SIerではプログラミングができない?その理由とデメリットを解説

エンジニア志望の方や、エンジニアとして転職を考えている方は、 「SIerではプログラミングができない」 という話を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。 「SIerはシステムを開発するはずなのに、なぜプログラミングができないの?」 と疑問に思う方も多いかと思います。 ここでは、SIerの仕事内容やプログラミングができないと言われる理由、そしてそのデメリットについてご紹介します。

SIerとは

SIerとは

SIerとは SIerとは、「System Integrator」の略称で、システムの開発や運用を請け負う企業の事を指します。 ここでは、SIerの仕事と種類について説明します。

SIerの仕事

SIerの仕事は基本的に、顧客の求めるシステムの開発、導入、運用となります。 その際、SIerの仕事は以下のような順で進みますが、全てを自社で行う企業は少なく、手順によっては外注する場合がほとんどとされています。 1.システム導入計画の企画・立案 2.設計・開発 3.ハードウェア・ミドルウェアの選定 4.インフラの構築 5.運用管理

システム導入計画の企画・立案

SIerの仕事は、顧客から要望されたシステムをただ開発するだけではありません。 顧客がどのような業務を改善するためにどのようなシステムを必要としているのか、といったことをヒアリングし、企画・立案を行います。 また、その前段階として、経営戦略まで含めたコンサルティングを行う場合もあります。 世の中に出回る製品の種類が増えていることや、ビジネスが多角化している事、そして新しい技術が出てくることによって、SIerは、どんどんと高いレベルの知識を求められる様になっていると言えます。

設計・開発

システムの導入計画が出来たら、それにしたがって設計に入ります。 設計は要件定義と呼ばれる、システムに必要な機能や性能を定義する段階を経て、「要件定義書」に基づいて行われます。 設計は主にSEが、そして開発の段階では、その設計にしたがってプログラマーが機能を実装していきます。

ハードウェア・ミドルウェアの選定

SIerはシステムの企画からメンテナンスまで、ほぼ全てを請け負うため、システムそのものだけでなく、システムを動かすために必要なものについても責任を負います。 そのため、コンピュータ等のハードウェアや、データベース等のミドルウェアに何を使うのかを選定し、発注や設置なども行います。

インフラの構築

システムを正常に動かすために必要なものとして、インフラも整える必要があります。 サーバーの構築からオフィス内のネットワークの整備など、システムを利用して業務が行えるように手配します。

運用管理

システムが開発できたら、クライアントがそのシステムを問題なく使えるよう、サポートをしながら導入し、導入後は業務に滞りがないように対応します。 具体的には、システムのマニュアルの作成や、導入後のメンテナンス、バックアップの管理やウイルス等セキュリティ上の問題の監視、障害対応などがそれにあたります。

SIerの種類

SIerにはいくつかの種類があり、それぞれ特徴があります。 ここでは以下の5種類について説明します。 ・メーカー系 ・ユーザー系 ・独立系 ・コンサル系 ・外資系

メーカー系

メーカー系は、パソコン等のハードウェアメーカーから独立した企業です。 自社製品を使ってシステム開発を行うため、ハードからソフトまで一挙に対応でき、特に親会社が大企業である場合には大規模な仕事を請け負うケースが多いとされています。 代表的なメーカー系のSIerとして、「NECソリューションイノベータ」や「富士通エフ・アイ・ピー」等があります。

ユーザー系

ユーザー系は、一般企業のシステム部門等から独立した企業です。 親会社のからの案件受注がメインとなるため、親会社の業種によって「通信」「金融」など、それぞれに特化したシステム開発を行うことが多いのが特徴です。 代表的なユーザー系のSIerとして、「NTTデータ」や「伊藤忠テクノソリューションズ」等があります。

独立系

独立系は、親会社がおらず、独立した経営を行っている企業です。 親会社がない分、経営の安定性に不安があるともされていますが、その分ハードウェアメーカーやベンダーに縛られない、自由な提案ができるのが強みでもあります。 代表的な独立系のSIerとして、「富士ソフト」や「SCSK」等があります。

コンサル系

コンサル系は、システム開発よりも経営戦略にしたがった業務改善の提案などを行うSIerです。 コンサルティング業務に特化しているため、開発等の業務は外注となる場合が多いのが特徴です。 代表的なコンサル系のSIerとして、「野村総合研究所(NRI)」や「アビームコンサルティング」等があります。

外資系

外資系は、海外を中心に国際的な事業展開を行っているSIerです。 海外にグループ会社を持つ大企業からの案件を受注するケースが多く、働き方や職場環境が経営母体のある国によって異なる場合があります。 代表的なメーカー系のSIerとして、「Cisco」や「IBM」等があります。

SIerはプログラミングができない、と言われる理由

SIerはプログラミングができない、と言われる理由

SIerはプログラミングができない、と言われる理由 それでは、なぜSIerはプログラミングができない、と言われるのでしょうか。 すでにご紹介したように、いくつかの工程に分かれるシステム開発の全てを自社で行うSIerは少なく、多くの企業は工程次第で外注する場合がほとんどです。 SIerはプログラミングができない、と言われる主な理由はこの下請け構造にあります。 特に大手のSIerの場合には、クライアントとの企画・立案や要件定義など、上流工程のみを自社で行います。 そのため、開発そのものは下請けに任せるケースが多く、プログラミングはその下請けの企業である、中小SIerやSES(System Engineering Service)のエンジニアが担うことになります。 こうした事情から、SIerではマネジメントやクライアントとの打ち合わせといった業務のためにドキュメント作成等が中心となってしまい、プログラミングができないエンジニアでも仕事が成り立ってしまう場合があるのです。 実際、コーディングが出来る人よりも、SEやプロジェクトマネージャーといった上流の工程が出来る人の方が給料が高い傾向にあります。 また、SIerが顧客から直接お金を受け取ることからも、ビジネスモデル的に 「上流だけをやる方が儲かる(時間単価が高い)」 と考えられているのが現状でしょう。

プログラミングができない場合のデメリット

プログラミングができない場合のデメリット

プログラミングができない場合のデメリット プログラミングができなくても仕事が成り立ってしまうとは言え、デメリットはあります。

コードレビューができない

開発を下請けに任せるとは言っても、その成果物をレビューする場合もあります。 納品されたプログラムを見ても、書かれているコードの意味が分からないのでは、 ・仕様を満たしているか ・明らかなセキュリティホールが存在しないか ・可読性や保守性に難がないか といった観点でのレビューができません。 特に可読性や保守性に関しては、コードそのものを読める能力が必要になります。 例えば、オブジェクト指向が出来ていないエンジニアが開発を行っていた場合、後々の修正や機能追加で 「本来1人月(1人のエンジニアを1ヶ月動かす)で良かった作業が、組み方が悪いせいで2人月必要になった」 というケースがあります。 この場合、最初の納品分では黒字だったが、追加受注分では赤字になるケースや、見積もりが大きすぎて失注に繋がるケースなどがあります。 これは、SIer側・顧客側ともに大きな損失と言えるでしょう。 大手のSIerの場合は、プログラミングの機会は少なくても、コードレビューができるだけの技術力を持った人もいる、というのが実情のようです。

技術的に対応できるか分からない

SIerではクライアントとの打ち合わせの中で調整を行いますが、クライアントからの要望に対して、その要望に技術的に対応できるのかが分からないと、調整が成立しません。 技術的に難しいものを可能だと安請け合いして、実際にプロジェクトが進んでから「やっぱりできませんでした」と反故にしてしまうようでは、クライアントからの信頼を失ってしまいます。

必要な工数の算出ができない可能性がある

プログラミングができないということは、ある機能の実装にどのくらいの工数が必要なのかが正確に算出できない、ということにもつながります。 システム開発のプロジェクトでは最初に計画を立て、その計画に沿って各段階が進行していきます。 そのため工数の算出が適切にできないと、過度に高額な見積をクライアントに提出して失注してしまったり、受注できても計画と実際の進捗に大きなズレが生じたりと、プロジェクトに支障をきたす恐れがあります。 他にも、例えばホームページを作るにしても 「1から全て開発するのか」 と 「ワードプレスなどのある程度基礎が出来ているものに、オリジナルデザインを乗せる」 のとでは、見積り金額が大きく異なります。 それを知っているか否かでも見積もりの工数が大きく変化するでしょう。

緊急事態に対応できない

プログラミングができないと、急な不具合に対応できない可能性があります。 例えば開発工程が終わった後、納品されたシステムに不具合があり、即座に修正が必要になったとして、プログラミングができなければ対応ができません。 プログラミングのできるエンジニアへの依頼など、余計なフローが発生するため、時間もコストもかかってしまいます。 また、外注する際に即座の対応が難しい場合も多く、 ・外注先のスケジュールを確認する ・見積もりを出す ・社内的に承認をもらう などの工程が緊急時には、足かせになってしまう可能性が高いでしょう。

エンジニアとしての価値が上がらない

これは企業にとってのデメリットというより、SIerに勤めるエンジニアのキャリアにとってのデメリットと言えます。 プログラミングができないということは、エンジニアの武器である技術力が向上しない、ということでもあります。 プログラミングのスキルが向上しないだけでなく、技術的な観点からの提案やマネジメントなど、必要なスキルが身につかない、というデメリットです。 より待遇の良い企業への転職などを目指す際に、 「開発経験はなくて、ドキュメント作成と打ち合わせだけしていました!」 では、採用が厳しい企業もあるでしょう。

プログラミングのできるSIerもある

SIerはプログラミングができないと言われていますが、プログラミングのできるSIerも存在します。 一般に、「中堅の独立系SIer」であれば、プログラミングも可能だとされています。 元請けにあたる大手のSIerではなく、それらから開発を任される中堅のSIerで、かつ外部企業からの案件を受注する独立系であれば開発が主な業務となり、プログラミングスキルを磨くことも可能です。 プログラミングをしたい、技術力を高めたい方は、大手よりも開発を行っている中堅のSIerを目指すのがよいでしょう。

AMELAなら開発からIT人材派遣まで幅広くサポート

今回は、SIerがプログラミングが出来ないと言われている理由について見てきました。 もしも技術力のないSIerに依頼してしまった場合、将来的にトラブルになる危険性は高いと考えられます。 そのため、SIerに開発を依頼する際には、しっかりと企業を調べておく必要があるでしょう。 AMELAは、ベトナムと日本に拠点を置くIT企業です。 オフショア開発と呼ばれる人件費の安い国での開発も行っているため、一般的なIT企業に比べて高い品質且つ、比較的安価な開発が可能になっております。 また、ITエンジニアの派遣、紹介及び育成なども行っていることから、IT業界における人材レベルの高さには自信を持っています。 「今までシステム開発を依頼したが、満足のいく結果が得られなかった」 「見積もりが高い割には、ドキュメントが荒く、仕様も非効率的に感じる」 こういった企業が多い中で、AMELAは下記の様に非常に高い評価を頂いております。 amela.co.jp news image 4

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