dockerとは?メリットとデメリット、基本的な使い方!できること・できないことまとめ
ソフトウェア開発では、開発時の環境というのが非常に重要になってきます。
環境によってはアプリケーションが正しく動作しなかったり、インストールに手間がかかったりすることがあります。
他にも、昔作ったシステムで、現在の本番機の環境を再現しないとバグの調査が出来ない場合もあります。
このような問題を解決するための手段としてコンテナ仮想化技術が注目されています。
その中でもdockerは最も広く使用されているコンテナ仮想化技術のひとつです。
dockerを使用することでアプリケーションの開発環境を簡単かつ迅速に構築可能です。
また、dockerはアプリケーションのデプロイや運用を効率的におこなうことができ、多くの企業や開発者によって活用されています。
本記事ではdockerの基礎からメリットやデメリット、活用例について解説します。
dockerとは
dockerとは、コンテナ仮想化技術を提供するオープンソースプラットフォームです。
コンテナ仮想化とは、ホストOS上で複数の仮想環境を実行する技術のことです。
dockerを使用することで、コンテナ内に必要なアプリケーションやツールをまとめて独立した環境として提供でき、アプリケーションの実行環境や依存関係の再現が可能です。
例えば、開発者が自分のローカル環境でアプリケーションを開発し、本番環境でも同じ環境でアプリケーションを実行できるようになります。
また、dockerを使用することで、複数のアプリケーションやツールを効率的に管理し、簡単かつ迅速にデプロイが可能です。
dockerはLinuxをはじめとする様々なプラットフォームで動作するため、異なるOS環境でも同じコンテナを実行できます。
加えて、dockerはdocker Hubというレジストリサービスを提供しており、自分で作成したコンテナイメージをアップロードし、共有することもできます。
docker Hubには、様々なオープンソースのイメージが公開されており、これらを利用することで、より迅速にアプリケーションの開発が可能です。
dockerはエンジニアの間で広く使用されており、アプリケーションやサービスの開発、テスト、デプロイメント、管理の自動化に役立ちます。
dockerのメリット
dockerには5つのメリットがあります。
1つ目は環境の再現性が高いことです。
dockerはコンテナ技術を利用しているため、環境をパッケージ化し、その環境を再現できます。
つまり、dockerを利用することで、どの環境でも同じようにアプリケーションが動作するようになります。
これは前述したように、すでに開発が完了しているシステムの運用保守などで、
「本番でバグが出たときの調査で、同じ環境でバグを再現する」
などの時に、特に重宝されます。
2つ目は柔軟なアプリケーション開発が可能なことです。
dockerを利用することで、異なる言語やフレームワーク、ライブラリを利用したアプリケーションの開発が可能になります。
また、アプリケーションのパーツごとにコンテナ化しておくことで、パーツごとの再利用性が高くなります。
システム開発においては、複数のライブラリを入れることで、相互に作用してしまってエラーになる事も稀にあるため、dockerがあることで、開発者の効率も上がるのです。
3つ目は環境構築が容易なことです。
dockerを使うことで、アプリケーションの依存関係や環境設定を含めた環境を簡単に用意することができます。
これにより、環境構築に費やす時間を削減し、開発に集中することができます。
特に近年は、1つ1つのプロジェクトが、
「短納期・少人数」
になりつつあります。
その中で、短期間だけ参画するメンバーにも、素早く開発に入ってもらえるのは、非常に大きなメリットです。
4つ目は拡張性が高いことです。
dockerコンテナは簡単に増減可能です。
そのため、アプリケーションの利用者数が急増した場合などでも、dockerを利用することでアプリケーションの性能を簡単に向上させることができます。
5つ目はセキュリティが高いことです。
dockerコンテナはホストOSとは独立して動作するため、アプリケーションの脆弱性に対して別途セキュリティ対策ができます。
これにより、より高いセキュリティ対策を講じることが可能です。
dockerのデメリット
dockerにはメリットがある一方、以下4つのデメリットがあります。
1つ目は学習コストの高さです。
dockerは仮想化技術を使用しているため、仮想マシンとは異なるアーキテクチャを持っています。
そのため、dockerを使いこなすためには専門的な知識やスキルが求められることから、使いこなすためには学習コストが高く、時間を要します。
2つ目はコンテナ管理が複雑なことです。
dockerを使用する際はコンテナの管理が必要です。
コンテナイメージの作成や、コンテナの起動・停止・削除などの作業をおこなう必要があります。
また、複数のコンテナを同時に実行する場合はコンテナ間のリソース共有やネットワーク設定など、複雑な作業が求められます。
3つ目は適切なリソースの割り当てです。
dockerはホストOSとリソースを共有するため、ホストOSのリソースが不足するとコンテナの動作が低速化してしまいます。
また、複数のコンテナを同時に実行する場合は、コンテナ間の競合が発生しアプリケーションのパフォーマンスが低下する可能性があります。
リソースをどのように配分するか、適切な管理をしなければなりません。
4つ目はハードウェアの準備です。
dockerを使用するためにはCPUにハードウェア仮想化支援機能が搭載されたハードウェアが必要です。
ハードウェア仮想化支援機能がない場合にはdockerを使用するためにハードウェアをアップグレードする必要がある場合があるため、その分のコストが発生します。
dockerの使い方
dockerの使い方は、以下のような手順でおこないます。
始めにおこなうのがdockerのインストールです。
dockerを利用するにはdockerの公式サイトからダウンロード、インストールが必要です。
次にdockerのイメージを取得します。
dockerは、dockerイメージと呼ばれるファイルからコンテナの作成が必要です。
dockerイメージは、docker Hubと呼ばれるオンラインのレジストリから取得可能です。
dockerイメージを取得したら、docker runコマンドというものを使ってdockerコンテナを作成します。
docker runコマンドを実行することで、指定されたdockerイメージから新しいコンテナが作成可能です。
作成したコンテナを起動することで、コンテナ内でアプリケーションが実行されます。
dockerできること・できないこと
dockerは多くの場面で活用の機会がある一方、万能ではないため苦手としている要素もあります。
ここではdockerを使ってできることとできないことをそれぞれ解説します。
dockerでできること
dockerを使ってできることの1つ目は開発環境の統一化です。
dockerを使用することで開発環境を標準化できるため、新しいメンバーが参加した場合でも意思疎通が容易になります。
これにより、環境構築時に発生するエラー減少、および開発効率の向上につながります。
2つ目はアプリケーションの単一化です。
dockerはアプリケーションを独立した環境で動かすため、異なる種類のアプリケーションでも同じ環境で動作させることができます。
これにより、複数のアプリケーションを単一化し、運用管理を容易にできます。
3つ目は負荷分散です。
dockerコンテナは軽量で起動や停止も高速におこなうことができます。
そのため、Webアプリケーションやデータベースなどのサービスをコンテナ化することで、負荷分散の実現が可能です。
4つ目はクラウド環境での利用です。
dockerはクラウド環境での利用にも適しており、クラウド上でdockerコンテナを動かすことができます。
これにより、クラウドサービスで提供されている様々な機能を活用することが可能です。
dockerでできないこと
dockerは非常に強力なツールですが、いくつかの制限があります。
1つ目は完全仮想化です。
dockerは仮想マシンよりも軽量で高速ですが、ホストOSと同じカーネルを使用するため、ホストOSと互換性のないアプリケーションを実行することはできません。
2つ目はデータの永続性保証です。
コンテナが削除された場合は、そのコンテナに保存されていたデータも失われてしまうため注意が必要です。
3つ目は互換性の担保です。
例えば、ホストOSがLinuxでコンテナOSがWindowsの場合、ファイルパスの区切り文字が異なることを理由に互換性のないアプリケーションが発生する懸念があります。
このような場合は複数のコンテナを管理しなければなりません。
4つ目はアプリケーションの自動更新対応です。
dockerは自動でアプリケーションの最適化をおこないません。
そのため、適宜手動実行をおこなう必要があります。
dockerの活用例
dockerは様々なシチュエーションで活用されています。
1つ目はWordPressの構築です。
WordPressはPHPとMySQLを使ったWebアプリケーションで、dockerを使えば簡単に構築できます。
例えばWordPressとMySQLを含む環境を1つのコマンドで構築可能です。
2つ目はマイクロサービスのデプロイです。
dockerはマイクロサービスアーキテクチャの構築にも適しています。
各サービスをdockerコンテナにパッケージ化し、dockerのツールを使ってデプロイすることができます。
3つ目はCI/CDの実現です。
dockerはCI/CDのプロセスにも活用されています。
dockerを使ってアプリケーションのビルド、テスト、デプロイをおこなうことが可能です。
GitHub ActionsやJenkinsなどのCI/CDツールを使って、dockerコンテナ上でテストを実行することができます。
4つ目は開発環境の構築です。
開発環境の構築もdockerを使えば容易です。
例えば、開発用のdockerイメージを作成し、必要なツールやライブラリを含めてパッケージ化することができます。
開発者はdockerイメージをローカルで実行するだけで、同じ環境を簡単に再現することができます。
5つ目はクラウド上でのアプリケーションのデプロイです。
dockerはクラウド上でのアプリケーションのデプロイにも適しています。
クラウドプロバイダーによってはdockerコンテナをサポートしているため、dockerイメージをアップロードするだけでアプリケーションをデプロイすることができます。
Amazon ECSやGoogle Kubernetes Engineなどはその一例です。
適切な開発・運用・保守はAMELAに
今回は、dockerについて見てきました。
最近は、エンジニア向けの転職サイトでも、dockerの経験を問われるような求人も増えてきたように思います。
それだけ、
「色々な環境下で、システム開発を行う」
というニーズが増えているのでしょう。
もちろん、常に最新のOS/サーバー/言語のバージョンなどで開発ができれば良いですが、作られた時期によっては
「今の環境だと動作が保証できない」
というケースも多々あります。
例えばHTMLなどは、Webブラウザのバージョンによって利用できるタグと出来ないタグが存在します。
このような場合に、最適な環境を作る上でも、dockerを経験しておくことは、多くのエンジニアにとってメリットがあります。
システム開発において、
・適切な設計
・適切な環境構築
・適切なログ出力
・適切な運用
などは、非常に重要です。
単に安く開発できれば良いわけでもありませんし、納期が早いから良いわけでもありません。
御社にとって、最適なシステム開発を希望されるなら、是非一度AMELAにご相談ください。