Scalaとは?言語の特徴やScalaを使って何ができるのかを解説

プログラミング言語にはいくつもの種類があり、開発ジャンルに応じて得手不得手があります。

また、後発組のプログラミング言語はリリース済みの別言語が改良されたタイプもあります。

今回紹介するScalaという言語も、Javaの改良としての位置付けにあたる言語です。

この記事ではScalaの特徴やJavaとの違いについて解説したいと思います。

Scalaとは

Scalaとは、2000年代初頭に開発されたプログラミング言語です。

数あるプログラミング言語の中でも新しい部類に入るといえます。

Webアプリケーションや業務系システムの開発など、様々な分野で幅広く活用されています。

Scalaはリリース以降、複数回のバージョンアップをおこなっており、今もなお改良を続けているプログラミング言語です。

Scalaの特徴

Scalaの最大の特徴は、関数型とオブジェクト指向型の両方を扱えるハイブリッド型のプログラミング言語であるという点です。

関数型のプログラミングとは、計算などの何らかの処理をおこなう関数を組み合わせてコーディングする手法のことをいい、数値を定義したり呼び出したりすることで、処理後の値を取得することができます。

関数の方式をプログラミングに落とし込むことで一連の記述が数式的におこなわれます。

そして、プログラムの細部まで処理がなされることで、強固なプログラムを組むことができるのが特徴です。

一方、オブジェクト指向型のプログラミングとは、関数型のようにプログラムを処理手順として考えるのではなく、モノを操作する、という考え方をすることを意味します。

オブジェクト指向型プログラミングでは、特定の処理を行うプログラムをクラス(共通点のある要素)として1つにまとめて、オブジェクト(モノ)として扱います。

例えば何かの開発をする際、1つ1つ細かくプログラムをコーディングするのではなく、クラス単位で処理、クラス単位でのデータ受け渡しなどをすることで開発を容易にすることが可能になります。

このようにオブジェクト指向型プログラミングとは開発を楽にするために考えられた言語であり、大型開発の際にはミスや工数の削減など、複数人でおこなう作業の効率を上げるための開発手法です。

これらの両方の特徴を持つのが、Scalaの特徴なのです。

Scalaのもうひとつの特徴は、Javaとの関連性が高いということです。

ScalaはJVMというJavaのプログラムを動かすために必要なソフトウェア上で動作が可能です。

つまり、JavaでできることはScalaでも実行することができるということになります。

Scalaは上述したように関数型とオブジェクト指向型言語が使用できるのに対し、Javaはオブジェクト指向型言語であることから、Javaよりも汎用的に利用可能だといえます。

Scalaのメリット

Scalaの1つ目のメリットは、関数型とオブジェクト指向型プログラミングの両方が扱えるため、好きな型で記述ができるということです。

オブジェクト指向型の場合、それぞれの役割にわけてプログラムを作ることができます。

そのため、機能改修をする際などはメンテナンスが容易といったメリットがあります。

一方で、関数型プログラミングはコードがシンプルでわかりやすいという利点があります。

また、関数型プログラミングは変数の影響を受けることがないため、保守面に優れており、かつ再利用が容易です。

そのため、検証テストを実施しやすい、インプットとアウトプットの関係性がわかりやすいなどといったメリットがあります。

Scalaの2つ目のメリットは、Javaとの互換性が高いことです。

ScalaはJavaとの互換性を重視して開発されたプログラミング言語です。

そのため、ScalaからJavaのクラスを継承できたり、Javaのメソッドを呼び出したりすることができます。

また、JavaからScalaのメソッドを呼び出すといったことも可能です。

このことから、ScalaはJavaの後継機として位置付けられています。

Scalaの3つ目のメリットは、オープンソースのプログラミング言語だということです。

いつでも誰でもソースコードの変更が可能であることから、常により良いソースコードに改良されることが期待されます。

Scalaの4つ目のメリットは、Javaの知識を活用できることです。

この点については既に述べましたが、JavaでできることはScalaでも実行できます。

そのため、これまでにJavaを使用してきたエンジニアやプログラマーは、Javaで学んだ知識を活かしたままScalaでの開発をすることが可能だといえます。

Scalaのデメリット

Scalaのデメリットの1つ目は、ハイブリッド言語だけに習得の難易度が高いということです。

Scalaは関数型とオブジェクト指向型プログラミングの両方を扱えると解説しましたが、それゆえに両方の知識習得が求められます。

どちらか片方のスキルだけでもScalaは利用できますが、両方のノウハウがあることでScalaの特性を最大限活かすことができます。

また、これに加えてJavaの基礎知識も必要になることから、非常に奥の深いプログラミング言語であるといえます。

Scalaのデメリットの2つ目は、後発のプログラミング言語のため統合開発環境の整備が進んでいないということです。

Javaと同様にEclipseを使うことはできますが、他のメジャーな言語と比較すると、まだまだ種類の面で充実しているとはいえません。

3つ目のデメリットは、新しい言語であることや、前述の開発環境面、そしてこれまでに開発されてきたシステムの数が少ないため、求人などの数も少ないことです。

エンジニアとして転職を検討する上では、優先度が低い言語と言えそうです。

他プログラミング言語との違い

Scalaは他のプログラミング言語と比べてどのような違いがあるのでしょうか。

ScalaとJava

まずJavaとの相違点を解説します。

ここまでScalaはJavaの後継的存在であることを説明してきましたが、2つの言語には相違点もあります。

1つ目が変数の宣言です。

ScalaとJavaはどちらも変数の宣言をすることができます。

Scalaで使われる代表的な変数の型には、代入が可能な「var」と代入が不可能な「val」の2つがあります。

一方でJavaの場合は、「final」という文字を先頭に置くことで定数としても宣言をすることができます。

2つ目がメソッドの定義です。

ScalaとJavaはどちらもメソッドという形で一連の決められた処理を定義することができます。

メソッドを定義する際には、ScalaもJavaも引数や戻り値を設定する必要がありますが、Scalaでメソッドを定義する際には、「def」という文字を置く必要があります。

3つ目が型の宣言です。

他のプログラミング言語と同様、Scalaでコードを記述する際には数字や文字列の型を使います。

型を宣言する際、Scalaでは一文字目が大文字になるのに対し、Javaで使う型を宣言する際は全て小文字を用います。

ここまで、違いをお話してきましたが、実際に開発を進める上では、後継というだけあり、非常に小さな違いしかありません。

ScalaとKotlin

次に、Java以外の言語とはどのような違いがあるのでしょうか。

KotlinはAndroidアプリ開発で用いられるオブジェクト指向型のプログラミング言語です。

Scalaと同様にJVM上で動作するためJavaとの互換性があるだけでなく、Javaと比べてコードの記述が容易であることなどから、Javaに代わって市場シェアを増やしています。

このように、KotlinもScalaと同様にJavaとの関係性が深く、また類似点も多い言語です。

そんなKotlinですが、 Scalaとの大きな違いとしては、Scalaがオブジェクト指向型と関数型のハイブリッド型言語であるのに対し、Kotlinはハイブリッド型ではないという点です。

ScalaとPython

次にPythonとの違いです。

Pythonは機械学習やビッグデータの分野で活用される言語です。

ScalaとPythonはコードの書き方に類似性はなく、得意分野も異なるため、開発対象が重複することはあまりありません。

しかし、大量データを処理するようなケースではScalaとPythonのどちらもが候補として挙げられます。

その場合のScalaとPythonの大きな違いは、実行速度と取り扱いの容易さです。

実行速度はScalaの方が速いといわれています。

一方で、取り扱いについてScalaはJavaの知識も必要になるため習得難易度が高いといわれます。

その反面、Pythonについてはコードの記述が容易である、統計分析におけるライブラリが充実しているなどの特徴があります。

そのため、開発するシステム次第で使い分ける必要があります。

Scalaでできること

次に、Scalaで出来ることについて見ていきます。

比較的万能と言われるScala

Scalaは万能な言語だといわれています。

その理由としては、Javaの開発環境を利用できるため、JavaでできることはScalaでもできるからです。

Javaは、世界的にも非常に人気の高いプログラミング言語ですし、これまで開発されてきたシステムの数や、ドキュメント(特に日本語ドキュメントの数は、開発者にとって重要)も多いです。

そのため、同等の事が出来るScalaにも、注目が集まるのです。

実際にScalaではWebサイトの開発、業務システムの開発、PC・モバイルアプリなど、幅広く開発をおこなうことができます。

その中でも、特に処理速度やセキュリティ面の高さが求められるサービスの開発は相性がいいといわれています。

Scalaを用いた開発例

それでは実際にScalaで開発されたサービスを紹介したいと思います。

メジャーなサービスの代表例としてはTwitterが挙げられます。

他にはChatworkなどもScalaで開発されたサービスです。

処理速度とセキュリティの高さを求められるSNSやクラウド型のビジネスチャットツールなどは、正にScalaの強みが発揮されるサービスだといえます。

例えば企業内でシステムを開発する場合などにおいては、チャット機能を有したグループウェアなどはScalaとの相性がいいと考えられます。

Scalaの今後の展望

Scalaについては今後需要が高まることが期待されています。

その理由としては、Javaよりもコードの記述が容易であることから、効率良く開発を推し進めることができるためです。

実際にScalaを扱えるエンジニアやプログラマーの需要は国内外を問わず年々増加傾向にあり、高待遇な案件も多く見受けられます。

しかし、Twitterのように世界的に活用されているサービスが多くある一方で、日本国内では海外に比べ浸透度合いは低いです。

それでもScalaの利便性や安定性に注目する企業は着実に増えており、Javaの後継的存在としての期待を集めています。

Scalaの開発はAMELAに

今回は、Scalaという言語について見てきました。

今後期待できる新しい言語ではありますが、日本での開発実績は少ないと言わざるを得ません。

Googleで、「Java」と検索すると、14億以上のページが検索ヒットするのに対して、「Scala」は、3億6000万件ほどの検索結果になっています。

つまり、単純計算でJavaの方が、4倍以上の情報量があることになります。

また、Scalaを開発したのは、スイス・ローザンヌにあるスイス連邦工科大学 (EPFL) 教授のマーティン・オーダスキーさんです。

そうなると、必然的に英語のドキュメントの方が多くなります。

それでもScalaによる開発を希望する場合には、是非AMELAにご相談ください。

オフショア開発をしている関係上、英語のドキュメントに触れる機会が多いエンジニアも多数在籍しており、最適な開発提案が出来ると自負しております。