資金調達がうまくいかない理由と失敗しないためのポイント
企業運営を自己資金だけでおこなうのは、あまり現実的なことではありません。 特に企業を立ち上げたての頃は、外部から資金を調達する必要に迫られることが多いです。 しかし、中には資金調達がなかなかうまくいかないケースもあるでしょう。 そこで、この記事では資金調達がうまくいかない理由や、資金調達で失敗しないポイントについて解説します。 資金調達でお悩みの方は、参考になると思いますのでぜひ最後までご覧ください。
資金調達がうまくいかない7つの理由
資金調達がうまくいかない理由は、次の7つです。
- 初期に株式を放出し過ぎてしまう
- 金融商品取引法にひっかかってしまう
- 投資契約書の内容が理解できていない
- 投資家のファンド償還期限が来てしまう
- 投資家の質問に対して適切な回答ができていない
- 銀行の常識を理解していない
- 会計が複雑になっている
資金調達がうまくいかない理由を把握することで、失敗を避けられるようになります。 では、それぞれについて見ていきましょう。
1.初期に株式を放出し過ぎてしまう
株式は、資金調達の手段としてはメジャーです。 しかし株式を放出しすぎると、結果的に投資家が大多数の株式を保有し、雇われ社長のような状態になってしまう恐れがあります。 投資を持ちかけてくる人の中には、初めから企業を乗っ取ろうと考えている人もいるため、盲目的に信用してしまうのは危険です。
2.金融商品取引法にひっかかってしまう
金融商品取引法では、資金調達を募集する際に有価証券届出書や通知書を財務局に提出する必要があることが定められています。 しかし、そのことを知らずに金融商品取引法に違反してしまい、結果として将来の上場の道が閉ざされてしまうことが珍しくありません。 ただし、募集行為にならない私募形式での資金調達活動は、金融商品取引法に引っかかることはありません。
3.投資契約書の内容が理解できていない
投資契約書の内容が理解できていないと、思いもよらないトラブルが起きてしまう恐れがあります。 たとえば、投資契約書に経営上の自由度を奪ったり、判断のスピードを低下させてしまったりするような条項が設定されていることがあります。 このように経営に重大な影響を及ぼすようなデメリットが含まれている可能性があるため、投資契約書の内容の確認は慎重になるべきです。
4.投資家のファンド償還期限が来てしまう
ベンチャーキャピタルなどが運営するファンドでは、投資された資金を満期時に利益をつけて償還しなければなりません。 そして償還期限が来たタイミングで資金に余裕がない場合は、事業を売却したり、株式を購入したりしなければならなくなります。 そのようにして対応できればいいのですが、それができない場合、倒産に追い込まれるリスクもあります。
5.投資家の質問に対して適切な回答ができていない
投資家は、当然ながら投資で損をすることを避けたがります。 そのため、本当に信頼ができたり、将来的に成長しそうだったりする企業にしか投資をしません。 しかし投資家の質問に対してあいまいな回答をしてしまったり、余計な説明を付け加えて印象を悪化させてしまったりした場合、資金調達できる可能性は低くなります。 自社の将来性の高さを理解してもらうためにも、事業プランを明確にしたり、現実的な資金返済計画を提示したりすることは必須です。
6.銀行の常識を理解していない
銀行の常識から逸脱したことをすると、信用を得にくくなります。 たとえば個人事業主から法人成りする際に、同じ業種であるにもかかわらず個人の資産や負債を引き継がない新企業は、銀行としては「何か裏があるのではないか」という違和感を覚えます。 そのため、銀行からの不信感を買ってしまいそうなときは、納得させられるような説明をすることが大切です。
7.会計が複雑になっている
会計が複雑でわかりにくい企業は、銀行から嫌われます。 ありがちなのは、企業を複数に分けているケースです。 この場合、グループ全体で利益が出ているのかどうかわかりにくくなります。 合算バランスシートなどの補助資料があればいいのですが、そのようなものがない場合、本来得られたはずの融資のチャンスを逃すことになる恐れがあります。 銀行側に企業の状態が明確に伝わるよう、資料作りには手間をかけるべきです。
資金調達後によくある4つの失敗
資金調達ができたからといって、安心してはいけません。 資金調達後にも、落とし穴は潜んでいます。 それが、次の4つです。
- 広告にコストをかけるタイミングを間違えてしまう
- コストをかければいい人材が集まると思ってしまう
- 人を増やせば業績が伸びると勘違いしてしまう
- 安易に固定費を上げてしまう
せっかく資金の調達ができても、無駄にしてしまったら苦労が台無しです。 そうならないよう気をつけましょう。
1.広告にコストをかけるタイミングを間違えてしまう
いくら広告費をかけても、自社のプロダクトやサービスに魅力がなければ売り上げは立ちません。 そのため、焦って広告費にコストをかけても無駄になってしまう恐れがあります。 広告費にコストをかけるよりも先に、プロダクトやサービスの質を上げることで初めてコンバージョンにつながるでしょう。
2.コストをかければいい人材が集まると思ってしまう
報酬を高く設定することは、いい人材を獲得するための手段のひとつではありますが、それだけで必ずしも成果がでるわけではありません。 人材を採用できたとしても、思ったよりも能力が低かったり、自社のビジョンとのズレがあったりで満足のいく結果にならない可能性があります。 したがって、自社のビジョンやミッションを言語化し、自社にとってのいい人材とは何かということを示す評価軸を作り込んだうえで採用活動をすることが大切です。
3.人を増やせば業績が伸びると勘違いしてしまう
事業を大きくする際に、人員を増やすことはよくあることです。 しかし、闇雲に人員を増やすだけでは、事業拡大につながることはありません。 そのため、状況に応じて必要な人材を採用するというセオリーから外れないように気をつけましょう。
4.安易に固定費を上げてしまう
固定費には、人件費やオフィス代などがあります。 そして固定費は、一度上げてしまうとなかなか下げることが難しいです。 したがって、固定費を安易に上げてしまうのは危険です。 固定費の許容範囲については、先輩起業家などに相談して決めるのがいいでしょう。
資金調達で失敗しないための7つのポイント
資金調達で失敗しないためのポイントは、次の7つです。
- 事業計画に合わせて資金調達計画を立てる
- 創業初期には株を放出しすぎない
- ファンド償還期限の確認をする
- 投資契約書を弁護士に確認してもらう
- 融資担当者との日常の接触を大切にする
- 資金の貸し手側の心理を把握する
- 企業の情報は正しくかつ積極的に開示する
これらを意識できれば、資金調達が成功する可能性はアップするでしょう。 では、それぞれについて解説します。
1.事業計画に合わせて資金調達計画を立てる
事業ステージによって適切な資金計調達方法は異なるため、資金調達計画はしっかりと立てる必要があります。 それを怠ってしまうと、以下のような失敗を招く恐れがあります。
- 設立から間もない企業を支援してくれるエンジェル投資家に頼ったが、株式を高い比率で持たれてしまった
- 創業者同士の衝突で解散したが、株式を握られたままになってしまった
2.創業初期には株を放出しすぎない
株式を放出しすぎると、自社の持ち株比率が下がり、企業を投資家に乗っ取られてしまう危険性があります。 そうなると、今後の資金調達も難しくなります。 したがって、自社にとって不利な資金調達とならないように株式の発行部数を調整しましょう。
3.ファンド償還期限の確認をする
先述のとおり、ファンドには償還期限があり、資金の償還ができない場合事業売却や株式の購入を迫られることがあります。 そのため、ファンド償還期限はきちんと把握したうえで、それまでに償還資金を得られるように計画を立てる必要があります。
4.投資契約書を弁護士に確認してもらう
投資契約書には、先述のとおり企業にとって不利な条項が盛り込まれている可能性があります。 そのことに気づかないと、不測の損失を被る恐れがあるため、投資契約書を法律のプロである弁護士に確認してもらいましょう。 そうすることで、トラブルの回避ができます。
5.融資担当者との日常の接触を大切にする
銀行の融資担当者も人間であるため、日常の接触を大切にすることで印象がよくなり、融資を受けられる可能性が上がります。 できれば、あなたの方から積極的に銀行に顔を出しましょう。 気負うことはなく、簡単な雑談でもいいので、コミュニケーションを取ることが大切です。 面倒かもしれませんが、資金調達を成功させたいのであれば、ぜひトライしてみてください。
6.資金の貸し手側の心理を把握する
資金の貸し手側の心理を把握することで、有効なアピールが可能となります。 たとえば、資金の貸し手側は次のようなことを考えていることが多いです。
- お金を貸すことで利益を得たい
- 貸付金は必ず回収したい
- 期日通りに貸付金を返して欲しい
このように相手のニーズが捉えられていれば、相手の信用を勝ち取るためのアピール方法が見えてくるはずです。 そしてその根拠は、資料を用いるなどして信ぴょう性を持たせることで、より資金の調達がしやすくなるでしょう。
7.企業の情報は正しくかつ積極的に開示する
資金の貸し手側としては、企業の情報が明らかになっている方が信頼しやすいはずです。 そのため、企業の情報は正しくかつ積極的に開示しましょう。 自社の経営状態を適切に示せる資料があれば、より有効です。
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