コロナ禍でオフショア開発が注目を集めている理由とは?
日本社会に大きな影響を及ぼした新型コロナウイルス。このパンデミックにより、社会の在り方はかなり変化しました。 リモートワークの普及やフリーランスとしての独立など、働き方の変化も著しいですが、この流れはさまざまな分野でも見られます。 特にIT業界ではテクノロジーの進化やニューノーマルへの対応など、開発領域でいくつか変化がでているのです。 その一例として、「オフショア開発」があります。オフショア開発は数年前から注目されていましたが、コロナ禍になり、ふたたび熱を帯びています。 ではなぜコロナ禍でオフショア開発が注目を集めているのか。その理由をこの記事で解説します。 気になっている方はぜひ参考にしてください。
オフショア開発とは
そもそもオフショア開発とは何か、知らない方も多いでしょう。 オフショア開発とは、ソフトウェアやスマートフォンアプリ、WEBシステムなどの開発業務に必要なリソースを、海外企業に依頼し開発を進める手法の一つです。 現在の日本はエンジニア人材が少なく、技術力を持った人材の確保に苦労しています。 新人を教育するのもコストや時間がかかり、直近で勧めているプロジェクトへの配置は難しく、即戦力になる人材は競争率が高いため獲得できません。 そういった背景から、海外企業に所属している技術力の高いエンジニアに開発業務を委託し、リソースを削減した運営を行う流れがきているのです。
コロナ禍でオフショア開発が注目されている背景
ではなぜコロナ禍でオフショア開発が注目されているのでしょうか。以下で理由を解説します。
リモートワークの浸透
まず一つ目の理由はリモートワークの普及です。 コロナ以前はリモートワークへの理解が少なく、オンライン環境も整っていませんでした。 そのため、オフショア開発では当たり前な「海外企業とオンラインによるコミュニケーション」を行うのに課題を感じていた企業が多く、なかなかオフショア開発の導入ができない問題があったのです。 しかし、新型コロナウイルスの影響でリモートワークの導入が進み、オンライン環境の整備やウェブ会議の一般化など、働き方に大きな変化がありました。 以前からオンラインへの切り替えができている海外企業とスムーズに取引ができるようになり、オフショア開発に関心を寄せる企業が増えているのです。
リソース費用の高騰
コロナ禍になり、企業はさまざまな課題に直面しました。 「人材が外部に流出する」「システムの老朽化」など、リソースの維持が困難になったことから、コストの削減を意識するようになりオフショア開発への関心が高まっています。 オフショア開発を実施することで、優秀な人材を日本の相場よりも低く確保できるため、成果物の質を落とさずにコストの削減を実現できます。
市場の変化が激しい
コロナ禍、市場の変化は以前にもまして激しくなりました。 顧客が求めるニーズは常に移り変わり、数か月前までは売れると予想していたサービスも、期待以上の成果をあげずに終わってしまうケースも少なくありません。 しかし、現在のシステム開発ではウォーターフォール型と呼ばれる開発形態を取り入れており、その特性上、スピーディーな開発を実現できないのです。 プロジェクトの達成を早めるためには開発方法を変えるか、人材を増やして時間を短縮するのどちらかでしょう。 そこでオフショア開発が注目されています。 一部の開発段階を海外エンジニアに委託することで、コストを抑えながら開発スピードを改善でき、市場の変化にも対応することが可能になります。
オフショア開発における課題点
上記のように注目を集めているオフショア開発ですが、まだまだ課題点は多いです。
コミュニケーションの壁
オフショア開発にむけて、オンライン環境を整えても言語の壁があります。 特にプロジェクト管理をする人は言語的コミュニケーションの能力と開発に関する知識の両方が求められます。 それらを兼ね備えた人材を教育・確保することは、オフショア開発を進めるにあたって最も考えなければならない要素でしょう。
スケジュール管理の難しさ
向こうのエンジニアとコミュニケーションを取りながら開発を進めますが、ツールを駆使しても進捗状況の確認は難しいです。 向こうの文化や考え方によっては、自分達が優先的にやって欲しいとお願いしているつもりでも、向こうからしたらそこまで優先度の高くないタスクと捉えることもあり、上手くいかないことも多いでしょう。 双方が理解できるルールや規定を設けることでいくらか対応できますが、まだまだ課題となる部分です。
社会の変化からオフショア開発への関心が高まっている
この記事では、コロナ禍でオフショア開発が注目されている理由を解説しました。 日本のエンジニア市場が縮小している現在、オフショア開発は多くの企業で取り組みが進むと予想されます。 リソースの確保や開発費の削減など、いくつかメリットがあるため、気になっている企業は仕組みだけでも理解しておくと良いでしょう。