パブリッククラウド・プライベートクラウドとは?|特徴・違いを解説
2006年にAmazonが始めたサービスであるクラウドコンピューティングは、現在ではあらゆる仕事で活用され、多くの人々の生活の一部になっています。
クラウドコンピューティングはその利用のされ方で、大きく
・パブリッククラウド
・プライベートクラウド
の2つのモデルに分けられます。
この記事では、
・クラウドコンピューティングとは
・パブリッククラウドとは
・プライベートクラウドとは
・パブリッククラウドとプライベートクラウドをどう使い分けるか
について解説します。
クラウドコンピューティングとは
現代社会において、身近で仕事や生活に欠かせないサービスとなっているクラウドコンピューティング。
クラウドコンピューティングがどう定義され、どのように社会に浸透しているかについて説明します。
NISTによるクラウドコンピューティングの定義
NIST(アメリカ国立標準技術研究所:National Institute of Standards and Technology)はアメリカにおいて、科学技術の規格標準化を行なっている組織です。
そのNISTはクラウドコンピューティングの特徴を、下記の様に定義されています。
クラウドコンピューティングは、共用の構成可能なコンピューティングリソース(ネットワーク、サーバー、ストレージ、アプリケーション、サービス)の集積に、どこからでも、簡便に、必要に応じて、ネ ットワーク経由でアクセスすることを可能とするモデルであり、最小限の利用手続きまたはサービスプロバイダとのやりとりで速やかに割当てられ提供されるもの
要約すると、いつでもどこでも使える便利なコンピュータといえるでしょう。
クラウドコンピューティングの実装モデル
NISTはクラウドコンピューティングについて、特徴と合わせて実装モデルについても定義しており、
・プライベートクラウド
・コミュニティクラウド
・パブリッククラウド
・ハイブリッドクラウド
の4つのモデルに分類されるとしています。
NISTがこれらの実装モデルを定義したのは2011年9月です。
現在では、コミュニティクラウドはプライベートクラウドの一部と数えられることもあります。
クラウドコンピューティングの市場は拡大している
クラウドコンピューティングの日本国内市場は、2018年に1兆9422億円だったものが2019年には2兆3572億円になり、2024年には5兆3970億円になると予測されています。
今後拡大していく市場において、サービス提供者だけではなく、サービスを受ける側にもクラウドをより理解し、うまく活用することがこれまで以上に求められることが予測されます。
パブリッククラウドとは
パブリッククラウドとは、GmailやGoogleドライブなど、登録すれば誰でも利用可能なクラウドサービスです。
年々需要が高まり続けているパブリッククラウドについて説明します。
NISTによるパブリッククラウドの定義
NISTでは、パブリッククラウドを下記の様に定義しています。
クラウドのインフラストラクチャは広く一般の自由な利用に向けて提供される。その所有、管理、および運用は、企業組織、学術機関、または政府機関、もしくはそれらの組み合わせにより行われ、存在場所としてはそのクラウドプロバイダの施設内となる。
最も強調するべきは「存在場所」であり、それがクラウドを提供する企業の施設内という事になります。
冒頭にお話したGmailやGoogleドライブは、Googleの施設内に本体であるサーバーなどが保管されています。
サービスモデル
パブリッククラウドは、3種類のモデルで提供されるサービスと定義されています。
Saas
Software as a Serviceの略で「サース」と呼ばれます。
クラウド事業者が提供するサービスは、
・インフラストラクチャ:仮想サーバ
・プラットフォーム:OS
・アプリケーション:ソフトウェア
の3層に分かれます。
これらのうち、全てのサービスを提供するのがSaasです。
Paas
Platform as a Serviceの略で「パース」と呼ばれます。
クラウド事業者の提供するサービスのうち
・インフラストラクチャ:仮想サーバ
・プラットフォーム:OS
の2層を提供するサービスで、アプリケーションはユーザーが管理します。
Iaas
Infrastructure as a Serviceの略で「イアース」または「アイアース」と呼ばれます。
クラウド事業者の提供するサービスのうち
「インフラストラクチャ:仮想サーバ」
の1層のみを提供するサービスで、OSおよびアプリケーションの管理はユーザーが行います。
パブリッククラウドを提供する事業者
パブリッククラウドを提供する事業者のうち大手の3社と、そのサービスについて説明します。
AWS
Amazon Web Service の略、Amazon社が提供しているサービスです。
AWSは最も利用されているクラウドサービスで、その特徴は機能の充実度。
分析、ブロックチェーン、データベースなど、AWSが提供している機能は220を超えており、幅広く活用できます。
Azure
Microsoft社が提供しているサービスです。
オンプレミスとの連携がしやすいことや、Microsoft Officeとの親和性が高いことから大企業で採用されていることが比較的多いサービスです。
GCP
Google社が提供しているサービスです。
YouTubeやGmailで使用されているインフラがベースとなっているのが特徴で、データ解析や機械学習などの分野に強みを持っています。
パブリッククラウドの現在と今後
クラウドの需要は年々高まっており、市場規模は大きくなり続けています。
そのうちパブリッククラウド市場は、2020年にはじめて1兆円を突破し、企業のDXの推進にあわせて一層需要が高まり、2025年には3.1兆円に達すると予測されています。
プライベートクラウドとは
パブリッククラウドとは、活用方法がおおきく異なるクラウドサービスであるプライベートクラウド。
その定義や活用方法について解説します。
NISTによるプライベートクラウドの定義
NISTではプライベートクラウドを、下記のように定義しています。
クラウドのインフラストラクチャは、複数の利用者(例:事業組織)から成る単一の組織の専用使用のために提供される。その所有、管理、および運用は、その組織、第三者、もしくはそれらの組み合わせにより行われ、存在場所としてはその組織の施設内または外部となる。
パブリッククラウドとは大きく異なり、組織の外部に存在するものも含まれます。
つまり、物理的にサーバーが自社に無かったとしても、サービスを購入してくれたユーザーの社内にサーバーを置く形での提供が可能になります。
プライベートクラウドの設置場所による違い
NISTの定義にもあるとおり、プライベートクラウドの設置場所は組織の施設内の場合と外部の場合があります。
オンプレミス型
オンプレミス型のプライベートクラウドは、組織の施設内にサーバーを設置し、回線を準備して作るクラウドの環境です。
オンプレミス型では、情報の送受信にインターネットの利用が不要となりデータは自組織内のサーバに保存されます。
ホスティング型
プライベートクラウドを組織の外部に設置するホスティング型では、クラウド事業者からパブリッククラウドの一部を自組織専用に提供してもらいます。
オンプレミス型とは異なり、インターネットの利用が必要となりデータはクラウド事業者のサーバーに保管されます。
プライベートクラウドの現在と今後
プライベートクラウドの市場は、パブリッククラウドよりも大きく2020年度は1兆7818億円。
2025年には3.5兆円規模の市場になると予測されています。
パブリッククラウドとプライベートクラウドのメリット・デメリット
パブリッククラウドとプライベートクラウドのメリットとデメリットについて説明します。
パブリッククラウドのメリット・プライベートクラウドのデメリット
パブリッククラウドとプライベートクラウドを比較し、「パブリッククラウドのメリット」であり「プライベートクラウドのデメリット」である点について
・導入コスト
・導入から運用開始までのスピード
・運用コスト
の視点から説明します
導入コスト
パブリッククラウドは必要な機能を必要な分だけ契約すれば良いため、プライベートクラウドを導入するのに比べコストが低くなります。
プライベートクラウドは、ホスティング型であれば比較的低コストで導入できますが、オンプレミス型の場合は導入コストが高くなります。
導入から運用開始までのスピード
パブリッククラウドでは、クラウド事業者との契約ができればすぐに使用を開始できます。
目的のシステムを準備するための時間は必要ですが、プライベートクラウドと比べると必要な時間は非常に短いです。
オンプレミス型のプライベートクラウドでは、システムを構築しなくてはならないため導入までの時間が長くなります。
運用コスト
クラウドの運用には専門知識が必要です。
パブリッククラウドでは、システムの運用はクラウド事業者が行うため、人的リソース、金銭的リソースなど運用コストは低く抑えられます。
オンプレミス型のプライベートクラウドでは、専門知識を持つ人材の確保が必須となり運用コストが高くなります。
プライベートクラウドを使うメリット・パブリッククラウドのデメリット
「プライベートクラウドのメリット」であり、「パブリッククラウドのデメリット」である点について
・セキュリティ面
・カスタマイズ性
の視点から説明します。
セキュリティ面
プライベートクラウドでは、サーバーのリソースを占有できるため自組織のプライバシーポリシーの要件を満たすことができます。
特にオンプレミス型のプライベートクラウドでは、インターネットに繋がずに運用することもできるため、パブリッククラウドに比べ高いセキュリティを保ちながら運用することが可能です。
カスタマイズ性
すでに説明したとおり、パブリッククラウドには多くのアプリケーションが準備されており幅広く活用ができます。
しかし、プライベートクラウドには、パブリッククラウドと比較して高いカスタマイズ性があり幅広い活用が可能なパブリッククラウドでも実現できない、自組織に特化したシステムの構築が可能です。
特にオンプレミス型の場合、ハードウェアや使用するネットワークを選定することができるため、完全に自組織に特化したシステムの構築が可能となります。
自社にあった運用の相談ならAMELAに
今回は、現在ITサービスの中心となっているクラウドサービスに関して、2種類の形式が有ることや、それぞれのメリット・デメリットについて触れてきました。
どちらのサービスも、現在の社会活動を支える非常に有力な仕組みであることは変わりませんが、一方で
「ウチの社内の運用にあっているのはどちらか」
という点に関しては、各企業の情報システム部門の知見が必要になります。
例えば、「BCP(いかにビジネスを長期的に継続できるのか)」という観点から見た場合と、「顧客が得られる利益を最大化したサービス」では、全く別のシステム導入が必要になるかもしれません。
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