リバースプロキシとは?プロキシとの違いや仕組み、メリットとデメリットを解説

Webサイトやアプリケーションを開発する際、拡張性やセキュリティ面などの様々な課題に直面することがあります。

アクセス数が増加した際にはサーバーに負荷がかかってしまい、サービスの安定性に問題が生じる懸念があります。

また、悪意のある攻撃がサーバーに対しておこなわれた場合、サービスの停止や情報の漏洩といった被害が発生する可能性も考えられます。

こうした問題を解決するためには、リバースプロキシという手法を使うことがいいとされています。

リバースプロキシを用いることで、Webサービスの安定性やセキュリティを向上させ、ユーザー満足度の向上につなげることが可能です。

本記事ではリバースプロキシの内容について解説し、仕組みと役割、メリットやデメリットについて説明します。

プロキシとは

リバースプロキシについて理解をするために、まずはプロキシについて知らなければなりません。

プロキシとは、インターネット上でデータ通信の取り次ぎをするための仕組みです。

インターネットに接続をする際、通常であればブラウザなどを経由して直接Webサイトにアクセスをします。

プロキシを使用することでクライアントは直接サイトへアクセスするのではなく、プロキシサーバーにアクセスをおこない、プロキシがクライアントに代わってサイトにアクセスすることで情報を取りに行くという役割を果たします。

プロキシを利用することにより、クライアントは実際のWebサーバーと接続をする必要がありません。

これによりクライアントの匿名性を確保することができるため、セキュリティの向上につながるといった効果があります。

プロキシはクライアント側のネットワーク環境にサーバーを設置し、クライアントの窓口担当としてインターネットに接続をするという仕組みになっています。

リバースプロキシとは

プロキシがクライアント側に設置するものであるのに対し、リバースプロキシはWebサーバー側のネットワーク環境に設置をします。

リバースプロキシを設置することで、Webサーバーはクライアント側と直接接続はおこなわず、リバースプロキシが窓口担当としてクライアントとの間を取り持ちます。

クライアントが送信したリクエストをリバースプロキシが窓口として処理し、それをWebサーバーに振り分けます。

Webサーバーはリクエストを返す際にもクライアントと直接接続はおこなわず、リバースプロキシが一旦リクエストを受け取ったのちに、クライアントにレスポンスするという仕組みをとっています。

プロキシとリバースプロキシの違い

プロキシとリバースプロキシは似ているようで異なります。

その違いは、サーバーをどちらのネットワーク環境に設置するのかという点と、取得した情報をどこに転送するのかという点です。

プロキシの場合は、クライアント側から送信されたリクエストをプロキシサーバーが受け取り、プロキシサーバーからWebサーバーに転送する仕組みになっています。

また、リクエストに対するWebサーバーからのレスポンスについても、プロキシサーバーを介してクライアント側に返します。

一方でリバースプロキシの場合は、前述の通りWebサーバー側に設置されます。

クライアントからのリクエストを受け取り、リバースプロキシサーバーがリクエストを処理してWebサーバーに転送する点が違いです。

上記に加えて、プロキシとリバースプロキシは目的の面についても違いがあります。

プロキシはユーザーの端末情報などを伏せるために使用されるのに対し、リバースプロキシはWebサーバーの保護や性能向上のために使用されるケースが一般的です。

プロキシもリバースプロキシも、どちらも窓口としての役割を担うことについては同じです。

しかし、どちらを設置するのか、または両方設置するのかについては、用途や目的に応じて選択する必要があります。

リバースプロキシの仕組み

クライアントからのリクエストを受け取ったリバースプロキシは、そのリクエスト内容を解析し、該当データを保有しているWebサーバーに対しリクエストを転送します。

リクエストを受け取ったWebサーバーは、そのリクエストに該当する情報をリバースプロキシに返します。

Webサーバーから情報を受け取ったリバースプロキシは、その情報を窓口担当者としてクライアント側にレスポンスをするという仕組みになっています。

リバースプロキシが接続するWebサーバーは1つに限定されておらず、複数のサーバーと接続することも可能です。

リバースプロキシの役割

リバースプロキシには多くの役割があります。

1つ目の役割は、セキュリティの強化です。

リバースプロキシはWebサーバー側に設置されるものであり、Webサーバーに対する外部からの直接的なアクセスを防ぐことができます。

また、通信情報の解読やアクセスの制御などを施すことも可能であることから、セキュリティの強化を図ることにつながります。

2つ目の役割はパフォーマンスの向上です。

リバースプロキシはデータを保管する機能やWebサーバーへのアクセス負荷分散機能を有しています。

また、各種コンテンツの提供だけでなく不要なリクエストの除外もできるため、高速かつ効率的な処理を実現可能です。

3つ目の役割はスケーラビリティの向上です。

リバースプロキシは複数のWebサーバーを紐づける技術を有しています。

複数のWebサーバーを連携することで冗長性を高めることができるため、Webサーバーに対する信頼性や安全性の向上につながります。

また、Webサーバーの再構築やメンテナンスをする際において、それぞれのクライアントに対して個別対応をする必要はありません。

クライアント側はあくまでもリバースプロキシが窓口となるからです。

これによりスムーズな処理が実現可能です。

以上の役割により、リバースプロキシはWebサーバーの保護や性能の向上、柔軟性の向上を図ることができ、Webサイト全体の安定的な運用に貢献しています。

リバースプロキシのメリット

続いて、リバースプロキシのメリットについて見ていきましょう。

負荷分散

1つ目はサーバーへのアクセスを振り分けることによる負荷分散です。

先に述べたように、リバースプロキシはアクセスの負荷分散機能を有しています。

複数のサーバーを準備することで、クライアントからのアクセスが集中した場合であっても、準備したサーバーにアクセスを振り分けることで負荷分散を図ることができます。

キャッシュ機能

2つ目のメリットはキャッシュ機能です。

リバースプロキシを通じて送信された情報は、一定期間キャッシュとして保存されます。

異なるクライアントが同じ情報を要求した場合、キャッシュを利用することで高速レスポンスが可能です。

また、キャッシュは保存されたデータであることから、利用時はデータの送受信が発生しないため、サーバーへの負荷が軽減されるという効果もあります。

処理の高速化

3つ目のメリットは処理の高速化です。

クライアントとWebサーバー間で接続をする場合、その内容を暗号化するためにSSL通信がおこなわれるのが一般的です。

これをリバースプロキシでおこなうことでWebサーバーはその処理をする必要がなくなるため、全体の処理を高速化できます。

セキュリティの向上

4つ目のメリットはセキュリティ面の強化です。

リバースプロキシを有することで悪意のある攻撃者がWebサーバーへアクセスすることができないため、リスクの軽減につながります。

また、アクセス権やセキュリティの管理をしているサーバーと連携をすることで、複数のアプリケーションへの認証をおこなうシングルサインオンの実施も可能になります。

リバースプロキシのデメリット

リバースプロキシにはメリットがある反面、デメリットもあります。

リバースプロキシサーバーを狙った攻撃

リバースプロキシの1つ目のデメリットは、リバースプロキシサーバー自体が悪意のある攻撃を受ける可能性があることです。

リバースプロキシサーバーを乗っ取られてしまった場合、その先にあるWebサーバーも危険にさらされてしまいます。

メリットが多く、リバースプロキシが一般的に使われる様になればなるほど、それを狙った攻撃も増えてくるのです。

そのため、リバースプロキシサーバー自体のセキュリティ対策が必要になります。

コスト

デメリットの2つ目はコスト面です。

リバースプロキシを導入するには専用のハードウェアやソフトウェアを導入しなければなりません。

また、適切な設定や管理をおこなうためには専門知識が必要となるため、導入費や保守管理費、人件費など様々なコストが発生します。

キャッシュの取り扱い

デメリットの3つ目はキャッシュの取り扱いです。

データを一時保存するキャッシュはメリットになる反面、デメリットにもなります。

キャッシュの不備により情報の更新遅延があることを考慮しなければなりません。

また、キャッシュが膨大になることでデータ容量を圧迫してしまう可能性もあります。

メリットの部分で、サーバーへの負荷が減る事をお話しましたが、そのキャッシュとして残しているデータも、容量が必要になります。

しかし、これらのデータは本来、サーバーにあるデータと重複しているものです。

そのため、リバースプロキシを導入するだけでも相当量の容量を使ってしまうのです。

さらには残っているキャッシュから情報が盗まれる懸念もあることから、取り扱いには適切な管理が必要です。

障害対応

デメリットの4つ目は障害時の対応です。

リバースプロキシ自体がサーバーダウンしてしまう可能性もゼロではありません。

リバースプロキシサーバーがダウンした場合、Webサーバーへもアクセスできなくなってしまうため、障害発生時の対策が必要になります。

適切なシステム運用の相談はAMELAに

今回は、リバースプロキシに触れてきました。

リバースプロキシはWebサイトのセキュリティや負荷分散、情報配信の最適化などの様々な面で重要な役割を果たしていることを解説しました。

リバースプロキシを活用することで、Webサーバーを外部からの攻撃や不正アクセスから守ることができます。

また、負荷分散をすることでWebサーバーの安定性を高めることができたり、ユーザーに対して高速かつ安定したアクセスを提供するなど、サービス品質の向上を図ることも可能でしょう。

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