トライアル雇用とは?試用期間の違いやメリットについて

企業の採用活動における問題点として、 「採用した人がすぐに辞めてしまう」 が挙げられます。 この問題は、企業側と求職者側の双方にデメリットを与えるでしょう。 企業側は採用費や教育費が無駄にしてしまったり、求職者側は面接の時間や交通費が無駄になってしまうからです。 トライアル雇用や試用期間という制度は、そんな問題を解決するために作られました。 多くの企業では、「試用期間」については自然と活用していることと思いますが、トライアル雇用に関しては、2003年から制度が始まっており、まだきちんと導入していない企業も多いのではないでしょうか。 そこで、今回はトライアル雇用についてお話します。 更に、試用期間とはどのような点が異なるのかにも触れていきましょう。

トライアル雇用とは

トライアル雇用とは

トライアル雇用とは[/caption] トライアル雇用とは、一定期間(3ヶ月間)求職者を雇用して、能力や適性を見極めた後正社員として雇用するという制度です。 それでは、トライアル雇用のメリットやデメリットについて解説します。

トライアル雇用のメリット

まずはメリットについて解説します。

求職者の能力が事前に分かる

トライアル雇用のメリットは、正式な採用の前に求職者の能力が分かるという点です。 採用活動において、面接や履歴書だけでその人の能力を見極めるのは難しいです。 面接では誇張した表現を使っていて、採用したらあまり能力が高くなかったということは珍しくありません。 また、能力が高くても普段の勤務態度が悪かったというケースも考えられます。 トライアル雇用を用いることにより、 ・本当の知識や経験のレベル ・本人の仕事に対する姿勢 ・既存の社員とのコミュニケーションが取れるか ・遅刻や欠席は多いか 等の「面接では誤魔化せてしまう様な点」に関しても、事前に確認してから採用することが出来ます。

トライアル雇用助成金が貰える

トライアル雇用助成金のメリットとして、国から助成金が貰えるという点が挙げられます。 トライアル雇用という制度が作られた理由は、 「国が就業経験の少ない人や長期ブランクがある人を救済したいから」 です。 そのため、救済を手伝ってくれた企業に対しては、国が助成金という形でお金を渡しています。 貰える金額としては、家族構成や就業日数にもよりますが、最大で5万円程です。 企業は、この助成金を人件費や教育費にあたることが出来るので、そういった面でもメリットがあります。

求職者側のミスマッチを減らせる

トライアル雇用は、企業だけではなく求職者側にもメリットがあります。 求職者側も、正式に雇用契約を結ぶ前に働く会社の環境や人間関係、実際の業務等を実際に体験することが出来ます。 そのため実際に会社で働いてみて入社前と後でギャップが大きかった場合は、トライアル雇用の期間が終わった段階で正式な雇用を拒否することが出来ます。 正式に採用されてしまうと、もしも合わなかった場合に、履歴書が汚れる・・・といったリスクもあるため、トライアル雇用で内情が見極められるのは、大きなメリットなのです。

任期満了後の解雇手続きが簡単

トライアル雇用のメリットの1つとして、任期満了後の解雇手続きが簡単に行えるということがあります。 現在の日本において、正社員で雇用した人間を解雇させるのは簡単ではありませんが、トライアル雇用は任期が満了した時点で自動的に雇用契約が切れます。 そのため、何もしなくても、解雇の手続きが出来てしまいます。

トライアル雇用のデメリット

次にデメリットを見ていきます。

採用に時間が掛かる

トライアル雇用のデメリットとして、採用に時間がかかる点が挙げられます。 通常、正社員を採用する大まかな流れは下記の様になります。 1.エントリー 2.書類選考 3.面接 4.内定 ところが、トライアル雇用を用いて正社員を採用する場合の流れは下記の様になります。 1.エントリー 2.書類選考 3.面接 4.トライアル雇用(3ヶ月) 5.内定 この様に、内定が一般的な採用プロセスよりも、3ヶ月長くなります。

教育に時間が掛かる

トライアル雇用のデメリットとして人材の育成や教育に時間が掛かるという点があります。 通常の方法で採用を行った場合、入社した人材に対して、ずっと働くという前提で教育を行います。 初日から表面的な事だけでなく、本質的な事も含め教育を行うでしょう。 一方で、トライアル雇用を用いて採用を行った場合、入社して3ヶ月で辞める可能性があるという前提で教育を行います。 本質的なことを教えても無駄になってしまう可能性があるため、最初の3カ月間は表面的な教育の割合が多くなってしまいます。 例えば、 ・社内環境をどこまで利用させるか(セキュリティ的な意味合いで) ・機材やアカウントをどの程度用意するのか(アカウントを作る=費用がかかるケースが多いです) ・自社のお客様に会わせるべきか こういった内容に関しては、長期間働いてくれる前提の正社員なら問題なく提供できますが、トライアル雇用の場合には、躊躇されるケースも多いのです。

助成金の手続きが複雑

助成金の手続きが複雑という点もトライアル雇用のデメリットにあたります。 トライアル雇用の助成金を貰うには、ハローワークに実行計画書や労働条件が確認出来る書類、支給申請書等の複数の書類を提出する必要があります。 提出する時期も書類毎に異なります。 そのため、手続きの大変さがトライアル雇用のデメリットになります。

試用期間とは

試用期間とは

試用期間とは[/caption] 試用期間とは、企業が人材を採用する際に、求職者の適性や能力を判断するための期間のことです。 期間は企業によって異なりますが、1カ月~半年程が大半を占めます。 この章では、試用期間について解説していきます。

試用期間のメリット

この章では、試用期間のメリットについて解説していきます。

解雇しやすい

試用期間のメリットとして、この期間中の従業員は解雇しやすいという点があります。 トライアル雇用の章でも述べたのですが、現状の日本において正社員を解雇するのは難しいです。 ところが、試用期間中の人間を解雇する際は、労働契約の更新を辞めることで解雇を行うことが出来ます。 そのため、試用期間のメリットとして、解雇が行い易いという点があります。

解雇しても会社の信用に傷がつかない

試用期間中の人間を解雇しても、会社の信用に傷がつきません。 これは、試用期間のメリットです。 日本は解雇に対して、極端にネガティブなイメージを持っています。 そのため、試用期間以外の解雇は、会社のブランディングに悪影響を与える可能性があります。 更に、近年はそういった細かい情報も、SNSを通して気軽に発信されてしまいますので、 「あくまでもきちんと試用期間で精査した結果だから仕方ない」 という体裁がある方が解雇しやすいのです。

試用期間のデメリット

次にデメリットについてお話します。

優秀な人材が離れる可能性がある

試用期間は、働く側からすると 「簡単に解雇できてしまう期間」 と解釈できます。 もしも複数の企業から内定をもらうような優秀な人材がいたとします。 この時に 「試用期間が1ヶ月」 の企業と 「試用期間が6ヶ月」 の企業があったとすると、その他が同じ条件なら前者の方が安心して働けます。 もちろん、試用期間が長いから内定を辞退する・・・というようなことは無いでしょうが、最終的な比較判断材料になる可能性があるのです。

労働者のストレスになる

人によっては、試用期間の間は 「解雇されるかもしれない」 という不安から、大きなストレスになる可能性があります。

トライアル雇用と試用期間の違いについて

トライアル雇用と試用期間の違いについて

トライアル雇用と試用期間の違いについて[/caption] 次は、トライアル雇用と試用期間の違いについて解説していきます。

期間

トライアル雇用と試用期間の違いとして、まず期間を挙げられます。 トライアル雇用の期間は、3ヶ月と国で決められています。 一方、試用期間の期間はそれぞれの企業が決めていて、1〜6カ月が一般的で最長1年程度となっています。

雇用助成金

雇用助成金の有無もトライアル雇用と試用期間の違いです。 トライアル雇用は、国が無職の方を減らすことを目的として作られたので、国から雇用助成金という形でお金が貰えます。 一方の試用期間は、企業が本採用するかを見極めるために作られたものです。 試用期間を用いても、国からお金がもらえません。

雇用継続義務

雇用継続義務の有無に関しても、トライアル雇用と試用期間の違いです。 トライアル雇用は、期間が終わった段階で自動的に雇用契約が終了します。 そのため、求職者を解雇したい場合、雇用契約の継続をしないという方法で、結果的に解雇が出来ます。 一方、試用期間は期間が終わったという理由だけで、解雇を行うことが出来ません。 もちろん、試用期間後の解雇に関しては、通常の契約よりは、広く認められていますが、合理的な理由が必要になります。 例えば、 ・成績不良や能力不足 ・無断欠勤や無断遅刻 ・反抗的な態度 ・経歴詐称 等がこれにあたります。 一方で、 ・指導や注意など改善の機会を与えない ・弁明の機会を与えない ・試用開始から14日以上経った後の予告なし解雇 といった形での解雇は、たとえ試用期間での解雇であっても、不当解雇となる可能性があります。 この様に、トライアル雇用と試用期間の違いとして、 「解雇の際のハードル」 が挙げられます。

採用の仕組み化はAMELAに

採用の仕組み化はAMELAに

採用の仕組み化はAMELAに[/caption] 今回は、トライアル雇用について見てきました。 人材不足が叫ばれる日本において 「いかに優秀な人材を抱え込めるか」 は非常に大きな問題です。 そして、入社後にきちんと会社のために働いてくれるのか。 最近は、事前にテストを行い、性格や特性を分析するようなツールも多くなってきました。 個人的に、これらのツールの信憑性が高いと感じた事もあります。 今後は、AIなどの発達により、 ・面接中の態度や言動 ・面接以外での受け答え などを分析することで、更に細かい人物像を事前に捉えることが出来るようになるでしょう。 AMELAでは、最新の人事関連システムの導入や開発、更にIT人材の派遣など、人材に関して御社に提供できる内容は非常に多いです。 是非ともご相談頂ければと思います。