データサイエンティストの仕事はなくなる?その理由と将来を解説
さまざまなビジネスシーンでビッグデータの活用が進む現在、ビッグデータを専門に扱うデータサイエンティストの需要は非常に高くなっています。
AI技術の発達に合わせて注目度が増し、ビッグデータ市場が拡大を続ける中で、データサイエンティストという仕事の重要度も上がっています。
その一方で、データサイエンティストの仕事は将来的になくなると予想する人々もいます。
市場が拡大するなか、なぜ仕事がなくなるのか、そして、その根拠とは何でしょうか。
この記事では、データサイエンティストの仕事が本当になくなってしまうのか、理由と将来性について解説します。
合わせて、今後もデータサイエンティストとして活躍していくためにやっておきたいことについてもみていきましょう。
データサイエンティストとは
まずは、データサイエンティストの仕事内容と現在の需要を確認していきましょう。
データサイエンティストそのものの詳細な情報は下記も参考にしてみてください。
データサイエンティストの仕事内容
データサイエンティストとは、ビッグデータを分析することで、有用な知見を発見し、経営上の課題解決や経営者の意思決定などに役立てる職業です。
データサイエンスという分野は以前からありましたが、職業として広く注目されるようになるのは、深層学習やAI開発などが発達してからです。
IT技術が世界中に広がったことで、ビジネスにおけるデータ分析の重要性が高まり、そのプロフェッショナルとして、データサイエンティストが活躍しています。
データサイエンティストの現在の需要
現在のデータサイエンティストの需要は、非常に高いと言えます。
それはIT技術の発達により、ビッグデータ市場が拡大を続けているからです。
しかし、市場の拡大に対して人材育成が間に合っていないという問題もあります。
これからのAI時代に対応するため、日本政府は高度なITスキルを持った人材の育成に注力しています。
データサイエンスの成長を、国家が支援していることも、需要増加に繋がっています。
次に、データサイエンティストの年収についてみてみましょう。
データサイエンティストの平均年収は約694万円で、高いところでは1,200万円を超えています。
さまざまな職業のあるIT業界でも、データサイエンティストの収入は特に高い傾向にあります。
(参考「求人ボックス」:https://xn--pckua2a7gp15o89zb.com/)
「データサイエンティストはなくなる」といわれる理由
現在のデータ社会にとって不可欠なデータサイエンティストですが、一部では
「将来的に仕事が無くなる」
と言われています。
この主張には、どのような理由があるのでしょうか。
ここでは、データサイエンティストがなくなる根拠として、よく挙げられるものを解説します。
AI技術の発達
技術が発達することで、AIがデータサイエンティストの仕事を無くすという見解です。
一般的に、AIが取って代わる仕事というのは、事務作業やコーディングといったもので、高度なスキルを活かす職業が対象とされることは少ないです。
しかし、このままAI技術が発達し続ければ、データサイエンスをはじめ、プロフェッショナルな職業も無くなるとされています。
例えば、ChatGPTでも言語と細かく仕様を指定すれば、コーディングをしてくれて、そのままコピペでプログラムを作ることも可能ではあります。
(精度や仕様の伝え方の難しさは別にして)
ビッグデータ分析の目的は、これまで見えなかったデータ間の関係を発見し、未来予測に役立てるというものです。
細かく見れば
・まずはAという分析をしてみて、データの特徴があるかを確認する
・次にBという分析をしてみて、データの特徴があるかを確認する
・特徴がある分析手法を見つけたら、特徴的なデータを元に、過去の事例から見て取れる事を分析する
というような手順が行われるとすると、これらを自動化してしまえば、AIでもビッグデータの分析が可能であることになります。
こうした作業をAIが代替することで、データサイエンティストの仕事がなくなると予想されています。
職業としての役割があいまい
データサイエンティストという職業が注目を集めるようになったのは、ごく最近のことです。
そこで問題となるのは、この名前で呼ばれる職業がどのような役割を担うのか、いまいちはっきりしていないという現状です。
例えば、
・データの収集
・データの分析
・分析用のシステムの開発
・A/Bテスト
・ビジネス洞察
など、幅広い仕事がある反面、企業によってその定義が異なってくるのが現状です。
そして、データサイエンスに関連する職業には、データアナリストやビッグデータエンジニア、機械学習エンジニアなどがあり、役割の細分化が進んでいます。
結果的に、データアナリストと、データサイエンティストの分析業務が重複していたり、機械学習エンジニアとデータサイエンティストの分析用のシステム開発が重複したりします。
そのため、将来的には「データサイエンティスト」という名称の職業はなくなり、各々がより専門性を高めた職業に移行するとされます。
また、データサイエンティストの役割が不明確なことは、企業と人材とのミスマッチにもつながります。
データ分析を得意とするデータサイエンティストに対して、企業は高度なデータ管理能力を期待するといったすれ違いが、すでに発生しているのです。
この点からも、今後は業務の細分化が進み、「広く浅く」のデータサイエンティストではなく、ひとつのスキルを深めた人材が求められるようになるでしょう。
まとめると、データサイエンスの需要はなくならないけれど、職業の名称としてのデータサイエンティストはなくなり、より専門的な職業に細分化されると予想されています。
高度なスキルが求められる
データサイエンティストは、プログラミングやアルゴリズム、データベースなどの幅広いITスキルに加え、データ解析、統計学など、多用なスキルが求められる職業です。
データサイエンティストとして活躍するためには、各分野についての深い理解が不可欠ですが、習得には膨大なコストがかかるため、市場拡大の反面、目指す人が減っていくのではないかとされています。
日本をはじめ、世界中の国家がデータサイエンス人材の育成に努めていますが、学習コストの高さから、間に合っていないのが現状です。
また、日本では
「人材の育成にお金を払う」
事へのハードルの高さが、企業や政府にあります。
例えば、経済産業省「経済産業省の取組」(令和4年9月)によると
日本企業の人材投資額(OJT以外)は国内総生産(GDP)比で0.1%
アメリカ:2.08%
フランス:1.78%
ドイツ:1.2%
イタリア:1.09%
イギリス:1.06%
と、諸外国と比較しても、10倍以上の差が生まれています。
費用はかけないのに、高いスキルは求められる。
こうなってくると、将来的に人材がいなくなり、その職業自体が成立しない可能性も出てくるでしょう。
淘汰が進み、業界が衰退する
次に、データサイエンティストとして活躍するための要求スキルが非常に高いという問題もあります。
企業が求めるスキルレベルに到達している人材が少なく、案件に応募できる人もなかなか現れないという状況が続いています。
しかし、人材育成が進むことでデータサイエンスの求職者が増加した場合、供給が需要を上回ることも予想されます。
その場合、高度なスキルを持つ一部の人材だけが生き残り、それ以外の人材は淘汰されてしまうのです。
一見すると当然のことのように思えますが、一握りの人材が活躍するなか、実績を積む機会のない人材が増加すると、結果としてビッグデータ業界の衰退を招くことになります。
データサイエンティストはすぐにはなくならない
ここまで「データサイエンティストの仕事がなくなる」といわれる理由について解説しました。
ですが、これはどれも未来予想であって、データサイエンティストの仕事がすぐになくなることはありません。
ここでは、その根拠をいくつか説明します。
AIはまだ十分に発達していない
まず「AIに仕事をとられる」という主張についてですが、現状のAIはまだ、データサイエンスの業務を代替できるほどには発達していません。
以前までは、AIが人類を完全に越えるといった予想が信じられていましたが、現在ではそうした考えは疑問視されており、データサイエンスのような、高度な知的スキルが要求される仕事をAIがこなすのは難しいとされています。
将来的には、AIはデータ解析を進めるツールのひとつという位置に収まり、スキルを持ったデータサイエンティストの仕事が消えることはないでしょう。
データ分析の市場は拡大中
日本国内においても、企業から自治体まで、政府主導のDX化が進んでいます。
今後はIT技術による活動がさらに活発になり、ビッグデータを活用するシーンも増加していきます。
そのため、データ分析の市場は成長を続けていくことが予測されており、データサイエンティストの需要がなくなることは考えにくいのです。
特に今の日本では、国内をターゲットにする場合、
「売れない時代に、どのように買ってもらうのか」
ということは非常に重要な問題です。
その問題解決の1つがデータサイエンスに期待されていることでもあります。
これからの時代は、あらゆる場面でビッグデータの重要性が高まっていくため、データサイエンティストの活躍するシーンは広がり続けるでしょう。
大学・団体が人材育成に注力
データサイエンティストは
「高度なスキルが求められる・人材不足で業界が衰退する」
ことでなくなるといわれていますが、そうした事態を回避するためにも、さまざまな団体が人材育成に注力しています。
大学ではデータサイエンスを専門とする学部・学科が数多く立ち上げられ、企業の勉強会やコミュニティも増加しています。
さらに、一般社団法人データサイエンティスト協会が発足したことで、役割の明確化やスキルの整理、教育プログラムの作成、人材支援などが進み、業界の活発化が進みました。
このような取り組みによって、将来的には高度なスキルを持った人材が育ち、ビッグデータ業界の地位向上、および活性化が続くでしょう。
将来、データサイエンティストが仕事を失わないためにしたいこと
将来的にデータサイエンスの需要がなくなることは考えにくいのですが、変化の激しいIT業界においては、やはり人材の淘汰が起こりがちです。
環境に適応して、仕事を失わないためには、どのようなことができるのでしょうか。
スキルを高め続ける
まずは、データサイエンスのスキルを高め続けることです。
この分野はまだ発展途上にあるため、他のIT分野よりも変化が激しく、日々、新しい技術が生まれています。
最新の成果や事例を集め、情報をアップデートし続けることが大切です。
データサイエンスは団体の支援もあり、数多くの勉強会や学会が開催されているため、そうしたものに参加することも有効です。
開発を業務内容に含めたデータサイエンティストを目指す
データサイエンティストの業務内容が多岐に渡ることを説明しましたが、その中でも特に「開発」に関しての知見を深めておくと、IT業界の他の職種を目指す場合にも、役に立ちます。
一般的に、1つの言語を深く理解できれば、他の言語を学習するコストは低いと言われており、データサイエンティストをしながら、その中で開発業務も行っていれば、仮に他の言語を必要とする別の職種への転向は難しくないでしょう。
IT以外にも幅広い知識を習得する
データサイエンティストの多くは、ビッグデータ分析から、ビジネスに活かすことのできる知見を得ることを目的としています。
そのため、ITに限らず、マーケティングや経営戦略といった、ビジネススキルを身に付けていることも大切です。
幅広い知識を持つことで、たとえAIが業務の大部分を代替したとしても、データサイエンティストとして生き残ることができるでしょう。
データサイエンスのご相談はAMELAに
今回は、データサイエンティストの将来について触れてきました。
将来的にIT業界がどの様になるかは、誰にも想像がつかないでしょう。
しかし、現状言われているリスクを理解した上で、将来のキャリアを選択するというのは、非常に重要なことです。
また、現在社内でのデータサイエンティストの育成を検討中の企業様は、是非一度AMELAにご相談ください。
AMELAでは、IT人材派遣を行っておりますし、システムの開発実績も多数あります。
データサイエンティストを活かすためのデータの収集の相談から、分析のためのツール開発まで幅広いご提案をさせていただきます。