【初心者向け】R言語とは?Pythonとの違い、言語の特徴やR言語を使って何ができるのかまとめ

プログラミング言語には、様々な物があります。

プログラミング言語とは、自然言語をコンピュータが処理できる言語に読み替えたものです。

人が使う言語にも日本語や英語、中国語などと複数の言語があるのと同様に、プログラミング言語も種類は1つだけではありません。

コンピュータにどのような処理をさせるかによって、プログラミング言語も変わってきます。

プログラミング言語にも得手不得手があるのですが、今回の記事ではR言語についてを取り扱います。

R言語とは何か、その特徴やできることについて解説をしたいと思います。

R言語とは

R言語は1990年代に開発されたオープンソースのプログラミング言語です。

オープンソースとは、ソフトウェアを構成しているプログラムであるソースコードを無償で一般公開することをいいます。

オープンソースにすることで、いつでも、そして誰もがそのソフトウェアの改良、および再配布がおこなえるようになります。

R言語は1980年代に開発されたS言語といわれるプログラミング言語が前身となっています。

R言語の特徴

R言語にはいくつかの特徴があります。

1つ目の特徴は、データ解析や統計分析に特化したプログラミング言語であるということです。

例えば、折れ線グラフや円グラフ、棒グラフなどといった様々な形式のグラフを作成して出力することができるなど、分析や解析に便利な機能が豊富に揃っています。

その反面、R言語はJavaやPythonのようにWebシステムの開発やアプリケーションの開発ができる汎用的なプログラミング言語ではありません。

R言語は特定の分野に強みを発揮するプログラミング言語であるため、利用できる範囲は限定的になります。

2つ目の特徴は、ベクトル処理をおこなうことができる点です。

ベクトル処理とは、バラバラなデータを1つのまとまりのデータとして処理することをいいます。

まとまりのデータとして処理をすることで、データの関連性を発見しやすくなるだけでなく、処理速度が大幅に向上するといった効果が期待できます。

3つ目の特徴は、Excelとの親和性が高いことです。

Excelで処理するデータはR言語でも処理できます。

例えばExcelで関数を使って計算処理をおこなう場合、行や列のセルの値を1つずつ見ていくという手順を踏みます。

これに対しR言語の場合は、先に述べたベクトル処理を用いることで、セル単体ではなく行全体、列全体といったまとまりにしたデータで処理をおこなうことができます。

ExcelユーザーにとってR言語は馴染みやすく、かつ作業の効率化を図ることが期待できる言語だといえるでしょう。

R言語のメリット

R言語の1つ目のメリットは、コードの記述がシンプルだということです。

知識の習得が比較的容易なプログラミング言語であるといえます。

プログラミングの経験が浅い方にとっても参入障壁の低い言語であるといえます。

2つ目のメリットは、日本語にも対応していることです。

R言語では、コメントの挿入や関数を用いる際などに日本語を使うことができるといった利点もあります。

3つ目のメリットは、利用環境を問わないことです。

R言語は幅広いOSに対応しています。

WindowsやMacはもちろんのこと、Linuxなどでも利用可能です。

環境を問わずに開発ができることは大きな強みだといえます。

R言語のデメリット

R言語の1つ目のデメリットは、データ分析以外の活躍機会がないということです。

通常、プログラミング言語は、様々な利用できる機会があるのに対し、R言語については先にも述べたように分析という特定の分野でしか使用の機会がありません。

例えば、同じく統計分析に強いと言われるPythonは、Webサイトの制作も可能です。

Django(ジャンゴ)/Flask(フラスク)と言った、フレームワークを活用することで、快適なWebサイト開発が可能です。

しかし、R言語にはこういった多様性がなく、データの分析や解析に携わる機会がない方にとっては、あまり縁のない言語でしょう。

現在の日本では、統計分析を利用する仕事である
「データサイエンティスト」
などの職業は、まだまだ認知度が低いです。

企業側としても、これらの職種の必要性を認知していない事が多いです。

そんな中で、「就職に対する有利さ」や「キャリア的な方向転換のしやすさ」という点で見れば、あまり優秀な言語とは言えないでしょう。

2つ目のデメリットは、統計学の知識習得が難しいということです。

R言語のコード記述自体が比較的容易であることは先に述べた通りです。

ただし、R言語は統計分析などに利用するプログラミング言語であるため、単にプログラムコードを理解するだけでは足りません。

業務知識として統計学に関する知識を身につける必要があります。

R言語が使えたとしても、統計学を知らないことには分析業務に支障をきたしてしまうため、利用するにあたっては必然的に求められる知識となります。

例えば、仕事でR言語を利用するときには、
「顧客の販売行動を分析して欲しい」
などの依頼を受けることになるでしょう。

このときに、統計分析において一般的な手法としては
・回帰分析
・主成分分析
・クラスタリング
があります。

ここでは、詳細の説明は省きますが、それぞれの分析手法には、向き不向きがあります。

分析元のデータの格納方法や、格納してあるデータの種類によって、最適な分析手法が異なるのです。

しかしながら、統計学を専門として学んでいない場合、これらの判断や分析後の結果の評価をするのは困難です。

R言語自体が学びやすい言語だったとしても、統計学の影響により、結果的に習得の難易度が上がってしまいます。

3つ目のデメリットとしては、「学べる場所が少ない」ことです。

上記2つのデメリットでも触れましたが、かなり限定的な仕事に活用されるR言語は、転職に向いているとは言いにくいです。

そのため、プログラミングスクールなどでも、扱われていない所もあります。

プログラミングスクールは、一般的に転職を前提としたコースが用意されています。

その方が、集客しやすく、講師も多いためでしょう。

そのため、現状ではR言語を専門的に学べる所は少数で、納得の行く履修が難しい可能性があります。

R言語の得意分野

R言語は先にも述べた統計分析に加え、機械学習の分野を得意としています。

ここではR言語が得意としている領域についてを詳細に解説します。

統計分析

統計分析とは、大量のデータから傾向や特徴などのパターンを特定、出力する手法をいいます。

R言語でできることとしては、データの分類(グルーピング)、回帰(予測)、次元削減(可視化)、レコメンデーション(おすすめ)などの各種分析作業に加え、それらのデータをグラフ化して出力するといったことも可能です。

昨今はITの普及により、ビッグデータの取り扱いに注目が集まっています。

分析業務に携わるデータサイエンティストといわれる職種の方にとって、R言語はうってつけのプログラミング言語だといえるでしょう。

機械学習

機械学習とは、ニューラルネットワークやディープラーニングなどといったAI(人工知能)を用いた研究のことをいい、人間が経験を通じて学習することをコンピューターに実行させるというデータ解析手法です。

AIを活用することで、人間では気付くことのできない特徴やパターンを把握、抽出することが期待されています。

また、機械学習を活用した予測分析や、テキストマイニングなどといったビッグデータを活かしたデータ解析にも関心が寄せられています。

得意分野が限られているR言語ではありますが、活躍の機会は今後さらに増えていくものと予想されています。

R言語の活用場面

R言語は実際の業務の中でどのように利用することができるのでしょうか。

ここまでにも解説してきたように、R言語はデータ分析に関わる様々な業務において活躍が期待されています。

その中でもビジネスアナリティクス・ビジネスインテリジェンス・マーケティングなどといったジャンルでは特に強みを発揮するでしょう。

例えば、ビッグデータの中から人間の目では判断ができない特徴を抽出し、それらの関連性を見つけることができれば、そのデータに基づいた新しい販売戦略立案の策定をすることができます。

同様に、過去データから一定のルールを見出すことができれば、将来の需要予測や売上予測分析をおこなうことも可能です。

また、R言語は分析結果をグラフに出力してデータを作成することを得意としています。

例えば、戦略立案や売上予測などの重要な経営判断をおこなう際において、グラフィカルにデータを作成し、それを可視化することができれば、会社の方針や方策、意思決定をスムーズに促すことが可能になります。

以上のことから、R言語は企業がビジネス上の優位性を保つにあたって大変重要な役割を果たすプログラミング言語であるといえます。

Pythonとの違い

R言語は統計分析や機械学習分野に強いプログラミング言語であることを解説しましたが、R言語以外にも同様の分野を得意としているプログラミング言語があります。

先程も少し触れましたが、Pythonがそれにあたります。

では、R言語とPythonにはどのような違いがあるのでしょうか。

この2つの言語の大きな違いは、汎用的か否かにあります。

既に解説したとおり、R言語はデータ分析の分野に特化したプログラミング言語です。

一方でPythonの場合は、データ分析以外にもWebシステムやアプリケーションの開発など、他分野にも活用の場面が多いプログラミング言語です。

ではR言語とPythonについて、これからどちらかのプログラミング言語を学ぼうと考えている場合、どちらの言語を選択すべきなのでしょうか。

Pythonのほうが汎用的であり、利用機会が多いことからR言語の魅力に乏しさを感じたかもしれません。

しかし、決してR言語がPythonよりも見劣りしているわけではありません。

PythonにはないR言語の強みとしては、データ分析に関する機能を多く有しているということです。

例えばグラフ作成をすることは、データ分析業務をおこなう上で非常に有用性の高い機能です。

このグラフ作成の機能について、R言語は描写を細かく設定できるのに対し、Pythonは細かく設定する機能を持ち合わせていません。

あくまでもPythonにとってデータ分析はできることの1つであり、R言語と違ってその分野に特化しているわけではないということです。

また、コードの記述に関してもR言語のほうが容易であり、取り扱いやすいといわれています。

以上のように、R言語はスペシャリストとして専門分野への特化、Pythonはゼネラリストとしてオールマイティに活躍できる、という点が大きな違いとなります。

R言語とPython、どちらのプログラミング言語のほうが優れているのか優劣をつけるのは非常に難しいです。

どちらの言語を学ぶべきかについては、今後の業務やキャリアを見据えた上での判断が求められます。

データ分析にとにかく強くなりたいということであれば、PythonよりもR言語のほうが活躍の幅が広いと考えられます。

R言語の開発はAMELAに

今回は、R言語について見てきました。

統計分析に強いR言語は、転職という意味合いだけで見ると、不利な言語の様に感じるかもしれません。

企業としても、R言語でのシステム開発を依頼した際に
・今後のメンテナンスに困る
・廃れたときのリスクが大きい
など、様々な不安を抱えていることでしょう。

しかし、部分的に分析部分だけをR言語で開発する事も可能です。

例えばR言語をWeb API化することで、他の言語からのアクセスも可能になります。

そうすると、メンテナンスが必要になる可能性が高い部分などは、別の言語で開発した上で、R言語の得意な分析手法を活用することも出来るでしょう。

この様に、システムの設計を柔軟に行うことで、メンテナンス性を向上させたり、属人化を防ぐことができます。

是非、一度御社のシステム開発・運用に関してご相談いただけければと思います。