バッチ処理とは!?バッチファイルとは別物?リアルタイム処理との違いやメリットまとめ

デジタル化が急速に進む昨今、日々大量のデータ処理がおこなわれています。

ビッグデータという言葉が浸透しつつあるように、今後もデータ処理量が増え続けることが予想されます。

データを処理するにあたっては、処理をする上での精度や整合性の担保などはもちろんのこと、処理速度も大変重要になります。

そのようなデータを手動更新にのみ頼ってはいないでしょうか。

手動更新に依存していると、いつかヒューマンエラーが起きかねません。

そこで今回の記事ではバッチ処理について取り上げ、解説をしていきます。

バッチ処理を理解することでヒューマンエラーを極限まで減らすだけでなく、データの整合性や処理速度の大幅向上など、様々な効果が期待できます。

バッチ処理とは

まず始めに、そもそもバッチ処理とは何かについて解説をします。

バッチ処理とは、データを期間や内容ごとにグループ化し、その一定量のデータを自動で一括処理するというシステムの一連の動きのことをいいます。

バッチ処理には、「時間」や「動作」を元に自動的に実行され、これを「トリガー」と言います。

このトリガーにより、毎日定期的に行っていた作業を、自動的にシステムが代行する事も可能になりました。

実際にパソコンの起動時の環境設定やアプリケーションの自動立ち上げなど、バッチ処理は身近の様々な業務に活用されています。

特に、業務システムにおいて、〆作業をする等の場合、システムを利用していない夜中にバッチ処理を行いますが、これを「夜間バッチ」などと呼びます。

例を挙げると、夜中にバッチ処理として

1.前日の売上処理を確定させる
2.在庫を引当る
3.1日の売上を集計して、経営者向けの分析し易い形にしてデータベースに入れておく
4.別途開発されたシステムへのデータの連動を行い、社内のデータの整合性を保つ

などのような事が、一般的な業務システムでも利用されています。

上記のような夜間バッチは、一般的に時間起動になりますが、その他にも「動作」で起動するようなものの例として
「特定のフォルダにpdfファイルが入った時に、それをFAXで送る」
といった処理もあります。
(その場合にも、数分置きにそのフォルダを監視する仕組みが動いています)

リアルタイム処理との違い

バッチ処理を理解するために、リアルタイム処理についても解説をします。

バッチ処理は、あらかじめ指定したタイミングで実行するものです。

それに対し、リアルタイム処理とはその言葉通りで、要求する処理が必要なタイミングでの実行とデータの更新、および即時反映を行うことです。

リアルタイム処理の例を挙げると、金融機関の預金残高表記があります。

金融機関でお金を引き出した後に、アプリや通帳などで預金残高を確認すると、引き出した分の預金残高がすぐに減っていることがわかります。

もし仮にこのような場合にリアルタイム処理を実行しない場合、実際の残高と表記された残高に差異が発生することになります。

そうなると使用者にとっては大変わかりづらいだけでなく、これを利用して悪事を働く人も出てくるでしょう。

こういうケースにおいてはデータの処理は即時反映が求められるため、バッチ処理ではなくリアルタイム処理をしなければなりません。

バッチ処理のメリットとデメリット

バッチ処理とリアルタイム処理の違いについて解説しました。

バッチ処理、リアルタイム処理は共に業務をおこなう上で欠かせない処理方法です。

どちらが良くてどちらが悪いと優劣をつけるのではなく、業務内容を鑑みた上で双方の処理を使い分けることが大事です。

それを踏まえ、ここではバッチ処理のメリットとデメリットをそれぞれ解説していきます。

バッチ処理のメリット

バッチ処理のメリット1つ目は、大規模データを迅速かつ正確に処理できることです。

リアルタイム処理はバッチ処理と比べ、大規模データの処理には不向きです。

その理由は、運用担当者がいくつものデータを都度更新処理する必要があるからです。

通常システムでは、1つのデータを更新する際に、データが同時に編集できないように、「ロック」をかけます。

その間、他の人は同じデータを更新する事が出来ません。

そのデータ編集が終わり、ロックが解除されて初めてデータの編集を開始します。

リアルタイム処理では、このように大勢の人が同時にデータを触る可能性があるため、どうしてもタイムラグがあります。

更に、複数の処理を行う場合に、ユーザーによって複数画面でボタンを押したり、目視で最終確認をするなどもあり、かなり時間がかかります。

一方でバッチ処理であれば、データを一括処理することができるので、大規模データであっても効率良く処理を実行することが可能です。

バッチ処理のメリット2つ目は、時間に捉われず処理ができることです。

バッチ処理はあらかじめ時間を指定して処理を自動実行できるものです。

そのため、処理中に運用担当者が常駐している必要はありません。

夜間や祝日でも処理を実行することができるため、時間を有効活用することが可能です。

バッチ処理のメリット3つ目は、ヒューマンエラーを減らすことができます。

大規模データをリアルタイムにて処理する場合、入力ミスなどが発生する懸念があります。

一方バッチ処理であれば、登録したプログラムに沿って処理を実行するため、登録した内容さえ間違っていなければ処理の途中でエラーが発生することはありません。
(停電によるサーバーダウンなど、システム外による起因を除く)

バッチ処理のメリット4つ目は、コンピュータのリソースを有効に活用できることです。

リアルタイム処理など、通常時にコンピュータを稼働させている際、常にその性能を最大限に引き出しているわけではありません。

しかし、バッチ処理の実行時はコンピュータのリソースを最大限に引き出すことができるため、時間コストの削減や生産性の向上、資産の有効活用をすることができます。

これからの時代は、特にビッグデータなどのような大容量のデータを扱う機会も増えていくでしょう。

その中で、「サーバーのスペックとデータ量の費用対効果」は、常に意識される項目の1つとなるでしょう。

バッチ処理のデメリット

バッチ処理のメリットについて解説しましたが、バッチ処理にはデメリットもあります。

バッチ処理のデメリット1つ目は、データが即時反映されないことです。

バッチ処理はあらかじめ指定した期日や範囲のデータをまとめて処理する仕組みのため、データ反映にはタイムラグが生じます。

先に述べた金融機関の預金残高の即時反映など、都度確認や更新が求められるデータの処理には不向きであり、このような場合はリアルタイム処理の方が向いています。

バッチ処理のデメリット2つ目は、処理の遅延が発生する可能性があることです。

データ処理量が増えるにつれ、処理にかかる時間もそれに比例して長くなります。

例えばオンラインサービス終了後、夜間バッチ処理をするケースがあります。

しかし、処理時間が長引くことで翌朝のオンラインオープンに間に合わない、などといった事態が生じる可能性も否めません。

特に、売上データや在庫データ・会員データ等は、各データの整合性が重要です。

そのため、前の処理を終えてから次の処理へ行く必要があります。

処理時間を早めるためには、処理するプログラムの内容に依存する部分があるため、バッチ処理を組む運用担当者のスキルが求められます。

バッチ処理のデメリット3つ目は、細やかな処理が求められる場合には不向きであることです。

例えば夜間バッチ処理の場合は、データ処理を進める上で、その作業中に処理内容の確認をすることはできません。

そのため、大量データの処理には向いていても、人の目による確認が求められるようなケースや、細かなチェックが必要な場合にはバッチ処理は不向きであるといえます。

一般的には、こういったデータは
「アラートメールを管理者に送る」
などの対応をする事が多いです。

バッチファイルとは

上述した内容からもわかるように、バッチ処理は時間を捉われずに処理ができることや、大規模データの処理をする場合などにおいて特に強みを発揮します。

しかし、バッチ処理を実行するためのプログラムを都度作成していては、担当者にとって大きな負担となるだけでなく、せっかくのバッチ処理を有効活用できているとはいえません。

そのため、バッチ処理の運用についてはバッチファイルを用いることが一般的です。

このバッチファイルは、現場では前述のバッチ処理と同様に「バッチ」と呼ばれたりします。

そのため、開発者はバッチと言われた時に、バッチ処理とバッチファイル、どちらの話をしているのか瞬時に判断が必要です。

バッチファイルとは、Windowsで利用できるコマンドプロンプトを活用した、拡張子が『bat』となっているテキストファイルのことです。

通常のプログラミングのように、処理を記述する事が出来、環境構築が必要ないため、簡単に作成が可能です。

バッチファイルに複数のコマンドやプログラムを記述することで、ファイルに記述した順序に基づいてバッチ処理を実行してくれます。

更に、このバッチファイルを定刻起動するために、JP1と呼ばれる監視システムを利用することも多いです。

バッチファイルを使うことのメリットとデメリット

バッチファイルについて説明をしたところで、バッチファイルを使うことによるメリットとデメリットについてをそれぞれ解説します。

バッチファイルを効果的に活用することで、バッチ処理を更に活かすことができる反面、使い方次第では負の遺産にもなりかねないため注意が必要になります。

バッチファイルを使うメリット

バッチファイルを使うメリットは、定型化されたバッチ処理について、手間をかけずに実行が可能なことです。

例えば、夜間のデータ更新やデータのバックアップなど、毎日同じ時間帯に同じ処理をおこなうケースを想定したとします。

このケースで都度プログラムを作成しなければならないとなると、運用担当者にとっては大きな負担となってしまいます。

また、バッチ処理で効率化を図ることが1つの目的であるにもかかわらず、逆に負担となってしまっては本末転倒です。

このような場合は、バッチファイルに処理内容をあらかじめ入力しておくことで問題を解消できます。

一度バッチファイルを作成してしまえば、そのファイルを流用することで、都度プログラムを入力する手間を省くことができるからです。

実行時間をあらかじめスケジュール登録しておけば、バッチ処理を実行するにあたって人為的な操作は不要となり、完全自動化を実現することが可能となります。

完全自動化を実現できれば人の手を介す必要がなくなるため、ヒューマンエラーの防止だけでなく、作業工数を大幅に削減することができます。

また、作業工数削減により空いた時間を使い、運用担当者を別の業務へシフトすることができるなど、人材の有効活用や人材不足などの課題解決に繋がる期待もあります。

バッチファイルを使うデメリット

一方でバッチファイルを使うにあたってのデメリットもあります。

それは、バッチファイルを作成するまでの手間と負担です。

環境構築の必要もなく、テキストファイルなので、メモ帳で開発が行なえるという利点はあるものの、それでも開発そのものが必要です。

そのため、バッチファイルを作成できる担当者が少数の場合は担当者の経験に頼らざるを得ず、業務の属人化に繋がりやすいという一面があります。

また、バッチファイルを使うデメリットは作成面だけでなく運用面にもあります。

難易度が高いのはバッチファイルの作成だけでなく、当然解読についても一定量の知識が必要になります。

バッチファイルのプログラムは作成者の癖や特徴があらわれることも想定されます。

そのため、バッチファイルの内容を作成者本人しか解読できないといった事態が発生しかねません。

そうなった場合、バッチファイルの作成から運用に至るまで、全ての業務が属人化してしまうことになります。

担当者の不在時やトラブルの発生時など、保守面での課題を抱えることになるだけでなく、先に述べたバッチファイル活用の副次的効果である人材の配置転換ができないなど、バッチファイルを使うことの恩恵を享受できなくなってしまいます。

バッチファイルを利用するにあたっては、教育面の充実やマニュアルの整備など、業務の可視化と仕組化をセットで考えなければなりません。

業務のシステム化はAMELAに

今回は、バッチ処理/バッチファイルについて見てきました。

広く企業で浸透しているこれらの運用は、やり方を間違えると
「様々な部署で勝手に自動化が行われ、全社的に使うデータに関しては、逆に非効率的になる」
という状況も生まれます。

そうならないためには、全社的な業務を俯瞰して見る必要がありますが、通常業務を行いながらの改革は、非常に難しいのが現状でしょう。

そんな時は、是非AMELAにご相談下さい。

AMELAでは、顧客に向けたサービスだけではなく、ITコンサルタントによる状況の把握から業務システムの開発も可能です。

特に業務システムは、顧客向けのサービスとは違い「マーケティング」などの費用に左右されることがありません。

そのため、業務効率UP/経費削減において、非常に費用対効果が高い施策と言えます。

是非、ご相談いただければと思います。