ハローワーク職業訓練のプログラミング|科目・取得できる資格・メリット

現在、プログラミングに関する興味関心を持っている人は増えています。

未経験から転職をしたいという人も多く、オンラインスクールなども増えてきています。

そんな中で、実はハローワークの職業訓練にもプログラミングがあるというのをご存知でしょうか?

今回は、そんなハローワークの職業訓練について見ていきたいと思います。

職業訓練とは

職業訓練は、希望する職業に就職するために必要な知識・技術を習得できる制度です。

自動車関連、電気関連、機械加工、介護、営業など、さまざまなことを学ぶことができ、プログラミングもその中のひとつです。

対象は、離職者だけではなく、在職者や学卒者、障がい者と幅広いですが、それぞれに受講できる科目が異なります。

プログラミングに関する科目が多いのは離職者を対象とした職業訓練です、そのためこの記事では離職者を対象とした職業訓練について解説をします。

プログラミングの職業訓練

プログラミングに関する職業訓練は、多くの科目が用意されています。

職業訓練で学べること、訓練修了後に目指せる資格について解説します。

どんなことを学べるのか

選ぶ科目にもよりますが、職業訓練ではプログラミング言語だけではなく、デザインや色彩など実務で活用できる知識・技術を合わせて学ぶことができます。

どのような科目があるのか、人気の高いものをいくつか紹介します。

Webサイト制作関連

Webサイト関連の科目は人気が高く、全体的に倍率が高いです。

・Webサイト制作科
・Webサイトクリエータ科
・WEB・スマホサイトデザイン科
・Web動画・Webデザインデザイン作成科

などの科目があり、どの科目でもWebサイト制作に関する知識が学べます。

具体的には、
・HTML:Webサイトを作成するための言語
・CSS:Webサイトを装飾するための言語
・JavaScript:Webサイトで動きをつけたり、データの受け渡しをするプログラミング言語

など、これらの科目ではWebサイトを制作するために必要な言語の学習が共通して学べます。

科目によって異なるカリキュラムには、
・Photoshop:写真や画像を加工するソフト
・Illustrator:イラストを作成するためのソフト
・DreamWeaver:Webページ作成ソフト
・Premiere Pro:動画編集ソフト
・デザイン・色彩

などがあります。

どの科目でもWebサイト作成のために必要なことが網羅されており、修了後はWebシステム関連、Webデザイン関連の職種への就職を目指せます。

バックエンドエンジニア関連

バックエンドエンジニアとは、Webサイトの見えない部分を担当するエンジニアのことです。

バックエンドで活用できる知識が学習できるのは
・システム開発エンジニア養成科
・Javaシステム科
・Pythonエンジニア養成科
・Pythonと情報処理技術者科
などの科目です。

学べる言語は、
・C
・Java
・Python
です。

言語以外にも学べることが多くあります。

例えば、
Javaシステム科:Tomcat、Javaフレームワーク、Linuxの操作
Pythonエンジニア養成科:PythonフレームワークDjango
などを合わせて学ぶことができます。

どの科目でも、正しく知識・技術が身につけられればプログラマーとして就職を目指すことができます。

その他IT関連

他にも多くのIT関連の科目があり、目的に沿った科目を選択できます。

例えば、
・情報セキュリティとサーバ構築科:
 ネットワーク、Linux、ホワイトハッカー入門などについて学べます。
・Excel VBA実践科:
 Excel VBA、Excel マクロなどについて学べます。
・AWS・クラウドエンジニア科:
 Linux、AWSクラウド、Pythonなどについて学べます。
・Webアプリケーション開発入門科
 WEBプログラミング、WEBアプリケーション制作、データベースなどについて学べます。

などがあります。

職業訓練を受けた後に挑戦できる資格

職業訓練の案内を確認すると、どの科目にも受験できる関連資格が示されています。

訓練を受講し資格取得ができれば、就職活動の際に持っているスキルをアピールすることができるのです。

また、その資格の勉強をしていく過程で、実務でも利用できるしっかりとした技術を学ぶことができるでしょう。

自分の希望する職種には、どのような資格が適しているのかを確認しておく必要があります。

職業訓練で学ぶと、どのような資格を受験できるのかを紹介します。

Webサイト制作関連の科目で受験できる資格

Webサイト制作関連の科目を受講することで受験できる資格は、
・Webデザイン・Webサイト設計に関するもの
・Webサイト制作に必要なソフトに関するもの
などがあります。

例えば、
・ウェブデザイン技能検定3級(国家資格):
 ウェブサイトのデザインと設計を行うための知識・技能に関する試験。ウェブ業界で唯一の国家資格です。
・Webクリエイター能力認定試験:
 Webサイト制作に必要なデザインの知識、HTMLやCSSのコーディング能力などを測定する試験
・Photoshopクリエイター能力認定試験:
 Adobe社の画像編集ソフト、Photshopの活用能力の測定・評価をする試験
・Illustratorクリエイター能力認定試験:
 Adobe社のイラスト編集ソフト、Illustratorの活用能力の測定・評価をする試験

などの資格があります。

プログラム言語関連の資格

プログラミング言語に関する資格も受験することができます。

例えば、
・オラクル認定Javaプログラマ
 Javaを無償提供しているオラクル社の認定資格です。
・Javaプログラミング能力認定試験3級
 Javaの基本的知識を有していることを測定する試験です。
・PHP技術者認定
 人気言語PHPの習得度合いを測定する試験です。
・Pythonエンジニア認定基礎試験
 Pythonの基本的な使い方、仕組みや文法の基礎などに関する知識をもっていることを認定されます。

などの資格があります。

その他の資格

プログラミングではありませんが、ITに関する知識を証明できる資格も多数あります。

・基本情報技術者試験:
 情報処理推進機構が主催する国家資格です。科目によっては、午前・午後の試験のうち午前を免除にできる証明試験を受けられます。
・情報セキュリティマネジメント試験:
 情報処理推進機構が主催する国家資格です。情報セキュリティに貢献し、脅威から組織を守るための基本的スキルを認定されます。
・ Linux Essentials
 Linuxに関する基本的知識を持ち、基本的な操作ができることを認定されます。

この他にも、多数の資格の取得を目指せます。

職業訓練を受講するメリット

自分の求める知識・技術が身につくことの他に、職業訓練には経済面でのメリットもあります。

職業訓練の、経済面でのメリットについて解説します。

実質無料で受講できる

離職者向けの職業訓練は、テキスト代は有料なものの、講座自体は無料で受講できます。

その有料のテキストも、職業訓練を受講することで受けられる手当があるため実質無料です。

職業訓練を受講すると受けられる手当は2つ
・受講手当:
 日額500円、上限20,000円まで支給されます。
・通所手当
 職業訓練に通うために交通機関、自動車等を利用する場合に支給されます。最高で42,500円までの支給です。

この2つの手当を受給できると、テキスト代、交通費をカバーできるため実質無料で知識・技術を身につけられます。

職業訓練受講給付金がもらえる場合がある

一定の要件を満たすと、職業訓練を受講している間は月10万円が受給できます。

一定の条件とは、
・本人収入が月8万円以下
・世帯収入が月25万円以下
・世帯全体の金融資産が300万円以下
・現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
・すべての訓練実施日に出席している
・世帯の中に給付金を受給して訓練を受けている人がいない
・過去3年以内に、不正行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない

の7つの条件になります。

そのため、実家暮らしや家族が働いている場合で、収入がそれほど高くない場合には、生活費をもらいながら学習にも専念できるという、非常に大きなメリットがあるのです。

雇用保険の受給期間が延長される場合がある

雇用保険の基本手当(失業給付)を受給中の方が職業訓練を受講した場合、 受講途中で給付日数が終了しても、訓練終了 まで最長で2年間給付期間が延長されます。

ただし、給付日数の残日数が受給できる条件となっているため、確認をする必要があります。


失業等給付を早くもらえる

自己都合で退職をした場合は、失業給付を受給するまでの間に2ヶ月間の給付制限期間が設けられています。

職業訓練を受講すると、この給付制限期間が解除され、早く失業給付を受給できます。

これらの制度を活用することで、
「今の仕事が忙しすぎて転職のための勉強ができない人」
「新しい業界で働きたいけど不安が大きい人」
でも、しっかりと転職の準備をすることができるのではないでしょうか。

職業訓練の注意点

職業訓練には、メリットだけではなく受講に際しての注意点もあります。

職業訓練を受ける際の注意点について解説します。

選考に落ちることもある

人気のある科目は、それだけ受講希望者の申し込みが多くなります。

そのため、書類審査や面接選考によって、希望した科目を受講できないことがあります。

例えば、令和3年度2月であれば、
・Javaプログラマ養成科
 定員20名 希望者24名 倍率1.20倍
・Webサイトクリエータ科
 定員30名 希望者82名 倍率2.73倍
・Webデザイナー・ディレクター養 成(オンライン)科
 定員20名 希望者89名 倍率4.45倍

1倍に満たない科目もありますが、プログラミングに関する科目はこのように倍率が高い傾向にあります。

特にWebデザイナーに関しては、希望者多数につき、4人に1人以下の人数しか受講できていないのが現実です。

そのため、安易に会社を辞めてしまわないように注意しましょう。

就職ができるとは限らない

職業訓練を受講した離職者の就職率は、令和2年度の実績で70〜80%程度です。

職業訓練を受講しても、それが就職に直結するわけではありません。

ただし、通常のオンラインスクールと違う点としては、ハローワークが国の機関であり、ハローワークからの就労者を雇うことで、企業側も補助金を受け取れるといったメリットがあります。

それ故、選考が通常よりも通りやすいため、上手く活用することが重要でしょう。

必ずしも学びたい知識・技術があるわけではない

職業訓練で受講できる科目は幅広いですが、必ずしも学びたい知識・技術があるわけではありません。

例えばプログラミング言語では、TypeScriptsやRuby、C++などは人気言語ですが、これらを学習できる科目はありません。

前述したように、国によって運営されている機関のため、民間企業に比べて
「新しい講座の開設にかかる審査や手続き」
に時間がかかる可能性も高いと考えられます。

また、技術面に関しても、どの程度スキルアップが望めるのか・・・という点は、実際に受けてないとわかりません。

基礎的な事は学べますし、就職活動が有利になることは間違いないですが、ハイレベルなスキルや最新技術という意味合いでは、過度な期待はしない方が良いでしょう。
 

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今回は、ハローワークの職業訓練に関する内容を書いてきました。

IT業界で転職を考えた時に、職業訓練は非常に良い制度だと思います。

一方で、「本当に現場で使える技術が身につくのか」という点では、自己学習も十分に行う必要があると考えられます。

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ですが、本当に使えるエンジニアに育つまでには数年、人によっては10年近くかかるケースもあります。

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