デザイナーなら絶対知っておきたい!OOUI(オブジェクト指向UI)まとめ

デザイナーなら、UI(ユーザーインターフェース)の改善に常に取り組んでいることでしょう。 「どうすればユーザーはサイトから購入してくれるのか」 「どうすればユーザーはアクションを起こしてくれるのか」 これが意識できているデザイナーとそうでないデザイナーでは、クライアントからの信頼や依頼金額に大きな差が出てきます。 今回は、そんなUIの中でも 「OOUI」 オブジェクト指向UIについて見ていきたいと思います。

OOUIとは

OOUIとは

OOUIとは OOUIとは、オブジェクト指向ユーザーインターフェースの略で、簡単に説明すると 「ファイルや商品データ、顧客マスタなどのオブジェクトを基準とした設計」 ということになります。

タスク指向とオブジェクト指向

オブジェクト指向と良く対比される表現として「タスク指向」が挙げられます。 このタスク指向とオブジェクト指向、設計の手順が反対になる事が多いです。 例えば次のようなシステムがあったとします。 システム概要 システム概要 ユーザーは、検索や新規登録といったタスクを選択し、そのタスクをどのオブジェクトに対して行うのかを選択する。 これが、タスクを中心として設計されているので、タスク指向の設計になります。 反対に、商品情報や顧客情報といったオブジェクトを中心として、そのオブジェクトにどのようなタスクを行っていくのかを考えるのがオブジェクト指向になります。 例えば、扱っている商品の一部が廃盤になったとします。 その際、タスク指向の場合は次の図のようになります。 タスク指向

タスク指向 この様に、最初に操作(タスク)を選択肢、そのタスクを行う対象を選択していきます。 一方で、オブジェクト指向の場合は次のようになります。オブジェクト指向 オブジェクト指向 オブジェクト指向は、オブジェクトである商品情報を主として考えるため、オブジェクトに対してどのような操作(タスク)を行うのかを選択する形になります。 この例では、オブジェクト指向の方がタスク指向に比べると、画面遷移が1段階少ないので、ユーザーの手間が削減される形になります。

オブジェクト指向でUIを設計すると使いやすくなる?

オブジェクト指向でUIを設計すると使いやすくなる?

オブジェクト指向でUIを設計すると使いやすくなる? では、このオブジェクト指向でUI設計を行う事で、どのようなシステムも使いやすくなるのでしょうか。 基本的にタスク指向よりもオブジェクト指向の方が、ユーザーが直感的に操作しやすいというメリットがあります。 ただし、単にオブジェクト指向を取り入れて開発をすれば良いのではありません。 これまでの時代は、単に高い機能を持っているシステムが売れるような時代でした。 しかし、今やネットで様々な情報が見れる上、多くの企業がシステムの無料お試し期間を用意しています。 有料の仕様と無料の仕様を分けてシェアを伸ばそうとしている企業も多いです。 こういったユーザーが様々なシステムを選択できる時代において、最も重要なのは 「本当にユーザーのことを考えて作ってあるのか」 です。 「何を作るか」 よりも 「誰が使うのか」 の方が重要度が高くなっているのです。 例えば、同じ勤怠管理システムを使うにしても、 「スマホの利用が当たり前の若いユーザー」 「パソコンで文字を大きくして見ないと誤操作してしまうご年配者」 この全く違う属性の2人において、「最も使いやすいシステム」の設計は大きく異なります。 若い人は、オシャレな画面で操作する方がモチベーションも上がるでしょうし、ハンバーガーメニューなどの通常時に非表示の項目があっても、難なく操作できます。 しかし、ご年配の方の場合はそういったデザイン性よりも、わかりやすくて誤操作しにくい設計の方が向いている可能性があります。 基幹システムでタスク指向のシステムを数十年使っている人にとっては、急にオブジェクト指向のシステムを操作するのは、使い勝手が悪いと判断されることもあるでしょう。 この様に、「誰に向けて作るものか」によって、どちらが正しいのかが変わってくるケースも有るのです。

OOUIで設計するメリット

OOUIで設計するメリット

OOUIで設計するメリット では、OOUIで設計する上でのメリットとはどのような部分にあるのでしょうか。

ユーザーにとってのメリット

ユーザーにとってのメリットは、前述したように直感的な操作が可能になることに加えて、 「操作の自由度が高くなる」 点です。 操作の自由度が高くなると、ユーザーは 「自分なりの使い方」 を探そうとします。 その結果、能動的に学習することが出来るので、記憶しやすくなります。

開発者にとってのメリット

開発する上でのメリットとしては、前述した例でもわかるように、画面数が減るケースが非常に多いです。 また、通常のシステムであれば、オブジェクトの種類に比べてタスクの種類の方が少ないので、その分画面がシンプルになります。 それに伴って、ドキュメントの作成も少なくなるなど、開発する上でのメリットは多いです。

OOUI設計の基本的なステップ

OOUI設計の基本的なステップ

OOUI設計の基本的なステップ では、OOUIでの設計を行うには具体的にどのようなステップが必要なのでしょうか。

ユーザーの想定(ターゲッティング)

前述したように、ユーザーの層によって「使いやすい設計」というのは変わってきます。 「スマホメインなのかPCメインなのか」 これだけでもUIとしての設計が変わってくるでしょう。 そのため、まずは利用者を具体的に想像する事が重要です。 ・年代 ・職種 ・PCスキルやITリテラシー ・外出先で利用が必要か 大多数を選択する事も重要ですが、企業などで利用する社内システムの場合には、問い合わせの削減も考えると「最も教育に時間がかかる層」を敢えて選択する事が必要なケースもあります。 この時、システムの作成における 「本来の目的」 を意識しながら設計する事も重要でしょう。 例えば、業務システムにおいて、一部ユーザーに取って使いづらい設計だったとしても、運用的にその一部ユーザーが操作しなくても良いパターンもあります。 一般社員はスマホやPCによる勤怠管理、一部ユーザーはアナログのタイムカードを用意し、そのデータを取り込む仕様にする・・・といった形です。 このように、利用するユーザーのことをしっかりと考えてから設計することが重要なのです。

オブジェクトとタスクの洗い出し

次に、開発するシステムにおけるオブジェクトとタスクを洗い出す必要があります。 オブジェクトは、DBと深く関連してくるかと思いますので、そのあたりの設計から着手します。 デザイナーとサーバーサイドエンジニアが別の開発の場合には、DB設計に関しては慎重に打ち合わせをする必要があるでしょう。

開発とユーザーとの詳細な打ち合わせ

開発を行っていく際に重要になるのが、 「ユーザーの意見を確認しながら進める」 ということです。 理想は、システムの趣旨を説明するだけで、ユーザーは操作レクチャーを受けなくても自由に操作が出来る事です。 出来るなら、実際に操作している状況を見せてもらって、 「どこで次の操作をするのか迷っているな」 「ボタンや注釈の意味が伝わっていないな」 「紛らわしいアイコンだな」 といったリアルなユーザーの声を聞く事が重要でしょう。

OOUIまとめ

OOUIまとめ

OOUIまとめ 今回は、OOUIについて見てきました。 これからの時代は、直感的に操作が可能なシステムを作ることが重要になると考えられます。 また、「直感的に使いやすい」という基準も、時代の変化やユーザーの認識の変化、そして利用するデバイスの変化などで変わってきます。 そのため、常に改善が必要になりますが、デザイナーとしては 「自分にしか設計できない使いやすい画面」 を目指して日々勉強していきたいものですね。