AIの進化で予想される「シンギュラリティ」とは?社会はどう変わる?

2010年代以降、AIの発達によってすでにさまざまな変化が起こっています。

そのAIがこのまま進化を続ければ、いずれ人間の知能を上回るだろうという予測を、多くの人が立てています。

AIが人間を超える「シンギュラリティ」が、いま真剣に議論されているのです。

この記事では、シンギュラリティにまつわるトピックをいくつか解説していきます。

そもそもシンギュラリティがどのようなものかをまず解説した上で、シンギュラリティによってわたしたちの仕事がどう変化するのか、どのような進化が期待されるのかをみていきましょう。

そして、現在のところ意見が分かれている「シンギュラリティの実現性」についても、肯定・否定、双方の意見を紹介します。

シンギュラリティとは

日本語では「特異点」と訳されるシンギュラリティ。

特異点とは「物事が一変するタイミング」という意味ですが、ではここで言われるシンギュラリティは何を指しているのでしょうか。

技術的特異点

いま注目されるシンギュラリティは「技術的特異点」のことを指します。

これは
「技術によって社会の在り方や人々の暮らしが大きく変わるとき」
で、一般的にはAI、人工知能によってもたらされると考えられています。

AIが人間の頭脳を大きく上回ることで、仕事のやり方やサービスの形だけでなく、社会そのものが一変すると予想されています。

AIによるシンギュラリティは20世紀から予想されていましたが、「第三次AIブーム」をきっかけに、2005年ごろから世界的に議論されるようになりました。

技術的特異点については、それについての賛否だけでなく、実際に起こるのかどうかも、専門家の間で意見が分かれています。

いずれにしても、すでに社会の中のさまざまなシーンでAIが活用されているように、2010年代から急速に発達したAIが社会を大きく変えていくことは確実視されています。

シンギュラリティは2045年にくる?

有名な説として
「シンギュラリティは2045年に起こる」
というものがあります。

この2045年というのは何を根拠にしているのでしょうか。

俗に「2045年問題」と呼ばれるこの説は、AI研究者のレイ・カーツワイルによって提唱されました。

ここでカーツワイルが根拠とした理論が「収穫加速の法則」というものです。

これは、ひとつのイノベーションが次の技術革新に繋がり、それがまたイノベーションを起こすことで、技術の進歩のスピードが指数関数的に加速していくという法則です。

この法則自体には厳密性に欠けるなどの批判がありますが、実際に私たちが体感しているように、技術革新のスピードは年を経るごとに加速しています。

この法則に基づくと、近い将来にAIが人間の頭脳を超えることが確実視されており、指数関数的グラフによって、それが2045年とされています。

収穫加速の法則は発表されてから時間が経っており、その後の研究や社会状況などによって、「2030年説」や「2040年説」あるいは「すでにシンギュラリティは起こっている」という説まで出ています。

シンギュラリティとプレシンギュラリティ

一般的に、シンギュラリティの前には「プレシンギュラリティ」が起こるとされています。

「社会的特異点」あるいは「前特異点」と訳される言葉で、技術の進歩によって現在の社会システムが大きく変化することを意味します。

例えば、
・これまでの貨幣が無くなり電子マネーへ移行する
・エネルギー問題が解決されて無償で提供される
といったことが、プレシンギュラリティで起こるとされています。

つまりプレシンギュラリティは、技術的特異点と比べて、より実社会的なものを指しているといえます。

提唱者である汎用人工知能研究者の齊藤元章によると、こちらはシンギュラリティよりも早く、2030年ごろに起こるとされています。

シンギュラリティによって起こる変化

AIが人間の知能を上回ることによって、具体的にどのような変化が起こるのでしょうか。

シンギュラリティによって、社会システムや国家の在り方までもが変わっていくと予測されています。

ここでは、シンギュラリティでよく心配されることとして
「AIに仕事をとられてしまう」
という意見を多くの人があげることから「仕事」についてみていきましょう。

AIが仕事を代替する

AIの発達によって多くの人が予測しているものとして、人間の仕事をAIが取って代わるということがあります。

就職や転職など、キャリアプランの話でも「この仕事はAIにとられないか」というトピックが増えています。

確かに、蒸気機関やインターネットの登場など、技術革新によって人間の仕事が変化することはこれまでの歴史で何度もありました。

そして、シンギュラリティによる影響は、それとは比べ物にならないとされています。

実際、すでにAIを活用したシステムによって仕事の在り方は変化しており、2035年までに、いまある人間の仕事の半分近くがAIに移行すると予測されています。

AIが新たな仕事を生み出す

実は、AIが人間の仕事を代替するだけでなく、AIが新たな仕事を生み出すとも予測されています。

具体的には、AIシステムの導入を支援する仕事や、AIを用いてビッグデータの解析をおこなう仕事などです。

ほかにも、AIの発達によって高度なAR(拡張現実)が可能になり、ARを活用したさまざまな仕事が誕生するとされています。

インターネットの発達によってWebデザイナーが生まれたように、AIの発達によって、新たな仕事が生まれることは、十分に考えられます。

シンギュラリティ以降の人間の仕事

では、シンギュラリティが起こった後の社会における、人間の仕事とはどのようなものなのでしょうか。

ひとつには、AIが生み出す新たな仕事へ移行するというのがあります。

ですが、シンギュラリティ以降で最も重視される仕事は「AIよりも人間の能力のほうが優れている」分野です。

特に、
・カウンセラーのような人と深く接する仕事
・ひらめきが必要な研究職
・人間的な特性が強く出る芸術
・エンターテイメント
などは、AIが代替することが難しい分野で、シンギュラリティ以降も残り、より重要度が増すとも予測されています。

シンギュラリティによって仕事の在り方が大きく変化することは確実視されているため、これからは「人間にしかできないこと」の価値がより大きくなることでしょう。

シンギュラリティで進化する分野

AIの発達は、さまざまな分野を進化させています。

ここでは、シンギュラリティによって、劇的に進化すると予測されている分野である「ディープラーニング」と「ナノテクノロジー」を紹介します。

ディープラーニング

AIの技術を支えているのが、ビッグデータを学習するディープラーニング(深層学習)ですが、この分野はAIの発達によって加速度的に進化すると予測されています。

AIが発達することによって、すでに人間に近い能力を発揮しているディープラーニングは、
「これまで人間が気づかなかった法則を発見する」
「問題解決を代行する」
といった活用はすでに行われており、シンギュラリティによって、人間を凌駕する性能を持つとされています。

ナノテクノロジー

ナノテクノロジーも、AIによって大きく進化すると予測されている分野です。

これまでは考えられなかったような、極小単位の物質を扱ってさまざまな技術を確立し、多くの新製品が登場するとされています。

IoT

インターネットに接続されたさまざまな製品と技術を指すIoTは、AIによって大きく発達した分野です。

たとえば、今後予測されているIoTとして自動運転技術が挙げられます。

自動車の運転状況や周囲の状況などをリアルタイムで解析して、安全に運行する技術は、AIの発達によって実現されるものの代表です。

結局シンギュラリティはくるのか

ここまで、シンギュラリティは近い将来に起こるものとして話を進めてきました。

しかし、現実としてシンギュラリティはまだ訪れていない、未来の話であるため、実現するかどうかは意見が分かれています。

ここでは、シンギュラリティが現実のものとなる予想に対する、肯定と否定の両方を紹介します。

「くる」という主張

シンギュラリティが起こるという主張でまず登場するのは、「2045年問題」を提唱したレイ・カーツワイルです。

技術は加速度的に発達していくため、近い将来に技術的特異点を迎えるという主張です。

そのほかにも、Microsoftのビル・ゲイツやTeslaのイーロン・マスク、物理学者のスティーブン・ホーキングなどもシンギュラリティを確実視しています。

しかし彼らの多くは、シンギュラリティは現実となると主張する一方で、それによる社会への影響については悲観的です。

シンギュラリティは社会に壊滅的な影響を与える、あるいは人類を終わらせてしまうなど、ネガティブな意見があげられています。

「こない」という主張

多くの研究者や実業家によって確実視される一方で、シンギュラリティはこないと主張する人もいます。

人工知能研究の権威であるジェリー・カプランは、人間と人工知能の相違点を挙げたうえで、シンギュラリティはフィクションの世界のものだとしています。

また、哲学者マルクス・ガブリエルは、人工知能と人間の知性はまったく別物だとし、AIが人間に取って代わるようなことはないと主張しています。

そのほかにも、現在の「第三次AIブーム」は過剰評価だとする意見や、カーツワイルの「収穫加速の法則」はナンセンスであるという批判も出ています。

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今回は、シンギュラリティについて見てきました。

くる/こない、両方の意見も見てきましたが、実際にどちらになるのかは、予想が難しい所でしょう。

しかし、AIが一般企業に多く普及したり、その他の新しい技術が導入されるようになってくれば、社会が大きく変わる事は確実です。

いざその変化が起こってから、社内でもシステムを導入・・・というのでは、遅すぎる可能性があります。

今の段階から、できる限りのシステム導入をし、新しい時代のビジネスを開拓してみてはいかがでしょう。