ビジネスにも役立つ「KJ法」とは?活用するコツやメリット・デメリットを解説
刻一刻と変わるビジネスシーンにおいて、「個人のアイデア」が、企業が成長するうえでより重要になっています。
アイデア創出の手法は数多くありますが、その中で、グループワークにおいて大きな効果を発揮する「KJ法」が、ふたたび注目を集めています。
もともとは学術研究のために考案された手法ですが、現在はアイデア出しや問題解決のために活用されるシーンが多いです。
この記事では、KJ法がどのようなものなのかを、活用するコツやメリット・デメリットとともに解説していきます。
また、KJ法を使ってアイデアを生み出すときに切っても切り離せない
「ブレインストーミング(BS)」
についても、合わせて説明します。
「KJ法」とは
研究やビジネスシーンで活用される「KJ法」とは、どのようなものなのでしょうか。
KJ法の内容をかんたんに説明したうえで、「ブレインストーミング」について、そして、ビジネスシーンにおける活用について解説します。
情報の効率的な整理方法
もともとKJ法は、膨大なデータを効率的に整理して活用するための手法です。
文化人類学者の川喜多二郎が、研究を進めて論文を執筆するために考案したもので、1967年の自身の著書「発想法」で紹介したことから、研究室や企業で広がりました。
フィールドワークで得られた、一見すると関連性がないような膨大な量の情報を整理していくことで、これまでは見えてこなかった相関関係や因果関係を発見することができます。
KJ法という名前も、考案者のイニシャルから命名されました。
KJ法では、ひとつのデータをカードに書いていき、それらをグループ化して系統立てていきます。
そうして整理されたデータを分析することで、膨大な情報を効率的に研究へ活かします。
KJ法は、単独の作業はもとより、グループワークで大きな効果を発揮することで知られていて、さまざまなシーンで活用されています。
ちなみに、現在、KJ法は株式会社川喜田研究所の商標となっています。
現在はアイデア出しでも活用されている
カードに情報を書き、問題を分析するKJ法は、その手法やグループワークでの効力から、アイデア出しで用いられることが多いです。
思いついたことをカードに書いてホワイトボードなどに次々と貼っていき、参加者が自由に発言していくことで、よりよいアイデアの創出が可能です。
KJ法を用いたアイデア出しのノウハウは世界中に広がり、現在ではアイデア創出のメジャーな手法として知られています。
KJ法とブレインストーミング
KJ法によるアイデア出しに欠かせないのが「ブレインストーミング(BS)」と呼ばれる手法です。
ブレインストーミングは、1950年代にアメリカで考案された会議システムで、グループ内で自由に発言をすることでアイデアの発生を促すものです。
ここでは、だれでも自由に発言できる、批判をしないなど、現在のグループワークでよく見られるルールが敷かれています。
ブレインストーミングでは、雑多なアイデアが数多く生まれるため、これにKJ法を適用することで、よりよい企画を立てたり、あるいは問題を解決したりしていきます。
一般的には、ブレインストーミングによる成果を、KJ法で整理するという流れになります。
そのため、このふたつの手法は同じものとして扱われることもあります。
ビジネスシーンにおけるKJ法
KJ法はビジネスシーンにおいても、新たなマーケティング戦略の立案や新規企画の立ち上げ、問題解決などに活用されています。
この手法は当初からビジネスにおける活用が注目されていて、考案者の川喜多二郎自身も、企業研修などでKJ法の指導を積極的におこないました。
KJ法のビジネスへの効果については、多くの研究論文が発表されており、一定の有効性が認められています。
ひとつ注意点として、KJ法、およびブレインストーミングは、しっかりとした研修を受けたうえで実施するべき手法です。
原理やルールを把握しないまま導入すると、かえって混乱を招くことがあります。
現在もKJ法の勉強会などが開催されているので、活用する際には、そうしたものに参加することをおすすめします。
KJ法でアイデアを創出するポイント
KJ法をアイデア創出に活用するためには、ブレインストーミングのルールを守る必要があります。
ここでは、KJ法によるアイデア出しを成功させるためのポイントを解説します。
自発性を大切にする
KJ法やブレインストーミングの場面には司会進行役がいます。
しかし、進行役に促されるのではなく、自発的に発言をしていくことが大切です。
このアイデアは余りにありきたりだ、あるいは反対に、突拍子がなくて笑われないかなどと思わずに、とにかく思いついたことを、自分から発表するのが、アイデア出しを成功させるポイントです。
なお、ブレインストーミングでは「質疑応答BS」と呼ばれる段階があり、ここでは出されたアイデアに対して進行役がメンバーに意見を求めるのですが、これは一通りのアイデア創出が終わってからおこないます。
誰でも自由に発言する
会議が無秩序にならないために、進行役など、ある程度の役割分担をする必要があります。
しかし、それでだれかの発言が制限されることはありません。
KJ法、ブレインストーミングでは、立場やその場の空気に関係なく、誰でも自由に発言することが大切です。
むしろ、ここで発言を制限してしまうと、すばらしいアイデアは生まれにくくなってしまいます。
その場では判断をしない
アイデア創出の場でもっとも気を付けるべきポイントは、生まれたアイデアや発言に対して、その場で価値判断をしないことです。
とくに発言への批判は、その後の自由な発言をしぼませてしまうため、厳禁です。
ビジネスシーンでのアイデア出しは、つい実行可能かどうかを検討してしまいますが、このターンでは、その必要はありません。
アイデア・発言の量を重視する
KJ法は、膨大な情報を系統立てて整理するための手法です。
KJ法およびブレインストーミングによるアイデア創出を成功させるためには、一定以上の情報量が求められます。
そのため、参加者それぞれが自由に発言するターンでは「質より量」が大切です。
どんな小さなことでも発言して、まとまった量のアイデアを集めることが、KJ法成功のポイントとなります。
KJ法をおこなうメリット
ここからは、アイデア創出や問題解決の手法としてKJ法を採用するメリット・デメリットを解説します。
まずはKJ法のメリットからみていきましょう。
アイデア・問題の可視化
チームでアイデアを出し合い、グループ化し系統立てていくことで、これまではっきりしていなかったアイデアや問題をつかむことができます。
アイデアについては、メンバーひとりひとりの頭の中にあったものが、グループ全体で具体的に把握できるようになります。
また、問題解決においては、さまざまな要素の相関関係や因果関係を明確にしていくことで、問題の本質をつかみ、有効な解決策の立案へつなげます。
問題意識・認識の共有
KJ法およびブレインストーミングをおこない、チーム全体に対してそれぞれが発言し、情報を整理していくことで、課題に対する認識を共有することができます。
また、メンバーそれぞれの意見を論理的に整理することで、今後、どのような対応策を練る必要があるのか、未来志向の認識をチーム内でひとつにまとめられます。
事前準備がいらない
KJ法は特別なツールを必要としない手法です。
また、他の分析方法と比べて短い時間で実施できるというメリットがあります。
気軽に集まってアイデアを出しあい、整理していくことができるのです。
見過ごされがちな意見をピックアップできる
多くのグループワークには、少数意見が反映されにくいという問題点があります。
グループの規模が大きくなるほどこの傾向は強くなります。
アイデアや問題点は、最終的には絞っていくことにはなるのですが、アイデア出しの時点では、少数意見に大きなヒントが隠れていることが少なくありません。
KJ法およびブレインストーミングは、発言するときターンで価値判断をおこなわないため、こうしたアイデアを見逃さずに済みます。
グループワークで見過ごされがちな少数意見をピックアップして、活用していくことができるのです。
KJ法をおこなうデメリット
KJ法には、いくつかのデメリットが存在することも事実です。
この手法の問題点として、よく挙げられるものをいくつか紹介します。
アイデアを書き出し、整理するのに時間がかかる
KJ法を実施するのに必要なツールに特別なものはなく、その点で気軽に実施することができます。
しかし、メンバーを集めて、発言を逐一書き出し、得られた膨大なアイデアを整理していくのには、相応の時間がかかります。
十分な時間がない中でKJ法をおこなうと、結局なにもまとまらなかったということも少なくありません。
KJ法の実施には、ある程度の余裕が必要になります。
アイデアの質はメンバーに依存する
メンバーを集めておのおの自由に発言するという特性上、アイデアの質や内容は、そのメンバーの特徴に強く依存します。
同じような人々が集まれば、アイデアは偏ったものになりますし、こうした作業が苦手な人がメンバーに多ければ、質の高いアイデアは生まれにくいのです。
特にビジネスシーンでは、メンバー間の上限関係がKJ法およびブレインストーミングの障壁となることが多いため、事前準備に気をつかう必要があります。
更に、同じ社内のメンバーを集めた際には、同じ様なアイデアしか出ないことも多々あります。
それは、普段の業務や社長の発言など、
「ウチの会社は、こうあるべき」
という先入観が日々積み重なります。
その中で、突飛なアイデアを出すことが難しい場合もあります。
そのため、できれば普段関わりのない人を混ぜると、これまでにない意見が出てくる可能性があります。
ビジネスの創造はAMELAに
今回は、KJ法について見てきました。
こういったグループワークなどは、研修で行う企業も多いですが、それを業務に活かせている所は、非常に少ないと言わざるを得ません。
それは、日々の業務の忙しさに忙殺されたり、
「その場限りのイベント」
と捉えている社員が多いことが関係してきます。
しかし、逆に言うと
・普段の業務を効率化するシステム
・アイデアを具体的に実践するためのフレームワーク
・進捗や評価を定期的に行える仕組み
があることで、ビジネスを作る難易度はぐっと下がります。
AMELAでは、こういった仕組み化やシステム開発において、過去多くの実績があります。
今の業務や今後のビジネス展開について、是非ご相談頂ければと思います。