データレイクとは?データウェアハウスとの違いや導入メリット、活用ポイントを解説

データレイクとは?データウェアハウスとの違いや導入メリット、活用ポイントを解説

多様なデータが日々増大していく現代、あらゆる業界にとってビッグデータ活用の重要度が高まっています。

業界を問わずビッグデータを扱う場面が増え、実際に様々な企業がデータ解析からビジネスに有用な知見を得ることで、成長を実現しました。

そんな現代のビジネスにおいて、データをどのように運用・活用してくかという
「データマネジメント」
が大きな課題となります。

ビッグデータを適切に管理するうえで重要な役割を担うのが「データレイク」というシステムです。

この記事では、これからの企業成長に不可欠なデータレイクについて、活用の重要性や他のシステムとの違い、導入するメリットなどと合わせて解説していきます。

合わせて、データレイク活用の問題点、活用時のポイントについても見ていきましょう。

データレイクとは

ビッグデータを管理するデータレイクとは、どのようなシステムなのでしょうか。

ここでは、データレイクの概要と重要性について解説します。

ビッグデータを管理するシステム

データレイクとは、様々なソースから収集した構造化・非構造化データ、バイナリデータなど、形式が統一されない膨大な情報(ビッグデータ)を、加工せずに集積し管理するシステムです。

ビッグデータは多様な方法で分析されることになりますが、通常、対象となる情報は構造化して保存するため、活用の幅が狭まることもあります。

例えば、監視カメラの映像をそのまま動画で残しておいても、実際に使う時には活用するのが難しいです。

それよりも、特定の情報だけを残しておく事で、分析で利用しやすい形にできます。

例えば、
・来場者数
・天気
・道路の交通量
・従業員数
などを分析に利用する場合には、下記のようなデータとして保存しておいて分析する必要があります。

年月日 来場者数(人) 天気 道路の交通量(台/日) 従業員数(人)
2024/02/24 100 晴れ 1000 10
2024/02/23 56 800 6
2024/02/22 98 曇り 900 7

日ごとや時間毎のデータとして、上記のように構造化することで、集計や平均の取得・推移の把握などの分析に利用することが出来るのです。

一方で、こういった構造化データは、すでに加工されてしまっているため、他の用途では使えないことが多いです。

例えば上記の構造化されたデータから
「◯日の△時に、Aさんという方が来ているかを調べたい」
となった時には、その情報はこの表にはないのでわからないのです。

そこでデータレイクに保管しておくことで、より柔軟な活用が可能です。

先程の例で言うと、Aさんがその時間帯に来ているかを見るために、元の動画を確認できる・・・などのようなイメージです。

またデータレイクでは、格納した情報に識別子とメタタグを付与し、管理効率を向上させています。

データレイクを活用することで、柔軟な分析を進め、高度な意思決定を実現します。

データレイクの重要性

現在はIT業界に限らず、あらゆる業界において、ビッグデータが注目されており、現状の課題解決や新たなビジネスの創出に活用されています。

しかし、ビッグデータの多くは非構造化データであるため、管理・分析が困難という問題があります。

また、従来の方法によるビッグデータの管理には膨大なコストがかかるので、エンジニア不足はより深刻です。

そこでデータレイクを用いてビッグデータを効率的に管理することで、ビッグデータ活用の課題を解決することができます。

今や避けて通れないビッグデータ活用において、データレイクは基礎となる重要な役割を持つのです。

データレイクとデータウェアハウスとの違い

データレイクに似たシステムに「データウェアハウス(DWH)」があります。

また、両者の機能を合体させたものとして「データレイクハウス」というものも登場しています。

ここでは、データレイクとデータウェアハウスとの違い、そしてデータレイクハウスについて見ていきましょう。

データウェアハウスとの違い

データレイクとデータウェアハウスは、どちらもビッグデータを格納するシステムという点は同じですが、その運用目的が異なります。

データレイクでは、構造が定義されないデータをメインに、そのままの形で集積されます。

一方、データウェアハウスは構造化データをメインに、特定の目的のために最適化して保管するシステムです。

そのため、データウェアハウスは活用の自由度が下がるものの、目的が合致すれば専門的なエンジニアでなくとも、容易にデータ分析を進められるというメリットがあります。

データレイクを扱うのは主にデータサイエンティストと呼ばれる高度な技術を持つ人員で、データウェアハウスは、ビジネスアナリストやデータディベロッパーなどが活用します。

データレイクとデータウェアハウスのどちらを扱うべきかについては、目的に応じて両方のシステムを使い分けることが望ましく、両者の機能を併せ持つ「データレイクハウス」が登場しました。

「データレイクハウス」について

「データレイクハウス」とは、名前の通り両者の機能を兼ね備えたデータ管理システムです。

このシステムは、データレイクのように、多様な形式のデータをそのままの形で保管することができ、またデータウェアハウスと同じく、高度な検索機能と分析機能を備え、データを最適に運用できるシステムとして開発されました。

2つのシステムを一元化することで、情報の管理・分析コストを削減することが可能となり、より高度なデータ活用が実現できます。

データレイクハウスは、ビッグデータ管理の次世代システムとして、導入が進んでいます。

データレイク導入のメリット

ビッグデータ活用にデータレイクを活用することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

ここでは、システム導入の主要なメリットを解説します。

収集したデータを無加工で保管できる

データレイクを使用することで、構造化・非構造化データに関わらず、収集したデータをそのままの形で保管できます。

形式を加工して利用したデータについて、別の形式で新たに解析したいということは少なくありません。

また、形式を揃えてデータを管理することは、検索性や管理コストの面では利点がありますが、価値のあるデータを見逃すことにも繋がります。

例えば、お菓子メーカーの商品開発において
「今までは味と価格で売れ行きが決まると思っていたけど、実は地産地消や健康志向の商品の方が売れるかもしれない」
と考えたときに、これまでは味と価格だけを見て分析していたとします。

そうすると、過去にまとめていた情報は、価格や味に関するものばかりで、産地や栄養価・健康面でのメリットなどを記録していない可能性があります。

結果、分析しようと思っても、すでに加工されているデータで、且つ今までと切り口を変えて分析しようと思ったときに、過去の情報がわからず分析が難しくなります。

そのため、データレイクを用いてそのままのデータを保存しておくことには、データ活用の幅が広がるというメリットがあります。

加えて、部門間でデータ形式が揃っていないという事態も避けられ、横断的な管理が可能になるのも、データレイクの利点です。

データ管理のコストを削減できる

データレイクは対象の形式に関わらず一元管理が可能なため、データ管理にかかるコストを削減できます。

現在、多くの企業は社内システムとクラウドサービスを使い分けてデータを保管していますが、データレイクはそれらをまとめて1つのシステム上で管理できるため、管理コストを大幅に削減することができます。

これはデータレイクの強みで、通常のデータベースやデータウェアハウスでは、多様な形式を含むビッグデータを一元管理するのは困難です。

手間のかからないビッグデータ管理を実現できるのが、このシステムの大きなメリットです。

データレイク活用の問題点

データレイクはビッグデータを無加工で一元管理する仕組みであるがゆえに、活用にはいくつかの問題点が存在します。

ここでは、データレイク運用によって発生しがちな課題を解説します。

データスワンプに陥る

データレイクの運用を進めていくと、「データスワンプ」という問題に直面します。

データスワンプとは、簡単に言うと
「データベースのどこに何が保存されているか分からない、混沌とした状態」
のことで、システムの不適切な運用により、メタデータの不足が発生することで生まれます。

データレイクは収集した情報をそのまま保存する仕組みなので、適切な管理を怠ると、出典や属性、時系列、収集目的などが不明なデータが蓄積されます。

結果的に、活用できない膨大なデータがデータレイクの底に沈んでいき、システムの管理コストだけが増大してしまうのです。

データスワンプを回避するためには、システムの運用方法やデータの管理ルールをまとめた「データガバナンス」を作成することが重要です。

解析コストの肥大

データレイクに保存される情報の多くは非構造化データのように、表計算ソフト等では管理できない形を持ちます。

そうしたものが多数蓄積されると、いざ解析を実施しようとした際に、目的のデータを取り出すのが困難な状況が発生します。

管理のルールが策定されていない場合、解析にかかるコストはさらに肥大します。

データレイクの運用には、ガバナンスの策定と並行して、データカタログなどを用いて、データに適切なタグを付けて管理することが大切です。

データレイク活用時のポイント

事前のガバナンス策定など、適切な運用をおこなわないと、かえって多くの問題が発生するデータレイク。

ここでは、データレイクの導入から活用まで、注意すべきポイントを解説します。

データレイク導入時のポイント

システムを導入する際、収集データを保存するストレージを決定する必要があります。

データレイクは膨大な量の構造化・非構造化データを扱うため、ストレージの選択は重要です。

これまではオンプレミス型でシステムを構築し、データも社内で保管することが一般的でしたが、現在はAmazonの『Amazon S3』やMicrosoftの『Azure Data Lake Storage』に代表されるクラウド型ストレージサービスが数多くリリースされているため、それらを利用することが多くなりました。

データ収集時のポイント

データを収集しデータレイクに格納する際、データを適切に収集し、管理する処理が必要となります。

短期間にデータをまとめて処理する「バッチ処理」や、生成と同時進行で処理する「ストリーム処理」などがあり、ビッグデータ活用の目的に合わせて選択するのが重要です。

合わせて、データカタログ等の機能を活用して、情報に適切なタグを付けておくことで、管理コストを削減することができます。

データ活用時のポイント

データレイクは収集したものをそのままの形で保存するため、解析時にどのような形式に変換するかを判断します。

そのため、元のデータを残しておけば、同じデータを新たな視点から分析することが可能です。

収集した非構造化データは「データの構造化」という手順を経て、様々な手法で分析されることになります。

ここでも、データ活用の目的(課題の発見と解決、ビジネス創出等)を明確にしておくことが大切です。

情報の管理・分析の仕組み作りはAMELAに

今回は、データレイクについて見てきました。

データの分析は、これから多くの企業で重要な課題となってくるでしょう。

しかし、本文でも述べた様に、
「今どの様にデータを管理しておくか」
を整理しておかなければ、将来的に情報を分析したとしても

・特定の切り口でしか見れない
・情報が足りない
・情報がどこにあるのかわからない

などの不具合が発生する可能性が高いです。

「ウチはまだ、ビッグデータを扱うような段階ではない」

と感じていたとしても、将来的なビッグデータの活用に向けたデータ整理や、データ収集の仕組みを作ることは重要なのです。

現状のデータ管理に不安や不満がある場合は、是非AMELAにご相談ください。

専任のITコンサルタントにより、今の状況の把握や最適な仕組みの導入を提案いたします。

また、弊社はオフショア開発にも強みを持っていますので、しっかりとしたシステム構築をさせていただきます。