バックドアとは?情報セキュリティにおける仕組み・対策!PCやスマホにも注意が必要

デジタル化の進展により私たちの生活やビジネスは大きく変革されましたが、それに伴い新たな脅威も現れています。

その中でも特に危険な存在が「バックドア」です。

バックドアはシステムに忍び込み、攻撃者による不正なアクセスや悪意のある活動を可能にします。

本記事では、バックドアの仕組みとそのリスクについて詳しく解説し、効果的な対策方法を紹介します。

バックドアとは

バックドアとは通常、システムのセキュリティを迂回するために使用されるアクセスポイントのことをいいます。

一般的な例としては、ソフトウェアやオペレーティングシステムに組み込まれた秘密のアカウントやコマンドがあります。

これにより、権限を持たないユーザーでも特権のある操作やシステムへのアクセスが可能になります。

このようなバックドアは、システムの開発者やメンテナンス担当者が、必要な時にシステムにアクセスし、問題のトラブルシューティングや保守作業をおこなうために使用されます。

しかし、最近ではバックドアは悪い意味で用いられることが多く、
「バックドア = 悪意のある人が悪さをする仕組み」
と捉えても問題ないでしょう。

一度侵入したシステムに対して、今後侵入することを容易にするために仕組む事が多く、セキュリティ上の重大な問題となります。

攻撃者がバックドアを悪用することでシステムに不正なアクセスをおこなったり、機密情報を盗んだり、悪意のあるコードを実行される恐れがあるのです。

バックドアの仕組み

バックドアの仕組みについては、以下に挙げる手法を用いることで実現されます。

1つ目はシステムやソフトウェアの脆弱性を利用することでバックドアを作成する手法です。

攻撃者は既知のセキュリティの脆弱性を見つけ、それを悪用することでバックドアをシステムに組み込みます。

これにより攻撃者はシステムへの不正アクセスが可能となり、情報を盗み出したり、悪意のある操作をおこなったりすることが可能になります。

2つ目は不正なアップデートによりバックドアを作成する手法です。

攻撃者はシステムやソフトウェアのアップデートを実施するふりをして、実際にはバックドアを組み込む悪意のあるアップデートを提供します。

ユーザーがこの偽のアップデートを実行すると、バックドアがシステムに組み込まれ、攻撃者による不正なアクセスが可能になります。

3つ目はソーシャルエンジニアリングです。

ソーシャルエンジニアリングは、人間の心理や行動を悪用してバックドアを作成する手法です。

攻撃者は偽のメールやフィッシング攻撃を通じて、ユーザーに偽のリンクや添付ファイルを開かせることで、バックドアをシステムに侵入させます。

これにより、攻撃者はユーザーの認証情報を入手したり、不正なアクセスが可能になります。

4つ目はメモリの改ざんです。

メモリ改ざんは、プログラムのメモリ内のデータを改変する手法です。

攻撃者はターゲットプログラムのメモリ空間に悪意のあるコードを挿入し、実行中のプログラムの挙動を変化させます。

これによりバックドアが起動し、攻撃者による不正な操作が可能になります。

以上のように、バックドアの仕組みは攻撃者によって異なる方法で実行されます。

バックドアは秘密裏に機能するのが一般的であることから、検出や防止が困難なケースが多いです。

例えば、システムの脆弱性を見つけて侵入した場合。

仮に派手に攻撃をしてしまうと、システム管理者に気付かれる可能性があります。

そして、システムの脆弱性に気付いて対処されると、
「他の部分に怪しい痕跡がないか」
を調べられる可能性があります。

この時、バックドアに気付かれるとそれを修正され、今後の侵入は困難になります。

それよりも、長期間に渡って多くの情報を抜き取る方が、攻撃者からすると都合が良いです。

そのため、前述したように攻撃者としては侵入を秘密裏に行い、気付かれないようにする方が良いのです。

こういった観点からも、バックドアの存在を検出する仕組みと、適切な対策を講じることが重要です。

バックドアのリスク

バックドアはシステムに以下のような深刻なリスクをもたらす可能性があります。

1つ目のリスクは不正アクセスによる情報の悪用です。

バックドアにより攻撃者はシステムに不正にアクセスすることで、機密情報やシステムの制御権を取得します。

これにより、データの悪用や金銭的損失、システムの停止などの被害が発生する恐れがあります。

2つ目は機密情報の漏洩、および盗難です。

バックドアを利用すると、攻撃者は機密情報を盗み出すことができます。

企業の重要なデータ、個人のプライバシー情報、政府の機密情報などが漏洩すると、その影響範囲は計り知ることができません。

3つ目は悪意のあるコードの実行と攻撃の拡大です。

バックドアは攻撃者によって制御されます。

そのため、悪意のあるコードやマルウェアの実行範囲を拡大されてしまうと、他のシステムやネットワークにも侵入されるといった二次被害が起きる可能性があります。

4つ目は法的および規制上の問題です。

特定の産業において、セキュリティの不備やバックドアの存在は法的な義務違反とみなされる場合があります。

また、バックドアの発見や不正利用が公になった場合、企業や組織の信頼性や評判にも深刻な影響を与える可能性があります。

以上のことから、バックドアによる影響は重要な懸念事項となり得ます。

バックドアの種類

バックドアには、いくつかの種類があります。

リモートアクセス型バックドアといわれるものは、攻撃者がネットワークを介してシステムにアクセスできるようにするものです。

これにより、攻撃者は物理的なアクセスなしでシステムに侵入し、遠隔でコントロールして機密情報の盗み出しをおこなうことが可能です。

リモートアクセス型とは真逆のローカルバックドアといわれる種類もあります。

これは物理的にアクセスできるシステムに設置されるバックドアです。

攻撃者は直接システムにアクセスしてバックドアを利用し、不正な操作をおこないます。

ハードウェアバックドアは、システムのハードウェアに組み込まれたバックドアです。

これにより、攻撃者はソフトウェアレベルの保護を回避し、システムにアクセスが可能となります。

ソフトウェアバックドアは、アプリケーションソフトウェアやオペレーティングシステムに組み込まれたバックドアです。

これにより、攻撃者はソフトウェアの不正な機能や隠しコードを利用してシステムにアクセスし、コントロールを取得します。

ゼロデイバックドアといわれるものもあります。

ゼロデイバックドアは、まだ公開されていないセキュリティ上の脆弱性を利用するバックドアです。

これにより、攻撃者は既知の対策が存在しない新しい脆弱性を悪用し、システムに侵入します。

最後にトロイの木馬型バックドアです。

トロイの木馬型バックドアは、一見すると有益なソフトウェアやアプリケーションとして偽装されたバックドアです。

ユーザーが意図せずにこれらのソフトウェアをダウンロードやインストールすることで、システムへの侵入を許します。

攻撃者はその後、バックドアを通じてシステムに不正なアクセスや操作が可能となります。

ここで紹介したのはあくまでも数あるバックドアの一例です。

バックドアは攻撃者によって異なる方法で作成されるため、様々な種類が存在し、今後も増加する可能性があります。

バックドアの事例

バックドアに関する実際の事例をいくつか紹介します。

日本国内で発生したパソコンの遠隔操作事件があります。

この事件では複数のパソコンから犯罪を予告する書き込みがおこなわれました。

容疑者は逮捕されますが、誤認逮捕であったことが後に発覚します。

真犯人はトロイの木馬を複数のパソコンに感染させることでバックドアを設置し、そこから端末を遠隔操作するという手口で犯行におよびました。

Linuxにバックドアが仕込まれるという事件もありました。

この事件はLinuxディストリビューションのサイトが何者かに改ざんされたことにより発覚します。

ダウンロードファイルをバックドアが仕込まれたファイルにすり替えられたことで、ユーザーは不正なファイルをダウンロードしてしまい、パソコンが感染するといった事象です。

暗号資産が不正流出してしまう事件も話題となりました。

暗号資産事業者のサーバーにバックドアが仕込まれ、数十億円という多額の暗号資産が流出した事件です。

同様にECサイトから情報が流出したというケースもあります。

システムの脆弱性を突かれたことで不正なアクセスを許してしまい、様々な情報が流出してしまったという事件です。

以上に紹介したものはバックドアの有名な事例です。

バックドアは様々な状況で発見される可能性があり、セキュリティに対する脅威となります。

バックドアの対策

バックドアへの対策はシステムのセキュリティを向上させ、潜在的なリスクを軽減するために重要です。

以下にバックドアの対策を紹介します。

1つ目はソフトウェアとシステムのアップデートを定期的におこなうことです。

ソフトウェアとシステムを最新の状態に保つことはバックドアへの対策の基本です。

ベンダーや開発者は、脆弱性やセキュリティの問題を修正するパッチやアップデートを定期的に提供しています。

これらのアップデートを適用することで、既知のバックドアや脆弱性を修正し、システムのセキュリティを向上させることができます。

企業でシステムを運用していると
「このWindows Updateをすると、このアプリが動かなくなるから、更新を手動にしている」
というようなケースが見受けられます。

こういったケースでは、よほどしっかりとセキュリティの管理をしなければ、更新漏れの影響を受ける可能性があります。

2つ目は強固な認証とアクセス制御です。

強力な認証メカニズムとアクセス制御ポリシーを実装することで、不正なアクセスを制限できます。

パスワードの強化、二段階認証、アクセス権の最小化、ロール別のアクセス制御などを取り入れることで、バックドアによる攻撃を困難にします。

3つ目はセキュリティ意識の向上です。

セキュリティ意識の向上は重要な要素です。

従業員やユーザーに対してセキュリティトレーニングや教育を提供することで、ソーシャルエンジニアリングやフィッシング攻撃などの手法に対する警戒心を高めることができます。

4つ目はリスク評価と脆弱性スキャンです。

バックドアのリスクを評価し、脆弱性スキャンを実施することで、システム内のセキュリティの問題を特定できます。

これにより、バックドアの存在や攻撃の可能性を把握し、それに対する適切な対策を講じることが可能となります。

5つ目はセキュリティソフトウェアの利用です。

ファイアウォール、侵入検知システム(IDS)、マルウェア対策ソフトウェアなどのセキュリティソフトを導入することで、攻撃者によるセキュリティの突破を困難なものとします。

利用している企業は多いと思いますが、それらの機能を十分に使いこなせているのかは、きちんと確認しておくべきでしょう。

セキュリティレベルの向上やシステム運用はAMELAに

今回は、バックドアに関するお話をしました。

セキュリティは、新しい技術が出るに連れて、新しい問題も出てきます。

全てに対応することは難しいかもしれませんが、適切なセキュリティシステムの導入や、適切な教育によって回避できる問題も多いです。

しかし、世の中には多数のセキュリティシステムが存在し、どれを導入するのが適切かがわからないケースも多いでしょう。

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