残業はなぜ多い?正しい残業の減らし方とそのメリット
現在、「働き方改革」を行っている企業は多いのではないでしょうか。 しかし、実際に残業は減っていない企業も多く見てきました。 では、なぜ残業が多いままなのか。 今回は、そんな現代社会の残業について見ていきましょう。
わざと残業を増やしている事も?なぜ残業が増えるのか
わざと残業を増やしている事も?なぜ残業が増えるのか 現在、民間企業の調査によれば、日本の平均残業時間は月に25時間程度と言われています。 この数字は、全体の平均になりますので、当然ですが残業が多い人と少ない人がいます。 更に言うと、これらの調査は一般的に会社の人事部などがまとめている数値になるかと思いますが、「サービス残業」が含まれていないケースも多々あります。 そのため、サービス残業なども含めれば、かなり多くの残業時間があることが予想されます。 では、そもそもどうしてこれだけ多くの人が残業を行っているのでしょうか。
残業代が欲しい
残業をしている人の中には、 「残業をしたくてしている」 という人がいます。 現在、日本の平均年収は400万円強です。 ボーナスがあると考えると、月の給料は30万円ほどになりますが、保険や年金が引かれると、手取りで20万円強になります。 家賃が8万円、食費が5万円、光熱費通信費で3万円となると、残っている金額は4万円ほどです。 夫婦共働きであれば、金銭的にもう少しだけ余裕があるかもしれませんが、子供がいれば非常に厳しいと言わざるを得ません。 そのような状況の中で、残業代で月に数万円でも多く貰えれば・・・。 特に給料の少ない若い世代では、このような考えから、意図的に残業をしているケースも見られます。 副業が禁止の会社もまだまだ多い上に、残業代であれば時給換算の給料の1.25倍になるため、隠れてアルバイトをするよりも遥かに効率的でしょう。
仕事を断りきれずに抱え込む
日本人の特徴とも言えますが、今の若い世代は特に、 「断るのが苦手」 という人が多いです。 上司からの依頼を断りきれないのはもちろんのこと、同僚からでも 「忙しいからこれやっておいて」 と言われて断れないと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。 断りきれない人の特徴として、その仕事を他の誰かに依頼する・・・ということも苦手の様です。 責任感が強い人ほどそういった傾向があり、結果的に自分が残業してこなす以外に選択肢がなくなるようです。
周りが残業しているから仕方なく
社内の雰囲気によって残業をしている人も多いです。 空気を読む事を重視される日本の会社では、他の人が残業をしている中で、意気揚々と定時退社できる人は非常に少ないです。 定時退社できたとしても、申し訳ない気持ちになりながら退社する人が多いのではないでしょうか。 そのため、他の人が残業しているから、仕方なく残業しているというケースも多いと考えられます。
帰ってもすることが無い・居場所がない
残念な話にはなりますが、家庭に居場所が無いサラリーマンは意外と多いです。 奥さんとの関係性が良くない場合や、娘・息子に邪険に扱われるなどによって 「自宅が帰りたい場所ではない」 という人も一定数います。 そういった人にとって、 「帰りに寄り道をするのはお金がかかるし、残業でもしようかな」 という気持ちになるようです。
不要な仕事量が多い
不要な仕事量が多いために残業をしなければいけない人も非常に多いです。 特に多いのは会議資料や申請書の類ではないでしょうか。 特に営業は、日々多くの会議をこなす必要があったり、商談内容をエクセルで管理したり・・・と、本来の仕事以外の「雑務」が多い会社もたくさん見てきました。 そういった会社では、働き方改革と言われても、そもそもキャパオーバーで残業をしているのですから、残業が減らないのも無理ないでしょう。
クライアントや上司に振り回される
クライアントや上司に振り回されるケースも多いようです。 どんな会社でも 「上司が明日から出張だから、今日中にしなければならない仕事」 「顧客とのトラブルで、急遽対応しなければいけない仕事」 というものがあるかと思います。 場合によっては、休日出勤をせざるを得ないケースも多いです。 特にここ数年で、多くのサービスが「今すぐ対応するのが当たり前」という風潮が強くなってきています。 アマゾンやアスクルなどのネットショップは、翌日には商品が届きますし、24時間電話応対が出来るカスタマーセンターを用意している会社も多いです。 それが当たり前になってきている日本社会では、お客さんも無意識に 「スグしてくれない会社は悪い会社だ」 という評価になってきます。 会社としての信用を守るためにも、残業してでもすぐに対処しなければならない・・・というケースも多いのです。
「急ぎ」を必要以上に主張する
特に上司からの連絡で「急ぎ」「緊急」を言い渡される方は多いのではないでしょうか。 メールや口頭で伝えられる以外にも、依頼された仕事が終わっていない状態で、 「お先に失礼します」 と帰ろうとすると、不満げな表情で上司に進捗を聞かれる。 このような場面はよく見かけます。 多くの人が、自分のスケジュール管理にいっぱいいっぱいになっており、そのスケジュールに他人を合わせようとします。 本来は、事前にスケジュール感を確認するなどして、無理のない調整をするべきでしょうが、相手の状況にまで配慮する余裕がない人ほど、他人に急ぎを要求します。 その結果、残業しなければいけないケースが増えてくるのです。
結局意味のないルール作りをしていませんか?
結局意味のないルール作りをしていませんか? 「ウチは働き方改革を行っている」 という企業でも、そのルール自体が全く意味のないものになっているケースが多々あります。
ノー残業デーの仕事は別の日に持ち越される
ノー残業デーは、働き方改革として良く行われる施策になりますが、ノー残業デーの意味が全く無い会社も多いです。 結局、その日の残業で行うはずだった仕事を、その前後の日にまとめて残業をするので、月トータルで見た時の残業時間が減っていない事があります。 むしろ、しわ寄せのくる日は、1日の労働時間がより長くなるため、後半は集中力が全然ない状態で仕事をしている・・・という非常に効率の悪い仕事の仕方になっているケースも多いです。
「仕事の範囲」を決めても守らない上司
仕事の範囲を決めることで、 「自分のやるべきことをやったら帰る」 というルール決めをしている会社もありますが、そのルールも結局上司が率先して破ってしまうケースが良くあります。 日本は、アメリカなどとは違って、契約内容に具体的な業務内容を明記されません。 海外の場合は、具体的な業務内容の記載があり、それ以外の事は堂々と断る風習があるようですが、日本でそんな事をしたら「高飛車」というような評価をされることでしょう。 契約内容に業務内容の詳細が書かれておらず、ちょっとした雑務も含めて依頼してくる上司が多い以上、断れない人間からすると、ルールの意味は無いのと同じです。
進捗管理会議を行っても優先順位は反映されない
業務の優先順位を決めて、不要な仕事はしない。 と決めて進捗会議を行っている企業も多いかと思いますが、これらのルールも、前項でお話した 「急ぎの仕事を求められる」 という事によって守られていないケースが多いです。 仕事を受ける側からしても、 「上司が急げと言う仕事」 は、優先順位を上げざるを得ません。 そのため、本来自分で決めていた予定や優先順位を変えて仕事をする必要性が出てきます。
本当に残業を減らしたいならどうすれば良いのか
本当に残業を減らしたいならどうすれば良いのか では、本当に残業を減らしたいと思ったときには、どのように動けばよいのでしょうか。
給料を上げる
前述したように、 「生活が苦しいから残業代を当てにしている」 という人は多いです。 そのため、そもそも給料が高ければ、無駄な残業をしない可能性もあります。 もちろん、全社員の給料を数万円引き上げる事は、会社としてもリスクが高いですが、 「残業を徐々に減らすのと並行して、徐々に給料を上げられる様にする」 もしくは 「残業がなかった人に対してインセンティブを出す」 のような形で、残業をしない様に働きかけるのが大切でしょう。
「属人化した仕事」を持ち回りにする
この仕事はAさんしかしない というような仕事は意外と多いのではないでしょうか。 「簡単な雑務や電話応対は新人がやる」 などのように、暗黙のルールのようなものがある会社は多いかと思います。 そういった「〇〇しかやらない」仕事を当番制にして持ち回りにします。 そうすることで、全員に仕事が分散され、一部の人間だけが残業が多いという事が減るのではないでしょうか。
問い合わせ業務から開放されるための仕組み作り
問い合わせ業務は、相手有りきのことですし、1つ1つの内容が長くなるケースが多いです。 そのため、問い合わせ自体を少なくするための仕組み化を行う事で、業務時間を減らすことが可能です。 例えば次のような仕組みが考えられます。 ・【お客さん用】ホームページにQ&Aのページを設ける ・【お客さん用、社内用】チャットボットにて問い合わせ返信を行う ・【お客さん用】電話のコールを自動応対にする ・【お客さん用】商品注文をネットショップにする ・【社内用】社内ポータルにて詳細なユーザーガイドを用意する ・【社内用】各種マニュアルを作る この様に、必要な情報は全て各自が確認できる場所に保管したり、システムを導入することで、様々な業務において「問い合わせ」の必要性がなくなります。
大胆なシステム化
会社の仕組み自体を大胆にシステム化する。 そうすることで、残業は圧倒的に少なくなります。 特に紙媒体でやり取りをしていたり、手入力で情報を登録している場合、 「ヒューマンエラー」 と呼ばれるミスが起きます。 ヒューマンエラーとは、人間の犯すミスのことで、 ・見間違い ・聞き間違い ・入力ミス ・勘違い などが挙げられます。 本来、システム化していれば起こらないようなミスがほとんどで、初期投資こそかかるものの、システム化することでミス無く高速で処理が行なえます。
システム部門の強化
社内にシステム部門を用意し、すでにシステム部門がある会社は、その部門を強化することで残業が減らせます。 システム部門がある程度の権限と知見を持っていれば、各部門のシステム化を細かい単位で行うことが可能です。 前項の大規模なシステム化に比べて、根本的な解決には直結しないものの、徐々に各部門の負担が減ってくることで、次に大きなシステム化を行える様になるでしょう。
RPAの導入
多くの会社では 「誰にでも出来る単純作業」 というものがあります。 基幹システムからデータを参照して、会議資料を作ったり、前日までの不要なデータを削除してサーバーの容量をあけておく・・・など。 こういった誰でも出来る作業は、RPAを用いることで、自動的に処理できる可能性があります。 本来、システム部門がプログラミングスキルを有する場合は、RPAではなく直接システムを構築するほうが、OSを介さないため早いのですが、システム部門が育成できるまでの間はRPAを利用するなどで、負担を減らすことが可能でしょう。
資産管理ソフトの導入で強制的にPCを利用不可に
しっかりと業務負担を減らす事は必要ですが、それでも社員が残業をしてしまうケースもあります。 いくつか要因はありますが、 「日中の集中力が低い」 というケースも多いです。 残業すれば良いか・・・という気持ちで日中の業務を行っていると、どうしても生産性が下がってしまいます。 そんな時に、資産管理ソフトを活用して、強制的にPCの利用を制限してしまうのも一つの手段でしょう。 毎日21時にはPCロックをかけることで、それ以降の仕事ができない・・・となれば、日中に仕事を終わらせるために必死になって作業する人も多いです。 そうすることで、怠惰による残業を減らすことが期待できます。
残業を減らすことのメリット
残業を減らすことのメリット では、これらの方法で残業を減らすこと自体には、どのような意味合いがあるのでしょうか。
生産性の向上
同じだけの業務内容が短時間でこなせると、生産性が向上したことになります。 特に、前述したような怠惰による残業の場合には、同じだけの成果を短時間で出せる可能性は十分にありますので、会社としては大きなメリットがあるでしょう。
残業代の経費削減
残業代が減ることで、経費を削減できます。 ただし、イニシャルコストとしてシステムの導入などに費用を投じる必要性はあるかと思いますので、その経費を残業代の縮小によって徐々に回収する・・・というイメージになるでしょう。
従業員満足度の改善
ほとんどの人が、 「お金があって、仕事が終わっていれば残業なんてしたくない」 と考えるでしょう。 前述したような「家に居場所が無い」ケースは別ですが、それ以外の場合は無理に残業をしたい人はいないです。 そのため、残業が自然と減るような職場作りは、従業員満足度の向上に繋がります。 従業員満足度が向上することで、仕事中の精神的な余裕に繋がったり、それに伴って社内の雰囲気自体が良くなるなど、その効果は多岐にわたるでしょう。
離職率の低下
冒頭でもお話した様に、現在の平均残業時間は25時間程度と言われています。 ということは、それよりも圧倒的に低い残業時間を提示できれば、社員からすると 「他社よりも環境が良い会社」 という認識になります。 そのため、離職率そのものの低下が狙えるでしょう。 これからの時代は、多くの業界で人材不足となりますので、長く働いて、自社のやり方をきちんと覚えている重要な人材を手放さないためにも、残業時間の削減を目指すべきなのです。
若い世代の求人応募数の増加
若い世代ほど 「ワーク・ライフ・バランス」 を気にする人が多いです。 どれだけ高い給料を提示されても、プライベートを犠牲にして働くのは嫌・・・という人は驚くほど多いです。 そういった若い人材にとって、働きやすい会社というのは非常に高く評価されます。 そのため、将来的に会社を背負う人材の確保・育成が可能という非常に大きなメリットがあるでしょう。
本当の意味で「働き方改革」を行うならAMELAに
本当の意味で「働き方改革」を行うならAMELAに 現行の働き方改革は、上手くいっている会社とそうでない会社の差が非常に大きいです。 業務内容はそのままで、単純に労働時間だけを削ろうとすると、どこかにしわ寄せが来るなど、業務に支障が出るケースもあります。 そのため、本当の意味で働き方改革を行うのであれば、「システムの活用」が絶対条件になってきます。 AIやビッグデータの活用はもちろん有効ですが、現場の状況を改善するためにも、 ・手書き処理の削減 ・データの一元管理 ・RFIDなどの現場で利用するための仕組み などのように、地道な改善が必要になるでしょう。 働き方改革を本気で行う際には、是非AMELAにご相談頂ければと思います。