BIツールはいらない?BIツールを活用するメリット・デメリット、導入時のポイントを解説

BIツールはいらない?BIツールを活用するメリット・デメリット、導入時のポイントを解説

近年は国内でも、企業のDX化が推進されており、さまざまな業務にITシステムが活用されています。

中でもBIツール(Business Intelligence tools)は、各部署に蓄積された情報を集約管理し、高度な分析を施すことで、課題の早期発見・解決や企業の意思決定に役立つシステムとして注目されています。

既に多くの企業がBIツールを活用していますが、一方でBIツールの導入に否定的な声も耳にします。

「BIツールはいらない」という意見には、どのような理由があるのでしょうか。

この記事では、BIツール活用のメリット・デメリットを通して、BIツールが本当に必要なのかを解説します。

合わせて、導入・活用時に気をつけたいポイントについても解説するので、BIツールの導入に不安を持つ方は、参考にしてみてください。

そもそもBIツールとは

BIツール(Business Intelligence tools)とは、社内に散らばった情報を一元管理し、分析することで、現状把握や課題解決に役立てるシステムです。

ツールを用いて膨大な情報を分析して、円グラフのように分かりやすい形に出力することで、企業活動を支援するツールがBIツールと呼ばれます。

現在、多くの企業では部門ごとに専門のツールを使用しており、例えば
「営業では、営業支援システムや顧客管理システム」
「マーケティング部では、マーケティングオートメーションツール」
などを活用しています。

これにより情報が各部門に独立して蓄積され、企業全体の現状が把握しづらいという問題が発生しており、課題発見・解決の障壁となっています。

BIツールは、このように分散した情報を繋ぐ役割を担うのです。

BIツール活用のメリット

企業がBIツールを活用することで、多くのメリットを得られます。

ここでは、BIツール導入による主要なメリットである「情報集約」「分析精度の向上」「高度な意思決定」について解説します。

社内の情報を集約できる

部署ごとにデータを管理しているため、現状把握が困難になっている企業は少なくありません。

また、ひとつの部署でも複数のシステムに情報が分断されていることも往々にしてあります。

例えば、社内で内製している基幹システムに、商品購入時の顧客情報が入っていたとします。

一方で、マーケティング部が同じユーザーに、事前に商品サンプルを発送していたため、マーケティング部の顧客管理ツールにも、同じ人の情報が残っていたとします。

この様な場合、本来なら顧客の動きとして
「商品サンプルを取り寄せて、良かったから商品を購入した」
という事になります。

店舗に直接来て、良さそうな物をいきなり購入した場合と、本来ならマーケティングや営業の施策は明確に分かれるべきです。
(他の商品サンプルも取り寄せていた場合など、興味のある商品の情報が取れる可能性があるため)

しかし、実際には同じユーザーがマーケティング部のシステムと基幹システムの両方に入っているにも関わらず、そのユーザーが同一人物であるということを紐づけ出来ていないケースが多いのです。

BIツールを導入すれば、こうした状況を解決することが可能です。

部署ごと、システムごとに分散している情報を集約して、より広い視野での現状把握を実現できます。

BIツールには加えて、情報の収集・整理にかかるコストを削減するというメリットもあります。

従来の業務では、システムから出力されたデータを、また別のシステムを用いて集計・整理する必要がありました。

手作業の工程が多く、時間がかかる上に人為的なミスも発生しがちです。

こうした業務をBIツールで自動化すれば、情報整理のコストを削減できます。

情報分析の精度が向上する

BIツールは部署を横断した情報分析を可能にするため、価値のあるデータを素早く見つけられます。

より広い視野での情報分析によって、分析精度が向上します。

前述の例のように、1つの部署で管理されているデータと、他部署で管理しているデータが紐づく事で、
・1人1人の顧客の動向
・多くの顧客の動きの傾向
・返品率が高い顧客の傾向
などが明らかになる事が多いのです。

また、ツールを用いて分析結果を可視化することで、課題の早期発見・解決にも結びつきます。

企業の意思決定に役立つ

BIツールは、最終的には企業の意思決定に役立てることが目標です。

現状を把握できていなければ、課題を明確にするのは困難です。

また、専門的なツールを用いて高度な分析をおこなったとしても、決裁権を持つ人員が内容を理解できなければ意味がありません。

そこでBIツールを活用して、横断的な情報に裏付けられた分析結果を、グラフなどの分かりやすい資料に出力することで、迅速で的確な意思決定を可能にします。

「BIツールはいらない」と言われる理由

社内に分散した情報を集約し、高度な分析とグラフ作成が可能なBIツール。

しかし「BIツールはいらない」という意見が多いのも事実です。

各部署で独立して稼働しているシステムからデータを出力し、表計算ソフトで分析すれば十分だとする主張は根強く、BIツール導入の障壁となっています。

ここでは、そうした「BIツールは必要ない」という意見の主な根拠を見ていきましょう。

導入コストが高い

まず挙げられる理由が、BIツールの導入によって発生するコストが高いというのもです。

システム導入時には、金銭的なコストだけではなく、カスタマイズや運用ルールの作成、他システムとの連携など、さまざまなコストが発生します。

また運用・保守にまつわる、継続的なコストも必要です。

ソフトによっては、アカウントの数だけ毎月のランニングコストがかかることがあり、長期的に見た時に、かなりの費用がかかる事になります。

こうしたコストに見合った効果が得られるのか疑問視して、BIツールは必要ないとする意見が多いです。

ツールを使いこなせない

次に、BIツールを使いこなせないという意見もあります。

これは一度はツールを導入したものの、満足できる成果が得られなかったことで挙げられることが多いです。

当然ですが、BIツールも他のシステムと同様、使いこなすためには専門的なスキルが求められます。

また、社内に利用が定着しなければ、導入した意味がありません。

高いコストを払って導入したけれど、BIツールをうまく活用できなかった事例は多々あります。

こうした失敗の理由としては、システムの導入目的が明確でなかったことや、現場の状況を把握せず、トップダウンで導入を進めたといったものが多く、BIツールの活用には、さまざまなハードルが存在します。

また、専門的な分析が出来る人材が育成できない場合にも、この問題が起こります。

施策に結びつかない

最後に、BIツールを導入しても、それが施策に結びつくとは限らないという意見です。

BIツール活用の最終目的は、情報の集約や分析ではなく、迅速な意思決定にあります。

有用な情報がない場合や、導入目的があいまいな場合は、BIツールを用いても施策には結びつかず、成果が出ていないと考えてしまいます。

BIツールは「有用な情報がある」というのが活用の前提となります。

そのため、スタートアップ企業のような、情報の蓄積が少ない現場において、BIツールはあまり効果を発揮しないでしょう。

BIツールはあくまでも企業活動をサポートするもので、導入しただけで状況が大きく変わることはありません。

こうした目的の「ズレ」によって、BIツールはいらないという意見が発生しがちです。

それでもBIツールを活用するべき理由

ここまで、BIツールへの否定的な意見を見てきました。

BIツールは必要ないという意見をまとめると、やはり「ツールを使いこなせていない」ことが分かります。

では、導入コストが高く、使いこなすのが難しいBIツールを活用すべき理由とは何でしょうか。

将来的には必要になる

まず、情報が分散して蓄積されていることは、将来的には確実にマイナスとなる点です。

近年は日本でもDX化の必要性が広く認知され、DX化に取り組む企業も増えていますが、そこで障壁となるのが、社内の情報が散らばっていることと、分析を手作業でおこなっている状況です。

企業のDX化は、将来的に避けられないものであるため、コストを掛けてでもBIツールを導入し、部署ごとを横断して情報を整理・分析する必要があります。

やはり活用メリットは大きい

そしてBIツールは、課題を早期に発見し、高度な意思決定を実現する強力なツールです。

ツールを活用することで、社内の状況をリアルタイムで把握し、素早い行動ができるようになります。

このようにBIツールは、ある程度のコストを支払ってでも活用すべきツールなのです。

「BIツールはいらない」と感じる方も、ツールの「使いこなし」について考えてみると良いでしょう。

BIツールを運用する際のポイント

ここまで見てきたように、BIツールは、企業の意思決定をサポートする強力なシステムですが、使いこなすのが難しいのも事実です。

そこで、BIツールの導入・運用をする際に、注意したいポイントを解説します。

導入目的を明確にしておく

まずは、BIツールを活用してどのようなことを実現したいのか、システム導入の目的を明確にしておくことが重要です。

現在BIツールには、大企業で活用されるものから小規模な現場に適応するものまで、多種多様な製品が登場しています。

また、ベンダーにBIツールを開発・カスタマイズしてもらうこともできます。

ここで重要なのが、自社の現状と目的にあった製品を選ぶことです。

導入目的をあらかじめ言語化しておくと、ツール選定やベンダーとの打ち合わせがスムーズに進み、自社のニーズにあったBIシステムの導入が可能となります。

あらかじめ情報を整理する

分析対象となる情報の品質が低かったり、情報がほとんど整理されていなかったりと、BIツール活用の障壁となる状況は多々あります。

データの品質が低ければ、いくら高度なツールを用いて分析をしても、有用な結果は得られません。

また、情報がまったく整理されていない場合、ツール導入時の業務コストは非常に高くなってしまいます。

そのため、BIツールを導入する前に、入力ルールの選定をはじめ、あらかじめ情報を整理しておく必要があります。

運用ルール・社内教育の充実

せっかくBIツールを導入しても、社内に定着して利用されなければ意味がありません。

何を目的として導入するのか、そして導入後にどのように運用していくのか、社内に周知し、ルールを策定することが重要です。

またBIツールの運用には一定以上のスキルが求められるため、社内教育を充実させることも大切です。

現在は、高度なスキルを持たずとも扱える製品が登場しているため、社内のITスキルと教育コストを把握したうえで、導入するツールを選ぶことをお勧めします。

データの活用ならAMELAに

今回は、世間的にBIツールがいらないと言われる理由を見てきました。

BIツール自体は、非常に有効なもので、上手く活用できれば売上アップや経費削減に大きく貢献します。

しかし、実際に多くの企業が出来ていない。

その1つの原因としては
「どの様に活用できるのかのイメージが出来ない」
ということです。

そのため、もしも現状BIツールの利用を検討中の方は、是非一度AMELAにご相談ください。

AMELAでは、専任のITコンサルタントが、今の状況を丁寧にヒアリングしていきます。

どういう問題があり、それがどのようにBIツールなどの分析によって改善できるのか。

その具体的な効果が理解できるようなご提案をしていきます。