人事の仕事をIT化するには?IT化の目的や人事システムについて解説

近年のIT化やDXでは、人事の仕事に関するシステムも増えてきています。

テレビコマーシャルなどでも、人事システムの広告が流れることが増えており、これまではITと距離の合った人事ですが、仕事がIT化されるのは、時間の問題でしょう。

ですが、そもそもどうして人事の仕事にシステムを導入する必要があるのでしょうか。

この記事では、人事のIT化が求められるようになった背景から、IT化するうえで何を目指すべきなのかといったことを解説していきます。

加えて、多種多様な人事システムから主要なカテゴリを紹介し、そうした人事システムを導入することによるメリット・デメリットまでを見ていきましょう。

人事のIT化が必要な背景

そもそも、なぜ人事の業務をIT化する必要があるのでしょうか。

IT技術の進歩によって、これまでは難しかったような仕事が実現できるようになりました。

それによって、企業の成長が見込まれるというのが第一の理由です。

ですが、人事のIT化が求められる背景には、解決すべきさまざまな問題があるのです。

仕事の負荷の集中化

近年、少子高齢化による全国的な人手不足が問題となっています。

少子化はこれからも進行すると予想されているため、人材の不足はさらに深刻になります。

よく話題となるのはIT人材の不足ですが、IT業界にかぎらず、すべての業種で人手不足が発生しています。

そこにはもちろん人事の仕事も含まれており、もはや、これまでのやり方では業務を続けることが難しくなってきています。

特に人事は、「間接部門」であり、直接利益を作れる部署ではありません。

そのため、多くの企業の人事部は、仕事量が膨大にも関わらず、1人~3人程度で業務をしなければいけません。

一方で、個人情報の取扱や給与など、ミスが許されない仕事でもあります。

結果として、業務内容と仕事の負荷のバランスが悪く、IT化が必要とされているのです。

働き方改革による人事の複雑化

日本政府が近年取り組んでいる働き方改革によって、仕事のやり方が大きく変化しています。

そして、新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、日本でもテレワークの導入が進んでいます。

こうした「新しい働き方」の実現には、仕事のIT化が不可欠です。

例えば、ここ数年でマイナンバーの取り扱いが必須になりましたが、こういった変化にも早急に対応が必要になります。

それらに対応するためには、人事の仕事もIT化する必要があるのです。

現在、政府主導で全国の企業においてIT化が進められているため、この流れに乗り遅れた場合の損失は計り知れないものとなるでしょう。

人事の仕事をIT化する目的

人手不足や「新しい働き方」への対応など、人事のIT化は避けられないものとなっています。

ですが、やみくもにIT化を進めると、かえって問題が増えてしまいます。

では、具体的に人事のIT化はどこを目指すべきなのでしょうか。

ここでは、人事の仕事をIT化する際の目的を解説します。

業務の効率化

人事の仕事をIT化する第一の目的は、業務システムの導入などによる、業務の効率化です。

IT技術を駆使して、これまで業務にかかっていた時間を短縮し、人事の生産性を向上させることが、IT化でまず目指すべき目標です。

少ない人員で、働き方改革による制度を満たしつつパフォーマンスをあげるためには、書類のデジタル化や人事システム導入などで、仕事をIT化する必要があるのです。

人的なミスを避ける

システム化を進める上で、「人的なミス」を避けることも、大きな目的です。

例えば、エクセルによる給与計算をしていた場合、
・入力ミス
・給与テーブルのズレ
・目視による見間違い
・関数を間違って書き換えた
など、様々な所でミスが発生する可能性があります。

いわゆる「ヒューマンエラー」を解消する上でも、システムの導入は非常に有効です。

特に給与や税金など、1円でもズレが許されないような仕事が多いので、

データを活用した人事

人事が仕事をIT化する上で、業務効率の向上の次に目指すものは「データを駆使した仕事」です。

IT化によって、これまでの人事に関するデータベースを構築して、さまざまな分析をすることで、問題解決や人事の改善につなげることができます。

現在は、タレントマネジメントのような新しい人事のやり方が登場しており、こうした手法を実現するためには、人事のIT化が不可欠となっています。

非属人化

仕事をする上で、
「この人に聞かないと分からない」
というような仕事を、属人的な仕事と言います。

その人の知識や経験が無ければ仕事が回らない。

こういった状況だと、その人が仕事を辞めてしまった時に、会社としては非常に大きな損失になります。

そのため、非属人化は企業の大きな目的ですが、前述したように
「人事にはそもそも配属される人数が少ない」
ということから、属人化が進みやすい部門と言えます。

企業の長期的な繁栄に関わる非属人化も、システム化の大きな目的と言えます。

エクセルからの脱却が要

人事の仕事をIT化する目的として「業務効率の向上」や「データを駆使した仕事」などを挙げました。

これらの目標を実現する上で重要なのが、エクセルからの脱却です。

大企業を中心に、多くの企業でIT化が進んでいるとはいえ、人事の仕事では、まだまだエクセルが現役です。

エクセルは、関数計算やマクロ作成などの利点がある一方、情報の集約と編集、活用が難しいという問題があります。

また、新たなマネジメント手法の実践において、エクセルは不向きであるといえます。

つまり、IT化をするうえでの目的を達成するためには、エクセルや旧態のソフトウェアから脱却し、人事システムへの移行が要となるのです。

人事システムの種類

人事の担当範囲は広いため、ひとつのシステムですべての仕事をIT化することは難しいです。

人事システムと呼ばれるソフトウェアには、それぞれ専門とする業務があります。

ここでは、主要な人事システムの種類をいくつか紹介していきます。

ここで挙げたもの以外にも、さまざまな専門システムが存在しているため、自社の業務にどのようなシステムが必要なのかを、事前に検討しておくと良いでしょう。

勤怠管理システム

これまでは、タイムカードなどを用いて行っていた勤怠管理をIT化するのが、勤怠管理システムです。

さまざまな雇用形態や、例外的な事例にも対応できるシステムを導入することによって、これまで勤怠管理にかかっていたコストを、大きく削減することができます。

また、テレワークや直行直帰など、タイムカードによる勤怠管理が難しい働き方でも、モバイル操作が可能な勤怠管理システムであれば、正確な記録をとることが可能なのです。

労務管理システム

社会保険に関する手続きや、福利厚生についての処理をおこなうのが、労務管理システムです。

たとえば、社会保険の手続きには、社員のさまざまな情報が必要です。

そこで、システムの入力フォームから情報を送信してもらい、収集した情報をクラウド上に保存し、データベースを構築することで、手続きに関わる業務の効率をあげることができます。

これらのシステムでは、多くの場合、
「申請書をワークフローにする」
などの仕組みが導入されており、住所変更や通勤経路変更などを簡単に申請することができます。

選考管理システム

人材確保で大切な採用管理業務をIT化するシステムでは、就職希望者の募集から、面接、評価、採用までの一連の流れにおけるパフォーマンスを向上させることができます。

応募者との日程の調整や、複数のサービスにまたがった求人の管理などを自動化することで、選考に関する業務の効率を向上させ、よりよい人材の獲得につなげることが可能となります。

また、近年では新卒の採用面接などでも、志願者とのコミュニケーションの密さが求められます。

これらに対応するためには、システム化が必要になってきます。

人事評価システム

人事評価システムは、社員のあらゆる評価を収集してクラウド上で一元管理し、データベースを構築した上で、多角的に評価することのできるシステムです。

これまでは、評価項目や評価フローが複雑で、またエクセルで管理することが多かったため、人事評価は業務において大きな負担となっていました。

特に、人事評価をする期間が決まっており、更に辞令を出すタイミングも決まっています。

そのため、短期間で多くの情報を集計する必要がありました。

そこで、こうしたシステムを導入することによって、人事評価に関するコストを削減するだけでなく、納得度の高い人事評価をすることができるようになるのです。

タレントマネジメントシステム

社員のスキルを経営資産としてとらえて、人員配置に活かすのが、タレントマネジメントです。

スキルの把握から、効率的な配置までを自動化するシステムを導入することで、人手不足や新しい働き方に対応することが可能です。

人事システム導入のメリット

ここまで、人事のIT化として、人事システムについて解説してきました。

人事システムの導入によるメリットについてもみてきましたが、そのメリットをまとめてみましょう。

業務の効率化とパフォーマンスの向上

人事システム導入の1番のメリットは、複雑な人事業務にかかるコストを削減し、よいよい結果を生み出せるということです。

勤怠管理の自動化だけでなく、システムを使った情報の集約とデータベースの構築、さまざまな角度からの分析によって、人事評価や選考プロセスを効率化したうえで、パフォーマンスの向上を実現できるのです。

新しい働き方や最先端のマネジメント手法を実現

テレワークや働き方改革へ対応するためには、人事システムの導入が不可欠です。

さらに、タレントマネジメントをはじめとした、新たなマネジメント手法を実現するうえで、人事システムは重要な役割を担います。

人材不足が加速する中、優秀な人材を確保し、適材適所の人員配置をして、社員のスキルや働きを適切に評価できる人事システムは、企業にとって、大きなメリットを与えることができます。

離職率の低下や人材の育成が可能

離職率の低下は、人事部において常に意識しているポイントだと思います。

しかし、実際には業務に追われて
・人材の育成
・個々人のケア
・制度の改善
などに力を注げていないのではないでしょうか。

結果として、
「今の会社では自分の力を発揮できない」
「将来が見えない」
と感じて辞めてしまう人も多いでしょう。

その原因は、前述してきたように業務負担が大きいことが挙げられますが、システム化によって本来人事がやるべき「育成」などに力を注げる様になるのは大きなメリットでしょう。

人事システム導入のデメリット

人事システム導入のメリットを解説しましたが、人事システムは、適切に把握し利用しなければ、かえってデメリットを生み出してしまいます。

導入コストがかかる

近年はクラウド型のシステムが増えていますが、自社の環境に合ったオンプレミス型のシステムを導入しようとすると、かなりのコストがかかってしまいます。

また、システムを導入しても、社員がうまくシステムを扱えなければ、かえって業務の負担になってしまいます。

人事システムを導入する際は、事前にIT化への体制を整えておく必要があります。

セキュリティへの不安がある

これは特にクラウド型のシステムに発生する課題ですが、人事に関する重要な情報を、外部のシステムに保管するため、常に情報漏洩のリスクがつきまといます。

万全のセキュリティ対策を講じているサービスを選び、もしものときの対応を決めておくことが大切です。

データ移行とデータの連携

システムを導入する際には、どうしても最初にデータの移行や登録が必要になります。

例えば、組織情報や従業員情報を登録するのは、非常に大変です。

また、組織改編によって、新しい部署ができたり、異動が決まれば、都度入力が必要になります。

こういった作業は、非常に面倒なため、デメリットと考えられます。

他にも、人事システムで使っているデータを、財務会計システムに連動することなどを検討して導入する必要もあるでしょう。

人事システムの開発・導入はAMELAに

今回は、人事におけるシステム化に着目しました。

非常に多くの業務を抱える人事部ですが、システム化をすることで、本来やるべき業務(人材の育成や採用活動)に力を入れられるのではないでしょうか。

AMELAでは、様々なシステム開発を行っており、システム同士の連携を考慮した開発も可能です。

「今使ってる〇〇というシステムと上手く連携させた人事システムを導入したい」
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