オフショア開発でベトナムが選ばれる7つの理由!失敗の事例もあるのか?

オフショア開発でベトナムが選ばれる7つの理由!失敗の事例もあるのか?

ここ数年、システム開発の方法として「オフショア開発」が注目されてきました。

オフショアとは、海外の会社にシステム開発を依頼するような方法で、非常に注目されています。

特に注目されているのは、「コストパフォーマンス」です。

日本は人件費が高く、国内エンジニアに依頼すると、エンジニアが1日動くだけでも5万円かかるという企業もあります。

そうなると、ちょっとしたシステム開発でも数百万円という費用がかかることになります。

一方で、同じ費用でも海外のエンジニアに依頼することで、低コストでの開発が可能になります。

そんなオフショア開発において、主流と言われているのが「ベトナム」です。

今回は、オフショア開発において
・なぜベトナムが選ばれるのか
・オフショア開発の必要性
について触れていきます。

現在、オフショア開発を検討している企業様は是非参考にしてください。

オフショア開発の必要性

まずは、オフショア開発そのものの必要性について見ていきましょう。

システムにかける費用の削減

1つ目の理由は、冒頭でもお話したコスト面です。

ビジネスで利用するシステムを開発する以上
・売上を上げる
・経費を下げる
という大きく分けて2種類の目的があります。

ユーザーに対して、ITを使った『新しい体験』をしてもらう事で、売上アップを目指したり、不要な業務を効率化して人件費を下げることを目的に作ることが多いです。

特に経費削減のためにシステム開発をする場合には、「費用対効果」を見ることが多いです。

例えば、月に10万円の人件費カットが出来るシステムに対して、1000万円の開発費用がかかってしまうと、プラスになるのは約8年もかかります。

そうなると、せっかくシステムを開発しても、失敗したと言わざるを得ません。

この様に、
「同じ成果を得るのであれば、できるだけ安くシステムを作るほうが良い」
というのが常識です。

しかし、国内のシステム会社に対して、
「今よりも安く作ってほしい」
と頼んでも、応じてくれないことが多いです。

もしくは、テストの工数が少なくなることによる品質低下など、他の部分への悪影響が出てしまいます。

「金額は下げたいけど、品質も担保したい」

という要望を叶えるために、オフショア開発が重要になってくるのです。

特にものが売れない今の日本では、コストカットの意味合いでオフショア開発を検討する企業が多いのが現状です。

IT人材が不足している

2つ目の理由は、
「日本のIT人材が不足している」
ということです。

日本では、経済産業省が
「2030年にはIT人材が最大で79万人不足する」
と試算しているように、IT人材が不足しています。

少子高齢化社会の日本では、あらゆる業界で人手不足が叫ばれているものの、特にIT業界は人材不足が問題視されています。

そんな人材不足を解消する方法の1つが、オフショア開発なのです。

ベトナムは、IT人材が90万人以上いると言われており、非常に多くの人材がいます。

ちなみに日本のIT人材は約130万人ほどと言われており、人口との比率を考えると日本のIT人材と同程度のIT人材がいる計算になります。

海外のエンジニアにプロジェクトに参画してもらうことで、国内の人材を最小限に抑えることができ、結果として大きなプロジェクトを遂行しやすい環境が整えられます。

専門分野が細分化している

3つ目の理由は
「専門分野が細分化されている」
ということです。

IT業界では、日々新しい職種が生まれています。

最近では、AIエンジニアやプロンプトエンジニア、DevOpsエンジニアやデータサイエンティストなど、それぞれの分野に特化した職種名が付けられるようになりました。

一方で、細分化された専門職に対して、職種を変えることは容易ではありません。

これまで、Web系の開発をメインにしていたエンジニアが、新たにデータサイエンティストを目指すことになれば、年収が下がるのが一般的です。

また、日本の企業は人材の教育費にお金をかけないことでも有名であり、1人のエンジニアが様々な専門分野をこなすことは困難なのです。

そのため、海外のエンジニアを活用することで
「特定の技術領域の知見があるエンジニア」
をプロジェクトに参画させることが可能になるのです。

オフショア開発でベトナムが選ばれる7つの理由

では、オフショア開発の重要性は理解できたかと思いますが、その中でも特に
「ベトナム」
がオフショア開発として選ばれるのは、どのような理由からでしょうか。

人件費が日本の1/3程度

1つ目の理由は、人件費が安いことです。

前述したように、オフショア開発で重視されることの1つが、「コスト」です。

システム開発において大きな割合を占める人件費を、年収の高い日本人で賄うよりも、年収の低いベトナムのエンジニアを参画させる方が、コストが安くなります。

セカイハブによる本調査によると、2023年6月時点でのベトナムのITエンジニア(ソフトウェアエンジニア)の給料相場は、約1,063ドル/月(約148,820円/月)です。

これが、エンジニアとしての経験が浅い人と仮定しても、日本だとボーナスを考慮すれば2倍近い開きがあります。

更に、日本のエンジニアの場合、年収500万円程度が平均年収と言われていますので、月換算で約42万円ほどです。

平均で考えれば3倍くらいの差があり、この差は優秀なエンジニアほど開きがあると考えられます。

システム開発では、通常エンジニアが1日動くときにかかる単価を「人日」、1ヶ月で換算したときの単価を「人月」として表現します。

この単価は、エンジニアの給料に加えて、会社の間接費や利益も乗るため、給料以上の金額になります。

若い世代が多い

ベトナムは、現在の人口のバランスが、高齢者よりも若者の方が多い状態です。

最も多いのが、20〜24歳と、これから社会に出て働く年齢の人が多く、日本とは真逆の人口ピラミッドになっています。

前述したように、90万人以上いると言われるベトナムのエンジニアと人口を考慮すると、日本と同程度の割合でIT人材がいる一方で、全体的にかなり年齢層が低いと考えられます。

そのため、1つのプロジェクトに参画しても、数年・十数年単位での参画も可能なことも、ベトナムがオフショア開発として人気な1つの理由と言えるでしょう。

また、先程の単価の考え方を踏まえて考えると、

・単価の安い若い世代が多いベトナム
・単価の高い中堅/高齢エンジニアが多い日本

では、平均給与以上に単価の開きが出る可能性があるのです。

時差が2時間程度

オフショア開発において、非常に大きな問題となるのが「時差」です。

オフショア開発は一般的に、日本にいながら海外のエンジニアとプロジェクトを進めていきます。

そのため、時差が大きいと
「質問を投げても、リアルタイムに返答してくれることはなく、翌営業日に回答をもらう」
という状況になります。

特に仕様を固める段階や、納期の短いプロジェクトでは、この連絡のタイムラグが致命的になる可能性があります。

その点、ベトナムは日本と比較して2時間程度の時差しかありません。

仮に業務時間が9〜18時と考えると、日本時間で11〜18時は連絡が取れる計算になります。

この時差による影響を受けにくい点が、オフショア開発としてベトナムが選ばれる1つの理由です。

インフラが安定している

次に、ベトナムはインフラが安定している点です。

システム開発をする上では、
「電気やネットが安定して使えること」
が最も重要になります。

例えば日本でも、リモートワークをしている際に、ネットが安定していない環境だと、オンライン会議などでストレスを感じるでしょう。

最近は、ファイルをクラウドストレージに保管することも増えてきましたから、万が一ネットが繋がらない状況になれば、仕事が大幅に遅れる可能性があります。

そのため、電気やネットが安定していることは、非常に重要です。

ベトナムは、その点でも開発に支障がないレベルでインフラが安定しているので、オフショア開発をスムーズに進めることができるのです。

日本語人材が多い

次に、ベトナムには日本語人材が多いことも選ばれる理由です。

ベトナムは、20万人近い人口が日本語を学んでおり、
・留学
・仕事や就職
を理由に、多くの人が日本語を扱えるのです。

因みに、日本語を学習している人数は現在、世界でも6位に入るなど、日本への関心の高さが伺えます。

日本人は英語に苦手意識を持っている人が多いです。

そのため、オフショア開発の様に海外の方とビジネスを行う上で
「言語の壁」
は非常に大きなものと言わざるを得ません。

その点、日本語ベースで会話ができる人が多いベトナムは、オフショア開発としても非常に人気なのです。

すでに多くの実績がある

ベトナムでのオフショア開発は、すでに多くの実績があります。

特に海外との仕事で問題になるのが
・時差
・言語の問題
・文化の違い
・意識の違い
・勤勉さの違い
・スキルの違い
・通貨の違い
などです。

国内の企業との取引では意識していなかった部分で、トラブルが起こる可能性もある点が、オフショア開発の難しさとも言われています。

しかし、ベトナムでのオフショア開発の様に既に実績の多いオフショア開発は、こういったトラブルが元々少ないか、すでに解決のノウハウが確立されている可能性が高いです。

そのため、実績面で見てもベトナムでのオフショア開発は成功率が高いと言えそうです。

地政学的にも安定している

地政学とは、地理と政治を合わせた学問で、この点でもベトナムは非常に安定していると言われています。

地政学では、
・他国との関係
・政治的/軍事的/社会的緊張

が見られることが多く、他国との関係性が悪い場合などは、紛争などの危険性があるなど、地政学的リスクがあると考えられます。

しかし、現状ベトナムはそういったことがなく、非常に安定しているため、オフショア開発に向いていると言われています。

ベトナムのオフショアって単価どのくらい?

続いて、ベトナムでのオフショア開発における「単価」はどのくらいなのでしょうか?

人月あたりの単価

一般的な単価としては、一人月あたり
・PG:40万円前後
・SE:50万円前後
・ブリッジSE:60万円前後
・PM:80万円前後

と言われています。

日本でエンジニアを参画させる場合、PGでも60〜80万円程度必要なことを考えると、半分くらいの費用で開発が可能と考えられます。

もちろん、個人のスキルセットや経験に大きく左右されるため、一概には言えまえんが、全体的に国内エンジニアよりも安いのは間違いないでしょう。

オフショア開発ではブリッジSEを入れるのが一般的

ベトナムのエンジニアの多くが日本語を習得しているとはいうものの、まだまだ現地と国内でのやりとりがスムーズでないことも多いです。

そのため、ベトナムでのオフショア開発では、一般的にブリッジSEという役割のエンジニアを入れます。

現場のエンジニアと、日本国内側の管理者との間に立って作業の調整や問題解決にあたる役割で、ある程度の人数が入るプロジェクトや、オフショア開発のプロジェクト経験が浅いメンバーが多いような場合には、重要な役割を担います。

通常の開発とオフショア開発では、こういったメンバー構成が違う点も注意が必要です。

例えば、単にエンジニアの「単価×人数」と考えて見積もりを取ると、想定外の調整役のメンバー分の費用で赤字になる事もあります。

為替による影響は日本法人を持っているのかに左右される

海外に仕事を依頼するときに、大きな影響を与えるのが「為替」です。

例えば、今はかなり円安が進んでいます。

ということは、海外の通貨に比べて円の価値が下がっているということ。

であれば、同じエンジニアを雇うときにも、円高の時よりも多くの日本円を支払う必要がある。

そう考えて、オフショア開発をためらっている企業様もおられるでしょう。

しかし、この為替での影響の受け方は、企業によって異なります

最も大きな差は、「日本法人を持っているか」です。

日本法人を持っている場合、持っていない場合に比べて
「日本円を外国通貨に変えるタイミングは急がなくて良い」
というメリットがあります。

また、日本法人のオフィスや企業に必要なものがある場合には、日本円で支払いをするため、為替の影響を受けない支出も発生します。

一方で、海外法人のみの場合は、給料の支払いなども含めてすぐに日本円を換金する必要性が出てきます。

そうなると為替の影響を直接受けることになります。

このように、企業の体制によって為替の影響の受けやすさも変わるため、単に人月での単価だけを意識しないようにしましょう。

単価に関しては、こちらの記事も参考にしてください。

ベトナムのオフショア開発の単価はどのくらい?注意点まとめ

ベトナムのオフショア開発の失敗事例

続いて、ベトナムのオフショア開発での、失敗例を確認していきましょう。

事前にどのような失敗パターンがあるのかを知ることで、適切な対策や準備を行うことができます。

期待する品質の差

1つ目の失敗は、思っていたよりも低い品質のシステムが納品されるケースです。

技術力としては高いものを持っている海外のエンジニアでも、
「この部分が使いにくい」
などのいわゆるユーザーインターフェースの部分などは、感覚による差も大きいです。

そのため、操作性が悪くて、品質が悪いという失敗パターンがあるようです。

納期の遅延

次の失敗は、納期が遅れることです。

ベトナムでのオフショア開発は、国内で開発をするよりも、ちょっとしたトラブルで遅延する可能性が高いです。

例えば、先ほどの時差の問題や文化的な問題も、ベトナムでのオフショア開発では実績が多いとはいえ、トラブルがないわけではありません。

ベトナム側の企業にも、日本と取引をする上でのノウハウの有無がありますし、日本側での指示の出し方にもよります。

そのため、トラブルで納期が遅れるという失敗も見られます。

また、日本では納期に間に合わなければ、担当者が無理して徹夜で仕上げるのが当たり前・・・のような風習も見られますが、世界的に見れば不自然な行為です。

過労死がそのまま英語になっている事からも分かるように、「無理して働く」ということが日本人は当たり前になっています。

しかし、そういった日本での常識は海外に通じない事も多く、
「間に合わないなら、納期をずらす」
というように、別の解決策を用いる事も多いです。

そのため、本来の納期に間に合わないという失敗も見られます。

詳細な仕様を詰めていない事による修正

これも、文化の差に近いですが、例えば顧客管理システムを作る際に
・必須項目のチェックをする
・文字数制限をかける
・データに矛盾がないかを調べる

など、色々なチェックをしてからデータ登録をします。

しかし、中には
「これくらいチェックするのは当たり前」
と考えて、仕様書に記載しないケースも見られます。

そういった場合、仕様書通りに作られた際に、希望するチェックが入っていない・・・という失敗パターンがあります。

特にオフショア開発においては
「これくらい当たり前にやっているだろう」
という感覚での話は、できるだけ避けるべきで、仕様書を細かく作ることが重要です。

日本語で作った設計書の理解不足

先ほどの設計書の問題に加えて、設計書を日本語で作った際に、現地の人の理解度が低く、仕様通りに開発されない事もあります。

これは、現地のエンジニアの日本語の理解力によるもので、例え高い技術力を持っていたとしても起こり得る問題です。

特に、ブリッジSEなどの立場の「現地エンジニアをまとめる」ようなポジションの人の日本語理解力はプロジェクトの成否に大きく影響を与えます。

加えて、現地の人でもわかりやすい日本語で設計書が作られるかも、大きな影響を与えるでしょう。

法的な理解の不足

次に、日本の法律への理解力が低いために失敗する事もあります。

例えば、現在日本では軽減税率が導入されています。

また、直近ではインボイス制度も導入されました。

しかし、日本人であってもこれらの法律の詳細を理解している人は少数派です。

海外のエンジニアとなれば、これらの理解はさらに困難でしょう。

普段自分たちが生活で関わらない上に、法律関係は苦手意識を持っている人も多い。

そもそも、日本では誰もが知っている様な法律も、海外では知られていないということは多々あります。

こういった日本の法律への理解度が低い場合、
・販売管理システムでの税率の計算
・給与管理システムでの天引きの計算
・会計システムでの控除の計算
など、色々な部分で誤解が生まれる可能性があります。

利用ツールの不慣れさ

プロジェクトでは、通常連絡ツールなどが統一されることが多いです。

例えば、チャットワークやSlackなどが、コミュニケーションツールとして利用されます。

ツールには、それぞれのツールの考え方や概念が存在します。

こういったツールに不慣れな場合
・仕様変更を見逃す
・タスクを把握できない
・それぞれの細かいスケジュールが守られない
という原因にもなります。

日本国内だと、ある程度決まったツールが利用されることが多くても、海外のエンジニアが日本とは違ったツールを利用している事が失敗の原因になることもあるのです。

その会社での実績不足

次の失敗は、「依頼した会社の実績不足」です。

前述したように、ベトナムでのオフショア開発は非常に多くの実績があります。

一方で、それを会社単位で見てみると、まだまだ実績不足の会社も多いです。

そういった会社は、オフショア開発のノウハウが不足しており、きちんとプロジェクトを回せない事もあります。

人員の異動

最後に、人員の異動です。

日本でも、プロジェクトの途中で人員が異動することにより、プロジェクトが失敗する例がありますが、オフショア開発では、前述のコミュニケーションの難しさなどの問題もあり、異動による影響が大きいです。

例えば、プロジェクトの要でもある、ブリッジSEが交代し、日本語の理解力に乏しい人が入ってくれば、プロジェクト失敗の可能性は高くなります。

この様に、国内でのプロジェクト以上に、人員の異動による影響が大きいのがオフショア開発なのです。

その他、ベトナムのオフショア開発の際の会社の選び方は、こちらの記事も参考にしてください。

ベトナムのオフショア開発で失敗しない『会社の選び方』

安心安全なベトナムオフショア開発はAMELAに

今回は、ベトナムのオフショア開発について見てきました。

システム開発において、コストを削減する上でもオフショア開発を活用していきたい企業様は多いと思います。

しかし、本文中でも述べた様に、きちんとした企業を選ばなければ、低単価で品質の悪いものが出来上がることもあります。

そのため、単価だけを見るのではなく、しっかりとした実績やスキルを見ていく必要性があります。

AMELAは、オフショア開発を中心に、多くの実績を作ってきた企業です。

本文中でも述べた「日本法人」も持っているので、この円安の状況下でも、為替の影響を受けにくく、お客様からは高い評価を得ています。

失敗しないオフショア開発をするなら、是非AMELAにご相談ください。