エンジニア採用の現場で広がる『カジュアル面談』とは?
いま、ITエンジニア採用の現場で、
「カジュアル面談」
という採用手法が広がっています。
日本ではIT企業が早くから取り入れており、すでにIT以外の分野でも、カジュアル面談を活用する企業が登場しています。
今までの採用面接とは違い、採用担当者と志望者がリラックスして会話することで、よりよい人材の獲得につなげようという取り組みです。
この手法を採り上げることで、従来の面接でありがちだった問題を解消することが可能です。
では、カジュアル面談では具体的にどのようなものなのでしょうか。
この記事では、そんな新たな採用手法について解説します。
いま注目されるカジュアル面談の目的と内容、メリット・デメリットまで見ていきましょう。
カジュアル面談とは
カジュアル面談は、主にIT企業において少しずつ広がっている新しい採用手法です。
では、この採用手法はいままでの方法とどう違うのでしょうか。
「カジュアル面談」は実施する企業や目的によって内容が大きく異なる場合があります。
ここでは、一般的にカジュアル面談がどのようなものなのかを解説します。
「面接」ではなく「面談」
カジュアル面談は、採用担当の人員と採用希望者がカジュアルに意見を交換し合う場です。
通常の採用面接では、面接担当者が志望者に対して質問を続けるという一方向の手法でした。
カジュアル面談では、企業側と志望者が双方向のコミュニケーションをとることで、お互いの価値観や採用した・された後の展望などを知ることができます。
また、採用面接のような堅苦しさを取り除くことで、志望者の本来の姿を見ることができます。
カジュアル面談は、面接や採用の前段階として設定されています。
ですので、カジュアル面談が上手くいったからといっても、そのまま採用までいくとは限りません。
企業側からアプローチをかける
企業が求人を出し、それを見た人が応募することで面接へ繋がるのが通常の採用方法です。
ですが、カジュアル面談はそうした採用手法と違い、企業側から個人へアプローチをかけます。
そうした意味では、この採用手法はダイレクトリクルーティングのうちのひとつであるといえます。
カジュアル面談で企業の魅力などをアピールすることで、よりよい人材獲得につながります。
ITエンジニアの採用現場で広がる
カジュアル面談の特徴として、ITエンジニア採用の現場で広く実施されているということがあります。
これには、深刻化するIT人材不足が関係しています。
近年、企業間でのIT人材の獲得競争は激しさを増しています。
それによって、IT人材獲得の難易度も上がり、新しい採用手法が必要になりました。
そこで、欧米では一般的となっているカジュアル面談を実施することで、人材確保がやりやすくなったというのが、ITエンジニア採用にカジュアル面談が使われやすい理由です。
カジュアル面談の目的
さきほどのトピックでも解説したように、この採用手法には
「応募者のことをよく知る」
「よりよい人材にアプローチする」
という目的があります。
それぞれの目的について、詳しく見ていきましょう。
企業と応募者とのミスマッチを回避する
カジュアル面談には、通常の採用手法によって起こりがちな、企業と応募者とのミスマッチを回避するという目的があります。
企業の方向性や実際の業務内容が思っていたのと違う、職場の雰囲気が合わない等々。
こうしたことは、採用側と応募者が、採用前にお互いをよく知る機会がないことに起因します。
両者がリラックスして話すことで、このようなミスマッチを減らすことができます。
そして、この方法は採用の合否を決定するものではないので、その企業とは合わないと感じた応募者は、速やかに次の選択肢へ進むことができます。
カジュアル面談は、双方にとって負担の少ない採用手法だといえます。
より広い範囲にアピールする
カジュアル面談は、求人から面接まで直接移行するというハードルを無くすことで、求人に応募しようか迷っている人材にアプローチすることができます。
カジュアル面談の強みは「敷居の低さ」なので、より多くの、幅広い人材との接点を作ることができます。
さらに、人材が応募するのを待つよりも、企業からの「気軽な」アプローチによって、より優秀な人材を獲得するという目的があります。
カジュアル面談の内容
では、具体的にカジュアル面談ではどのようなことをするのでしょうか。
はじめに説明したとおり、カジュアル面談といっても、場面によって内容は大きく異なります。
なので、ここでは一般的にカジュアル面談と呼ばれる採用現場について解説します。
お互いをよく知る
カジュアル面談の第一の目的は、面接では難しい、企業と応募者によるより深い情報交換です。
面接では見えにくい両者の価値観であったり、企業のホームページからは得られにくい情報であったりなどを提供しあいます。
その中で、応募者が過去にどのような業務を担当していたかなども、詳しく知ることができます。
企業のチャームを伝える
通常の面接では、応募者はいわば自分を売り込むわけですが、企業側からもアプローチするカジュアル面談では、採用担当者が自社の良い点を応募者に伝えることが重要になります。
企業の経営理念や、将来的な展望、職場環境などを応募者にアピールすることで、優秀な人材獲得へつながります。
応募者が仕事についてどのような点を重視しているのか、事前のアンケートなどで把握しておきましょう。
それと合わせて、カジュアル面談をよりよく進めるために、応募者に対しても、事前に配布した資料を読んでおくことを求めるなどしましょう。
企業側と応募者側との間に温度差があると、カジュアル面談は上手くいかないことに注意しましょう。
応募者への質問
応募者の志望動機やスキル、転職活動の状況などは、カジュアル面談であっても重要な情報なので、ぜひ訊いておきたいことです。
企業が求める人材かどうかを手際よく判断し、採用の効率を高めることができます。
ですが、カジュアル面談は採用試験ではないので、面談を始めてすぐに、応募者へこうしたことを質問するのはあまりよくありません。
あくまでお互いを知るための会話の中で、少しずつ尋ねていくのが定石です。
逆に言えば、カジュアルな場面であるからこそ、応募者の持つスキルなどをより深く知る機会にすることができるのです。
応募者からの質問(逆質問)
面接では逆質問と呼ばれる、応募者から採用担当者への質問は、カジュアル面談では頻繁になされます。
企業の魅力と共に、事前アンケートなどから応募者が何を求めているのかをある程度把握して、準備しておきましょう。
そして、せっかくのカジュアルな場面ですので、応募者からの質問にはなるべく包み隠さずに解答しましょう。
折角のカジュアル面談ですが、このタイミングで社内の不利な情報を隠したりすると、結局通常の面接と同様に
「入ってから思っていた感じではなかったので退職する」
という人材が出てしまいます。
これでは、カジュアル面談を行う事のメリットが半減してしまうでしょう。
カジュアル面談のメリット
ここまで、カジュアル面談がどのようなものなのか、解説していきました。
カジュアル面談のメリットについては様々なところでふれましたが、ここで改めてまとめてみましょう。
優秀な人材をよりよく獲得できる
カジュアル面談で幅広い人材にアプローチをかけ、リラックスして話し合うことで、企業とマッチした優秀な人材を獲得することができます。
また、価値観を共有することで応募者側の熱意も上がり、採用後も積極的に業務を進めてくれるかもしれません。
さらに、応募者とのミスマッチを回避することで、長期的に活躍できる人材を獲得できます。
企業・応募者双方が自分を知ることができる
応募者と価値観を話し合ったり、意見交換を行うことで、企業は必要な人材がよりはっきりしますし、応募者も自分のスキルを再確認することができます。
これは、通常の面接と違い、双方にとって大きなメリットとなります。
採用費用の削減
ミスマッチを避けることで、結果として退職率が下がる可能性が高いです。
その結果、次の採用人数を減らすことができ、良い循環が生まれます。
これを継続する事で、数年単位で見たときに、採用費用の削減が可能になります。
余談になりますが、ブラック企業の求人がこれとは全く反対に位置しており、
1.嘘の採用情報(もしくは正しい情報を隠した求人)で多くの人を集める
2.多くの人材を一時的には抱えるものの、ミスマッチによって多くが退職する
3.更に多くの人材が必要になるので採用コストが上がる
これがブラック企業の一般的な採用状況でしょう。
中長期的に見たときのBCP対策にもなる
人材のミスマッチを避けることは、BCP対策にも繋がります。
人材が10年・20年と同じ会社に居てくれるということは、自社にノウハウや経験が蓄積する事になります。
これを上手く次の世代に繋げることが出来れば、ビジネスが長期的に継続する可能性が高くなるでしょう。
カジュアル面談のデメリット
最後に、カジュアル面談にはどのようなデメリットがあるでしょうか。
カジュアル面談は、長期的な視点で、少数の優秀な人材を獲得するための方法ですので、デメリットもそれにまつわるものです。
また、通常の採用面接ほど形式が決まっていないので、それが原因でカジュアル面談が上手くいかなかったということもあります。
採用担当者の負担が大きい
普通の面接と違い、カジュアル面談は事前アンケートや面談のセッティング、人材へのアプローチなど、準備することが多いです。
さらに、面談では、応募者とリラックスして話し合いながら、応募者が自社とマッチするかどうかを見極めます。
このように、採用担当者の負担が大きく、それ相応のスキルも必要となります。
カジュアル面談が上手く進まなかった場合、両者にとって徒労になりますし、企業へのマイナスイメージに繋がってしまうこともあります。
大量採用には向かない
カジュアル面談は、面接の前段階として機能します。
さらに、企業から人材に個別にアプローチするため、1人の人材を採用するのに時間がかかります。
また、多くの人材にアプローチできる代わりに、同時に複数人を採用することは難しく、一時の人材不足から大量採用することには向かない手法です。
そのため、緊急で人材が必要な場合には通常の採用方法と併用するなど、採用活動の柔軟性が求められます。
採用側と応募者側の温度差
カジュアル面談は、通常の採用にある「型」を取り除いたものといえます。
そこで問題になるのは「カジュアル」の程度です。
喫茶店などでリラックスして行う場合から、採用面接を少し緩めたものまで、カジュアル面談には様々な形があります。
採用側と応募者側でカジュアル面談の認識にズレがあると、失敗に繋がってしまいます。
どれくらいの温度感でカジュアル面談を実施するのかは、事前に周知しておく必要があります。
IT人材の不足はAMELAに
今回は、人材の採用方法である「カジュアル面談」について見てきました。
非常に多くの企業が人材不足に悩まされている事と思います。
しかし、こんな状況でも、転職市場は非常に活発に動いています。
例えばコロナの影響で
「接客業からリモートワークに切り替えたい」
という人は多いですし、会社都合で雇い止めを受けた非正規労働者も多いでしょう。
実際、2021年に総務省が行った調査では、889万人もの人が転職を希望していた様で、カジュアル面談を設けることで、良い人材を雇うことができる可能性があります。
ただし、人材には育成が不可欠です。
直近の人材不足解消のために、一時的な施策を取ることも時には必要でしょう。
そんな時には、是非AMELAにご相談ください。
多数のIT人材を抱えており、人材派遣も行っております。