Unityとは?ARやVRでも利用される「最強のゲームエンジン」を使ってみよう

Unityという言葉を聞いたことがありますか?

世界で最も使われている「ゲーム開発プラットフォーム」です。

「ドラゴンクエストVIII」や「Pokémon Go」などもUnityを使って作られました。

最近ではゲーム業界以外に、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)の分野で自動車や医療、建築などの業界でも使われています。

今回は、Unityがどうしてこのように広く使われるようになったのか、その背景と、特徴、Unityの使い所について解説します。

また、Unityを使ってみたいと思っている方に向けて、未経験者がUnityを学ぶ方法やUnityの利用料金についても詳しく解説します。

Unityとは

Unityは米国のUnityTechnologiesが提供するゲーム開発ツールで、ゲームエンジンと呼ばれることもあります。

しかし、開発環境や実行環境も含むため
「ゲーム開発プラットフォーム」
と呼ぶのがより正確でしょう。

・iOS
・Android
・Windows
・macOS
・Web
・Nintendo 3DS
・Plastation 4
・PlayStation VR
など多くのプラットフォームに対応しています。

世界で最も使われており、「ドラゴンクエストVIII」や「Pokémon Go」など、新規モバイルゲームの半数、売上上位1000タイトルの半数がUnityを使って作られています。

このように多くのプロに使われているツールですが、利用者数としては個人の方が圧倒的に多いです。

最近ではゲーム業界以外に、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)の分野で自動車や医療、建築などの業界でもMicrosoft HoloLens対応のUnityが利用されています。

ゲームエンジンとは

ゲームエンジンとはゲームを作るための統合開発環境のことで、グラフィックの描画やサウンドの再生、コントローラからの入出力のようなゲーム開発に不可欠な基本機能をまとめて提供してくれるプログラムのことです。

これらを一から作ろうとすると、膨大な時間がかかる一方、世の中の動き的に1つあたりの商品の寿命は短命になっています。

多くのユーザーが、どんどんと新しいゲームをしたいと考えるようになってきましたし、昔と違って
「ソフトを購入せずとも無料でダウンロードできるゲーム」
も増えています。

そのため、1つ1つのゲームにかけられる開発期間は、年々短くなっているため、このゲームエンジンを使用することが一般的になってきたのです。

Unityを利用して得られる効果

Unityを「ゲーム作り」に利用して得られる効果は、
「初心者でも簡単に」
「短期間で」
「大規模な」
「ハイクォリティな映像を持つ」
ゲームが作れることです。

しかし、得られる効果は何れかの効果です。

これらの効果全てを併せ持つ、初心者が「大規模でハイクォリティな映像のゲーム」を短期間に作ることの出来る夢のようなツールではない点に注意して下さい。

効果の具体例:優れたツールと充実した開発サポートで門外漢が起業に成功

この事例は、数々の賞を受賞したホラーアクションゲーム「DARQ」に関するものです。

DARQは斬新なアイデアによる新機軸のパズルゲームとして有名で、
「シンプルなアイデアなのに奥深いパズルである」
「ホラーアクションの世界を3Dグラフィックで見事に表現している」

という点で、高い評価を得ています。

Unityとの出会いと:ゲーム開発会社を起業するまで

開発者のMarhuletは大学を卒業して映像制作者の職に就いて間もない頃、1ケ月の休暇を利用して、趣味を増やそうとしてUnityを使ったゲーム作りに挑戦しました。

1ケ月後にはDARQのプロトタイプが出来上がり、ゲーム配信プラットフォームSteam Greenlight(Steam Directの前身)に投稿し、トップ10に入りました。

これをきっかけにゲーム作りを仕事にし、インディースタジオUnfold Gamesを設立しました。

その3年半後には、PC版のDARQを完成させ、現在ではPC以外に、Nintendo Switch、PS5、PS4、Xbox Oneなどのマルチプラットフォーム化も果たしました。

Unityを選んだ理由

MarhuletがUnityに最初に出会ったのは、DARQの開発に着手する前です。

プロのミュージシャンとして別のゲームで音楽を担当した時で、その際にクォリティの高いゲームを1人で開発できることに驚愕しました。

その後、Unityの公式サイトに掲載されている充実したプログラミングチュートリアルや開発者たちのコミュニティを知ったことがUnityを選んだ契機です。

巨大なコミュニティでは、必要に応じて質問に応えてくれるフレンドリーな開発者たちに恵まれ、非常に助けになりました。

このような背景があり、DARQに続く2作目もUnityを使っています。

Unityでマルチプラットフォーム化を果たす

Unityを使えば、クロスプラットフォーム開発が可能で、例えばiOSとAndroidの両方に対応したゲームを開発できます。

一般的には、クロスプラットフォームは各プラットフォームのOSを最大限生かした設計がやり難く、不具合が発生し易いと言われています。

しかし、ゲーム開発においてはUnityの利用が一般的で、クロスプラットフォームばかりでなく、特定のOSに特化したゲームを開発する際にもUnityが使われています。

Unityを使って、クロスプラットフォームによりプラットフォームのマルチ化を進めるのですが、ゲームの見た目を統一するために、プラットフォーム毎に手作業で調整が必要でした。

これは、画像や映像、音声などのデータから画像や映像、音声を生成する仕組みがプラットフォームによって異なるからです。

Unityの特徴や使い所

ここでは、Unityの特徴と使い所について見ていきましょう。

Unityの特徴

Unityの特徴として、
・ゲーム開発プラットフォームである
・マルチプラットフォームに対応している
・充実したプログラミングチュートリアルや開発者たちのコミュニティがある
という事は既に述べましたが、これ以外に以下のような特徴があります。

高品質なAR/VRコンテンツの制作が可能

Unityは3Dオブジェクトを操作するライブラリを標準機能として備えています。

このライブラリを使うことで、AR/VR用の高品質なコンテンツを制作でき、現実と仮想空間の要素を併せ持つ表現が容易に実装できます。

AR(拡張現実)は
「目の前に見えるリアルな現実の風景にさまざまな情報を付け加える」
技術です。

例えば、飛行機などの整備は膨大なマニュアルを見ながら行っていますが、AR技術を使えば作業は一変します。

ARグラスをかけて作業することで、グラスに表示された整備手順や整備マニュアルを見ながら整備を行えるようになります。

VR(仮想現実)は、
「ユーザーの居る環境全体を、シミュレーションして作った仮想的な世界に置き換える」
という技術です。

例えば、自宅のリビングに居ながら、仮想空間で作られた外国の風景などに入り込んで時を過ごすことができます。

VRゴーグルを装着することで、高い没入感を体験できます。

ノンプログラミングでゲーム開発ができる

従来は、本格的な3Dゲームなどの開発は複雑で困難とされてきました。

それは、開発にはプログラミング言語「C」や「C++」が使われていたからですが、Unityを使った場合は細部にこだわらなければノンプログラミングで開発できます。

細部にこだわる場合は、プログラミング言語「Unity用JavaScript」「C#」を使います。

例えば、C#スクリプトを使った場合、物理エンジンRigibodyやステージ遷移関連機能SceneManagerなどが備わっていますから、専門知識が無くてもハイクォリティな映像を持つ3Dゲームを開発できます。

なお、物理エンジンとは質量や重力、速度、摩擦などの力学的な法則をシミュレーションする機能ですから、リアリティに富む動画を作るのに不可欠です。

また、ステージ遷移関連機能は、各ステージでのシーン読み込み順序を制御したりシーンのデータを取得して画面表示を制御したりするものです。

アセットストアが充実している

アセットストアには、他のユーザーが作ったプログラム部品や3D素材が公開・販売されています。

Unityの使い所

Unityの使い所としては、今まで詳しく取り上げてきた「ゲーム開発」以外に、次のような分野があります。

自動車デザイン

自動車デザインの分野では、デザイナーが車両コンセプトを「目に見える形」にして確認する作業が欠かせません。

このために、従来は粘土でクレイモデルを作っていましたが、現在では3DCGモデルで車を設計し、VR内でそれを確認する工程が主流になっています。

海外デザイナーとシームレスにコミュニケーションが取れることで、制作プロセスの短縮化につながります。

また、車のモデルを実写化した風景の中を走らせることができ、仮想空間の中でデザインした車が実際の公道を走る姿を目にすることができます。

手術の事前シミュレート

医療の分野にもVRシミュレーションが多く使われるようになりました。

これは、VRシミュレーションを訓練に使うことで
「反復練習が可能になる」
「取得技術の評価」
「希少症例や危険のある手術を体験出来る」
などの効果が期待できるからです。

その結果、実際の手術に自信をもって臨むことができるようになります。

また、手術室内で間近に手術を見学できるのは数名でしたが、VRを利用すれば手術室外で多くの研修医が見学できるようになります。

VRをPTSD(心的外傷後ストレス障害)や恐怖症、不安障害などのメンタルヘルス関連の治療への応用が試みられています。

VRを使うことで、視覚シミュレーションの体験を通じて、トラウマの原因に慣れていくことで、障害を乗り越えられるようになると期待されています。

建物の3D描画

建設業界では、建物の設計・施行・維持管理で得た情報を集約した情報がBIM(Building Information Modelinf)データとして蓄積され、管理のために使われています。

設計が終われば、BIMに蓄積されている3D設計データを、Unityに取り込んでVR映像として見ることが出来るようになります。

建物のVR映像をヘッドマウントディスプレーで見ることが出来ますから、建物のサイズ感や奥行きなどを施行に先立って建築主に確認してもらうのに役立ちます。

Unityユーザーになるには

ここでは、Unity未経験者がUnityを学び、ゲーム作りやAV/RVに挑戦するのに役立つ情報をお伝えします。

Unityを学ぶには

次のステップを踏んで学習を進めることをお薦めします。

Step1:学習サイトでUnityの基礎を学ぶ
Step2:学習サイトでC#を学ぶ
Step3:簡単なサンプルゲームを作成する
Step4:チュートリアルでUnityを学ぶ
Step5:ゲーム開発を始める

学習サイトで基本的なことを学んでから、深堀するために書籍を利用するようにしましょう。

入門者向け

ここでは、ドットインストールとScooを紹介します。

先ず、ドットインストールの「Unity入門」を紹介します。

このレッスンでは、Unityのインストールから、画面の基本的な使い方を学びます。

画面の見方、視点の変え方、ゲームオブジェクトの使い方、Scriptのゲーム開発の基本を学び、簡単なボールゲームを作成します。

現在、このレッスンは視聴可能ですが、質問の受付や内容の更新を行っていません。

次に、Schooの「ゼロから始めるUnity講座」を紹介します。

1つのレッスンでゲームを1つ作る構成です。

レッスン中、実際に手を動かしますから覚え易いです。

また、質疑応答も行っていますから、効率良く学習が進むでしょう。

初心者およびスキルアップしたい人向け

IT専門サイトatmarkitの「ゲーム開発初心者のためのUnity入門」を紹介します。

講座は1~12まであり、入門者向けの「Unityとは?」から始まり、「3Dキャラクターの動作の設定」や「AR」、「VR」についても詳しく解説されています。

Unity公式サイトを見てみよう

Unity公式サイトに載っている下記のサイトをお薦めします。

Unity入門チュートリアル

入門者と中級者向けのチュートリアルで、玉転がしゲームを作ります。

本格的なゲームを作りたい方は挑戦することを奨めます。

Unity学習プラットフォーム

「Unityを使おう、Unityで作ろう」をキャッチフレーズにしたUnity learning Materialsというサイトがあります。

「プロフェッショナルも、アーティストも、週末ゲームクリエイターも」と呼びかけており、各レベルの人が参考になる技術が数多く紹介されています。

Unity Japanの公式生放送「Unity STATION」では様々なゲストを迎え、Unityに絡むホットな話題を配信していますのでUnityを学ぶ際に参考になるでしょう。

Unityマニュアル

公式サイトなので内容が豊富で、情報は最新のもので、一番信頼できます。

マニュアルは読みやすく工夫されていますから、基礎を知りたい方はしっかり読んでおくことをお薦めします。

Unityの利用料金など

会社または個人が利用して、過去12ケ月の収益や調達した資金が10万米ドルと20万米ドルを境として利用料金が異なります。

これとは別にアカデミックライセンスもあります。

10万米ドル未満の場合は、オンラインで提供している「Proサブスクリプション」を30日間無料で使え、トライアル期間が過ぎると利用料金が発生します(Personalプラン)。

このサブスクリプションの内容はProレベルのものです。

10万米ドル以上・20万米ドル未満の場合は、Plusを契約する必要があります。

利用料金はユーザー1人あたり1シートの場合、1年間48,395円です。

シートとはUnityのライセンス数を表す言葉で、1シートで2台のコンピュータにUnityをインストールして利用できます。

20万米ドル以上の場合は、Proを契約する必要があります。

利用料金はユーザー1人あたり1シートの場合、1年間217800円です。

Unity人材をお探しならAMELAに

今回は、ゲーム開発において非常に人気の高いUnityについてお話してきました。

今やゲームは世代を超えて人気があり、昔のように子供がメインの遊びではなくなってきました。

また、5Gの導入によりオンライン対戦のラグが小さくなったり、VRなどの新技術によって、まだまだ大きな可能性が有ると考えられます。

そんな中で、自社でUnityを扱える人材をお探しの場合は、是非AMELAにご相談いただければと思います。