リーンスタートアップとは?MVPって何?アジャイル開発とは違うの?わかりやすく解説

現在、インターネットの発達によって、多くの人が起業を考える様になりました。

法人数は減少している一方で、インターネットを活用して副業から個人事業主になるケースや、最初からインターネットを活用して起業するケースは年々増えています。

フリーランスの人口は、この数年で500万人以上増えたとも言われており、今後も起業を検討する人は多いでしょう。

今回は、そんな起業において知っておきたい
「リーンスタートアップ」
について見ていきましょう。

この記事を読んでいく内に、リーンスタートアップについて学び、
「自分の起業や新規事業に使える手法か」
を考えることができます。

リーンスタートアップとは

まずは、リーンスタートアップとは何かを見ていきます。

特徴

リーンスタートアップの「リーン」とは、Leanという英単語で「痩せた・筋肉質の」という意味合いになります。

痩せている事を、「不要な物がない」という意味合いから
「必要最低限の製品や資源で起業をする」
事を意味し、2008年にアメリカの起業家であるエリック・リース氏によって提唱されました。

エリック・リース氏は、2011年に著書「リーン・スタートアップ」を出版し、注目されるようになった考え方です。

リーンスタートアップにおけるMVPとは

リーンスタートアップを考えるときに、「MVP」という単語が出てきます。

このMVPは、「Minimum Viable Product」の略で、最低限の機能を実装した商品のことを指します。

通常、ビジネスにおいて多くの人(企業)は、きちんと製品を完成させてから、セールスを開始します。

ですが、リーンスタートアップでは、最低限の機能だけでセールスを開始するのです。

例えば、「SNS」を開発するとします。

現在のSNSは、
・投稿
・ハッシュタグ
・コメント
・返信
・リツイート(Twitter)
・ストーリーズ(Instagram)/Fleet(Twitter)
・ライブ配信
など、様々な機能を備えています。

これらの機能をすべて開発終了してから、リリースするのが一般的な戦略です。

一方でリーンスタートアップでは、この一部分、例えば基本的な投稿機能や拡散機能だけをリリースします。

その後、ライブ配信や動画投稿は、ユーザーの反応を見ながら開発していく。

こういった戦略です。

リーンスタートアップのメリット

次に、リーンスタートアップのメリットについて触れます。

ユーザーからの反応を見て方向転換が可能

最低限の機能を備え、リリースするため、ユーザーの反応を見ながら方向転換が可能です。

例えば、先程同様にSNSで言うと、
・Twitterは文字での投稿や拡散性を重視
・Instagramは画像での投稿やハッシュタグ文化を重視

などのように、様々な特徴があります。

しかし、実際にこの様に思い切った選択をした上で、失敗した場合。

小さな企業や個人では取り返しがつかないほどの金銭的・時間的負荷がかかります。

一方で、リーンスタートアップにより、最低限の機能に加え、ベータ版として簡易的な機能を追加すれば、ユーザーの反応を見ることができます。

その結果、思ったよりも反応が良ければ、開発費用を投じることもできますし、反応が悪ければ、早々に撤退することも可能なのです。

リスクを抑えられる

先程の内容と重複する部分もありますが、リーンスタートアップでは多くのリスクを抑えることができます。

特に既存顧客のいないスタートアップにおいては、様々なリスクが存在します。

・スモールスタートをすることによる金銭的・時間的なリスク
・反応を見た上で早期撤退をすることによるメンバーのモチベーションダウンのリスク
・大量の在庫を抱えるリスク
・大型の設備投資による維持費のリスク

など、様々なリスクを抑えることができます。

コストの回収が早い

最低限のコストでスタートするため、開発や営業・マーケティングにかかる費用を、最短で回収することができます。

例えば、1年かけて10人のエンジニアで開発した製品は、120人月かかる事になります。

1人月あたり40万円のコストがかかる場合、製品のリリースまでに4800万円もの費用がかかる計算になります。

それだけのコストをかけて作った製品を、仮に1万円で販売する場合には、4800人の顧客を捕まえる必要があります。
(計算の単純化のため営業やマーケティング費用は省きます)

一方で、開発期間を1ヶ月にし、最低限の機能でリーンスタートアップしたとすると、費用は400万円です。

最低限の機能のため、通常の開発よりも最初は販売価格を下げるとしても、5000円で800人に売るだけで、損益分岐点を超えます。

コストの回収までにかかる期間が短いということは、会社としてもキャッシュフローが安定する事を意味します。

市場で優位な立ち位置に立てる

リーンスタートアップは、しっかりと準備をする手法に比べると、考案からリリースまでの時間が短くなります。

ということは、それだけ市場での優位な立ち位置に立つことができます。

例えば、仮想通貨などで利用されるブロックチェーン技術。

この技術を使った製品をすぐに出せば、
「業界初、ブロックチェーン技術を用いた〇〇」
などのような製品が作れます。

それだけ、商品に対するブランディングが可能であり、上手くいけば市場を独占する事も可能でしょう。

技術革新の早い現代だからこそ、
「いかに早く製品化するか」
は、ビジネスの成否に大きく関係してくるのです。

リーンスタートアップのデメリット

反対に、リーンスタートアップのデメリットを説明していきましょう。

差別化がうまくいかないケースもある

リーンスタートアップでは、最低限の機能だけでリリースするとお話しましたが、それは裏を返せば
「特徴のない製品」
になる可能性もあります。

細かい部分にこだわるのは後回しで良いとしても、しっかりと差別化された製品でなければ、同業他社との価格競争に巻き込まれてしまいます。

そのため、しっかりとした差別化が必要です。

業界的に上手くいかないケースもある

業種・業界によっては、リーンスタートアップが向かないケースがあります。

例えば、しっかりと準備して製品化することで、特許を取得できる場合などは、リーンスタートアップに適さないと考えられます。

また、一般的にはリーンスタートアップに適しているとされるIT業界でも、
「ビッグデータを活用して、問題解決を行う」
「機械学習をさせたAI」
などは、多量のデータを利用し、準備と研究成果の実績を必要とするケースが多く、リーンスタートアップに向かないと考えられます。

他にも、「セキュリティ」などの分野は、最低限の機能で満足されにくい性質(もしもカバーできていない部分があれば、大きな問題があるため)があります。

こういった製品も、リーンスタートアップには向かないと考えられます。

認知の広まっていない製品では難しい

リーンスタートアップでは、最小限のコストや開発でリリースすることになるため、基本的には
「すでに認知が広まっている製品」
に適していると考えられます。

認知の広まっていない製品の場合には、見込み客を捕まえる上で、多くのマーケティング費用が必要になるからです。

折角、製品の制作にはコストをかけていないのに、マーケティングでコストがかかるなら、後から参入してくる企業に対して、対応するだけの体力(資金力)が無くなってしまうでしょう。

また、認知が広がるまで、ゆっくりと集客をしてしまうと、メリットで挙げた「市場での有利な立ち位置」を失ってしまう可能性もあります。

そのため、ある程度認知がされている(製品利用のメリットが伝わっている)製品に対して行うのが妥当だと考えられます。

リーンスタートアップとアジャイル開発の違い

リーンスタートアップと似たような言葉として「アジャイル開発」があります。

アジャイル開発は、開発の手法で、
「機能や仕様をしっかりと決めてから開発をスタートするのではなく、開発を進めながら細かい仕様を決める」
という開発方法です。

どちらも、変化の早い現代において重宝されている手法であり、細かいサイクルを繰り返して製品を作っていく事は類似しています。

違いとしては、アジャイル開発は「開発」に限って使われるもので、「リーンスタートアップ」は、起案から製品リリースまでを前提とした使われ方をします。

そのため、リーンスタートアップの方が、やや広い範囲を示していると考えられ、
「リーンスタートアップにおけるシステム開発を、アジャイル開発にて行う」
などのような位置づけになります。

新規事業の相談はAMELAに

今回は、リーンスタートアップについて見てきました。

現在の「物が売れにくい時代」において、顧客のニーズを的確に捉え、変化する時代に対応していくのは非常に大変です。

そのため、こういったリーンスタートアップという考え方が注目されるようになってきたのでしょう。

リーンスタートアップを行う上で、不要な作業は徹底的に排除する必要があります。

多少費用がかかったとしても、業務のシステム化をすることは、非常に良い投資と言えます。

もしも現在、業務システムを検討中であれば、是非AMELAにご相談ください。

オフショア開発により、手頃な金額での開発が可能ですので、リーンスタートアップを検討中であっても、最大限のリターンが得られる投資になります。