今更聞けないレガシーシステム!レガシーの意味とIT業界における概念をわかりやすく解説

日本の企業の多くが、長年同じシステムを利用し続けています。

そんな日本企業では
「レガシーシステム」
と言われるシステムを保有している企業も多く、このレガシーシステムの存在が、IT運用において足かせとなっているケースが多々あります。

今回は、そんなレガシーシステムの定義や、レガシーシステムを脱却できない理由、そして脱却するための方法論をお話していきたいと思います。

今現在
・古いシステムをずっと使い続けていて、業務に支障がある
・社内システムが遅い
・バグが多く、問い合わせが殺到している

という問題を抱えているとしたら、是非この記事を参考にしてみてください。

レガシーシステムとは

まずは、レガシーシステムの定義を見ていきましょう。

レガシーの意味

レガシーの意味合いとしては、英語で「Legacy」で、意味としては「遺産」という意味になります。

そこから派生して、一般的には
「過去から引き継いだもの」
「未来へと引き継いでゆくもの」
そして
「時代遅れの物」
というネガティブな表現としても利用されることが多いです。

このサイトでは、IT業界での利用を解説していきますが、それ以外の業界でも
「昭和の価値観をひきずるレガシーな考え方の人」
などのように利用されることもあります。

IT業界におけるレガシーシステム

IT業界において「レガシーシステム」という表現がされますが、これは前述のレガシーの意味合いの中でも
「時代遅れの物」
という意味合いが強い物になります。

具体的には、技術的に古いものを使って作られたシステムで、1980年代に多くの企業が導入した、
「メインフレーム」
や、それを小型化した
「オフコン(オフィスコンピューター)」
と呼ばれるコンピューターを使ったシステムが、その代表です。

企業によっても異なりますが、COBOLやVBなどを使ったシステムをレガシーシステムと表現することもあり、総じて
「今はあまり新規開発されていない言語で作られたシステム」
と捉えることが出来ます。

こういったシステムは、主に
・運用保守
・バグ修正
・機能追加
がメインで、新しくシステム開発される際には選ばれることが少ないです。

レガシーシステムの問題点(2025年の崖)

レガシーシステムという言葉が存在し、それが問題になるのは、
「2025年の崖」
という概念があるからです。

この2025年の崖とは、2025年以降に起こるとされているもので、経済産業省が2018年9月に発表した
『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』
に記載されていた言葉です。

このレポートでは、
・IT人材の不足が2025年までに約43万人にまで拡大すること
・ERPの代表的ソリューション「SAP」の標準保守期限が2025年末で終了すること
(その後、2027年末まで延長されています)

など、同時期に多くの問題が重なることから、そう呼ばれています。

既存のシステムの処理がブラックボックス化してしまったり、データが活用できない状況により、年間で最大12兆円もの損失が出るとの試算もあり、大きな話題になりました。

このシナリオ通りに動くとは限りませんが、いずれにしても
「古いシステムを使い続ける」
という状況は、色々なリスクがあります。

一般的に言われるリスクの1つ目は、
「技術者がいない」
という事。

これからIT業界に入ってくる人や、学校(専門学校や四年制大学・WEBスクールなども含める)は、新しい技術を学ぶ方向に動きます。

今であれば、AIやVRなどの開発をするための言語を学ぶ人も多いです。

こういった最新技術を学ぶ人が多い一方で、レガシーシステムを学ぼうとする人は、極端に少なくなります。

COBOLやVBなどの現場では、年齢層の高い技術者しか出てこない・・・などの話を耳にする機会も多いです。

これらの人が引退すれば、既存のレガシーシステムでバグが起きた際に、対応できる人がいなくなります。

2つ目のリスクは、
「セキュリティリスク」
です。

最近では、色々な機器がネットに接続するIoTが注目されていますが、昔のシステムではそういった事が考慮されていない事が多いです。

更に、OSなども変わってきており、多機能になる反面、古いシステムではセキュリティの脆弱性が出てくる可能性があります。

3つ目のリスクは、
「運用保守の単価が高くなる」
という事。

技術者が減ることは前述しましたが、それに伴って
「今いる技術者も、希少価値がついて、単価が高くなる」
という可能性があります。

そうすると、年々維持費が高くなる可能性があります。

レガシーシステムを脱却できない理由

いくつものリスクを抱えているレガシーシステムですが、現場ではこれらのシステムの脱却が難しいとも言われています。

実際に、お客様の中には、
「いつかはリプレイス(システムの置き換え)をしないといけないのはわかってるんだけどね」

なんて話も聞きます。

では、レガシーシステムを脱却できない理由には、どのようなものがあるのでしょうか。

一度に大きなコストがかかる

1つ目の理由は、
「一度に大きなコストがかかる」
ということです。

レガシーシステムの中には、規模の大きな物も多いです。

最近は、アジャイル開発が主流となっており
「短期間で小規模かつ、高性能な開発を行う」
というものが多いですが、少し前はウォーターフォール開発といって、
「長期間かけて、しっかりと規模の大きなシステム開発を行う」
というのが一般的でした。

時代の変化が今よりも遅かったこともあり、次々に新しい技術が出てくるという環境でもありませんでした。

結果的に、1つ1つの案件の規模が大きく、広範囲をカバーするようなシステムが多かったのです。

それらを新しいシステムに置き換えるとなると、多額の費用が必要になります。

不景気の現在、一度に大きなコストがかかるような施策を、会社が許してくれないことも多く、レガシーシステムを脱却できない理由の一つとなっています。

仕様が把握しきれていない

レガシーシステムは、技術者が社外だけではなく、社内でも不足しているケースが多いです。

そのため、前の担当者が会社を辞めてしまったり、定年退職してしまうと同時に、
「どのような仕様だったのか」
を把握しきれない事も多いのです。

マニュアルを見ながら、日常業務のバグは修正できる。

しかし、それ以外の部分の仕様は把握しきれず、何をしているのか分からない。

こういう状況になっている企業も多く、新しいシステムを作るにしても
「どのような機能が必要なのか」
を把握できないのです。

他社に開発が依存している

レガシーシステムの運用において、
「開発部分を他社に依存している」
という企業は多いです。

会社的にも、
「いつか置き換えるシステムでしか使えない開発言語を学ばせる」
というのは、人件費の無駄と捉えられる事が多いでしょう。

そのため、必要な時に必要なだけの人材を、外部の企業に依頼して派遣契約をするということも多いです。

この様に、自社で開発が出来ず、他社に依存している状況では、前項の「仕様が把握できない」という事に加えて、
・どのくらいの作業が必要になるのか
・どのような機器が必要か
・どのくらいの期間でできそうなのか
など、正確に見積もることが出来ません。

直近で大きな問題が起きていないことに関して、それだけの労力が必要になるため、後回しになりがちなのがレガシーシステムの置き換えなのです。

資料が古い(仕様変更されている)

仕様が把握できないことにも関連してきますが、レガシーシステムは長い期間運用されているため、途中で手直しが入っている事も多いです。

しかし、資料の粒度や形式は、開発者によって統一されていない。

場合によっては資料そのものを残していない。

このような担当者がいた場合には、マニュアルや資料が古くなっており、仕様が把握できない状況を更に加速させます。

移行のリスクが高い

移行する際には、いくつものリスクが伴います。

大規模なレガシーシステムであればあるほど、
「もしもシステムが動かなかった場合」
に、与える影響も大きくなります。

更に、各部門に対して新しいシステムの説明や、使い方の講習など、色々な派生業務も発生します。

そのため、それらを行うことに大きなリスクがあると感じる企業様も多いです。

会社の中での責任が伴う

レガシーシステムにはここまで書いてきた様に、様々なリスクや作業が伴います。

しかも、調査だけでも数ヶ月を必要とする可能性があり、かなり大きなプロジェクトになると考えられます。

それを進めるには、社内での責任も伴います。

「ちょっとやってみたけど、無理だから戻す」

というほど、気軽にできる仕事ではなく、新しいシステムを導入するだけでも数百万円という費用が発生することもあるため、慎重になります。

結果的に、
「自分が定年するまでは、このまま波風立てずにレガシーシステムで運用しよう」
というようになってしまう担当者も多いのです。

レガシーシステムの脱却方法

では、そんなレガシーシステムは、どのようにすれば脱却できるのか。

今回は、レガシーシステムの脱却に役立つ2つの方法を紹介します。

モダナイゼーション

モダナイゼーションとは、現在利用しているハードウェア・ソフトウエアを、最新の製品や設計に変更することを言います。

前述の「リプレイス」もその一つで、小さい部分から少しずつ機器だけでも変えるなど、工夫次第でレガシーシステムからの脱却が可能になります。

他の方法として、
・リライト
・リホスト
・リビルド
・リドキュメント
・リファクター
などが、モダナイゼーションに分類されます。

マイグレーション

マイグレーションは、「移動・移住・移転」などの意味を持ち、既存のシステムを新しい環境に移行することを指します。

例えば、レガシーシステムそのものはそのまま利用を続け、まずは
・OSだけでも新しい物に移行する
・仮想環境に持っていく
などを行うことで、レガシーシステム以外の部分での脆弱性や機能面を改善していくのも一つの手段です。

もちろん、最終的にはレガシーシステムそのものを新しいものにしなければ、根本的な問題は解決しません。

ですが、結果的にシステムの切り替えが進まない状況よりは、少しでも他の部分のリスクを下げておくことは重要でしょう。

システム開発・システム運用はAMELAに

今回は、レガシーシステムとその問題点について触れてきました。

レガシーシステムを利用している企業はまだまだ多く、IT人材の不足が重なった結果、非常に大きな問題になっています。

しかし、本文中でも記載した様に、置き換えは簡単なことではありませんし、大きな労力や時間が必要になります。

そのため、不況の現在では優先度を高く出来ないという企業様も多いことでしょう。

AMELAでは、海外の優秀な人材を参画させる「オフショア開発」にて、安価で大規模なシステム開発も可能となっております。

更に、専任のITコンサルタントが、御社の状況を正確に分析した上で、リスクが少なく、作業が最低限になるような提案をいたします。

是非、問題が起こる前にご相談頂ければと思います。