NestJSとは?将来性やメリット・デメリットなどを解説

日々さまざまな製品が発表され、いまだ大きな成長を続けるWeb開発。

そんなWeb開発の現場でいま、「NestJS」が注目を集めています。

フロントエンドからバックエンドまで、一貫してTypeScriptでの開発を実現するフレームワークであるNestJS。

JavaScriptによるバックエンド開発の主流と言われたExpressとシェアを二分するまでに成長したNestJSは、今後のWeb開発において要注目のフレームワークです。

しかし、まだまだ日本語の情報が少ないため、あまり馴染みがないという人も多いでしょう。

この記事では、NestJSがどのようなものなのか、特徴やメリット・デメリット、現在の需要と将来性について解説します。

合わせて、NestJSを動作させる実行環境である「Node.js」についても詳しく見ていきます。

NestJSとは

まずは、NestJSがどのようなものなのか、概要と採用されている現場を解説します。

バックエンド開発のフレームワーク

NestJSは、Node.js上で動作するバックエンド開発のフレームワークです。

Node.jsとは、本来はユーザー側で動作するJavaScriptをサーバー側で動かすことのできるプラットフォームで、Node.jsを導入することによって、サーバー側でJavaScriptによる実装が可能になります。

NestJSは、サーバー側のアプリケーションをTypeScriptで開発することができます。

NestJSはコマンド操作ができ、拡張性に優れているため、複雑な開発を容易に進められるという特徴があります。

NestJSはTypeScriptで構築されている

NestJSはTypeScriptで構築されています。

フロントエンド開発においては、JavaScriptやTypeScriptが主流ですが、NestJSを用いることで、バックエンド開発もTypescriptで統一することができるようになります。

近年はさまざまな現場でTypeScriptが採用される中、バックエンド開発にはJavaScript(Node.jsを利用した場合)やPHP、Pythonなどが用いられることが多いです。

NestJSを導入すれば、普段からTypeScriptを使って開発をしている人が、そのままバックエンド開発に着手できます。

大きなプロジェクトの場合には、バックエンド開発とフロントエンド開発で人員を分けることも多いですが、不景気の現在は1案件

なお、NestJSはNode.jsのフレームワークであるため、JavaScriptにも対応しています。

NestJSが活躍している現場

NestJSは、Webサービスのバックエンド開発に用いられるフレームワークです。

日本においてはベンチャー企業が使用することが多いですが、国外ではグローバル企業がWebサービスの開発にNestJSを採用した例が目立ちます。

Webアプリケーションの開発では、REST APIやGraphQLアプリケーションなどが、NestJSによって開発されることが増えています。

Node.jsについて

NestJSの実行環境であるNode.jsについて、もう少し解説します。

Node.jsはJavaScriptの実行環境

よくある誤解として、
「Node.jsはバックエンド開発ツールやフレームワークである」
というものがありますが、正確にいうと
「Node.jsはJavaScriptの実行環境」
となります。

誤解される要因となっているのは、転職サイトなどの求人では、
「Node.jsができるエンジニア」
などのような表記がされているからでしょう。

Webシステム開発の需要が飛躍的に増加したこともあり、JavaScriptの採用率も大幅に上昇しました。

特に「ユーザーの動作に連動して動く」ような仕組みがユーザビリティを向上させる事がJavaScriptの需要が高まった大きな理由でしょう。

しかし通常の環境において、JavaScriptはサーバーサイドでは動作しません。

そこで2009年にリリースされたのがNode.jsで、この実行環境を用いることで、多くのエンジニアが慣れ親しんでいるJavaScriptでバックエンド開発をおこなうことが可能になります。

Node.jsの特徴

Node.jsの特徴としては、大量のアクセスを処理できる、同時接続数が増加しても処理落ちしないなどがあります。

そのため、リアルタイム処理が求められるライブ配信システムや予約システム、IoTなどに採用されることが多いです。

一方、対応しているサーバーがまだまだ少ない、イベント処理が重いとシステムエラーが発生しやすいといったデメリットもあります。

Node.jsのフレームワーク

Node.jsには、この記事で取り上げているNestJSの他にも、さまざまなフレームワークが存在します。

Node.jsのフレームワークでもっとも有名なのは「Express.js」で、フロントエンドからバックエンドまで一貫した開発を可能にするものです。

NestJSはExpress.jsを土台にしているため、Express.jsのコマンドやライブラリをそのままNestJSで使うことができます。

そのほか、Webアプリケーション開発に必要な多くの機能を搭載した「Meteor.js」や、Ruby on Railsに近い使用感を持つ「Sails.js」、WebアプリケーションのUI開発で使用される「Vue.js」などが代表的なフレームワークです。

NestJSのメリット

バックエンド開発のフレームワークとして、TypeScriptで構築されているNestJS。

そんなNestJSには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

エンジニアが見つけやすい

プロジェクトをスムーズに進める上で「エンジニアの確保」は非常に大きな問題です。

そんな中で、バックエンドエンジニアに絞って探した場合、適切な人材が確保できない可能性があります。

一方で、NestJSのようにTypeScriptをバックエンドで使えるとなると、
「フロントエンジニアとしての経験はあるけど、バックエンドエンジニアとしての経験は無い」
という人材も、短期間の教育のみでプロジェクトに参画できる可能性があります。

ITエンジニア不足と言われる現代では、これは大きなメリットと言えるでしょう。

静的型付けのメリットを受けられる

NestJSはTypeScriptによって構成されているため、静的型付けを活かした開発が可能です。

型の恩恵を受けられるため保守性が高く、特に多人数による開発で、NestJSは大きな力を発揮します。

近年はTypeScriptをメインに開発をするエンジニアが増えているため、今後のバックエンド開発においてNestJSは存在感を増していくでしょう。

拡張性が高い

NestJSは非常に拡張性の高いフレームワークです。

データベース操作やセキュリティなど、多くのサードパーティ製パッケージ・モジュールを利用することができます。

テストフレームワークが標準搭載

NestJSには、テストフレームワークとしてJestが標準搭載されています。

面倒な設定が必要なく、すぐにテストを実行することが可能です。

NestJSのデメリット

NestJSにはさまざまなメリットがある一方、いくつかのデメリットも存在します。

学習コストが高い

まず、習得にかかるコストの高さが挙げられます。

NestJSに搭載された機能を用いて開発を進めるためには、ある程度の慣れが必要です。

また、これまで静的型付けのプログラミング言語にあまり触れてこなかった人にとっては、NestJS習得のハードルが高く感じるでしょう。

日本語の情報が少ない

次に、NestJSに関する日本語の情報がまだまだ少ないというデメリットもあります。

NestJSの強みとして、公式ドキュメントが充実していることが挙げられますが、いまのところ日本語版は存在しません。

NestJSを学習する場合、英語のドキュメントは避けて通れないのが現状です。

NestJSの将来性

ここからは、「NestJSの将来性」として、NestJSのプラットフォームである、Node.jsの案件と単価の現状や企業による需要について解説します。

Node.jsの案件は増加中

Node.jsの案件は、まだまだ少ないのが現状ですが、着実な増加傾向にあります。

理由としてはまず、Webサービス開発をJavaScriptおよびTypeScriptで統一でき、開発コスト削減が可能なことが挙げられます。

加えてNode.jsは同時接続や大量アクセスに強いなど、現在のWebサービスにおける大きな強みを持っています。

次に、Node.jsの学習コストの低さによって、企業側の負担を減らすことができます。

マイナーな言語と違い、JavaScriptは学習人口が多く、人材を集めやすいのです。

研修にかかるコストも少ないため、企業がNode.jsを採用するメリットは多く、Node.jsの案件が増加しています。

Node.js案件の単価

Node.jsはライブチャットや動画配信サービス、さらには決済アプリといった、現在のWeb開発において非常に活気のある現場で採用されているため、Node.js案件の単価は一般的なWeb開発案件よりも高い傾向にあります。

単価の低い案件であっても、時給換算4,000円が最低ラインで、月額単価は50万円前後となっています。単価の高いものになると、月額80~100万円という案件も出されています。

(参考「Findy Freelance」:https://info.freelance.findy-code.io/)

NestJS・Node.jsの需要と将来性

NestJSおよびNode.jsは、数年以内にバックエンド開発の主流になると見られています。

そもそも市場が成長を続けるWeb開発の現場において、Node.jsの特徴は、企業・エンジニアともに大きなメリットです。

さまざまななフレームワークが存在するNode.jsですが、現在はNestJSがシェアを伸ばし、最古参のExpress.jsとの二大巨頭となっています。

Node.jsおよびNestJSは現在もアップデートが続けられており、新たな機能の開発も進んでいて、日本国内のコミュニティも活気を見せています。

市場とともに成長を続けるNestJSは、今後さらに需要が増していく、高い将来性を持ったフレームワークと言えるでしょう。

長期的な目線での開発ならAMELAに

今回は、NestJSを見てきました。

どのような言語を使ってシステムを開発するかは、単にその言語を使えるエンジニアの数で選ぶべきではありません。

・システムに高速性が求められるか
・セキュリティ面
・システム利用の目的や要件

など、様々な点から考える必要があります。

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