システム開発料金の見積もりの項目一覧|算出方法やチェックポイントも解説
システム開発料金の見積もりは、システム開発発注において重要な作業です。 なぜなら、同じシステムを開発するのにも、正しい見積もりの取り方を知っているかどうかで料金が変わってくるためです。 この記事ではシステム開発料金の見積もりに関するさまざまな解説をしますので、最後まで読んでいただくことで、見積もりの段階で判断を誤るリスクが軽減されます。
システム開発料金の見積もりの11項目
システム開発料金の見積の項目は、以下の11個です。
- 要件定義費用
- 設計費用
- デザイン費用
- 開発費用
- テスト費用
- 導入費用
- 導入支援費用
- 購入費
- 交通費
- 保守費用
- プロジェクト進行管理費用
では、それぞれについて解説します。
1.要件定義費用
要件定義とは、システムの方針や仕様を検討することです。
2.設計費用
設計とは、要件定義で整理した内容を具体化し、開発の内容を明確化することです。
3.デザイン費用
デザインとは、UI部分を作成することです。
4.開発費用
開発とは、プログラミング言語を使用してシステムを構築することです。 ここでは、エンジニアやプログラマーの人件費や技術費がかかります。
5.テスト費用
テストとは、開発されたシステムが正常に動くかどうか確かめることです。 このテストにも費用がかかります。
6.導入費用
導入とは、開発したシステムを実際に利用するための初期設定のことです。
7.導入支援費用
導入支援とは、開発したシステムを利用するために操作方法の説明会を開催したり、マニュアルを作成したりすることです。
8.購入費
購入費とは、システム開発に必要な機材の購入などにかかる費用のことです。
9.交通費
システム開発の過程において、何度も打ち合わせが発生します。 そのための交通費も、システム開発費用に含まれます。
10.保守費用
保守とは、完成したシステムの不良や故障に対応することです。
11.プロジェクト進行管理費用
プロジェクト進行管理とは、文字通り受注側と開発側の間に立ってプロジェクトの進行が計画通りに進むように管理することです。
システム開発料金の見積もり金額の4つの算出方法
システム開発料金の見積もり金額の算出方法は、以下の4つです。
- 類推見積もり(トップダウン)
- 係数モデル見積もり(パラメトリック見積り
- ボトムアップ見積もり(工数積上げ)
- プライスツーウィン法
それぞれにメリットやデメリットがあるため、内容をしっかりと押さえましょう。 では、それぞれについて解説します。
1. 類推見積もり(トップダウン)
類推見積もり(トップダウン)とは、システム開発にかかるコストや工数で見積もり料金を算出する方法のことです。 類推見積もり(トップダウン)のメリットは、過去の似ているシステム開発事例を参考におこなわれるため、比較的正確な見積もりができることです。 その一方で過去に類似の開発事例がない場合は、担当者の知識や経験によって見積もりがされるため、信ぴょう性が欠けるというデメリットがあります。
2.係数モデル見積もり(パラメトリック見積り)
係数モデル見積もり(パラメトリック見積り)とは、操作する要件や設計箇所を点数化して見積もり料金を算出する方法のことです。 係数モデル見積もり(パラメトリック見積り)のメリットは、見積もり料金を数学的かつ機械的に算出するため、担当者の知識や経験によって結果がブレにくいことです。 他方、データの数を参考に見積もり料金を算出するため、柔軟性に欠けるというデメリットがあります。
3.ボトムアップ見積もり(工数積上げ)
ボトムアップ見積もり(工数積上げ)とは、完成するシステムを想定し、その構成要素を洗い出して見積もり料金を算出する方法のことです。 ボトムアップ見積もり(工数積上げ)のメリットは、工数を踏まえて計算するため漏れがなく、精度の高い見積もりが作成できること。 しかし、大きな規模のシステム開発は完成までの工数が想定しにくいため、大きなプロジェクトには不向きでるというデメリットがあります。
4.プライスツーウィン法
プライスツーウィン法とは、依頼する側の予算に合わせてシステム開発料金の見積もりを算出する方法です。 プライスツーウィン法のメリットは、システム開発料金が予算から大きく外れにくいことです。 ただし、予算によっては必要な機能が全て実装できなくなる可能性があるというデメリットがあります。
システム開発料金の見積もりの10の前提条件
システム開発料金の見積もりの前提条件は、以下の10個です。
- 見積もり範囲
- 見積もり対象外範囲
- 使用技術
- 開発プロセス
- プロジェクト期間
- 要件
- プロジェクト推進方法
- 開発環境・ネットワーク環境
- テスト
- 納品物
システム開発料金の見積もりの前提条件は、発注側と重中側とで認識を一致される必要があります。 では、それぞれについて解説します。
1.見積もり範囲
見積もり範囲とは、文字通りのシステム開発における工程のうち見積もりの対象になっているもののことです。 例えば、どの範囲を依頼しているのか、ソフトウェアやミドルウェア、ハードウェアのどこが対象になるのかなどを見積もりの範囲として決めます。
2.見積もり対象外範囲
見積もり範囲と同様に、どの部分が見積もりの対象外になるのかも決めなければなりません。 例えば、「ユーザー教育やデータ移行はやらない」などです。
3.使用技術
仕様技術とは、例えば言語やフレームワーク、クラウド、サーバーなどのことです。 これらも前提条件として指定します。
4.開発プロセス
どのような開発プロセスを採用するのかも、前提条件として定めます。 例えば、ウォーターフォールやV字モデルなど、どれを選択するかという感じです。
5.プロジェクト期間
プロジェクト期間もあらかじめ定める必要があります。 なぜなら、発注者側の都合で遅延した時などで受注者側の作業スケジュールの調整が発生した場合、費用の見積額の変更が起こる可能性があるためです。
6.要件
要件は、前提条件としてできる限り明確に決めた方がいいです。 ただしシステムに必要な役割や効果を実現するための機能が明確に決まっていない場合、想定できる範囲で前提条件として示しましょう。
7.プロジェクト推進方法
プロジェクト推進方法を明確にしておくことで、作業の進行や資料の作成遅延などを未然に防止できます。 例えば、「プロジェクトの進捗管理、推進は誰が行うのか」「資料はいつまでに提供されるのか」「意思決定はどのようにおこなわれるのか」などを決めましょう。
8.開発環境・ネットワーク環境
近年では、さまざまな開発環境やネットワーク環境が提案されています。 そのため、どのような開発環境・ネットワーク環境を使用するのか明確にしましょう。 例えば、サーバーなどのシステム関連機器を構築するのか、購入するのか、借用するのか、誰が用意するのかなどです。
9.テスト
テストもシステム開発の前提条件として決めておく項目のひとつです。 例えば、テストで何をおこなうのか、テストパターンは何種類用意するのかなどです。
10.納品物
前提条件として、納品物の機能などについても具体的に決めます。
システム開発料金の見積もりを出す際の13のチェックポイント
システム開発料金の見積もりを出す際のチェックポイントは、以下の13個です。
- 作業範囲が明確になっているか
- 作業で発生するリスクが含まれているか
- 管理工数が見積もりに計上されているか
- 調査や分析に必要な工数が含まれているか
- 算出された数字に妥当性があるか
- 前提条件は明確になっているか
- 必要なハードウェアやソフトウェア購入金額が含まれているか
- 責任の範囲は明確になっているか
- 検収方法や条件は明確になっているか
- 見積もりの項目が細かく分解されており透明性があるか
- 人時数が妥当な水準になっているか
- 導入費用など工数がかからない部分での金額が高すぎないか
- 開発規模に対して料金が安すぎないか
これらすべてをチェックし、判断を誤らないよう気をつけましょう。 では、それぞれについて解説します。
1.作業範囲が明確になっているか
システム開発料金の見積もりでは、作業範囲が明確に記載されているかどうか確認しましょう。 なぜなら、どこからどこまでが依頼できる範囲なのかを明確にしておかないと、あとから思わぬかたちで追加料金がかかってしまうおそれがあるためです。 例えば、「基本設計から運用・リリースまで」「要件定義から総合テストまで」というように、具体的にどこまでが作業範囲であるのか発注側と受託側で認識をすり合わせる必要があります。
2.作業で発生するリスクが含まれているか
システム開発料金の見積もりには、作業で発生するリスクも含まれているかどうか確認しましょう。 なぜなら、トラブルによって工程が増え、料金が加算される可能性があるためです。 そのことをあらかじめ想定した見積もりを出してもらうことで、あとから大幅に料金が上がるリスクが軽減されます。
3.管理工数が見積もりに計上されているか
管理工数とは、システム開発のための打ち合わせや進捗管理、品質管理などのことです。 そして、システム開発料金の見積もりに管理工数が含まれているか確認する必要があります。 なぜなら、管理はシステム開発に必要な工程であるため、業務内容に含まれていないと困るためです。 したがって、管理工数までシステム開発料金の見積もりに含まれていることを確認し、管理までおこなってもらえることを明確にしましょう。
4.調査や分析に必要な工数が含まれているか
要件定義の作成のためには、さまざまな調査や分析が必要です。 そのため、これらに必要な工数もシステム開発料金の見積もりに含まれているかどうか確認しましょう。
5.算出された数字に妥当性があるか
システム開発料金の見積もりの項目ごとに、算出された金額に妥当性があるかどうか確認しましょう。 例えば、コストや工数に「不自然な箇所がないか」「適切な数値であるか」などです。
6.前提条件は明確になっているか
先ほど説明した前提条件が明確になっていないと、発注側と受託側とでシステム開発料金の見積もりの認識にズレが生じるおそれがあります。 そのため、システムの対象範囲や開発言語のような使用技術などの前提条件は明確にしておきましょう。
7.必要なハードウェアやソフトウェア購入金額が含まれているか
システム開発には、ハードウェアやソフトウェアの購入が必要になるケースがあります。 そのような場合は、それらの購入金額もシステム開発料金の見積もりに含まれているかどうかチェックしましょう。
8.責任の範囲は明確になっているか
責任の範囲も、システム開発料金の見積もりが出た時点で確認しておきましょう。 なぜなら、責任の範囲が明確になっていないと、後々トラブルの原因になるためです。
9.検収方法や条件は明確になっているか
検収とは、システムが仕様通りに完成しているかどうか確認することです。 検収方法や条件も、システム開発料金の見積もりを出す段階で明確にしておきましょう。
10.見積もりの項目が細かく分解されており透明性があるか
システム開発料金の見積もりの項目は、細かく分解されており、細部の料金まで算出されているかどうかチェックしましょう。 なぜなら、あとから細部の仕様の見積もりが追加されることによって、最初に出してもらった見積もりから大幅に料金が上がる可能性があるためです。
11.人時数が妥当な水準になっているか
システム開発にかかる人時数が妥当な水準になっているかどうかもチェックしましょう。 なぜなら人時数が多すぎる場合は、エンジニアやプログラマーの人件費に予算が圧迫されて、プロジェクトが頓挫するおそれがあるためです。 特に作業期間が長期化するほど、このリスクは大きくなります。 逆に、人時数が少なすぎる場合も要注意です。 なぜなら、システムの品質を下げて見積もりを出している可能性があるためです。
12.導入費用など工数がかからない部分での金額が高すぎないか
導入部分は、本来それほど工数はかかりません。 しかしそのことを知らない場合、導入部分で無駄に工数を増やされ、コストが膨れ上がる可能性があります。 そのため、本来工数がかからない部分の把握が必要です。
13.開発規模に対して料金が安すぎないか
開発規模に対して料金が安すぎる場合は、本来必要なはずの工程が省略されていることを疑いましょう。 安いからといって何も考えず喜んではいけません。
システム開発の料金を安く抑える方法
システム開発の料金をできるだけ安く抑えるためには、具体的にどんなシステムが欲しいのかをあらかじめ受注側に詳しく伝えましょう。 そうすることで、あとから修正が入って工数が増えることも減りますし、無駄な機能を追加されてしまうリスクも軽減できます。 また、システムをどの程度の期間使用するのかを明確にすることも重要です。 なぜなら、投資回収期間を想定することによって、予算の具体的な線引きラインが見えてくるためです。
システム開発を依頼する業者を選ぶ際のポイント
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