ICTとは?IoTとの違いは?|ICTの解説・活用事例の紹介
現在、Iotが非常に注目を集めています。
様々な電子機器が作られる中で、Iotがより一般的になれば、人間の生活はどんどんと豊かになっていくと考えられます。
そんなIotと混同される言葉として
「ICT」
というものがあります。
今回は、このICTとは何か。その解説や活用事例について見ていきましょう。
ICTとは
ICTは、Information and Communication Technologyの略称で、日本語にすると「情報通信技術」のこと。
つまり、ICTはあらゆる情報をインターネットなどの通信技術を使ってやりとりする技術のことです。
しかし、ICTは幅が広い概念でもあるため一言でその全貌を言い表すことは難しいです。
現代社会において、ICTは必要不可欠な技術になっており、生活のあらゆる場面で活用されています。
ここまでの説明で、ITと同じものかと考えた方もいるかもしれません。
ITは、Information Technologyの略称で、日本語にすると「情報技術」です。
歴史的に見ると、ITという言葉はICTという言葉が使用される以前から幅広く使用されていた言葉で、1989年にISO(国際標準化機構)の制定した規定に使用されました。
日本では1990年台に使用され始めたようですが、2000年4月に時の首相がIT革命のことをイット革命と発言するなど、現在ほど広く浸透してはいなかったようです。
2000年9月には、日本型IT社会の実現を目指したe-Japan戦略が国会で示されています。
e-Japan戦略では、おもにインフラの整備に重点を置かれていました。
一方、ICTという言葉は2004年に内閣官房が主導しユビキタスネット社会の実現を目指したu-Japan政策の中にITに代わって登場しました。
u-Japan政策では効率化、付加価値の創出、環境負荷軽減など、整備されたインフラを活用することに重点を置かれたことがICTという言葉を使った理由だと考えられます。
ICTはどのように活用されているか
現在、ICTはあらゆる場所で活用されています。
どのような場所で活用されているかを紹介します。
教育
教育においては、
・学校内の通信ネットワークの整備
・児童1人1台の端末の整備
など学校のICT環境の整備をすることを目的としたGIGAスクール構想が挙げられます。
GIGAスクール構想は、内閣官房、総務省、文部科学省、経済産業省が一体となり推進されました。
この政策は、平成29年3月小中学校、平成30年3月高等学校に示された新しい学習指導要領を推進するためのものです。
この指導要領の中では、情報活用能力を言語能力と同様に「学習の基盤となる資質・能力」と位置付けられています。
また、学校のICT環境の整備とICTを活用した学習活動の充実に配慮することも示されています。
GIGAスクール構想により整備されたICT環境では、
・遠隔会議システムやSNSを活用した、被災地や離島など、地方におけるプログラミング教育
・電子黒板を使った、学校・市・日本・世界へのプレゼンテーションの体験
・タブレットを使用した地元産官学連携による体験的活動
など、これまでには受けることの出来なかった幅広い教育を受けることができています。
医療
医療でのICTの活用では、高齢化に伴う患者通院負担の増大、医師の偏在といった課題の解決策としての遠隔医療が注目を浴びています。
具体的には、
・遠隔画像診断
・遠隔病理診断
・遠隔救急医療支援
・遠隔コンサルテーションカンファレンス
・遠隔手術
・専門的診療支援
のことで、すでに実証を始めている技術もあります。
遠隔医療以外にも、オンライン診療や個人の医療・介護・健康データを本人の同意のもとでさまざまなサービスに活用するパーソナル・ヘルス・レコードなど、医療分野でもICTは幅広く活用されています。
防災
防災の面でもICTが活用されています。
G空間防災システムとLアラートの組み合わせによる防災情報システムが全国各地に整備されています。
G空間防災システムとは、地震・津波等による広域災害や緊急性を要する大規模災害に対して準天頂衛星等を活用して構築する防災システムで、これを活用すると地図上の災害情報や避難情報をリアルタイムに確認できます。
Lアラートは、自治体が発信する地域の災害情報を集約し、テレビやインターネット等の多数のメディアを通して一括配信する共通基盤のことです。
このふたつのICTシステムを活用することで、全国各地でさまざまな事業が実証されています。
たとえば、東北大学では、リアルタイム津波予測システムとLアラートの連携により自治体のつなみ災害時対応を効果的に支援する防災業務システムを構築しています。
農林水産業
農林水産分野では、
・スマート農業
・熟練農業者の技能の形式知化
・鳥獣被害防止対策
・クラウドによる森林情報の共有
などあらゆる面でICTが活用されています。
具体的には、例えばスマート農業では、農業のロボットによる農作業の自動化・軽労化、農業用ドローンによる農薬散布、環境制御システムによるハウス栽培などの形でICTが活用されています。
現在、農業者の減少・高齢化が進んでいます。
ICTの活用によって、作業の効率化・低コスト化、作業の標準化を進めてこの問題を解決することが期待されています。
ICTとIoTの違い
ICTと間違えられやすい言葉に、IoTがあります。
ICTとIoTの違いについて説明します。
IoTはあらゆるモノをインターネットに接続すること
IoTはInternet of things、「モノのインターネット」という意味です。
IoTが世の中に浸透する以前は、インターネットに接続し情報のやりとりをする機器はコンピュータのみでした。
IoTは、コンピュータのみではなくあらゆるモノをインターネットに接続し、情報のやりとりをすることです。
たとえば、カメラをインターネットに接続すると留守番中のペットを見ることができますし、空調をインターネットに接続すれば帰宅時の室温を外出先から適温にしておくことができます。
これまで、インターネットに繋がっていなかった機器がインターネットに繋がることで、
・様々な新しいサービスが生まれる
・安全性の確保
・生活がより豊かになる
・位置情報が確認できる事により紛失や盗難が避けられる
・スマホなどの機器からの遠隔操作が可能になる
など、様々なメリットが生まれます。
IoTはICTを構成する技術の1つ
ICTはさまざまな技術や仕組みで構成されることで、幅広く活用ができるようになっています。
IoTは、ICTを構成する技術の1つであると定義できます。
前述したように、ICTは「情報通信技術」であり、IoTで利用されている通信の技術そのものがICTと言えるでしょう。
IoTはどんなことに活用されているか
スマートホンがインターネットに接続されていることで、位置情報や正確な時間など生活のなかでIoTの利便性を感じることは多いと思います。
しかし、IoTは身近なところだけではなく、他にもさまざまな活用がされています。
全国各地で実証されているIoTの活用について、いくつか紹介します。
IoTはICTを構成する技術の1つであるため、広義にはICTの活用とも言えます。
熟練技術を継承するための指導用システム
新潟県三条市では、伝統的な産業である刃物生産の技術伝承のためのシステムが構築されています。
このシステムでは、熟練の鍛冶職人の技術を各種センサーによって収集し、そのデータを外部サーバーに送信し解析し若手鍛冶職人の指導に活用できます。
この場合、各種のセンサーがインターネットに接続していることになります。
このシステムによって、これまで指導に12ヶ月かかっていた包丁研ぎの基本的技術が、9ヶ月で完了できるようになったという実績もあります。
シカ等侵入防護柵の点検自動化
宮崎県東臼杵郡では、最造林地へのシカ等の侵入による苗木食害や樹皮剥被害などが急増しました。
対策のひとつとして、防護策の設置がありますが破損すると被害は拡大するため、高い頻度で点検が必要ですが、人手不足で困難です。
そこで、防護策の点検をIoTシステムにより自動化することで、対策の強化を図りました。
この活用方法の場合は、動きを感知するセンサーやカメラ、体温を検知するセンサーなどがインターネットに接続しています。
この自動点検システムにより、設置前は1月あたり食害の進行率が2.7%であったところ、設置後は0%と非常に高い効果を示しています。
多頭数放牧牛管理に使う省電力IoTシステム
北海道広尾郡では、広大な土地で放牧している牛の個体管理をしています。
この作業は過重労働と慢性的な人手不足により存続が危ぶまれていました。
そこで、牛の首に送信機をつけ、独自の通信網を設置することで放牧されている牛の位置情報や行動軌跡などの活動データを取得、解析するシステムを構築しました。
このシステムでは、取得したデータをインターネットを介してサーバーに集約することでデータ解析を行っています。
このシステムの導入により、これまで年に232.5時間、418,500円が必要だった作業が、年に12.5時間、22,500円に削減されました。
ICTとIoTの未来
日本の科学技術政策について定めた法律、科学技術基本法というものがあります。
この法律に基づいて作られている科学技術基本計画の中で、日本が目指す未来社会はSociety5.0と提唱されています。
これは、
・狩猟社会(Society1.0)
・農耕社会(Society2.0)
・工業社会(Society3.0)
・情報社会(Society4.0)
を経て、これに続く新たな社会とされています。
Society5.0では、
・国民の安全と安心を確保する持続可能で強靱な社会
・一人一人の多様な幸せ(well-being)が実現できる社会
を目指しています。
その実現のためには
・サイバー空間とフィジカル空間の融合による持続可能で強靱な社会への変革
・新たな社会を設計し、価値創造の源泉となる「知」の創造
・新たな社会を支える人材の育成
が必要とされています。
Society5.0が「サイバー空間とフィジカル空間の融合」や「新たな社会を設計」などを必要とするため、ICTやIoTは今後今以上に必要になる技術です。
今後ICT、IoTに関する技術は大きく発展し仕事や生活などのあらゆる場面で、これまでにないような活用をされることが予想されます。
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今回は、ICTという用語について意味や実例を見てきました。
宮崎県東臼杵郡の例などは、
「こんな事もシステム化できるんだ」
と感じた方も多いのではないでしょうか。
システム的な技術も年々向上していますが、カメラやセンサーなどのハードウェアの機能も年々向上しています。
そのため、比較的安価に導入できたり、狭い場所でも意外とシステムを活用することができるケースがあるのです。
また、いわゆる「古い業界」でも、システムを導入することで新たなビジネスチャンスが作れた事例も多々あります。
新しい技術によって製品に新しい「付加価値」がつけられれば、価格競争に巻き込まれる心配も無く、高い利益率を確保できるでしょう。
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