MBO(目標管理制度)とは?概要から導入するメリットを解説
経営思想家であるピーター・ドラッカーが提唱した組織における目標管理制度(MBO)は、組織のマネジメントを行う上で重要な考え方です。 このMBOを自社に導入することで、自己成長を促す目標設定を行うことができます。 以下では、MBOとは何か概要から導入するメリットなど詳しく解説するので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
MBOとは
MBO(Management By Objectives)とは、グループや個人で目標設定を行い、その達成度によって評価する制度のことを指します。 「目標管理制度」や「MBO評価」と呼ばれることもあり、従業員一人ひとりの目標を企業全体の目標と合わせる事で、業績向上を目指すものです。 MBOには「能力開発目標」「職務遂行目標」「業務改善目標」「業績目標」の4つの項目があります。 各項目を設定し、自己評価と上長評価によって次への課題を洗い出すことで目標を達成してことが理想です。 ただし、1つ注意することがあります。 それは、従業員自ら設定した目標を上司が組織目標とすり合わせて、達成できるようサポートすることです。 MBOでは、一方的な目標管理を行うのではなく従業員が主体となった目標設定をすることで、高い効果を得ることができます。
MBOを導入するメリットとは
MBOを導入することで数多くのメリットがあります。 以下では、3点にまとめてご紹介します。
人事評価を行いやすくなる
1つ目のメリットは人事評価を行いやすくなることです。 各従業員は個人で立てた目標に沿って業務を遂行し、人事は個人目標を組織の目標と連動させることで評価基準を作ります。 それぞれの目標基準が明確になり、どのくらい達成したかを見るだけで正確な評価をすることが可能です。 お互いに不満の無い仕事ができるため、全体のパフォーマンス向上に期待できるでしょう。
能力開発や育成に繋がる
2つ目のメリットは、MBOにより正確な目標ができるため、個人が歩むべきステップを見つけられることです。 明確な目標が決まることで、さらに細分化した目標を立てることができます。 例えば、「担当事業の売上を30%アップさせる」といった個人目標を立てたとします。 その場合、「商談率を10%増やす」「見込み顧客を20人増やす」など、やるべきことが洗い出せるでしょう。 これらのより細かい目標をクリアしていくことで、能力開発や人材育成に繋げることが可能です。
モチベーションの向上を期待できる
3つ目のメリットは、各従業員のモチベーションを向上させられることです。 漠然と企業から「今月は〇〇の売上を20%アップさせる」と目標を立てられても、従業員は何を目指せばいいのか分かりません。 ただ任せられた業務を行うだけではモチベーションも上がらず、仕事の質も下がってしまいます。 一方、MBOを導入することで各個人の目標を明確にすることができ、やるべきことが決まっているので高いモチベーションを維持して仕事を行うことができます。 評価基準も明確で、「役に立ちたい」「上司に認められたい」などの願望を実現しやすく、やるべきことに対して積極的に動いてくれる従業員も増えるでしょう。
MBOを導入する際の注意点
MBOの導入には数多くのメリットがある一方で、注意すべきポイントがいくつかあります。 以下でそれぞれ解説するので、参考程度にご覧ください。
目標の基準が低くなる
MBOでは個人で目標を設定します。 実現できない目標設定をすべきではありませんが、簡単に達成できる目標も立てるべきではありません。 人事は評価基準の難易度を設定し、各従業員の目標設定が曖昧にならないよう注意する必要があります。
目標から離れる業務に対しての意識が下がってしまう
MBOは個人目標を立ててどれだけ達成できたかで評価を行います。 逆に言い換えれば、目標以外の業務は直接評価に関わらないと感じやすく、他の業務がおろそかになる可能性があります。 人事は目標達成率だけでなく、行動評価(業務に対する熱意や意識)を評価することで、上記のような課題点を改善できるでしょう。
MBOで大切な5つのポイント
MBOで目標設定をする時は以下の5つを意識して立てることが大切です。 ① 詳細で分かりやすい目標② 目標の難易度が適切③ 期間を設定する④ 取り組み方を明確にする⑤ 組織の戦略と個人目標を連動させる 特に、目標の難易度は「現状は難しいが、アイデアを出すことで達成できる可能性がある」程度が望ましいです。 少し頑張ることで、解決できる課題を立てることで自身の成長に繋がります。 上記の5つを意識した目標設定を心掛けましょう。
MBOとは、個人が行うべき目標を明確化できる指標
この記事では、MBOとは何か詳しく解説しました。 個人単位で目指すべき目標が明確になり、従業員のモチベーション向上や成長など様々な面で効果を発揮します。 企業全体の意思統一にも役立つため、「従業員のまとまりがない」「目標設定がおろそかになっている」など悩みを抱えている企業は、MBOの導入がおすすめです。 MBOは、今後より注目を浴びてくると予想されるので、早い段階から取り入れることで他の企業よりもアドバンテージを得ることができます。 ぜひ積極的な活用をしていきましょう。