【客単価UP】アップセルとクロスセルとは?具体例と合わせて解説!
アップセルとクロスセルはともに、既存の顧客に働きかけることで、客単価を向上するための営業・マーケティング手法です。
どちらも昔からある手法ですが、近年は、新たなサービスの登場や少子化による顧客減少などによって、改めて注目されています。
このふたつの手法を合わせて用いることも多いため、同じ手法と考える人もいますが、両者は目的も手段も異なります。
この記事では、アップセルとクロスセルについて、実施するメリットや具体的な成功事例と合わせて解説していきます。
それぞれの意味と目的を理解することで、より高いマーケティング効果が得られる可能性があります。
アップセルとは
まずはアップセルがどのようなものか、言葉の意味と手法について解説していきます。
アップセル
アップセルは営業における手法のひとつで、客単価の向上を目的としておこなわれます。
アップセルでは、とある商品の購入を検討している、あるいは以前に自社の商品を購入した顧客に対して、より高額な商品を紹介して購入へ導きます。
客単価の向上はビジネスの世界では常に研究されており、アップセルも昔から存在する手法です。
ですが近年は、サブスクリプションサービスが拡大したことによって、アップセルが再び注目を集めています。
サブスクリプションサービスにおけるアップセルでは、ユーザーが現在契約しているプランから、より料金の高いプランにアップグレードすることを目指します。
アップセルの手法
アップセルの目的は、顧客により料金の高いのサービスへ加入してもらう(商品を購入してもらう)ことにあります。
そのためには、現在加入しているサービスをアップグレードした方が、より満足を得られるだろうと感じてもらう必要があります。
具体例については後ほど詳しく解説しますが、アップセルの手法としてよく知られる施策としては、無料のお試し期間を設ける、キャンペーンで上位サービスを体験させるといったものがあります。
その他にも、まとめ買い割引でお得感を出す、上位サービス利用者の評判を提示するなども、アップセルの手法として挙げられます。
クロスセルとは
次に、クロスセルについても、言葉の意味と代表的な手法を解説します。
クロスセル
クロスセルとは、とある商品の購入を検討している顧客に対して、関連する商品を合わせて購入するよう促すセールス手法です。
クロスセルをおこなう目的はアップセルと同じで、客単価の向上にあります。
しかしクロスセルはアップセルとは違い、顧客を購入へ促す商品が、もともと検討していた商品よりも高価である必要はありません。
たとえば、スマートフォンの購入を検討している顧客に対して、画面の保護フィルムやスマホカバー、修理保証といった関連商品を紹介し、スマートフォン本体とまとめて購入するよう誘導します。
安い商品でも、複数を合わせて買う事で、結果的に客単価が向上するという方法です。
このように、クロスセルにおいて顧客へ提案される商品は、もとの商品の使用を補助するものや、関連したニーズを満たすものであることが多いです。
クロスセルの手法
クロスセルは、キャンペーンの実施などが必要なアップセルと比べて、より低いコストで客単価を上げる手法としても知られています。
クロスセルの手法としては、ECサイトの商品ページに
「この商品を購入した方はこちらも購入しています」
と表示して、関連商品に誘導するという施策が挙げられます。
他にも、ドラッグストアでニーズの近い商品(解熱剤と栄養ドリンクなど)を近い場所に配置するという工夫も、クロスセルの代表的なやり方です。
アップセル・クロスセルのメリットと背景
アップセルとクロスセルはともに、顧客ひとりあたりの購入額を上昇させるための手法です。
それを踏まえてここでは、この2つの手法をおこなうことで得られるメリットと、なぜこれらの手法が注目されるのかについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
売上の向上
上位サービスへの加入やまとめ買いなど、客単価の上昇は売上の向上に直結します。
アップセル・クロスセルはどちらも、実施する上で顧客ニーズを十分に把握しておかなければなりません。
これらの手法を実行することで、これまで取りこぼしていたニーズを回収できるだけでなく、ニーズの研究から新たな商品・サービスが生まれ、売上向上のサイクルの加速に繋がります。
顧客満足度の上昇
アップセル・クロスセルには、単に客単価を上げるだけでなく、顧客満足度の向上に繋がるという効果もあります。
アップセルでは、たとえ顧客が現在加入しているサービスに満足していたとしても、上位のサービスへ促すことで、さらに高い満足感が期待できます。
またクロスセルでは、商品・サービス利用時の満足度を関連商品で向上させることが可能です。
このようにアップセル・クロスセルは、企業だけではなく、消費者にとってもメリットがある手法なのです。
コストの削減
一般的に、商品やサービスを販売する際、
「既存客の方が、新規顧客よりも買いやすい」
と言われています。
これは、すでに購入した事のある会社の方が、信頼できるなどの理由が挙げられます。
そのため、アップセル・クロスセルを行うことは、新規顧客から同じ金額を集めるよりも、広告宣伝費用などを削減することが可能です。
長期的に顧客との関係性を作れる
一度購入した商品をグレードアップさせる場合などは、最初の購入から次回の購入まで、継続的に顧客との関係性が発生します。
これは、会社の信頼度を高める上でも有効であり、更に将来的に商品を売りやすい状況にも繋がります。
この顧客との関係性が作れる点もメリットでしょう。
アップセル・クロスセルが注目される背景
アップセル・クロスセルはともに、売り上げを向上させる主要な要素として昔から存在します。
ではなぜ、近年になってこれらの手法が改めて注目されるようになったのでしょうか。
その理由としては、少子化による顧客の減少があります。
これまでの企業は、新たな商品・サービスを考案することで、新規顧客の獲得を進めてきました。
しかし、顧客のボリュームが減少したいま、顧客ひとりひとりの重要性が増しています。
世界人口は増える一方で、日本は人口が減少しています。
そうなると、
・国内での客単価を上げる
・海外の顧客を取る
・コストを下げて小さく長く会社を経営する
という選択肢を取る必要性が出てきます。
新規事業の開拓で顧客を増やすことがこれまで以上に難しくなったため、多くの企業はアップセル・クロスセルを駆使して客単価の向上に注力する方向に舵を切ったのです。
今後、客単価をはじめ、LTV(顧客生涯価値)やカスタマーサクセスといった視点がより大切です。
こうした背景から、アップセル・クロスセルは再び注目されるようになりました。
アップセルの具体例
アップセルは、店舗で販売される商品だけでなく、ITサービスや金融商品など、さまざまな分野で効果を発揮します。
ここでは、企業によるアップセルの具体的な施策をいくつか紹介します。
Spotifyの機能制限
音楽ストリーミングサービスであるSpotifyにはいくつかのプランが用意されており、無料版も提供されています。
ここでは、制限つきの無料版を提供することで、有料サービスを利用するユーザーを増やすというアップセルの手法がとられています。
無料版には楽曲のスキップ回数などに上限があり、ユーザーが上限にあたると有料版への加入に誘導するメッセージが表示されます。
Spotifyはこのような制度をもうけることで、有料版利用者を増やしていきました。
このようなアップセルの手法はSpotifyに限らず、ZoomやChatworkなど、さまざまなWebサービスでおこなわれています。
Dropboxの紹介制度
オンラインストレージサービスを提供しているDropboxには「紹介制度」というものがあります。
これは、ユーザーがDropboxを利用していない人へサービスを紹介して、その人が実際にDropboxを利用することで、紹介したユーザーが特典を受けられるというシステムです。
特典の内容は、ストレージの利用上限が広がるというもので、ユーザーはより高い満足感を得られ、運営企業は潜在的な顧客を獲得できるようになります。
Dropboxには有料プランも存在し、この紹介制度も、ユーザーが段階的にサービスをアップグレードすることを促す、アップセルの手法のひとつとして見ることができます。
ヤクルトスワローズのファンクラブ
スワローズはヤクルトが所有する球団で、ほかの球団と同じく、ファンクラブを運営しています。
スワローズのファンクラブにはいくつかのグレードが存在し、段階に応じて、加入者が受けられるサービスが異なります。
良い席のチケットを入手できるという段階からスタートし、アップグレードすることで限定グッズを入手できるようになります。
他にもさまざまな特典を用意することで、よりスワローズへの愛着が湧き、毎年多くのファンがプランをアップグレードしています。
現在ではスワローズに限らず、多くのファンクラブがプランに段階を設けており、アップセルの成功事例として知られています。
クロスセルの具体例
客単価の向上だけでなく、営業効率の向上にも効果があるクロスセル。
しかし、クロスセルは「押し売り」になりやすく、顧客の不信感にも繋がりかねません。
その懸念点を解消した、企業によるクロスセルの代表的な事例を見ていきましょう。
Amazonの商品紹介
Amazonの商品ページには、
「この商品を購入した人はこちらも購入しています」
というメッセージと共に、関連商品や顧客層が近い商品を紹介しています。
紹介された商品は合わせて購入することができ、結果として客単価が30%以上も上昇したと報告されています。
この紹介機能は、押しつけがましさを排して顧客満足度を向上させることにも繋がっており、クロスセルの代表的な成功例として知られています。
Salesforceの営業
ユーザー管理ツールを中心に、さまざまな業務システムを販売するSalesforce。
マーケティングという広い分野で効果を発揮するには、CRMだけでなく、MAツールなどを別途用意する必要があります。
Salesforceでは、顧客の置かれた状況を分析することで、もともと導入を検討していたツールと合わせて、より効果を得られるように、近い分野のツールを紹介しています。
この営業活動によって、顧客のさらなる課題解決に役立つツールに誘導し、業績を伸ばしています。
アップセル・クロスセルの仕組み作りはAMELAに
今回は、アップセル・クロスセルという、マーケティングの基本的な考え方について触れてきました。
今の日本では、こういったマーケティングに関する考え方や施策が、非常に重要になっています。
本文中でも述べましたが、売上を上げるためには、
・国内で客単価を上げる
・海外で新しいマーケットを作る
ということが必要です。
どちらを行うにしても、きちんとITを活用し、効率的な仕組みを作ることが重要と言えるでしょう。
AMELAでは、業務システムから、ユーザー向けのアプリまで幅広い開発を行っています。
「単なるシステム開発」に終わるのではなく、長期的なビジネスプランを見据えた上でのご提案をさせていただきますので、是非一度ご連絡頂ければと思います。