SPA開発とは？仕組みや特徴、メリットとデメリットについて解説
SPA開発は、近年WEBアプリケーションの分野で急速に広まっている革新的な手法です。
SPAは従来の多ページアプリケーションとは異なり、一つのHTMLページをロードした後に、その後のページ遷移やデータの更新をJavaScriptを使っておこないます。
誰もがWEBアプリを利用する現代において、SPAを活用することで、ユーザーにとって新しい体験ができる可能性があります。
今回は、そんなSPA開発の基本的な仕組みや特徴、メリットとデメリットについて解説します。
SPAとは
SPAとはSingle Page Applicationの略称です。
SPAはWEBアプリケーションの一種で、従来の伝統的なWEBアプリケーションとは異なる特徴を持っています。
従来のWEBアプリケーションは、ユーザーがページをリクエストするたびにサーバーから新しいページを受け取り、全体のページがリロードされる仕組みでした。
しかし、SPAでは最初に一つのHTMLページをロードした後、その後のページ遷移や情報の更新はJavaScriptを使っておこないます。
つまり、新しい情報を表示する際にページ全体をリロードする必要がないのです。
SPA開発とは
SPA開発は以下のステップを踏んで実施されます。
プロジェクトの設計とプランニング
アプリケーションの目標や要件を明確にしてデザインや開発の方針を決定します。
どのフレームワークやライブラリを使用するか、データのフローをどのように設計するかを決定します。
フロントエンド開発
SPAにおいて、コードの実行はクライアントサイドでおこなわれます。
HTML、CSS、JavaScriptを使ってユーザーインターフェースをデザインし、SPAの動作を実現します。
バックエンド開発
SPAはバックエンドとのAPI通信を利用してデータの取得や送信をおこないます。
バックエンドはデータベースや他の外部サービスと連携し、必要なデータを提供するためのAPIを提供します。
ルーティング
SPAではページ遷移をURLのフラグメントによって管理します。
ルーティングシステムを実装して、URLの変化に応じて対応するコンポーネントを表示することが一般的です。
テスト
開発したSPAをテストして、動作の確認やバグの発見と修正をおこないます。
デプロイ
開発が完了したSPAをWEBサーバーやクラウド上にデプロイして公開します。
ユーザーはブラウザを介してアプリケーションにアクセスできるようになります。
SPA開発はモダンなWEBアプリケーションの開発において一般的であり、優れたユーザーエクスペリエンスと高いパフォーマンスの提供が特徴です。
SPA開発の仕組みと特徴
SPA開発の仕組みは従来の多ページアプリケーションとは異なる動作をします。
SPAの主な特徴としては、フロントエンド側でのレンダリングやデータ操作が主要な役割を果たす点です。
以下にSPA開発における基本的な仕組みと特徴の詳細を解説します
初回ページロード
SPAは最初に一つのHTMLページをロードします。
このHTMLページには必要なJavaScript、CSS、およびアプリケーションのコードが含まれています。
ページ遷移
ユーザーが別のページに遷移したい場合、SPAではページ全体をリロードするのではなく、JavaScriptによって新しいページのコンテンツをロードします。
通常、SPAではルーティング機能を使用して、URLのフラグメントによって対応するコンテンツを表示します。
データの取得と更新
SPAはバックエンドのAPIと連携してデータの取得や更新をおこないます。
JavaScriptによって非同期通信がおこなわれ、必要なデータがサーバーから取得されて画面に表示されます。
データの更新も同様に非同期的におこなわれます。
ビューの更新
SPAはデータの変更やユーザーアクションに応じて動的にビューを更新します。
この際、画面の一部だけが再描画されるため、ユーザーエクスペリエンスがスムーズになります。
このように、SPAは優れたユーザーエクスペリエンスを提供するだけでなく、効率的なWEBアプリケーションの開発が可能となります。
SPA開発のメリット
SPA開発には多くのメリットがあります。
どのようなメリットがあるのか、詳細を以下に解説します。
新しいユーザー体験
SPAにより、ユーザーに新しい体験を提供することが可能です。
例えば、通常のWEBサイトでは他のページに行く際、ページ全体が読み込まれます。
そのため、サイトから音楽が流れていたとしても、次のページに遷移している時に一度止まります。
仮に次のページでも同じ音楽が流れていても、ある程度ページの読み込みが終わってから流れ出します。
一方で、SPAであれば音楽を再生する部分をそのまま動かし続け、その他のページコンテンツだけを更新することも可能です。
このように、前後で連続的に使用したいコンテンツなどではSPAを活用することで、新しい体験を提供することができるのです。
スムーズなユーザーエクスペリエンス
SPAはページ全体をリロードせずにデータの読み込みやページ遷移をおこなうため、ユーザーエクスペリエンスが向上します。
画面の更新が滑らかで高速なため、ユーザーは快適な操作を体験できます。
一般的なサイトよりも表示速度が早く、ユーザーは待たされるストレスがありません。
通常、サイトの読み込みに数秒かかれば、それだけで半数以上の人がページを離脱し、他のサイトを探すと言われています。
そのため、ページを高速で読み込める事には、大きなメリットがあると言えます。
クロスプラットフォーム対応
SPAはHTML、CSS、JavaScriptを使って実装されるため、異なるデバイスやプラットフォームで動作することが可能です。
これにより、ユーザーが好きなデバイスでアプリケーションにアクセスできる利便性があります。
サーバーの負荷軽減
SPAはページ遷移による再読み込みが少ないため、サーバーへのリクエストが削減されます。
これにより、サーバーの負荷が軽減され、スケーラビリティが向上します。
また、ネットワークトラフィックを削減することで応答速度向上にも繋がります。
モジュール化の容易さ
SPAはコードがモジュール化される傾向があります。
これにより、複雑なアプリケーションをより小さな部品に分割し、開発やメンテナンスが容易になります。
データのキャッシュとオフライン対応
SPAは一度ロードしたデータをクライアント側でキャッシュすることができ、オフライン時でも一部の機能が利用可能となります。
これにより、ネットワークの可用性に依存せずに操作ができます。
SPA開発のデメリット
SPA開発にはメリットがある一方、デメリットもあります。
以下に詳細を解説します。
開発コストがかかる
SPA開発は、ページ遷移の際の挙動が一般的なサイトとは異なることからも、開発が難しくなります。
どのようなデータをキャッシュしていて、それをどう使うか・・・などの設計部分も難しいため、開発にコストがかかる可能性があります。
通常のサイトが「一話完結」なのに対して、SPA開発は「連続もの」のような感覚で、これまでのストーリーの流れを考慮しなければいけないようなイメージです。
また、多くのサイトはまだまだSPA開発を行えていないため、
「経験したことのあるエンジニア」
が非常に少ない事もあり、開発コストが高くなる傾向があります。
初回ロード時間
SPAは初回に全てのコードを一度にダウンロードしなければなりません。
そのため、大規模なSPAの場合は初回のロード時間が長くなることがあります。
これにより、ユーザーがアプリケーションを利用する前に待たされる可能性があります。
SEOの課題
SPAはJavaScriptを使用してコンテンツを動的にロードしますが、一部の検索エンジンはJavaScriptを解釈できない場合があります。
そのため、適切な対策を講じないと
「人にとっては使いやすいけど、Google的には評価が高くない」
という可能性が出てきます。
そうなると、広告を入れるなどのマーケティング施策が必要となり、費用が高くなる可能性があります。
メモリの消費
SPAは前述したように、Javascriptによって画面の遷移などを行います。
このJavascriptは、サーバー側での処理ではなくクライアント側で実行されます。
そのため、一部のメモリ集約型のアプリケーションでは、デバイスのメモリ消費量が増加する可能性があります。
セキュリティ上の懸念
SPAはデータをブラウザにキャッシュすることがあります。
センシティブな情報がブラウザにキャッシュされる場合、セキュリティ上のリスクが増加する可能性があります。
例えば、ブラウザ上に残っている情報を、悪意のある人が覗き見ることが考えられます。
バックボタンの挙動
SPAではクライアントサイドでのルーティングをおこなうため、ブラウザのバックボタンが期待通りに動作しない場合があります。
適切な設計をおこなわないと、ユーザーが不便を感じることがあります。
データロードの遅延
SPAは非同期通信を利用してデータを取得しますが、ネットワークの遅延や不安定な接続により、データの取得に時間がかかる場合があります。
これにより、ユーザーが一時的にデータを表示できない状況が起こりうる可能性があります。
SPA開発の事例
SPA開発は多くの企業や組織がWEBアプリケーションやサイトの開発に活用しています。
以下はいくつかの代表的なSPA開発の事例です。
Gmail
GoogleのメールサービスであるGmailはSPAとして開発されています。
ユーザーがメールを読み書きする際に、ページ全体のリロードなしで新しいメールが表示されたり、メールを送信したりできるようになっています。
FacebookはSPAを使用しており、ユーザーがフィードの更新やコメント、いいねなどのアクションをおこなう際に、ページの再読み込みをせずに内容をリアルタイムに反映します。
Twitter（X）
TwitterもSPAの一例です。
新しいツイートや通知を表示する際にページのフルリロードをおこなわずに、コンテンツの更新をおこないます。
GitHub
ソースコードの共有やバージョン管理をおこなうプラットフォームであるGitHubもSPAとして開発されています。
リポジトリの閲覧やコードの編集がスムーズにおこなえます。
Airbnb
宿泊施設の検索や予約をおこなうサービスであるAirbnbもSPAとして開発されており、ユーザーが検索結果をリアルタイムに絞り込んだり、予約をしたりできます。
これらは一部のSPAの事例であり、多くの企業やサービスがSPAを採用しています。
SPAの特徴であるスムーズなユーザーエクスペリエンスや高いパフォーマンスを提供することにより、ユーザーの満足度を向上させるとともに、開発者にとっても効率的な開発が可能です。
SPA開発ならAMELAに
今回は、SPA開発について解説していきました。
WEBアプリケーションは、今や当たり前に利用される一方で、
「他社とどのように差別化するか」
が非常に重要になってきています。
そんな中で、SPA開発のメリットでもお話したように
「新しいユーザー体験」
を提供することは、一つのビジネス的な武器になると考えられます。
そのため、是非検討してもらいたいと思っていますが、デメリットでも触れたように一般的にはコストが高くなる傾向があります。
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