構造化データと非構造化データの違いとは?ビッグデータ活用の重要用語を解説

構造化データと非構造化データの違いとは?ビッグデータ活用の重要用語を解説

近年、DX化やデジタル戦略の観点から、ビッグデータの活用に取り組む企業が増えています。

ビッグデータを解析することで、現状把握や課題解決、さらには新たなビジネスの創出を目指しており、国内でも既に多くの成功事例が存在します。

そんな多くの可能性を持つビッグデータは、「構造化データ」と「非構造化データ」によって構成されています。

ビッグデータ活用のためには、両者の特徴をよく理解しておかなければなりません。

この記事では、「構造化データ」と「非構造化データ」について、それぞれの定義と特徴、メリット・デメリットを、具体例と合わせて解説します。

合わせて、
「非構造化データはなぜ扱うのが困難か」
「結局のところビッグデータとは何か」
についても見ていきましょう。

構造化データとは

コンピュータ上で処理されるデータのほとんどは「構造化データ」と呼ばれる種類のものです。

まずは、構造化データの概要を、具体例と共に解説します。

定められた構造を持つデータ

構造化データとは、あらかじめ定められた構造に整形された情報のことです。

ここでの構造とは「行」と「列」のことで、この構造を持ってる情報は、コンピュータで容易に処理できるという特徴があります。

なんらかの情報について、集計や統計をする際には、基本的に構造化データへ整形する必要があります。

そのため、データ解析に限らず、SQLなどを用いた事務作業をおこなう上でも、構造化データは有用な形式です。

構造化データの例

構造化データは、行列の概念を持つため、Excelなどの表計算ソフトでまとめられる情報をイメージすると分かりやすいでしょう。

他にも顧客や売上についての情報、アンケート結果といった「リレーショナルデータベース」は、構造化データの代表的な例です。

そのほか、CSVや固定長といったテキストデータも、この形式に含まれます。

構造化データのメリット・デメリット

事前に形式が定義されている構造化データは、コンピュータで処理しやすい反面、活用する際にはいくつかの問題点が存在します。

この形式のメリット・デメリットを見ていきましょう。

構造化データのメリット

構造化データのメリットとしては、やはり「扱いやすさ」が挙げられます。

その情報が所属する分野(マーケティングやマネジメント、あるいは自然科学や工学等)についての知識さえあれば、情報処理についてのスキルはさほど必要なく、誰でも活用できます。

また、構造化データはデータ分析の基本的な形式なので、専用のツールが数多くリリースされていることも、この形式を扱うメリットです。

情報を活用する人が、目的に合わせてツールを選択できるため、高いスキルがなくとも、有用な結果を得やすくなります。

構造化データのデメリット

構造化データのデメリットは、情報を活用する際の「柔軟性のなさ」にあります。

あらかじめ定められた形式に処理したデータのため、その活用目的も事前に定められています。

例えば、システム開発においては
「この画面で会員情報を更新する」
という様に、事前に決められた手順で登録し、決められた情報をデータベースに登録します。

しかし、テーブルの構造が急に変われば、それに応じてプログラムも修正する必要があります。

そのため、外部環境の変化に弱く、また活用の幅は非常に狭いのが実情です。

状況の変化や要件の変更などによって「別の角度から分析したい」と考えた際は、構造化データを更新する必要があります。

しかし、情報の再整形やストレージの拡張といった作業には、時間的・金銭的に多大なコストが発生します。

非構造化データとは

次に、ビッグデータの主成分でもある「非構造化データ」について、具体例と共に解説します。

構造が定義されていないデータ

非構造化データは、構造化データとは違い、その構造があらかじめ定義されていない情報です。

構造定義がおこなわれていないため、対象は整形されることなく、そのままの形で管理されます。

他の形式とは違って行と列によるデータベース構築ができないため、解析には不向きな形式です。

この形式の情報はそれ自体が意味を持つのですが、解析を通して有用な知見を得るためには、データサイエンティストと呼ばれる、高度なスキルを持つ人員が必要となります。

補足として、データ形式のカテゴリーとして、「半構造化データ」というものがあります。

これは、データ内に規則性のある区切りが存在する点では構造的なのですが、行と列に整形することが困難という特徴があります。

そのため半構造化データは、一般的には非構造化データの一種です。

非構造化データの例

世の中に存在する情報のほとんどは非構造化データで、その数も爆発的に増えています。

Eメールやチャットの文章、企画書や契約書などの書類(pdfやofficeも含む)から、CAD、音声・画像・動画など、様々な情報が非構造化データです。

これらの情報をシステムで活用するためには、そのままの情報をデータベースに格納しておき、利用する際に加工して(分割や切り出しなど)利用するのが一般的です。

というのも、先に加工をしてからデータベースに入れてしまうと、他の切り口での分析をしたい思ったときに、元のデータから加工し直すことができなくなるからです。

また、半構造化データの例としては、文章の構造を記述するXMLや、JavaScriptのデータフォーマットであるJSONなどが挙げられます。

非構造化データのメリット・デメリット

情報処理における扱いにくさが注目されることの多い非構造化データ。

ですが、他の形式と同様、こちらにもメリット・デメリットの両面があります。

非構造化データのメリット

非構造化データは、専用のシステムを用いて、未加工の状態で保存され、実際に活用されるまで処理されません。

形式を柔軟に定義できるため、活用の幅が広いというのが大きな特徴です。

形式を未定義のままにしておくことには、形式に縛られない、多様なデータベースを構築することができるメリットがあります。

これによって、多角的な分析が可能となり、より有用な知見を得られるのです。

また、収集・保存の際に整形などの処理が必要ないため、大量の情報を短時間で収集できます。

情報収集にかかるコストが少ないというのも、この形式のメリットとなります。

非構造化データのデメリット

非構造化データのデメリットは、やはりその扱いにくさにあります。

形式が定義されていない情報は、データサイエンティストといったデータ解析の専門家でなければ扱いが難しく、一般の企業やユーザーだけでは扱うことができません。

これはデータの解析に限らず、収集から処理、結果の分析などの一連のプロセスに、高度なスキルが必要となります。

また、実際にこの形式の情報を活用するためには、高度に専門的なツールが不可欠です。

構造化データの処理に使用されるような、一般的なデータ処理ツールは、この形式には使用できません。

しかし専門ツールは数がまだまだ少なく、開発も発展途上にあります。

非構造化データの扱いにくい理由

ここまで、非構造化データの活用には高度なスキルが求められるとしました。

では、なぜこの形式は扱いにくいのでしょうか。

そのままでは活用できない

非構造化データは、形式が定義されていない情報であるため、そもそも「何についての情報なのか」「情報間の関係はなにか」ということがはっきりしません。

いくら高度なツールを用いたとしても、上の視点が不明確なままでは有用な知見が得られないのです。

そのため、活用の際には、前段階として、扱いやすい形に変換する必要があります。

どのような形式に変換するかは、その情報の特性と活用目的を十分に吟味した上で決定されます。

よって、情報の意味や関係を明確に把握し、適切な形へ変換しなければならず、一連のプロセスには膨大なコストがかかるのです。

管理コストが高い

非構造化データはそのままの形で保存されるため、管理コストの高さも無視できません。

そのデータが持つ意味や価値が明確でないまま、大量の情報をストレージにため込むことになります。

収集した情報をどのように管理し、処理するかといったガバナンスを制定しておくことが重要です。

また、非構造化データは他の形式と比べて、検索・更新が困難という問題もあります。

そのため、データベースのどこに何の情報が保存されているのか、いつ誰によって更新されたのかといったことを記録・管理する仕組みが必要です。

非構造化データはこのように、変換から管理までに多くのコストが発生するため、その重要性・有用性に対して、活用があまり進んでいないというのが現状です。

ビッグデータは構造化データと非構造化データの総称

これまでに何度も登場している「ビッグデータ」について、ここで少し解説をします。

ビッグデータ

分野や視点によって詳しい定義は異なりますが、ビッグデータとは、構造化データと非構造化データの総称であると言うことができます。

もう少し詳しく説明すると、膨大な情報の集合であり、多様な形式を内包した、リアルタイムで収集できるデータ群と定義されます。

現在運用されているビッグデータは、8割以上が非構造化データで構成されているのです。

1990年代にインターネットが普及したことを切っ掛けとして、世界中で非構造化データが爆発的に増加しました。

総務省による定義

総務省は、平成25年に公開した調査研究の中で、非構造化データを「旧・新」に分けており、「旧」には音声・ラジオ・TV・新聞・書籍等が、「新」にはブログ/SNS・動画・電子書籍・GPS等が含まれています。

総務省は、これら旧・新非構造化データと構造化データを合わせたものを「狭義のビッグデータ」と定義しました。

そしてこの定義に、活用のための技術(機械学習や統計処理等)と組織・人材を加えたものを「講義のビッグデータ」として、活用の実態把握に努めています。

(参照:総務省「情報流通・蓄積量の計測手法の検討に係る調査研究(平成25年)」)

ビッグデータの活用はAMELAに

今回は、ビッグデータでも重要になってくる「構造化データ」「非構造化データ」について見てきました。

これらのデータをしっかりと活用できれば、それだけでも同業他社をリードすることが出来るでしょう。

しかし、これらのビッグデータを扱う上で、専門的なスキルを持った人材の育成や仕組みを作り上げることに苦労している人も多いのではないでしょうか?

そんなときは、是非AMELAにご相談ください。

AMELAでは、高いスキルを持ったIT人材の派遣や、海外の優秀なエンジニアを参画させるオフショア開発など、幅広い事業展開を行っています。

ビッグデータに関しても、
「どういう使い方ができるのか」
「今のビジネス的な問題をどう解決できるのか」
など、長期的な目線でご提案が可能です。