もはや未来の話ではない?現在の日本でのスマートシティ活用事例

現在、世界的に「スマートシティ化」が進行しています。 その中で出遅れた形となった日本ですが、今までにどういった取り組みが行われたのでしょうか。 スマートシティの事例と合わせて、そもそもスマートシティを目指すことにどういったメリットがあるかなどを見ていきましょう。

スマートシティとは

スマートシティとは

スマートシティとは[/caption] ここ数年で頻繁に耳にするようになった「スマートシティ」とは、一体どういったものなのでしょうか? ここでは、スマートシティの概要について解説します。

デジタル技術を用いた街づくり

スマートシティとは、簡単に言うと、デジタル技術を用いた街づくりのことを指します。 行政サービスをITによって効率化しようという運動です。 公共施設などに設置されたセンサーやカメラ、通信業者から提供されるスマートフォンの位置情報などから都市構造やサービスの問題点を見つけ出し、都市設計に活かすのがスマートシティの理念です。 新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、スマートシティへの取り組みはよりいっそう熱心に行われています。

スマートシティのメリット

スマートシティの実現により、様々なメリットが期待されています。 具体的には、 ・災害が発生した際のスムーズな避難 ・渋滞の緩和 ・犯罪の防止 ・バリアフリーな社会 ・効率的なエネルギーの供給/停止 などが挙げられます。 また、スマートシティの実現によって、感染症へのより有効な対策が立てられます。

スマートシティへの取り組み

スマーティシティへの取り組み

スマートシティへの取り組み[/caption] スマートシティへの取り組みとして、どのようなことが行われているのでしょうか。 街づくりは官民一体となって行われるものですが、ここでは、企業と行政、それぞれの取り組みを紹介します。

企業の取り組み

世界では、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)をはじめとしたIT企業がスマートシティへ取り組んでいます。 自社が持つ情報を元に、IoTによるスマートシティの実現に尽力しています。 一方で、GAFAによるデータ独占がスマートシティ実現の障壁になるのではないかという声もあります。 そのため、2019年につくば市で行われたG20では、「グローバル・スマートシティ連合(Global Smart City Coalition)」というプロジェクトの設立が決定されました。 スマートシティのためのアプリのオープンソース化やデータのフォーマットを統一することで、一部の組織が独占するのを防ぐ取り組みが始まっています。

行政の取り組み

企業の取り組みを先に紹介しましたが、スマートシティは都市計画の一部として、主に国家と地方自治体によって進行されています。 日本は、欧米からは出遅れたかたちとなりましたが、2020年に改正国家戦略特区法が成立し、「スーパーシティ」と呼ばれる日本独自のスマートシティへの取り組みを進めています。 また、内閣府は、2021年の分科会で、スマートシティの意義を発信し、一層の注力を目的として、「スマートシティ・ガイドブック」を作成し、公開しています。(https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/smartcity/index.html)

日本でのスマートシティの活用事例

日本でのスマートシティの活用事例

日本でのスマートシティの活用事例[/caption] ここからは、内閣府による「スマートシティ・ガイドブック」から、日本でのスマートシティの活用事例を紹介していきます。 (出典:【別冊①】スマートシティを通じて導入される主なサービスhttps://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/smartcity/02_ref1.scservice_1.pdf)

交通

交通におけるスマートシティの課題として、交通渋滞の解消や過疎地域の公共交通の確保などが上げられます。 そのための施策として、以下のことが実施されています。

しんゆりMaaS(川崎市)

交通手段等の検索、予約、決済を一括で実現するアプリケーションであるMaaS(Mobility as a Service)によるスマートシティの取り組みの例です。 電車、バス、タクシー会社からの情報提供によって、利用者は交通手段や運行時刻の検索から、タクシーの手配までを行うことができます。

会津Samurai MaaS(会津地域)

上記のMaaSを用いた事例で、こちらでは地域の施設や店舗情報から、交通チケットの発券までを可能にしたものです。 この事例では、施設や店舗の混雑情報を利用者に提供することで、新型コロナウイルス感染拡大防止の対策も伴っています。

自動運転バス定常運行(茨城県境町)

こちらは、定時運行する国内初の自動運行バスです。 公共施設と地域振興の拠点を結ぶ5kmの間には病院や郵便局などがあり、乗車料金は無料です。 自動運転技術や3Dマップ、障害物検知技術が使われています。

環境・エネルギー

スマートシティへの取り組みを通して、持続可能な社会を実現する働きが進行しています。 それ以外にも、効率的な社会を作ることで、災害時の対応力を上げることができます。

AEMSでまち全体をエネルギー管理(柏の葉)

エネルギーデータや天候情報、施設の稼働状況などから、電力需要を予測し、効率的なエネルギー供給を実現する取り組みが、千葉県の柏の葉地区を起点に行われています。

公園管理の高度化(うめたき2期地区)

人流データや画像解析を生かして公園の状況を把握し、ロボットを導入することでコストカットを計る取り組みです。 広大な敷地を持つ都市公園において有効な施策と言えます。

スマートHEMSでエネルギーを地産地消するまち(Fujisawa SST)

藤沢市のパナソニック工場跡地にある1,000戸で、発電・蓄電・省エネを実現する取り組みです。 エネルギーデータから必要な電力量を計算し、太陽光発電などの新しい発電システムによって、旧来の電力事情から脱却する施策です。

防災

自然災害による被害をいかに少なくするかもスマートシティの課題です。 気象データなどのビッグデータから災害を予測し、効果的な避難計画を立てることが、災害に強い都市に求められます。 災害が拡大しにくい、そして避難しやすい街づくりが進められているのです。

災害コミュニケーションツールによる防災情報発信(大丸有地区)

災害発生時に、人流・災害・施設データを用いて、人流や被害状況をリアルタイムで把握し、避難情報などを利用者に通知する施策です。 都市の2D/3Dマップによって、災害状況をより把握しやすくすることが可能となっています。

市内除雪車の位置情報発信(会津若松市)

会津若松+やLINEによるAIチャットボットを用いて、市内の除雪車の位置情報を知ることができます。 会津若松+は都市OSで、スーパーシティ構想の基盤です。

データ連携基盤を活用した広域防災(高松市ほか)

高松市が保有する都市データや気象データなどのデータ連携基盤を隣接する市区町村が共用し、広域災害へ備えています。 情報の一元化はスマートシティの課題の1つです。

インフラ維持管理

インフラの老朽化は全国的な問題となっています。 スマートシティでは、AIやビッグデータを活用した、インフラ維持管理の改善・効率化を進めています。 また、それによる新たな行政サービスの展開も期待されています。

ロボットを活用したビル管理(羽田第一ゾーンスマートシティ)

羽田空港では、統合管理によって、自動走行ロボットによる清掃や配送が実現しています。 さらに、ロボットによる警備強化の実証研究も進められています。

IoTを活用したインフラ維持管理(益田市)

公用車に搭載されたセンサーから情報を収拾し、AIによる画像解析からインフラの状況を監視、維持管理に活かしています。 また、このデータは公開されており、研究などに利用されています。

スマートシティインフラマネジメントシステム(首都高)

首都高内の構造物の情報や、点検、補修などの維持管理に必要な情報を一元管理し、検索や有事の際の情報収集を素早く行えるような仕組みつくりが行われています。

観光・地域活性化

地域の魅力をうまく発信できていない現状を、IT技術を駆使することで打破しようとする取り組みが行われています。 また、新型コロナウイルス感染拡大によって落ち込んだ消費を回復したいという意図もあります。

デジタルサーネイジによる観光情報発信(京都府)

駅などに設置した機械で観光情報を提供すると同時に、サイネージタッチデータや搭載カメラによって収拾された人流データ、さらにはWi-fi利用データから利用者情報を分析し、観光客の利便性を向上する取り組みです。

顔認証で手ぶら観光(南紀白浜)

顔写真やクレジットカードなどの情報を事前に登録することで、南紀白浜周辺の施設を「顔パス」で利用できるサービスです。

地域のキャッシュレス化推進(岡谷市)

地域での買い物と公共料金の支払いを一括でキャッシュレス化することで、地域の活性化を目指す施策です。

スマートシティの今後

スマートシティの今後

スマートシティの今後[/caption] スマートシティへの取り組みはこれからも進んでいくと思われます。 日本においては、2020年にスーパーシティ構想が本格的に始動し、2021年度までの取り組みをスーパーシティのβ版と位置づけています。 日本のスマートシティ化かまだまだ始まったばかりです。 今後の課題としては、情報の一元化や官民一体の施策をどこまで進めることができるか、そして、スマートシティへの取り組みに出遅れた日本が、他の先進国に追いつくことができるのかというのがあります。

スマートシティにもリスクやデメリットは存在する?

多くの人が「なんとなく良くなりそう」と感じる反面「なんとなく危なそう」と感じている人も多いのではないでしょうか。 スマートシティには、メリットも多いですが、リスクやデメリットも存在します。 例えば、データを取得・活用することが前提となっているため、プライバシーの侵害に当たる可能性が有り、法整備等が必要になるでしょう。 更に、それらのデータが流出することに対するリスクがあります。 ネットワーク機器の故障やトラブルに対しての対応もしっかりと検討する必要がありますし、サイバーテロ対策も必要です。 また、これらのデータは「特定の企業」が保有する形になる可能性が高いです。 そうなった際に、国に対抗できてしまうような権力を保持してしまう危険性があります。 例えば、2019年12月にアメリカの海軍航空基地で発生したテロ事件の捜査において、AppleはiPhoneのロック解除要請を受けていましたが、これを拒否し続けていました。 つまり、一企業が国の組織と対等に交渉が出来てしまう状況にあった・・・という事です。 この様に、もしも一企業の権力が強くなりすぎてしまうと、社会的なトラブルの原因にもなりかねないのです。

ビッグデータの活用はAMELAに

ビッグデータの活用はAMELAに

ビッグデータの活用はAMELAに[/caption] 今回は、スマートシティについて見てきました。 将来的には、徐々に導入されていく可能性が高いスマートシティですが、年々ビッグデータの活用に関しては、多くの企業で注目されています。 スマートシティが実際に全国的に導入することになれば、そういったビッグデータも一般企業が活用できる機会も多くなるのではないでしょうか。 そういった時に、ビッグデータの活用に慣れていないと、時代の流れについていけない可能性が高いです。 一方でどの様にビッグデータを活用すれば自分の会社の売上が上がるのかが、理解できていない方も多いでしょう。 AMELAでは、システム開発や既存のシステムの導入を行っており、その際にITコンサルティングも行っております。 今の状況をITを活かしてどのように良くしていくのか。 是非ご相談いただければと思います。