今話題のオフショア開発とは?意味や重要性・現状まとめ

今話題のオフショア開発とは?意味や重要性・現状まとめ

日本では、多くの企業が「DX部門」のように、DXのためのチームを設けて、社内全体をシステム化しようという動きが見られます。

しかし、システム開発には多くの費用が必要で、金銭的に苦労している企業様も多いことでしょう。

そんな時に「オフショア開発」という選択肢があると、安い金額でシステム開発が出来る可能性があります。

今回は、そんなオフショア開発について解説していきます。

オフショア開発とは

まずは、オフショア開発とは何かを解説していきましょう。

オフショアの意味

オフショア開発の「オフショア」とは、off(離れた)とshore(岸)を合わせた言葉です。

本来の意味としては「そこから離れること」という意味合いを持っていますが、業界や文脈によってその意味合いが変わってきます。

IT業界におけるオフショア開発の意味

IT業界におけるオフショアとは、一般的に「オフショア開発」と同義で使われます。

このオフショア開発とは「海外のエンジニアを使った開発」を意味しています。

一般的に、オフショア開発は人件費の安い海外のエンジニアをプロジェクトに参画させる事で、開発の単価を下げ、プロジェクト全体の費用を下げるために行います。

例えば、オフショアとして人気の高いベトナムの場合には、日本の半分~3分の1程度の単価でエンジニアを参画させることができます。

100万円をシステム開発に使用するとき、日本での開発の場合、1人が1ヶ月程度動くのが一般的です。

しかし、ベトナムで開発をする際には、
・2人が1ヶ月と1週間
・1人が2ヶ月半
程度動ける可能性があります。
(1人月が40万円の計算)

この差は、プロジェクトの規模が大きくなればなるほど、大きくなります。

このように、人件費の大幅なコストカットが出来るのが、オフショア開発なのです。

オフショア開発の歴史

オフショア開発は1970年ごろから、先進国から発展途上国に拠点を移すことで進められてきました。

日本でも、1980年頃から中国などに開発を移転する動きが見られました。

当時は人件費が安かった中国ですが、徐々に日本との賃金格差がなくなるとともに、主要なオフショア開発の委託先を、ベトナムやフィリピンといった東南アジアに移してきました。

現在は東南アジアに加えてインドが人気のオフショア先となっています。

オフショア開発の重要性

ここからは、オフショア開発の重要性について見ていきます。

日本のIT人材不足

オフショア開発の重要性の1つとして、「日本のIT人材不足問題」があります。

少子高齢化社会と言われて久しい日本ですが、2025年には日本人の5人に1人が後期高齢者(75歳)となります。

現役世代が徐々に減っていく昨今、多くの業界で人材不足が問題視されています。

特にIT業界は、かなりの人手不足と言われています。

政府の試算では、2030年には最大80万人の不足も想定されており、非常に深刻な状態です。

このIT人材の不足を解消するためにも、オフショア開発によって
「海外のIT人材を活用する」
ということが求められているのです。

また、今の時代は、
「短い納期で次々にシステム開発をする」
というのが重要視されています。

そうしなければ、ビジネスの時流に乗る事が難しいからです。

そのため、昔であれば10人月を
「2人で5ヶ月」
で開発できていたものが、今では
「4人で1.25ヶ月」
での開発を求められる様になっています。

同じ開発工数でも、人数をかける事で短期間での開発を進める事が重要視され、「アジャイル開発」などの手法が主流となっています。

もちろん、プロジェクトや作るものによって異なりますが、これらの「短期間での開発」も、日本のIT人材不足に拍車をかけているのです。

世界の多彩なエンジニアが採用できる

次に、オフショア開発が重要な理由として「多彩なエンジニアが採用可能になる」事が挙げられます。

今のIT業界は、一言で「エンジニア」と言っても、多種多様な職種に分かれています。

例えば次のようなものです。

・フロントエンドエンジニア
・バックエンドエンジニア
・フルスタックエンジニア
・データエンジニア
・クラウドエンジニア
・セキュリティエンジニア
・QAエンジニア

フロントエンドエンジニアとは、Webサイトのビジュアル部分を担当するエンジニアで、バックエンドエンジニアとは、サーバーサイドで動く仕組みを担当するエンジニアです。

そのため、Webサイト1つ作るにも、これらの2つの職種が一緒に仕事をする可能性があるのです。

フルスタックエンジニアとは、この2つの仕事の両方に携わり、また他の部分にも関与してくるような全般の知識や経験があるエンジニアの事です。

このように、細かいスキルセットによって、色々な呼ばれ方をするようになりました。

他にも、様々なデバイスの登場や、ブロックチェーンをはじめとした新しい技術の登場により
「〇〇の知見がある人を参画させたい」
と思った時に、日本のIT人材にはいない可能性が出てきます。

しかし、世界中に目を向ければ、多くの人材が特定の技術や知見を持っているエンジニアが見つかります。

こういった特定の技術や知見を持ったエンジニアを採用する上でも、オフショア開発は非常に大きな意味を持っているのです。

グローバル市場への参画

次に、グローバル市場への参画です。

日本国内の需要は、年々減少していくことが予想されています。

そのため、国内企業でも海外の市場に出ていくことが求められます。

そうした中で、
「海外で当たり前の仕様」
「海外の法律に合わせた仕様」
を日本人エンジニアが把握するのは困難です。

そんな時に、オフショア開発で海外のエンジニアを採用すれば、現地の人に合わせた開発も可能になります。

現地のエンジニアと相談しながら、現地向けの機能を開発していく。

それが可能なのが、オフショア開発なのです。

開発コストの削減

次に、開発コストの削減です。

オフショア開発では、日本のエンジニアよりも単価の安いエンジニアを採用することが容易です。

その国の物価が違う影響で、最低賃金が異なるので、どうしても日本人エンジニアは能力に関係なく高くなってしまいます。

一方で、ITにかける予算は多くの企業で限られています。

低コストで高品質のシステム開発をしようと思うと、どうしても海外のエンジニアを活用するオフショア開発が必要になるのです。

運用コストの削減

次に、運用コストの削減です。

近年は、24時間365日体制でのシステム運用が求められる事が多くなってきました。

例えばネットショップなどは、24時間購入が可能ですので、もしも業務時間外に止まってしまえば、機会損失になります。

業務用のシステムも、深夜に「夜間バッチ」と呼ばれる業務時間外にデータの集計などを行う仕組みがあります。

こういった仕組みを運営するのに、24時間365日のシステム稼働が求められるのです。

しかし、このシステム運用に対して常に2人体制で行った場合。

24時間を8時間で割ると3チーム必要となります。
(シフトの重複などを考えないものとします)

そして、時給が1500円だとしても、深夜帯の人は深夜手当がつくので

1500円 × 8時間 × 1.25 = 1.5万円

かかる計算になります。

単純計算で、月に45万円の費用が必要になります。

専門的な知見が必要な業務の場合、時給はもっと上がります。

そのため、維持費が非常に高くなってしまう可能性があるのです。

一方で、オフショアによって海外のエンジニアを運用体制に入れる場合、時差の影響で日本の深夜が深夜手当対象外になる可能性があります。

極論、地球の裏側の都市であれば、昼夜が反対なので、日本の深夜は向こうの昼になるのです。

そうなれば、チームを世界各地に分散させることで、常に日勤で24時間体制を作ることが可能です。

加えて、人件費の安い国に委託する事ができれば、単価自体も下がります。

このように、日本国内だけでは無理のある運用体制も、海外を視野にいれることで達成することが可能となります。

オフショア開発の現状

続いて、オフショア開発の現状について見ていきましょう。

オフショア開発は、前述した様にかなり以前から挑戦されてきた開発手法ですが、近年になって更にその動きは活発になってきました。

前項で述べた「システムの運用体制」にも、オフショアの考え方が用いられるようになったのも、ここ数年の話です。

特に直近で多くの企業が注目しているのが、
「DevOps」
という考え方です。

DevOpsとは、運用であるオペレーションと開発であるディベロップを合わせた単語で、運用保守と開発を1社がサービスとして担っていく体制です。

例えば、大手企業の中で部分的に業務の運用を自社が請け負っていたとします。

これらのチームを統合し、複数の部署の運用業務をまとめ上げていきます。

その後、各運用チームから挙がってきた修正依頼やバグの報告を元に、そのお客様専用の開発チームに依頼する。

開発と運用のチームが同じ会社でありながら、お客様の各部署にチームとして点在しているようなイメージです。

このDevOpsのお客様側のメリットは1つの会社が複数部署の運用を担ってくれるので、長期的に見た時に運用コストを下げられたり、まとめられたりします。

請負側のメリットとしては、安定した仕事をもらえる点に加え、同じ会社での運用チームと開発チームなので、シームレスな開発が可能になりますし、ルールを社内で統一することで、コスト削減にも繋がります。

オフショア開発を絡めて、このDevOpsを行っていくのが、ここ数年でのオフショア開発の大きなトレンドの1つとなっているのです。

他にも、ここ数年でBPOという考え方も広まってきました。

BPOとは、ビジネス・プロセス・アウトソーシングで、運用保守体制全体を委託する様なサービスで、こういった流れも相まって
「コア業務以外はできるだけ安く委託したい」
という需要が高まっている事がわかります。

こういった動きの中でも、オフショア開発は常に必要とされているのが現在のIT業界なのです。

オフショア開発の将来性

ここでは、オフショア開発での将来性について見ていきましょう。

オフショア開発は、まだまだ将来性のある手法です。

その大きな要因が
「日本語」
です。

多くの企業がオフショア開発に興味があるものの、中々手を出せずにいます。

その大きな理由が「言語の壁」です。

特に日本語は、外国人からしても難しい言語の1つと言われていますし、反対に日本人も英語に苦手意識を持っています。

そのため、アメリカ企業がオフショア開発として海外のエンジニアを採用するよりも、日本企業がオフショア開発をする方が、圧倒的にハードルが高いのです。

これらの理由から、まだまだ日本ではオフショア開発が拡がっておらず、将来の伸びしろも多いです。

オフショア開発ならAMELAに

今回は
「オフショア開発とはなにか」
について見てきました。

オフショア開発という言葉自体は一般的になってきましたが、まだまだ安心して依頼できる企業は少ないのではないかと思います。

オフショア開発では、失敗の事例も見られ、しっかりとした体制を用意しなければ失敗してしまうリスクもあります。

こちらの記事も参考にしてください。
【成功の鍵】オフショア開発には、問題点も多い?失敗・問題点10選

AMELAでは、日本国内でのオフショア開発の実績も多く、また専任のITコンサルタントも在籍しています。

しっかりとしたヒアリングと、万全の開発体制で、御社のシステム開発をオフショア開発でサポートします。

是非、お気軽にご相談ください。