AI議事録とは?利用のメリット・デメリットや一般的な機能まとめ
会議において重要な「議事録」。
近年は、この議事録をAIで記録できることをご存知でしょうか。
AI議事録を利用することで、単純に作業効率が上がる以外にも色々なメリットがあり、ビジネスが加速する可能性が高いです。
AIの発達は近年加速していますが、AI議事録はこれから注目される可能性が非常に高い製品です。
今回は、そんなAI議事録について
・どういったものか
・一般的に備えられている機能
・利用するメリット/デメリット
を見ていきましょう。
AI議事録とは
AI議事録とは、冒頭で少しお話しましたが、議事録をAIが自動的に取ってくれるような製品です。
議事録は、一般的に会議での発言や決定事項、次回までの課題などを記載していく資料のことですが、これを自動的に作成するのがAI議事録の役割です。
特に近年は、会議をする際に対面での会議ではなく、オンライン上での会議をする機会が増えてきました。
そうなってくると、対面に比べて
・表情などが読み取れない
・誰かが話し始めるタイミングが読めない
というようなデメリットが有り、雑談をしにくいと感じている人も多いでしょう。
これまでの対面での会議では、雑談の中にちょっとした確認事項を入れることも多かったかと思いますが、雑談そのものが減りやすいオンライン会議においては、
「きちんと記録を残すこと」
の重要性が高くなっています。
そのため、このAI議事録が注目されるようになってきたのです。
また、対面での会議に比べると、気軽に音声を録音しておくという機会が増えたかと思います。
こういった会議での常識の変化が、AI議事録導入の後押しをしているのです。
AI議事録の一般的な機能
続いて、一般的なAI議事録の機能を見ていきましょう。
これ以外にも、各製品によってユニークな機能を携えている事もありますが、今回は一般的な機能をご紹介します。
文字起こし
最も基本的な機能が、この文字起こしです。
AI議事録では、会議中の会話を文章にしていきます。
この時に、多くの製品では
「誰の発言か」
「何を言ったか」
を細かく記録することができます。
例えば、マイクロソフトのTeamsの場合には、会議を録画する際に文字起こしをする機能が最初から搭載されています。
オンライン会議の場合、どのアカウントからの音声なのかで、発言者を判別することが可能なのです。
これまでの議事録では「誰がした発言なのか」までを明記するのは大変でした。
それが簡単に残せるのが、AI議事録利用の魅力でしょう。
録画・録音
AI議事録の一般的な機能として、録画や録音が一緒にできる事が挙げられます。
製品によりますが、文字起こしした文章と連動し、テキストをクリックするとその部分だけ録音が再生されるものも存在します。
録音・録画されている事で、文字起こしされた文章を確認して
「この部分を再度資料を見ながら確認したい」
というような場合でも、即座に再生箇所を特定して再生することが可能です。
ただの録画や録音の場合には、自分が知りたい情報が、会議の中のどの辺りで話された内容かを思い出したり、最初から再生する必要性などが出てきます。
これがAI議事録を利用することでなくなるのです。
動画・音声のダウンロード
次に、これらの動画や音声をダウンロードする機能が付いている事が多いです。
特にアカウントを持っていないゲストユーザーが参加したような会議では、その人に対して会議後に録画を見れない様に設定されているオンライン会議ツールもあります。
そういう場合に、会議中の動画や音声をダウンロードして共有することは、非常に重要なのです。
文字起こし文章のダウンロード
動画や音声と同様に、文字起こしした文章もダウンロードできる製品が多いです。
動画や音声・文章を自社のサーバーに保管して日付管理するなど、会議が何度も行われるようなプロジェクトでは、こういったファイル管理も重要な仕事となります。
既存の音声のアップロード
会議の際の議事録だけではなく、すでに録音されている音声に対して議事録の作成ができる製品もあります。
その場合、1つの音声ファイルからの文字起こしになりますので、前述の「誰の発言か」までは記録できない可能性が高いです。
しかし、AI議事録の運用がスタートする前の会議なども、同じ様に議事録にしておくと、後述のメリットが得られやすくなります。
自動要約
AI議事録の中には、会議の内容を自動で要約してくれる製品があります。
単に記録するだけではなく、
・重要トピック
・全体の流れ
を要約してくれるため、単に録画するだけに比べて、後から見返した時に非常にわかりやすくなります。
会話比率等の分析
AI議事録の中には、会議の内容を分析してくれるような機能を持ったものも存在します。
例えば、各会議での会話の比率の統計を取る機能があります。
これにより、客観的に発言の大小が把握でき、
・発言が少なかった人に意見を求める
・発言の有無を会社の評価に繋げる
・重要人物の把握ができる
・今後会議に参加する必要があるメンバーを選出できる
などの判断に役立ちます。
AI議事録利用のメリット
次に、AI議事録を利用する事のメリットについて触れていきましょう。
議事録作成の省力化
議事録の作成には、かなりの労力が必要になります。
特に議事録の作成は新人が担当する事も多く、メモを取るのに必死になって理解できない・・・という事は、多くの人が経験してきたのではないでしょうか。
その作業がなくなることにより、会議に集中することができる可能性があります。
加えて、単なる会議メモから議事録にする際には
・会議の内容を振り返る
・必要な部分を抜き出す
・重要トピックや課題/決定事項などを抜き出す
という事が必要になります。
こういった事が自動で行われるなら、かなりの省力化に繋がると言えます。
特に、忙しい人ほど会議直後に議事録を仕上げる事が難しく、
「時間が空いた結果、思い出すのに時間がかかる」
という事もあるため、トータルするとかなりの時間の削減に繋がると考えられます。
また、議事録で大切なのは
「過去の会議を振り返る」
ということでしょう。
その際に、きちんと「会議で出たままの単語」が記録されている事により、後から検索しやすくなるなどのメリットもあります。
一字一句記録が残る
AI議事録では、発言が文字起こしされる結果、一言一句そのまま記録として残すことも可能です。
これにより、誤解が生じにくいというメリットが挙げられます。
例えば、議事録を人が作る際には、その内容を要約して記載するのが一般的です。
すべてをメモするのは、タイピング速度的に不可能と言えます。
しかし、その要約の仕方によっては、後から見てわからないようになる可能性があります。
一字一句残っていれば、こういった心配がありません。
特にクライアントとの決定事項や契約に関連する内容に関しては、その内容次第で支払い金額が大きく変わる事があります。
そのため、証拠としても正確にデータが残ることは重要なのです。
ソフトによっては「誰が」「何を」発言したのかが分かる
機能の部分で、「誰が」「何を」発言したのかが分かるツールもあるという話をしましたが、人が議事録を作る際に、これらの記録を残すのは非常に困難です。
1対1の会議であれば、それほど大きな問題にはなりませんが、10人規模の会議になってくると、誰が発言したのかを記録するのは現実的ではありません。
AI議事録を利用することで、これらの識別ができるのは大きなメリットと言えるでしょう。
特に、ヒアリングなどの会議では
・管理者が言っているのか
・現場の人間が言っているのか
によって、対応の優先順位が変わる事もあります。
そのため、発言者が記録されるのは、大きなメリットと言えます。
それ以上のデータ分析ができるものも
発言頻度や、重要な発言をした人を分析できるツールも存在し、そういったデータ分析は、将来的に役立つ可能性が高いでしょう。
例えば、クライアントが発言中に多く出しているキーワード。
これを分析することで、
「その人が大切に考えている事」や「気になっている事」
が分析できます。
積極的に改善したいと考えている人か、保守的に仕事を進めたい人かによって、クライアントに提案する内容が変わってくる事はよくあります。
それを客観的なデータに基づいて判断することができる可能性があるのです。
AI議事録利用のデメリット
AI議事録を利用することに対して、デメリットも見ていきましょう。
会議に集中しない人が出てくる可能性
前項で、議事録をAIに任せる事で会議に集中できると書きましたが、人によっては反対に作用する可能性もあります。
例えば、会議中に基本的に発言することがない新人などが
「もし聞き逃しても、後で録画や議事録を見れば良いや」
と考えてしまうと、集中力を保つことが難しいでしょう。
議事録を自分で作らないといけないという緊張感が、会議への集中力を保っているケースもあるのです。
そうなると、会議の時間に加えて、後で会議の録画を聞き直す時間が必要になり、二度手間となります。
特に在宅ワークが増えてきた昨今では、個人の集中力の管理が難しく、AI議事録によってそれが加速するおそれがあります。
誤った記録・誤字脱字
AI議事録と言っても、文字起こしの精度が完璧なわけではありません。
滑舌の悪い人や、喋り方に癖がある人、方言などの場合には、正しく変換してくれない可能性もあります。
また、このあたりの文字起こしの精度は、各製品により差がある部分でもあります。
もしも後から修正が必要になるなら、普通に議事録を取るよりも作業効率が悪いという可能性が出てきます。
セキュリティの懸念
昨今のオンライン会議では、重要な話に関しては録画をするのが一般的になってきました。
そうなると、会議の参加者にその録画を共有する必要性が出てくるわけですが、これらの情報が漏洩するリスクが高くなります。
これは、AI議事録だけではなく、オンライン会議全体に言えることですが、会議の情報をどの様に共有するか・保管するかは慎重に考えるのが良いでしょう。
雑談も残る
AI議事録では、雑談も全て記録に残ります。
今回の会議の本筋とは関係ない内容が繰り広げられる可能性もあり、後からその会議に必要な内容を選別する必要性が出てくることがあります。
意味のない雑談も全て残ってしまうのは、AI議事録のデメリットとも言えそうです。
流れを理解出来ない
AI議事録は、あくまでも記録や要約がメインです。
そのため、会議の流れを理解しているわけではありません。
例えば、「今回のプロジェクトの人材をどの様に集めるか」というテーマについての会議があったとします。
その際、下記の様に話が進んだとします。
1.自社の社員で対応したい
2.一旦その場の全員が合意
3.その後、別のプロジェクトの話が浮上
4.そのプロジェクトの方が会社としての優先順位が高いと判明
5.自社の社員をそちらに配置
6.今回のプロジェクトで必要な人員を社員ではなく協力会社から集める様に変更
この場合、最初は自社で人を集める事に合意しているものの、途中でそれが覆り、最終的には
「協力会社から集める」
ということが決定しました。
しかし、AI議事録だとこの「決定事項の変更」まで対応できない可能性があります。
人が議事録を作る際には、「協力会社から集める」だけを残せば良いです。
ですが、AI議事録の場合にはそこまでの流れも全て記録に残るので、人によっては不必要な情報が残りすぎていて読みにくいと感じる可能性があるでしょう。
人が育たない可能性もある
多くの会社で議事録を新人に任せるかと思いますが、これにより新人が成長している可能性もあります。
例えば、
・知らない単語があれば、そのタイミングでメモっておいて後で先輩に聞く
・要約スキルを身につける
・タイピング速度が速くなる
など、議事録を作る上で磨かれる能力が、AI議事録を利用することで身につかない可能性があります。
その分、他の業務で成長できれば良いですが、会社の環境によっては新人の成長速度が遅くなる可能性があるでしょう。
AI議事録の導入はAMELAに
今回は、AI議事録のメリットやデメリットについて説明してきました。
昔から多くの企業で作成される議事録ですが、AIの登場やオンライン会議の一般化によって、常識が変化しつつあると言えそうです。
特にChatGPTなどの文章作成用のAIによる要約や文章作成は、上手く利用することでビジネスを劇的に良くする事は、至る所で語られています。
まだAIを自社のビジネスに活用できていない所は、是非一度検討してみてはいかがでしょうか?
AMELAでは、新規のシステム開発だけではなく、既存の製品の導入のサポートやIT人材派遣なども行っています。
専任のITコンサルタントが、御社のビジネス課題を把握した上で、根本的な解決やビジネスの成長のためのご提案をさせていただきます。