです。 そのため、面接にかかる人件費が少なくても、それなりに良い人材が確保できる可能性が高いのです。
能力の高い人材を確保できる
前述したように、派遣会社の正社員として働いているエンジニアは、案件がない期間も給料が発生します。 待機期間中にエンジニアをしっかり教育していくことが、派遣会社自身の付加価値にもなるため、教育制度をしっかりと整えている会社も多いのです。
人材の見極めが可能
派遣会社との契約期間中に、正社員にすることは禁じられていますが、派遣会社との契約終了後であれば、問題なく採用が可能です。 そのため、派遣社員をそのまま自社の正社員にしたいと考える会社は多いです。 この時に、 「既に数ヶ月~数年自社で働いてもらっているので、人柄や能力が見極められる」 という大きなメリットがあります。 正社員としていきなり雇ってしまうと、日本の文化的にクビにすることも難しいです。 そのため、入社前にしっかりと人材を見極めることができるのです。
必要なタイミングで必要な量の採用が可能
直近で人材が必要だとしても、数カ月後にも同じように人材が必要・・・というビジネスばかりではありません。 繁忙期のタイミングだけ人が欲しいが、閑散期には人材が遊んでしまっている。 このような企業の場合には、正社員として雇用してしまうと無駄な人件費が発生します。 そのため、そのタイミングだけ人材を補填できる派遣には、大きなメリットが有るのです。
幅広い経験をしてきたエンジニアを採用できる
派遣会社の社員の場合、1箇所の職場に何年もいることは難しいです。 法律的にも、最長で同じ職場・同じ部署にとどまることができるのが3年となったため、今後は更に幾つもの職場を経験するエンジニアは増えてくるはずです。 そうなった時に、 ・様々な企業文化に触れている ・様々なITパッケージソフトに触れてきている ・様々なAPIを扱ってきた ・様々な部署をITでサポートしてきた ・様々なプログラミング言語に触れてきた という経験そのものが、非常に大きな武器になります。 こういった人材を正社員で探すのは非常に難しいです。 もしも幾つもの職場を経験してきている求職者がいれば、一般的には 「たくさんの経験をしてきた」 のではなく 「どの職場でも続かなかった」 と評価される事が多いからです。 一方で派遣社員の場合は、契約期間が事前に決まっているため、本人の意志や忍耐力とは関係なく次の職場を経験することになります。 特に常駐型派遣の場合は、派遣社員の正社員として働いているため、1つの職場に在籍しながら複数の会社を経験できるようなものです。 そのため、様々な経験をしてきたエンジニアを雇えるのも、派遣を活用することのメリットと言えるでしょう。
エンジニア派遣のデメリット
では、次にエンジニア派遣のデメリットも見ていきましょう。
自社にノウハウの蓄積が難しい
エンジニアは、働きながら自然とスキルアップするのが一般的です。 多くのエンジニアが、1年前に自分が作ったプログラムを見て 「もっと効率的に出来る」 と感じます。 更に、別のシステムで使ってきたプログラムをカプセル化・標準化していき、次にシステムを作る時には、更に効率的に作成できる様になってきます。 中には、自分なりのフレームワークを作り上げてしまうようなエンジニアもいるでしょう。 しかし、こういったノウハウは、エンジニア自身の価値ではありますが、それを自社のノウハウとして蓄積させることが難しいです。 何十年と自社で雇える場合には、徐々に ・体系化 ・マニュアル化 ・教育 するなど、様々な方法でノウハウを蓄積することが可能です。 一方で、派遣社員の場合には、数ヶ月単位~数年で契約が終了します。 そのため、ノウハウの蓄積が難しいのです。
保守・メンテナンスに向いていない
もしも派遣にシステムの開発をさせてしまった時に、その保守やメンテナンスをする要因が必要になります。 引き継ぎに時間もかかりますし、もしものトラブル時に新しい人では対応できない・・・となったときのリスクが生じます。 これは、派遣のデメリットと言えるでしょう。
人間関係が築きにくい
数年で新しい職場に変わってしまう派遣は、人間関係が築きにくいというデメリットもあります。 特にエンジニアという職種は、コミュニケーションが苦手な人材も多いです。 また、前述したように繁忙期に人材を補充したいというケースでの採用の場合には、周りも忙しくて構っている暇がない・・・という可能性もあり、円滑なコミュニケーションを取れない人もいるでしょう。
人件費そのものは高くなる可能性も
同じ人を雇う場合、従業員の給料が同じ場合には、正社員で雇うよりも、派遣社員として雇う方が割高になります。 それは、派遣会社自身のマージンや人件費・教育費用がかかるからです。 派遣会社もビジネスとしてやっているため、しっかりと利益を取ります。 顕著な派遣会社の場合には、 「人件費が安い社員は、明らかにコミュニケーション力が不足している」 というケースも見られます。
中には「普通の企業では採用されないから・・・」というケースも
派遣社員の中には、 「他の企業で正社員として採用されなかったから」 というケースもあるようです。 一般的に、登録型派遣の場合には、派遣会社としても費用的なリスクが小さいため、正社員に比べると採用のハードルが低くなります。 また、ここまで記載してきた内容からもわかるように 「あまり大きな仕事をメインで任せるにはリスクが有る」 と感じる企業も多いです。 そのため、派遣社員は正社員に比べると 「採用ハードルは低いが、任せられる仕事に限りがある」 というイメージを持っている人が多いです。 そのため、 「正社員では採用されなかったから、仕方なく派遣会社に登録している」 という人材レベルが低い人の可能性もあります。 ・スキル的に足りない ・報連相が苦手 ・コミュニケーションが取りにくい など、長期的に働く上では少しリスクがある人材の可能性もあるため、しっかりと見極める必要があります。
IT人材の確保ならAMELAに相談を
IT人材の確保ならAMELAに相談を IT人材は、国の試算によると、2030年に最大79万人不足するとも言われています。 このような状況の中で、自社に合ったIT人材を獲得することや、育成していくことは非常に困難と言えるでしょう。 だからこそ、これからは正社員という採用だけではなく、ITエンジニアの派遣も視野に入れておくべきなのです。 AMELAでは、IT人材の派遣業務も行っており、御社に合った人材をご提案することが可能です。 特に最近は、 「実務経験は無いけど、エンジニアスクールを卒業しました」 という人材が増えてきたように感じています。 私の知り合いでも、コロナウイルスの影響で、看護師という仕事のリスクについて考えた結果、エンジニアスクールに通ってIT業界に転職した・・・という人もいます。 そういった人材は、どうしてもITシステム全般に関しての知識や経験が不足しているケースが多く、折角採用しても 「やっぱり自分にはITは向いていなかった」 といって辞めていくケースも多いようです。 確かにIT人材を採用すること・教育することは急務ですが、だからといって焦って人材を採用してしまっては、中長期的に見た時に、非常に大きなマイナスになる事が多いのです。 是非、IT人材にお悩みの際はご相談頂ければと考えております。 Twitterアカウントでは、過去に開発してきた事例なども記載していますので、是非とも参考にしてみてください。