コンピテンシーとは|概要や導入するメリットを解説
近年は「コンピテンシー評価」や「コンピテンシー面接」といった言葉を聞くことが多くなりました。 さまざまな場面で使われるコンピテンシーですが、実際はどのようなものか良く知らない方もいると思います。 そこで今回は、コンピテンシーとは何かを解説すると共に、導入するメリットや効果などもご紹介します。 興味のある方はぜひご覧ください。
コンピテンシーとは
コンピテンシーとは、組織内の役割において質の高い成果をあげている行動特性を意味する言葉です。 例えば、社内で安定的に業績をあげている社員がいるとします。 コンピテンシーとは、その社員の専門技術やノウハウ、基礎能力などを詳細に観察し、何がその社員を「仕事ができる人」にしているのか明らかにすることです。 彼らの行動特性や行動基準を分析することで、他の社員を評価するための指標にしたり目標に設定するなど、従業員全体のパフォーマンス向上に活かせる施策を検討することができます。
コンピテンシーのモデル化とは?
コンピテンシーで明らかにできる内容は、職種によって異なります。 そのため、コンピテンシーを社内に導入する際には、目的や分野ごとに具体的なモデルを設定することが大切です。 研究機関である「スペンサー&スペンサー」では、以下のようにモデルが分類されています。
コンピテンシーの領域 | コンピテンシーの項目 |
---|---|
達成行動 | 達成思考 |
秩序・品質・正確性への関心 | |
イニシアチブ | |
情報収集 | |
援助・対人支援 | 対人理解 |
顧客支援志向 | |
インパクト・対人影響力 | インパクト・影響力 |
組織感覚 | |
関係構築 | |
管理領域 | 他者育成 |
指導 | |
チームワークと協力 | |
チームリーダーシップ | |
知的領域 | 分析的志向 |
概念的志向 | |
技術的・専門職的・管理的専門性 | |
個人の効果制 | 自己管理 |
自信 | |
柔軟性 | |
組織コミットメント |
上記の内容を参考にして、自社のコンピテンシーモデルを作るのが理想ですが、複雑な部分があり分かりづらい点も多いでしょう。 以下でコンピテンシーのモデル化をする時のポイントをご紹介します。
コンピテンシーをモデル化する際のポイントとは
コンピテンシーをモデル化するためのポイントは、職種・階級に適した指標を使うことです。 例えば、チームをまとめるリーダー職のコンピテンシーを分析するなら、技術面ではなく管理能力面の分析を行うことで最適なモデル化を実現できます。 一方、営業などの対人スキルを必要とする役職の場合、柔軟性や自己管理能力などの指標を分析することで、他の社員に適用できるコンピテンシーをモデル化することができるでしょう。 また、モデルの作成は小さい単位で行うことが大切になります。理由としては、モデル化を行う単位(部署)が小さいほど、実際の行動モデルに反映しやすいからです。 その他に、モデル化の対象(ハイパフォーマー)に対してのヒアリングは複数人に行うことをおすすめします。 個々で性格や行動基準が異なるため、ヒアリング内容に偏りが出てしまう可能性があります。いくつかのデータをまとめて、モデル化にするようにしましょう。
コンピテンシーのメリット・デメリット
コンピテンシーを活用するメリットは、評価基準を設定できれば、従業員の細かい課題点を発見できることです。 コンピテンシーをモデル化することで、各業務の最適な行動プロセスを明らかにできます。 そのため、業績の低い従業員はどの部分でつまづいているのか細かく把握することができ、即座の課題解決を実現できます。 一方、それぞれの単位でコンピテンシー評価を行うため、評価者の負担が大きくなってしまうデメリットがあります。 会社と言っても、部門・部署・職位など数多くの組織単位があり、また内容も異なるためヒアリングや評価の負担が大きいです。 今ではコンピテンシー評価を半自動化してくれるツールが提供されているので、業務効率化を目指すなら導入の検討をおすすめします。
コンピテンシー評価の導入手順
コンピテンシー評価を導入する時は、適切な手順で行わないと期待した効果を得ることができない場合があります。 ここでは、コンピテンシー評価の導入方法をご紹介します。
- ヒアリング
- モデル作成
- 社員の目標設定
- 評価と改善
ヒアリング
まずはハイパフォーマー(仕事で成果をあげている人)からヒアリングを行い、「どのような行動」「考え方」「目標」をたてて仕事をしているのか分析します。 仕事の成果に繋がっている行動を明らかにすることで、他の従業員に活用できる指標を作ることができるでしょう。 この時、複数のハイパフォーマーからヒアリングを行うことでデータのバラつきを減らすことができます。
モデル作成
ハイパフォーマーの行動特性を集めたら、次はデータをまとめてモデル化を行います。 モデル化することにより、他の従業員がどのような行動をすべきか、何を目標に設定すべきか明確になり、全体のパフォーマンスが向上します。
社員の目標設定
モデルが完成したら、より細かい単位で各従業員の目標に落とし込みます。 どの社員が何をするのか把握することで、適切な業務の振り分けや効率的な作業を行うことができるでしょう。
評価と改善
一通り、コンピテンシー評価が導入できたらまずは実践します。 どの部分が成功しているのか、どの点が課題点なのかは実際に導入してみないと分かりません。 運用して見えてきた課題点を都度解消することで、より高い効果を得ることができるようになります。
コンピテンシーとは、今後のビジネスで必要不可欠な指標
この記事では、コンピテンシーとは何か詳しく解説しました。 優秀な成果を発揮する従業員を分析し、どのような要素から成果に繋がる仕事をしているのか明らかにすることで、従業員のパフォーマンスを向上させるヒントを得られます。 社員の評価基準に使われることも多く、明確な指標になるため活用場面が豊富です。 コンピテンシーとはどのようなものか理解し、積極的に取り入れていくことをおすすめします。