VB.NETとはどんな言語?VB.NETの特徴とできることを解説
VB.NET(Visual Basic .NET)というプログラミング言語があります。
Microsoftが開発したプログラミング言語であるVB(Visual Basic)の後続として、21世紀の初めに登場したVB.NETは、OfficeなどのMicrosoft製品を中心に広く採用さてれています。
しかし、C#やJava、Pythonほど有名なプログラミング言語ではないので、あまり良く知らないという人も多いのではないでしょうか。
また、VBは知っているけれど、VB.NETとどう違うのかは分からないという人もいるかもしれません。
この記事では、VB.NETがどのような特徴を持ったプログラミング言語なのか、VB.NETではなにができるのか、そして、VB.NETの将来的な需要を解説します。
これからVB.NETを習得しようと考えている人も、ぜひ参考にしてみてください。
VB.NETとは
VB.NETとは、どのようなプログラミング言語なのでしょうか。
簡単に言うと、VB.NETは、Microsoftが開発している.NET環境に対応したVB(Visual Basic)です。
VBがアップデートされて、VB.NETになったということもできます。
では.NETとVBがなにかとともに、VB.NETについて解説していきます。
「.NET」とは
.NETは、Microsoftが開発した、アプリケーション開発のためのプラットフォームです。
.NETは、WindowsやMac OSなど、様々なプラットフォームに対応したクロスプラットフォームのオープンソース開発プラットフォームで、無料で利用することができます。
.NETはすべてのプログラミング言語が使えるわけではなく、いまのところ、C#、F#、VB.NET、JScript.NETが対応しています。
.NETは元々、Windows向けの「.NET Flamework」から始まりました。
その後、オープンソースソフトウェアの「.NET Core」と「Mono」が出現し、これらを含めて「.NET」と呼ばれています。
現在、.NET Flameworkはすでに開発が終了しており、これ以降、「.NET」は「.NET Core」と「Mono」を合わせた名称として使用されています。
.NET Framework4.8を最終リリースとして、リリース終了となりました。
(.NET Framework4.8のサポート期限は2031/10/14より後)
VB.NETの歴史
1990年代に、Microsoftは新たなプログラミング言語(および処理系)として、VB(Visual Basic)の開発を始めました。
VBは、同社が開発している統合開発環境であるVisual Studioに組み込まれ、現在も様々なアプリケーション開発に利用されています。
VBは開発以降、1998年のver.6.0までアップデートが続けられました。
そして、2002年に、.NETに対応したバージョンとして、VB.NETが発表されました。
VB.NETはVBの後続バージョンであるため、単にVB(Visual Basic)と呼ぶ場合でも、.NET環境に対応したものを指します。
Visual Studio内ではVBという呼称に統一されていますが、ver.6.0以前とは互換性がありません。
VBとの違い
VB(旧バージョン)とVB.NETの違いは、.NET環境に対応しているかどうかが一番の違いです。
もう一つの大きな違いは、VBは構造化プログラミングを取り入れたプログラミング言語であることに対して、VB.NETはオブジェクト指向に対応した言語であるということです。
VBでもオブジェクト指向プログラミングは可能ですが、VB.NETはよりそちらに寄った言語となっています。
それ以外には、.NET環境での互換性のために、基本データ型としての固定長文字列(character型)が廃止されています。
VBは実行速度の遅さがデメリットとしてよく挙げられていましたが、実行環境を.NET Flameworkに移行してから、C#など、他の.NET対応言語と同程度の処理速度を実現することが可能になりました。
VB.NETの特徴
VB.NETには、.NETへの対応以外に、どのような特徴があるのでしょうか。
自然言語のように扱える
VB.NETの文法は自然言語(私たちが日常で使う言語)に近いため、プログラミング初心者でも比較的容易に習得することができます。
また、他のプログラミング言語では普通に使われる
「構文終了点のセミコロン(;)」
「if文のカッコ()」
が不要なのも特徴です。
このため、コーディングの手間が省け、扱いやすい言語となっています。
フォームを使ったプログラミングができる
VB.NETでは、フォームを使って、マクロのようにコードを組み立てることができます。
開発中のアプリケーションに実装したいデザインを、ツールボックスからマウス操作で組み込むことができます。
開発におけるデザインへの負担が減るため、機能の充実に力をいれることができます。
また、細かい設定に関しては、書くフォームのプロパティとして用意されており、その設定を変えることで、自動的にプログラムへと変換されます。
配置されたボタンをダブルクリックすることでonClickイベント(ボタンを押した時に動くメソッド)を書けるなど、コーディングの際の作業効率が上がる仕組みが整えられています。
無料で簡単に導入できる
Microsoftが提供するVisual Studioから、VB.NETを無料で利用できます。
導入も、ファイルをダウンロードしてインストールすれば、すぐに使うことができます。
VB.NETが活用されている場面
VB.NETは、プログラミングの容易さや.NETへの対応から、様々な場面で採用されています。
ですが、やはりVB.NETの強みはアプリケーション開発です。
ここでは、VB.NETの主な活用例を紹介します。
今回挙げたもの以外でも、VB.NETはスマホアプリや3Dゲームの開発に採用されています。
WindowsやOfficeのシステム・アプリケーション開発
.NETによってプラットフォームの互換性を持つVB.NETですが、開発がMicrosoftですので、やはりWindows関連のアプリケーション開発に採用されることが多いです。
Windows上のシステムですと、ボタンやテキストボックスなどのデザイン面(GUI)での活用が多いです。
次いでWordやExcel、Outlookなど、Office製品の拡張機能の開発に利用されています。
最近はクラウドサービスとして様々なシステムがWEB化していますが、業務用のシステムでは、情報漏えいのリスク回避の観点からも、まだまだインストールして利用されるシステムも多々あります。
UWPアプリの開発
UWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)という、仕様の違う様々なデバイスでアプリケーションを動作させるためのプラットフォームがあります。
このUWP上のアプリケーション開発において、VB.NETはもっとも注目されているプログラミング言語です。
有名な開発例としては、Windows 10以降、UWPはWindows OSの基盤となっています。
UWPがそもそもMicrosoft開発であるということもありますが、VB.NETのGUI実装への強さと、.NETの互換性が、UWPアプリ開発に採用されている理由でもあります。
VB.NETの需要
最後に、VB.NETの現場での需要、そして将来性について解説します。
結論から言うと、VB.NETが新規に採用されることは減りました。
しかし、それでもVB.NETを新たに学ぶメリットはあります。
その理由も合わせて紹介します。
需要は減少傾向
VB.NETが発表されてから20年の間に、後発のプログラミング言語が次々登場しました。
VB.NETでしかできないことはもちろんありますが、多くは、フレームワークなど、他言語での代替手段が確立されたこともあり、VN.NETの需要は減少傾向にあります。
これは、VB.NETの開発への汎用性の低さと、C#やJavaScript、Pythonなどのシェアが増加したことも要員です。
VB.NETの将来性
このように、新規の開発でVB.NETが採用される場面は少なくなりました。
ですが、既存システム、特にWindows関連のシステムには、VB.NETで書かれたプログラムが数多くあります。
VB.NETで動く現役のシステムもまだまだあり、その保守・改修には、やはりVB.NETが使われます。
ですので、当面はVB.NETが不要になることはないでしょう。
特に大企業の場合、大元がVB.NETで開発されており、しかも稼働が安定している。
このような場合、別の言語へ乗せ換えるのは、非常に大きなリスクがあります。
工数もかかりますし、データ移行にも多くの時間を要します。
こういった中で「機能追加」の開発を行おうとすると、どうしても乗せ換えよりも、VB.NETでの追加開発の方が多くなります。
これからVB.NETを学ぶ理由
では、そんなVB.NETをこれから学ぶメリットはあるのでしょうか。
VB.NETの強みとともに見ていきましょう。
まず、VB.NETは、これからプログラミングを一から学んでみようという人にはおすすめできるプログラミング言語です。
VB.NETは、開発環境の構築から言語の習得までが容易に行えるため、他の言語よりも、学習に挫折しにくいのです。
次に、VB.NETの情報の多さが挙げられます。
Microsoft開発というだけあって、VB.NETに関する情報は、新興のプログラミング言語と比べて各段に多いです。
ですので、VB.NETで何かを開発しようと考えたとき、充実した情報が得られるというのは、大きなメリットになります。
これから開発を行う場合、VB.NETを選択肢に入れることは十分にあり得ることでしょう。
最後に、VB.NETの案件は減少傾向ではありますが、まだまだ出番はあるのです。
特にWindowsシステムに関わる現場などで、VB.NETは現役で稼働しています。
そういったシステムは一定期間(大規模なシステムですと長期間)保守・改修をするのですが、IT人材の不足が深刻になるにつれて、VB.NETを理解しているエンジニアは、より必要とされるでしょう。
ですので、VB.NET一点突破は危険ではありますが、他の言語と合わせて習得しておくというのは、十分にアリなのです。
特に、ビジネスという観点から見ると、大規模な案件で、VB.NETを利用している企業というのは、それなりの「予算」を持っています。
そのため、どんどんと
「短納期・安価開発」
が進んでいるIT業界において
「しっかりと運用・保守にお金をかけてくれるクライアント」
という意味合いで、非常に重要になります。
もちろん、しっかりとした技術を身に付ける必要性はあります。
古いシステムでは非効率的な開発がされていたり、機能追加で
「設計的に無理のあるデータ構造」
で開発が進められているケースも見受けられます。
これらの理由で、ソースコードを読む力や、一昔前の作法についても知る必要がありますが、それに見合う可能性がVB.NETにはあると言えるでしょう。
VB.NETエンジニアやレガシーシステムの改修もAMELAに
今回は、VB.NETについて見てきました。
流行り廃りで言うなら、廃れてきているVB.NETですが、現行で動いているシステムが多いだけに、技術者としての需要はまだまだありそうです。
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