システム開発における3種類の契約形態についてわかりやすく解説!

システム開発における契約形態には、「請負契約」「委任契約(派遣)」「準委任契約」の3種類があります。 では、これらにはそれぞれどのような特徴があるのでしょうか? また、どのような場合にどの契約形態を選ぶのがベスト? 今回の記事ではこれらの疑問に、なるべく専門用語を使わずにわかりやすくお答えします。

システム開発における3種類の契約形態についてわかりやすく解説

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まず、システム開発における契約形態には「請負契約」「委任契約(派遣)」「準委任契約」の3種類があるというお話をさせていただきました。 複数の種類が併存しているということは、それぞれに異なるメリットやデメリットがあるということです。 契約形態には民法上の専門用語も出てきますので、これらの意味も解説しつつ、それぞれの契約形態についてお話します。

請負契約は成果物に対する責任を負う

請負契約は、簡単にいうと、受託側は労働に対して責任を負うのではなく、成果物、つまり発注側から「作って欲しい」といわれたものに対して責任を持ちます。 つまり、成果物を作るまでの工程にかかった時間や金銭的コストは一切考慮されず、成果物そのものの価値に対して発注側から報酬が支払われるのです。 ですから、何らかの事情によりプロジェクトが頓挫してしまったとしても、そこまでかかった人件費などの保証は一切ありません。 また、請負契約には民法上の「契約不適合責任」が付随します。 契約不適合責任とは、成果物が契約の内容に適合しない場合、受注側は成果物の引き渡しから一定期間責任を負わなければならないというものです。 例えば、引き渡しから一定期間であれば、発注側は受注側に対して損害賠償請求や減額請求ができます。 請負契約の受注側にとってのメリットは、利益を大きく取れること。 成果物の作成にかかった人件費などから受注費用が算出されるのではなく、成果物の価値というものさしがあいまいなものを根拠に受注費用を決められるので、単価設定に自由が利きます。 一方で、請負契約にはリスクが大きいというデメリットがあります。 成果物が完成しなければ報酬は1円も手に入れることができませんし、契約不適合責任までついてきます。 ただ、このリスクの大きさゆえに報酬を高額に設定できるという側面もあります。

委任契約(派遣)は労働に対する責任を負う

委任契約(派遣)は、請負契約と正反対の性質を持っています。 まず、委任契約(派遣)は成果物ではなく労働に対して責任を負います。 つまり、成果物の質や、そもそも完成したかどうかによらず、発注先に提供した労働力に対して報酬が発生するのです。 よって、受注側にとってはリスクが小さいがメリットといえます。 また、契約不適合責任も追及されません。 一方で、受注側にとっては利益を大きく取れないというデメリットがあります。 労働力という価値を明確にしやすいものを報酬の対価として提供するので、単価設定に融通が利きません。 発注側にとっては、成果物が安く手に入るというメリットがありますが、成果物が完成しなくても提供を受けた労働力に対し対価を支払う義務が発生するというデメリットがあります。

準委任契約は請負契約と委任契約(派遣)の混合型

準委任契約は、最近増えている契約形態で、簡単にいうと請負契約と委任契約(派遣)を混ぜたようなものです。 具体的には、労働に対して責任を負うという面では委任契約(派遣)と変わらないのですが、労働者の指示や管理を受注側がおこなうという点が特徴です。 また、準委任契約の契約不適合責任はありませんが、その代わり民法でいうところの「善管注意義務」が発生します。 善管注意義務とは、法律上通常期待される一定の注意を払う義務のことです。 例えば、「この荷物を見ておいて」といわれて荷物を預かった時は、ただ見ているだけではなく、盗まれたりなくしたりしないようにしなければなりません。 この善管注意義務を怠った場合は、民法上の「債務不履行」の責任が追及されます。 債務不履行とは、簡単にいうと契約上やらなければいけないこと(お金を払う、商品を引き渡すなど)をやらないことをいいます。 準委任契約のメリットは、委任契約(派遣)と同様、受注側にとってはリスクが小さく、発注側にとっては成果物を安く手に入れられる点です。 準委任契約のデメリットも委任契約(派遣)と同じく、受注側にとっては利益が小さく、刃中側にとっては成果物が完成したかどうかにかかわらず、提供を受けた労働力に対し報酬を支払わなければいけないことです。

【罰則あり】偽装請負に気をつけよう

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偽装請負とは、本来請負契約の場合は受注側が労働力を確保しなければならないにもかかわらず、発注側が労働力を提供してしまうことです。 この偽装請負の何がまずいのかというと、立派な違法行為であり、罰則があることです。 つまり、偽装請負とは知らずに発注側が受注側に労働力を提供してしまうと、罰則を受けることになります。 ですから、請負契約を締結する場合は、きちんとルールに従いましょう。

あなたにとって有利な契約形態を選びましょう

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以上、システム開発における3種類の契約形態についてお話させていただきました。 それぞれ異なるメリットとデメリットがございますので、状況に合わせてあなたにとって望ましい契約形態を選びましょう。 また、一部を請負契約、残りを委任契約(派遣)とすることも可能なので、こちらも選択肢として検討してみてください。