デザインシンキングとは?プロセスやフレームワーク、メリット・デメリットを解説

デザイナーの思考方法を体系化してビジネスへ活用する「デザインシンキング(デザイン思考)」。

ユーザーの視点に立つことで製品の課題・ニーズを発見し、課題解決を目指すデザインシンキングは、あらゆる企業にイノベーションが求められるようになった現代において、大きな注目を集めています。

しかし、日本ではまだあまり定着していないため、
「ほかの思考法と何が違うのか」
「どんなメリットがあるのか」
と疑問に思う人も多いでしょう。

この記事では、デザインシンキングについて、他の思考法との違いや実行プロセス、メリット・デメリットなどを解説します。

合わせて、デザインシンキングによく活用されるフレームワークも紹介しています。

デザインシンキングとは

そもそも、デザインシンキングとはどのようなものなのでしょうか。

ここでは、他の思考法との違いや、デザインシンキングが注目されるようになった背景とあわせて解説していきます。

デザイン思考

デザインシンキング(あるいは「デザイン思考」)とは、デザイナーがデザインを考案・作成するときの思考過程を、ビジネスに活用するための思考方法です。

サービスや製品について思考するときに、利用者の視点に立って課題を洗いだし、解決を目指す手法としても知られています。

また、経営全般から新事業の創設、イノベーションについてデザイン思考を用いることを「デザイン経営」と呼ぶこともあります。

デザイナーの思考法を「デザインシンキング」として系統立てて注目されたのは1980年代で、1990年代からビジネスへの応用が実践されるようになりました。

2005年にはスタンフォード大学にデザインシンキングの教室が開講され、これによってデザイン思考は世界的な知名度を獲得しました。

そのほかの思考法との違い

ビジネス上の課題を解決するための思考法は数多くあります。

その中の主要な思考法とデザインシンキングとの違いを整理しておきます。

まず、よく混同される「アート思考」は、個人の自由な発想に重きを置き、主にアイデア創出のために用いられます。

そのため、ユーザーの視点から課題解決を目指すデザインシンキングとは異なります。

また、「ロジカルシンキング」は、情報を論理的に整理して、課題を明確にすることで解決策を立案する手法です。

ロジカルシンキングとデザインシンキングとの違いは、課題解決のための手法・視点で、前者は細分化とグループ化による論理的な手法、後者は発想力によるクリエイティブな手法と言えます。

デザインシンキングが注目される背景

デザインシンキングはいまや世界的に知られる手法ですが、なぜ近年の日本において、この思考法が注目されるようになったのでしょうか。

理由としては、社会情勢の変化によって、これまで通りの企業活動が難しくなったことが挙げられます。

これまでは、施策の実証によって企業の活動方針を立てるやり方が一般的でしたが、ニーズの細分化とIT技術の飛躍的な発達によって、この手法ではあまり効果をあげられなくなりました。

そして企業に「イノベーション」が求められる時代に入ったことで、デザインシンキングをはじめとする、新たな視点・思考を可能にする手法への注目度が増したのです。

現代は、ほぼすべての企業がユーザーニーズの分析に取り組まざるをえないため、ユーザー視点に立ったビジネスを進めるデザインシンキングが重要です。

デザインシンキングのプロセス

デザインシンキングにはいくつかの手法があり、それぞれ適合する環境や得られる効果が異なります。

ここでは、デザインシンキングにおいてもっとも有名な「デザイン思考の5段階」に沿って、デザインシンキングのプロセスを解説します。

なお同じ5段階であっても、現場によってプロセスの呼び方が異なる場合がありますが、ロードマップとしては同一のものであることが多いです。

①共感

まずは「共感」のプロセスを通して、ユーザーがどのような意見を持っているのかを把握します。

ここで視点を明確にすることが、デザインシンキングの土台となります。

そもそも、顧客は商品を「論理的に考えて購入する」のではなく「感情で購入する」ということが根本的な考え方です。

商品やサービスを購入することで
・快適になる
・楽しくなる
・周りからすごいと思われる
・好かれる
など、何かしらの感情を元に商品を選んでいます。

そのため、こういった顧客の感情に共感することこそが、最も重要で根本的な考え方とされているのです。

視点設置の手法としては、アンケートやモニタリングが有効です。

これらの手法によって得られたデータを分析し、ユーザーの本音を探っていきます。

②定義

「共感」によって得られたデータと視点によって、需要と課題を明確にするのが「定義」のプロセスです。

ここでは、潜在的な需要を仮定し、それを満たすために解決したい課題を洗い出します。

このプロセスを経ることで、デザインシンキングのメインテーマとなる課題を設定することになります。

「定義」のプロセスにおける手法としては、ユーザーが製品・サービスを購入するまでの行動や感情を整理した「ジャーニーマップ」が広く用いられています。

③着想

「着想」のプロセスでは、実際に課題の解決策を模索していきます。

ここでは、ブレインストーミングなどの手法を用いて、自由な発想でアイデアを出していきます。

ここで重要なのが、他の手法とは違って、ユーザー視点からアイデアを評価することです。

多数決や妥当性よりも、ユーザー視点からの重み付けが、アイデア評価において重要になります。

④試作

「着想」で採用されたアイデアを元に、実際に製品・サービスのプロトタイプを製作します。

このプロセスでのポイントは、可能な限り低コストで、素早く試作をおこなうことです。

トライアンドエラーを重ねることで、徐々に理想的なプロダクトに近づけていきます。

デザインシンキングでは、試作品の評価もユーザー視点からおこないます。

そのため、利便性や見た目、イメージといったトピックが重要となります。

⑤テスト

「テスト」のプロセスでは、「試作」で出来上がったプロトタイプをユーザーテストに投入します。

このテストは、ここまでのプロセスでは取りこぼしていた課題を発見するためにおこなわれます。

ユーザーの評価や行動を十分に観察し、「定義」で設定した課題が適切であったかを判断し、必要であれば5段階のプロセスを何度も繰り返します。

デザインシンキングでは、ここまでのプロセスをスムーズに進め、改善を続けることが大きなポイントとなります。

デザインシンキングに役立つフレームワーク

デザインシンキングの各プロセスでは、さまざまなフレームワークが用いられます。

ここでは、デザインシンキングを実行する上で重要なフレームワークを紹介します。

共感マップ

「共感マップ(エンパシーマップ)」とは、ユーザーの行動や感想を分析・整理するためのツールです。

一般的な共感マップは「思考と感情・聞く・見る・行動・ストレス・利益」の6つのトピックに分解することで、ユーザーの本音を俯瞰することができます。

デザインシンキングでは「共感・定義・テスト」で大きな力を発揮します。

ジャーニーマップ

「ジャーニーマップ」とは、対象の行動や思考、感情などを時系列に沿ってまとめたもので、ユーザーの分析に最適化されたものを「カスタマージャーニーマップ」と呼びます。

ジャーニーマップでは、ユーザーがとある製品・サービスについて「知る→興味を持つ→検討する→購入する」過程を分析・整理していきます。

これによって、ニーズの全体像を把握することができ、また、チームの方針やアイデアを評価する軸にもなります。

デザインシンキングのプロセスにおいては、「定義」を中心に、さまざまな場面で役立つフレームワークです。

その他のフレームワーク

上の2つ以外にも、デザインシンキングに役立つフレームワークは数多くあります。

製品・サービスの分析には「SWOT分析」や「事業環境マップ」が、製品・サービスの分析から新たなアイデアを創出するためには「ビジネスモデルキャンパス」が役立ちます。

これらのフレームワークは単独で用いるのではなく、複数のフレームワーク・手法を活用することで、より高い効果が得られます。

デザインシンキングのメリット・デメリット

ユーザー視点に立つことで課題解決を目指すデザインシンキング。

ここでは、この思考法によるメリット・デメリットをまとめて解説します。

メリット

デザインシンキングを用いることで、ユーザー満足度の向上やイノベーションの促進、企業活動の活性化などのメリットが期待できます。

ユーザー視点に立つことで、ユーザーにより満足してもらえる製品・サービスを作ることができます。

さらに、新たな視点からビジネスを分析することで、これまでは見えていなかった可能性に気づくことができ、新しいビジネスの創出にも繋がります。

デザインシンキングのプロセスを経ることはまた、チーム一丸となって課題解決へ向かうことでもあり、チームワークが強化され、結果として企業全体が活性化するというメリットもあります。

デメリット

デザインシンキングには、いくつかのデメリットも存在します。

まずデザインシンキングは、ユーザーの感情や行動を根拠とするため、ゼロベースの思考・創出とは相性が悪いです。

そもそもユーザーがそのトピックを認識していなければ、分析すべきデータは得られず、立つべき視点も設定できません。

まったく新しいビジネスの創造において、デザインシンキングはあまり役に立ちません。

次に、デザインシンキングは一般的なビジネスシーンにおいては馴染みのない思考法であるため、習得して活用するまでの学習コストが高いというデメリットもあります。

デザイン思考で物事を分析してアイデアを創出するためには、相応の時間がかかります。

マーケティングをシステム化するならAMELAに

今回は、デザインシンキングについて見てきました。

特に不景気の時代には、こういった「売り方」が非常に重要になってきます。

一方で、日本企業の中には、マーケティングにお金をかけず、営業マンにお金をかける企業もまだまだ多いです。

特に人員に関しては、マーケティング部門に多くの人員配置をしている企業は非常に少数派です。

そんなマーケティング部門だからこそ、業務をシステム化し、業務効率を上げることが求められます。

AMELAでは、業務用システム開発実績も多く、高い顧客満足度を誇っています。

マーケティングオートメーションなども耳にする様になったことからも
「いかに人員と時間をかけずに、効率的にマーケティングを行うのか」
は、企業にとって大きな課題です。

是非、そんなマーケティングのシステム化の際には、ご相談いただければと思います。